女性同士の人間関係に苦しむ人へ。「対岸の彼女」角田光代

評価:★★★★★

葵ももうひとりの女の子も、こわかったのだ。同じものを見ていたはずの相手が、違う場所にいると知ることが。
(本文引用)
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 昔から「女性の友情とは、極端なものだなぁ」と感じていた。

 もちろん人にもよるが、よく見かけるのが「ベッタリ仲良しだったのが、突然仲が悪くなる」というもの。

 昨日まで磁石のSとNのようにピッタリくっついていたのが、今日になったらSとS、NとNのように「ふんっ!」と反発といったものだ。

 そうなるのがわかっているなら、最初からベタベタ仲良くしなければいいのに・・・と傍から見ていると思うのだが、なかなか気質は変えられないもの。
 にこにこぷんっ!を繰り返す女性というのは、わりと多いのだ。



 角田光代氏の「対岸の彼女」は、そんな「女子独特の人間模様」をそっくりコックリ描いた本。
 「なるほど、にこにこぷんっ!にはこういう心理が働いていたのかあ~!」と半月板が割れそうなほど膝を打ってしまった。

 今現在、女性同士・女の子同士の人間関係に悩んでいる人は必読。
 読めば必ず「相手の思い・自分の思い」が目が覚めるようにわかり、心がスッと軽くなるはず。
 
 本書を閉じたら、思わずスキップしてしまうだろう。  
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■「対岸の彼女」あらすじ



 主人公・小夜子は専業主婦。
 3歳の娘がいる。

 大学卒業後、映画配給会社でバリバリ働いていたが、寿退社。
 実は人間関係に疲れての退職だったが、折よく結婚が決まり、それを口実に辞めたのである。

 しかし最近、仕事がしたくなってきた。
 子どもを連れて公園をあちこち回り、またもや人間関係に疲れるぐらいなら働いたほうが・・・。

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 そう思った小夜子は旅行会社で働きはじめる。
 
 しかし仕事の実態はハウスクリーニング。
 さんざん汚れた個人宅の清掃作業だった。

 そして勤務先の社長もまた、人間関係に疲れ、漂流を繰り返す女だった。
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■「対岸の彼女」感想



 本書は、小夜子の現在と、女社長・葵の過去とが交錯する物語。
 二人の女性の現在と過去を追いながら「女同士がわかりあえそうで、わかりあえない理由」が浮かび上がってくる構成だ。

 何でも話せる女友達はほしい、でも近づきすぎるとヤケドする。
 もうそんな思いはしたくないのに、また失敗してしまう。

 小夜子と葵の現在と過去を見てみると、「本当に人間って馬鹿だなあ」と苦笑いをしてしまう。
 
 しかしそこが、「対岸の彼女」の大きな魅力。
 「人間の愚かさぶり」を、いやらしいぐらい緻密に描写。
 「もしかして、私のこと見てた?」とドキドキしながら読み入ってしまうのだ。

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 仲良くなりたい相手なのに、どうして自分が上位に立ちたいんだろう。
 どうでもよいことなのに、なぜ相手の意見を否定したくなるんだろう。
 
 そんなちょっとした傲慢な気持ちが、人間関係につまずく原因なのに、なかなか閉じ込めておくことができない。
 失敗するってわかってるのに。

 本書は、そんな「うまくやれない女同士のもどかしさ」を、残酷なまでに容赦なく描き出している。
 さすが直木賞受賞作だ。

 「私は女友達とうまくやってるわよ」「職場での人間関係も順調よ」という人も、ぜひ読んでみてほしい。

 本書は、女性が関わる人間関係を虱つぶしの勢いで全部全部ぜーんぶ!描いている。
 
 どれかひとつぐらいは「あ、この人とは私、うまくやれてないかも」とドキリとさせられるだろう。
 
 ラストも秀逸。
 一瞬、「やっぱりこうなっちゃうか~・・・残念!」と落胆しかけたが、そこからググッと急展開。

 女同士の人間関係で気持ちがズシーンと重くなっている人、女同士の距離感に悩んでいる人。

 最後まで読めば、自分なりの突破口がきっと見つかる。
 
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プロフィール

アコチム

Author:アコチム
反抗期真っ最中の子をもつ、40代主婦の読書録。
「読んで良かった!」と思える本のみ紹介。
つまらなかった本は載せていないので、安心してお読みください。

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