「香港デモ戦記」感想。「タイトルそのまま」だからこそ「読む価値あり」と感じた一冊。

 「日本には民主主義があるが、香港にはない。だから、今、ぼくはここにいて戦っている」
(本文引用)
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 「タイトルそのまま」のまっさらな本。
 香港デモの様子を、余計な味付け(著者の思想等)なしで、ひたすら伝える本である。

 そう聞くと「物足りない」と思う人もいるかもしれないが、私は逆に「まっさらだからこそ読む価値があった」と感じている。

 香港デモに参加する若者の声を、シンプルにストレートに聞くことで、却って冷静に「では日本はどうなのか?」と考えることができた。

 これがもし「香港かくあるべし!」という、著者の思いが詰まった“熱い本”だったら、私も流されてしまったかもしれない。
 自分の本当の気持ちを見つめることなく「そうだ、そうだ! 香港はこうなるべきだ!」などと、香港の欠点にばかり目が行き、日本のことを棚に上げてしまっただろう。
 (井戸端会議で、誰かが誰かの悪口を言って盛り上がりだしたら、自分も「そーよねー」と言ってしまうような感覚。)

 しかし本書ではただひたすらに、「香港デモの様子と、参加者の生の声」を淡々とつづっていく。


 だから「悪口に思わず賛同」という心理状態に陥らず、「自国は果たしてどうなのか」と落ち着いて考えることができた。

 日本は本当に民主主義といえるのか?
 日本は本当に自由といえるのか?
 日本は本当に住みよい国といえるのか?

 「香港デモ戦記」は「香港」以上に、「自国を知る機会、自国について考えるチャンス」を存分にくれる一冊だ。

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プロフィール

アコチム

Author:アコチム
反抗期真っ最中の子をもつ、40代主婦の読書録。
「読んで良かった!」と思える本のみ紹介。
つまらなかった本は載せていないので、安心してお読みください。

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