「日本が売られる」(堤未果)感想。長生きしたけりゃこの本を読みなさい!?

評価:★★★★★

 労働者のニーズで作ったという「働き方改革法案」は、実は雇う側の要望で作った「働かせ方改革法案」だった。(本文引用)
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 「『知らないこと』って、こんなに恐ろしいことなんだ」
 「『知ろうとしないこと』って、命を粗末にすることなんだ」

 堤未果著「日本が売られる」は、そう思わずにいられない戦慄の書だ。

 日本で規制緩和や法改正が行なわれるたび、「何か変じゃない?」と首をかしげる人は多いだろう。

 しかし、今すぐ自分の身に降りかかることでなかったり、すぐさま命に関わるものでないかぎり、そのまま容認してしまう。

 芸能人の不倫は許せないのに、なぜか政府の決定はいつの間にか許してる。

 そんな空気が、これほどまでに自分の首を絞めていたとは・・・。
 本書を読みながら、もう恥ずかしいやら情けないやら悔しいやらで、布団をかぶりたくなった。




 水、食糧、労働力、介護、安全・・・「日本なら安全」と思っていたもの全てが、今や「商売道具」となっている。
 商売する側についてこれない者は、どんどん切り捨てられる。

 「日本が売られる」を読まなくてよいのは、早死にしたい人だけ。
 元気で長生きしたければ、今すぐ「日本が売られる」を読むべきだ。
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■「日本が売られる」概要



 今まで「水と安全がタダ」と思われていた日本。
 しかし今後、あらゆるものが「売られる」ようになっていく。

 水、種子、土、海、労働、医療、介護、教育・・・。

 堤氏が挙げる「売られるもの」は、ザッと18個。

 日本の安全・安心神話は、今大きく崩れようとしている。

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■「日本が売られる」感想



 本書を読み、「いかに自分がのんきな消費者だったか」を思い知り、足が震えた。
 
 一見、消費者にとって良さそうな改革・法律が、実はどれもこれも「消費者を危機に陥れるものばかり」だとわかったからだ。

 「民営化すれば競争原理が働き、安くなるに違いない」
 「働き方改革が実現すれば、過労死が減るに違いない」
 「外国人の労働力を活用すれば、人手不足が解消され、多くの人が幸せになる」
 「企業がやることは信用できないが、役所がやることなら信用できる」

 本書を読めば、それらは全て「幻想」であることがわかる。
 いや幻想どころか、「騙し」といえるものも含まれている。

 たとえば「役所がやることなら間違いない」という思い込み。
 その幻想を打ち砕くのは「土が売られる」というものだ。

 環境省は、東日本大震災で放射能汚染された土を再利用することに決定。
 海外企業による、放射性廃棄物ビジネスと絡め、「汚染土ビジネス」へと漕ぎ出していく。

 しかも水道ビジネスとワンセットという恐ろしさ。 

 想像してみてほしい。
 地下水と放射性廃棄物処理の両方を1社の外国企業が握るということが、日本人の命と健康にとって、何を意味してるかを。

 著者のこの言葉には、「日本が売られる」ことの危険性が凝縮されている。

 ジョン・レノンだって想像できなかったであろう危機が、今、日本中をジワジワと覆いつくしているのだ。

 さらに恐ろしいのは、「労働者が売られる」の項。

 電通社員の自殺等を受け、ようやく日本でも働き方を見直す動きが出てきた。

 しかしそこには大きな落とし穴が。 

今後、過労死認定される労働者の数は、間違いなく減ってゆくだろう。


 この著者の言葉には、大きな皮肉・レトリックの妙が含まれている。

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 本書で言葉の真意を知れば、これまた震えが止まらなくなる。
 国が行なう改革とは、結局、権力者に有利なもの。
 下々の者にとっては、見当はずれなものばかりなのだ。

 本書終盤では、その「見当はずれ」をただした諸外国の事例を紹介。

 「そんな大改革、日本ではできない」と思うかもしれないが、どれも動かしたのは一市民の小さな力。
 
 本書をきっかけとし、「自分の身の回りのことを、しっかり知る意識」を持てば、きっと大きな山は動かせるだろう。
 
 堤未果著「日本が売られる」。
 一消費者として、そしてなるべく元気に長生きしたい者として、心から「読んで良かった」と思える一冊だった。

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プロフィール

アコチム

Author:アコチム
反抗期真っ最中の子をもつ、40代主婦の読書録。
「読んで良かった!」と思える本のみ紹介。
つまらなかった本は載せていないので、安心してお読みください。

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