「とめどなく囁く」感想。登場人物全員犯人!?2段組400ページを寝食忘れて一気読み!
評価:★★★★★
「やっと諦めて新しい生活に入った時なのに、どうして落ち着かせてくれないの?」
(本文引用)
______________________________
人生の伴侶、学生時代からの親友、家を出入りする庭師・・・果ては途上でつかまえたタクシー運転手まで、事件に関係しているように見えてくる。
おそらく本書を読んでいる間中、私の眼は相当「危ない」感じになっていたはず。
だって、こんな本読んじゃったら、周囲がみんな「敵」に見えちゃうもん。
でも本好きとして、これほど幸せなことはない。
それだけどっぷり浸かれる本に出合えたということだから。
そう考えると、やっぱり本書を読み終えたのが寂しくなる。
面白い本って罪だな、とつくづく思える一冊だ。
________________________________
塩崎早樹は41歳。
夫の克典は72歳で、大企業創業家の人物。
31歳差、そして超玉の輿ということで、早樹はしばしば好奇の目を向けられる。
実は早樹と克典は再婚同士。
克典の前妻は以前、自宅で急死。
一方、早樹の前夫・庸介は8年前、釣りに出かけて行方不明になったまま。
不明後7年経ち、失踪宣告が出されてから、克典と結婚した。
早樹は理解ある夫と共に、平穏な生活を送るが、その日々は突如壊される。
庸介の実母から、「庸介を見た」という連絡が。
前夫・庸介は、実は生きていたのか?
もし生きているなら、なぜ庸介は消えたのか?
早樹の胸に大きな暗雲が立ち込める。
____________________________________
本書の面白さは、「とにかく何もかもが怪しく思える」点。
早樹は庸介の生死を調べるため、庸介の釣り仲間等をかたっぱしから当たる。
そのうちに早樹は、庸介について何もわかっていなかったことが判明。
少年時代の庸介、庸介の人間関係、休日の過ごし方・・・あらゆる点において、「早樹が把握していた庸介像」と重ならないことがわかってくる。
つまり「早樹が知らなかった事実を、早樹以外の人物は皆知っていた」のである。
では実際に、庸介の失踪に絡んでいるのは誰なのか。
数々の証言・言動から「本当の敵」を見つけ出していく過程が、本書の魅力。
早樹の気持ちに胸を傷めながらも、「人狼ゲーム」のように「誰だ? 誰だ? あいつか? こいつか?」と"犯人探し"にのめり込める。
作中、そんな読者の気持ちを見透かすように、「みんな隠してるんじゃないですか?」と言い放つ人物も・・・。
「登場人物全員犯人!?」と思うような状況から、棒倒しのように真実が絞り込まれていくプロセスは、読む手が本当に止まらない面白さだ。
ラストは読む人によって、意見が分かれるかも。
読後「自分が早樹だったら、この事実、どう受け止めるだろう? 自分だったら今後、どう生きるだろう?」とじっくり考えるのも一興。
家族や友人と読み合って、「あなたが早樹だったらどうする?」などと話し合ってみては?
ちなみに私は、本書の早樹と同じように考え、未来に踏み出していくことだろう。
実際にそんな目に遭ったら、どうするかわからないけど・・・。
「やっと諦めて新しい生活に入った時なのに、どうして落ち着かせてくれないの?」
(本文引用)
______________________________
面白かったーー!
「2段組み400ページ超」と聞いていたので、「読むのが大変そう」と思っていたが、何の何の、1日ちょっとで一気読みしてしまった。
「長い」と全く思わず、むしろ「もう終わっちゃったの~?」という気分。
最近、「長い物語が読めなくなった気がする。年かな・・・」と思っていたが、自信を取り戻した。
結局、面白ければどんなに長くても苦も無く読めるのである。
桐野夏生の最新刊「とめどなく囁く」は、「心理サスペンスの傑作」と評判。
確かに、読んでいると登場人物全員が怪しく見えて動悸がしてくる。
「2段組み400ページ超」と聞いていたので、「読むのが大変そう」と思っていたが、何の何の、1日ちょっとで一気読みしてしまった。
「長い」と全く思わず、むしろ「もう終わっちゃったの~?」という気分。
最近、「長い物語が読めなくなった気がする。年かな・・・」と思っていたが、自信を取り戻した。
結局、面白ければどんなに長くても苦も無く読めるのである。
桐野夏生の最新刊「とめどなく囁く」は、「心理サスペンスの傑作」と評判。
確かに、読んでいると登場人物全員が怪しく見えて動悸がしてくる。
人生の伴侶、学生時代からの親友、家を出入りする庭師・・・果ては途上でつかまえたタクシー運転手まで、事件に関係しているように見えてくる。
おそらく本書を読んでいる間中、私の眼は相当「危ない」感じになっていたはず。
だって、こんな本読んじゃったら、周囲がみんな「敵」に見えちゃうもん。
でも本好きとして、これほど幸せなことはない。
それだけどっぷり浸かれる本に出合えたということだから。
そう考えると、やっぱり本書を読み終えたのが寂しくなる。
面白い本って罪だな、とつくづく思える一冊だ。
________________________________
■「とめどなく囁く」あらすじ
塩崎早樹は41歳。
夫の克典は72歳で、大企業創業家の人物。
31歳差、そして超玉の輿ということで、早樹はしばしば好奇の目を向けられる。
実は早樹と克典は再婚同士。
克典の前妻は以前、自宅で急死。
一方、早樹の前夫・庸介は8年前、釣りに出かけて行方不明になったまま。
不明後7年経ち、失踪宣告が出されてから、克典と結婚した。
早樹は理解ある夫と共に、平穏な生活を送るが、その日々は突如壊される。
庸介の実母から、「庸介を見た」という連絡が。
前夫・庸介は、実は生きていたのか?
もし生きているなら、なぜ庸介は消えたのか?
早樹の胸に大きな暗雲が立ち込める。
____________________________________
■「とめどなく囁く」感想
本書の面白さは、「とにかく何もかもが怪しく思える」点。
早樹は庸介の生死を調べるため、庸介の釣り仲間等をかたっぱしから当たる。
そのうちに早樹は、庸介について何もわかっていなかったことが判明。
少年時代の庸介、庸介の人間関係、休日の過ごし方・・・あらゆる点において、「早樹が把握していた庸介像」と重ならないことがわかってくる。
つまり「早樹が知らなかった事実を、早樹以外の人物は皆知っていた」のである。
では実際に、庸介の失踪に絡んでいるのは誰なのか。
数々の証言・言動から「本当の敵」を見つけ出していく過程が、本書の魅力。
早樹の気持ちに胸を傷めながらも、「人狼ゲーム」のように「誰だ? 誰だ? あいつか? こいつか?」と"犯人探し"にのめり込める。
作中、そんな読者の気持ちを見透かすように、「みんな隠してるんじゃないですか?」と言い放つ人物も・・・。
「登場人物全員犯人!?」と思うような状況から、棒倒しのように真実が絞り込まれていくプロセスは、読む手が本当に止まらない面白さだ。
ラストは読む人によって、意見が分かれるかも。
読後「自分が早樹だったら、この事実、どう受け止めるだろう? 自分だったら今後、どう生きるだろう?」とじっくり考えるのも一興。
家族や友人と読み合って、「あなたが早樹だったらどうする?」などと話し合ってみては?
ちなみに私は、本書の早樹と同じように考え、未来に踏み出していくことだろう。
実際にそんな目に遭ったら、どうするかわからないけど・・・。