「歪んだ波紋」レビュー。連作短編好きなら、これは絶対にうなる!

評価:★★★★★

 許されたわけではない-。
 一瞬の反転に打ちのめされ、沢村は初めて自分の仕事の怖さを知った。

(本文引用)
______________________________

 災害が起こればライオンが逃げたのシマウマが逃げたの。
 事件・事故が起これば、苗字が同じというだけで加害者の家族扱い。

 SNSが普及してから、急速に「嘘」が増えた。
 そして「嘘」による波紋が広がるスピードが、尋常じゃなく速い。
 
 後から真実を伝えようにも追いつけず、嘘に追い詰められ人生を壊される人が後を絶たない。
 
 そんな今だからこそ読みたいのが、「歪んだ波紋」。
 もし、真実を伝えるプロが、誤報を流してしまったら・・・?
 
 本書は「誤報」にまつわる連作短編。
 事件・事故に関連する、小さな点と点を「憶測」でつなぐと、途轍もなく大きな罪となる。
 そんな「誤報の恐ろしさ」に、足下からブルッとくる一冊だ。




______________________________

■「歪んだ波紋」あらすじ



 沢村は地方紙の記者。
 勤める新聞社が、「有名タレントが市長選に出馬」というスクープを出し、気持ちがわいている。

be905448a2809d0d8820be8f4e2aab40_s.jpg

 
 そこへきて、沢村に任されたのはひき逃げ事件だった。
 被害者は40代の男性で、妻は妊娠中。
 「これから」という時の事件だったが、事件は意外な展開に。

 容疑者のものと思われた車が、実は被害者宅の駐車場に・・・。

 沢村は、ひき逃げ事件の犯人を「妻」だとにらみ、直撃取材をするが?
_____________________________

 

■「歪んだ波紋」感想



 本書は連作短編集。
 「誤報」がカギとなる物語が5つ収録されており、全て静かにつながっている。

 「誤報がカギとなる」と聞くと、物語の核となるニュースだけが「誤報」と思うだろう。
 しかし本書は、そんな甘いものではない。

 真実がわかって良かった良かった・・・と思っていたら、最後の最後でまた「嘘」が浮上。
 最後の1行まで、全く気の抜けない展開となっている。

 読めば読むほど何が正義で何が悪なのか、何が真実で何が嘘なのかわからなくなり、頭がクラクラしてくるが、本書はやはり現代必読。

 「ちょっとした憶測」「正義感をまとった嘘」が、一個の人間の人生を狂わせ、命を脅かす。
 本書を読むと、その途轍もない恐ろしさに全身がこわばってくる。

 最終話は、それまでの「嘘・誤報」のさらなる事実が明らかに。
 連作短編好きなら、「こういうの読みたかった!」と思わずうなるラストとなっている。

 社会派読書が好きな人も、エンタメ・ミステリー好きな人も、思わず「うまい!」とうなるはずだ。

詳細情報・ご購入はこちら↓
関連記事
プロフィール

アコチム

Author:アコチム
反抗期真っ最中の子をもつ、40代主婦の読書録。
「読んで良かった!」と思える本のみ紹介。
つまらなかった本は載せていないので、安心してお読みください。

最新記事
シンプルアーカイブ
最新コメント
最新トラックバック
RSSリンクの表示
QRコード
QR

書評・レビュー ブログランキングへ
にほんブログ村 本ブログへ
にほんブログ村
カテゴリ
広告
記事更新情報
リンク
広告