「ノースライト」感想。「だから横山秀夫は読みたくない!」と改めて思った傑作。

評価:★★★★★

 真相はすぐ隣にある。襖一枚隔てた向こう側にある。襖を開けばいい。ただそうすればいい。なぜそうしないのか。
(本文引用)
______________________________

 「だから横山秀夫の小説は、読みたくないんだよーーー!」
 本書を読みはじめてすぐ、心の中でそう叫んだ。

 なぜ「横山秀夫の本を読みたくない」のか。
 理由は「他の本がつまらなくなってしまうから」だ。
 
 「64」の時もそうだった。
 次に読んだ本が、「64」の直後に読んだせいですっかりかすんでしまった。
 世間一般で見れば、十分面白い本のはずなのに、必要以上に低評価になってしまった。



 これはいわば「欽ちゃんの仮装大賞」現象
 20点満点の仮装の次に登場した作品は、すっかりかすんで不合格となってしまう。

 それと同じで、横山秀夫作品を読んでしまうと、他の本が一気につまらなく思えてしまうのだ。

 風格・・・タネ明かしの深み・・・真相に隠された事実の重さ・・・心の機微を絶妙に描く、類まれなる表現力・・・(ちょっと横山秀夫風にしてみた)。

 すべてにおいて、他の小説と段違いの横山秀夫作品。
 今回もまた、見事にやってくれた。

 だから今現在、次に読む本を見つけられずに困り中。

 横山秀夫さん、何と罪深い作家であることか・・・。   
 
______________________________

■「ノースライト」あらすじ



 主人公・青瀬稔は一級建築士。
 小さな設計事務所に勤めている。

 ある日、青瀬のもとに不審な情報が入って来る。

 かつて設計した家が、どうやらもぬけの殻らしい。

9e9d0f02154b87a6de9273b2e158de5a_s.jpg


 施主・吉野家は、夫婦と子ども3人。
 青瀬に「どうしても」と設計を頼み、完成の際には、大喜びしていたあの家族。

 実際には住んでおらず、行方は杳として知れない。

 青瀬は事件のにおいを感じ、吉野一家の行方を追うのだが・・・?
 ________________________

■「ノースライト」感想



 横山秀夫作品らしく、真相のボールが想定外の場所から飛んでくる。
 いや本書の場合、「真相の球が飛んでくる」というより、「真相の芽が突然出てくる」といったほうが良い。

 読者が気づかぬ間に、地中で真実がこっそり根をはり、終盤突然、ボゴッと飛び出してくるのだ。
 
 そして一度飛び出した真実のツルを引っ張れば、過去にタイムスリップするように全容がズルズル~ッと解明。
 
 「あの日から、あの時、あの時代からすでに事件は始まっていたのか!」と、ただただ驚愕する。

31733345bb1bea49623500fc5f07907b_s.jpg


 そして全貌がわかると、みっともないほど泣けてしまうのが横山ミステリー。

 横山秀夫の小説は、決して不義理を許さない。
 本書では、その律義さが主人公を困らせることになるわけだが、「こんな義理の通し方もあるのか」と号泣。
 
 人は人なしでは生きていけない。
 誰かを思い、愛し、慈しみ、守る・・・そんな気持ちを持ちつづけるからこそ、人は生きていけるんだと再認識した。

 だから「ノースライト」は、半落ちが好きな人におすすめ。

 アッと驚くミステリーと、しみじみとしたヒューマンドラマ、両方をどっぷり心ゆくまで堪能できる。

 それにしても、次に読む本どうしよう・・・。

詳細情報・ご購入はこちら↓
プロフィール

アコチム

Author:アコチム
反抗期真っ最中の子をもつ、40代主婦の読書録。
「読んで良かった!」と思える本のみ紹介。
つまらなかった本は載せていないので、安心してお読みください。

最新記事
シンプルアーカイブ
最新コメント
最新トラックバック
RSSリンクの表示
QRコード
QR

書評・レビュー ブログランキングへ
にほんブログ村 本ブログへ
にほんブログ村
カテゴリ
広告
記事更新情報
リンク
広告