荻上チキ「いじめを生む教室」感想。データを見れば「いじめ根絶策」がわかってくる!

評価:★★★★★

 突然ですが、ここで一つ質問です。どうすれば、教室でのいじめを「増やす」ことができると思いますか?
(本文引用)
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 夏休みの終わりが近づくと、「学校に行くのがつらければ行かなくてよい」というメッセージが多く見られます。

 実は私はそのメッセージに、疑問を感じていました。
 確かに命を絶つぐらいなら、学校に行かない方がいいです。

 でも「学校に行かない理由」が「いじめ」である場合、なぜ被害者側が「学ぶ機会」を奪われなければならないのでしょうか?
 本書にも書かれていますが、「学校に行かないこと」は学歴・就職など、人生で大きなデメリットを負うことになります。
 
 なぜつらい思いをしている人が、そんなデメリットを背負わなければならないのか。
 本人だって「本当は普通に学校に行けるようになりたい」と思っているかもしれないのに、なぜ被害者がその機会を辞退しなければならないのか。
 
 「それってあまりに理不尽じゃない?」と感じています。



 常々そう思っていたところに、出会ったのが「いじめを生む教室」。
 「いじめ」に関するありとあらゆるデータから、いじめ根絶策を提唱。

 「いじめられている子が学校に行かない方法」ではなく「いじめられている子が学校に行けるようにする方法」。
 すなわち「いじめを許さない、いじめを絶つ、いじめが起こらない学校・環境を作る方法」を唱えています。
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 本書の魅力は、気づきそうで気づかない「いじめの実態」がブワッと浮き上がっていること。
 
 「データからいじめを検証する」などと聞くと、一見、無味乾燥に思えます。
 でも本書を読めば、認識はガラリと変わるはず。

 膨大にデータをとり、緻密に分析していけば、ハッとするような「いじめの実態」が浮上し、今まで誰も言ってこなかった「真の解決策」が見えてきます。

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 たとえば本書のデータから見えてくるのは、「いじめのホットスポット」、「いじめを生みやすい教師・いじめが起きにくい教師の特徴」「学力で異なるいじめの種類」等々。

 「いじめが行なわれている場所」のデータをじっくり見れば、「いじめをする子どもの心理」や「日米のいじめ事情の違い」「いじめを起こしてしまう、学校構造の盲点」までありありと露見。
 特に「教室移動の有無」によって、「いじめが起こる場所」が違ってくるという分析には、目から鱗が落ちます。
 
 さらに、もし「いじめの萌芽」・・・いわゆる「いじり」のようなものを発見した時、教師はどう対応すべきか。
 
 本書では、「最初の対応の重要性」を強く主張。
 
 データを細かく見ていけば、「いじめる側の心理」「いじめをエスカレートさせる人間の必然」がわかり、いじめを終息させる術がハッキリ見えてくるんです。 
 
 正直に言って「データからここまで"いじめの構造"がわかるとは・・・」と驚きました。 

 著者・荻上チキさんは、本書冒頭で「データに徹底的にこだわる姿勢」を表明していますが、中身を読めば大いに納得。
 
 いじめによる自死が起こると、しばしば「朝礼で先生が命の大切さを話しました」などという報道がされますが、データを見れば「それがいかにいい加減なものか」がわかります。
 (※「命の大切さを話す」って、まるで被害者が「命を大切にしていない」みたいで、おかしいですよね。
 命の大切さがわかっていたからこそ、そこまで耐えて耐えて、最後に残された手段をとってしまったんです。
 そういう報道を聞くたびに、「そうじゃないでしょ!」と激しい怒りを覚えます。)


 「いじめ」を360度あらゆる観点からとことん調べ、データ分析をしていけば、「真にいじめを絶つ具体策」が鮮やかに見えてくるんです。

 教師や周囲の大人は、「いじめ」をチラッとでも発見したらどう対応すべきか。
 そして子どもたち・・・特に、いじめを傍観してしまっている子どもたちは、どんな努力をすべきか。

 今までなかった「いじめの根絶策」をギリギリまで具体的に示した、「いじめを生む教室」。
 
 「いじめ」で「学ぶ機会を奪われる子」を出さないためには、必読の一冊です。

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アコチム

Author:アコチム
反抗期真っ最中の子をもつ、40代主婦の読書録。
「読んで良かった!」と思える本のみ紹介。
つまらなかった本は載せていないので、安心してお読みください。

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