「10億分の1を乗りこえた少年と科学者たち」感想。家族の絆をこれほど考えさせる本はない。

評価:★★★★★

 子供は死にかけている。できるのか? その子のゲノムを読みといて、悪いところをちゃんと見つけだせるのか?
(本文引用)
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 日経新聞「目利きが選ぶ今週の3冊」で絶賛されていたので購入。

 「世界初のパーソナルゲノム医療の実現」・・・などと聞くと、「何だか難しそう」と思うかもしれない。

 かく言う私も挫折覚悟で読んだが、夢中で一気に読んでしまった。

 なぜなら本書は「本格医療ドキュメント」であると同時に「家族の物語」だからだ。

 本書の主人公は、奇病を患った少年だ。

 その希少性はズバリ、「10億人に1人」。



 しかしなぜだろう。

 まるで「自分の家族のこと」のように読むことができる。

 現在、伴侶も子どもも特に難病を抱えているわけではないが、この本はとうてい他人事とは思えなかった。

 「世界初の医療」を描いたドキュメントが、インフル程度で大騒ぎする「平凡家族」と重なるとは・・・。

 これは実に新鮮な体験だった。
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■「10億分の1を乗りこえた少年と科学者たち」あらすじ



 2歳の少年ニックは、好き嫌いが激しく体重もなかなか増えなかった。
 
 母・アミリンは息子の偏食・少食に悩むが、ある日それが「とんでもない病のサイン」であることを知る。

 ニックのお尻に腫れ物ができ、膿が止まらない。
 さらにその膿瘍から便が漏れ始める。

 いくら検査・入院・治療を施しても、ニックの病状は悪化するばかり。
 「死」の文字が頭をよぎるなか、ある治療法に踏み出すことに。

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 ニックのゲノムを全て解析し、原因遺伝子を突き止めることにしたのだ。

 1人の少年を死の淵から救うため、世界初のパーソナルゲノム医療がいよいよ始まる。
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■「10億分の1を乗りこえた少年と科学者たち」感想



 ニックの病気は、あまりに衝撃的なものだ。

 病状を読むほどに「何とか助かってほしい」と祈らずにはいられない。

 よって「ゲノム解析」により突破口を見出した時には、全身の力が抜けるほどホッとした。

 こんなことを書くと「ネタバレ」と思われるかもしれないが、ここまでバラしたのには理由がある。

 本書の正念場は、実は治療後にある。
 
 ゲノム解析ということは、つまり「遺伝情報」に思いっきり踏み込むということだ。

 そこで得られた結論は、少年の快復だけではない。
 「家族の遺伝情報が解明されてしまう」という副作用もあるのだ。

 ニックの快復を喜ぶと同時に、「結果」から、複雑な思いを抱える両親。
 その苦悩の様子は、「子を持つ親」なら誰でもギクリとするのではないか。

 さらに本書では、治療後に気づいた「他の家族の苦しみ」にもしっかり触れている。

 だからこの本は「10億分の1」の話でも、他人事とは思えない。

 読みながら「家族ってなに?」「愛情ってなに?」と何度も考えさせてくれる。

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 今、改めて「家族の絆」について考えたいなら、本書はおすすめ。

 ホームコメディを読むよりも、はるかに収穫があるはずだ。

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アコチム

Author:アコチム
反抗期真っ最中の子をもつ、40代主婦の読書録。
「読んで良かった!」と思える本のみ紹介。
つまらなかった本は載せていないので、安心してお読みください。

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