米原万里訳「わたしの外国語学習法」感想。語学を勉強するなら読んで損なし!の名著。

評価:★★★★★

美人は、初めに姿を見せた時は、《常に正しい》のです。後になって、彼女は実は馬鹿で、退屈で、意地悪だということが明らかになったりするものですが、最初の内は、何と言っても、やはり軍配は彼女の方に上げられるのです。
(本文引用)
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 語学を学ぶなら「絶対読んで損なし!」の一冊。

 あの米原万里氏の翻訳というだけでも、面白くないわけがない。
 さらに文庫化にあたり、米原氏自身が 

エッ、これほどの傑作をこのわたしが翻訳していたの!? おいおい、マジ? いや嘘だろう! まさか!

と言っていたほどの名著なのだ。
 
 語学を勉強したい人はもちろん、何かしら目標をもって勉強に取り組みたいという人にも、おすすめの本だ。

 そう聞いた人は、冒頭に挙げた引用部分に違和感を覚えるのでは?
 「美人は常に正しいって何のこと?語学と美人と、どんな関係があるの?」と眉をひそめるかもしれない。



 実はこの「美人論」こそ、語学=コミュニケーションのツボとして心得ておきたいこと。
 
 それは本書を読んでのお楽しみだが、ひとまず概要と感想を述べていく。

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■「わたしの外国語学習法」概要



 著者ロンブ・カトー氏は、16ヶ国語を習得した女性。
 しかもほとんど自国から出ることなく、独学のみで身につけてしまったという。
 
 本書ではリーディング、スピーキング、リスニング・・・全ての習得法を公開。

 語学を学ぶ意義とは?
 コミュニケーションで大事なこととは?

 語学学習というものを根底から見つめた結果、編み出した「究極の学習法」とは?

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■「わたしの外国語学習法」感想



 まず本書の素晴らしい点は、「語学を学ぶことのモチベーションを上げてくれる」こと。
 そして「モチベーションを維持してくれること」だ。
 
 語学を学ぶ際、最も課題となるのが「そもそも、なぜ語学を学ばなければならないのか」だ。
 三日坊主になってしまうのが、それが見つけられないから。
 カトー氏は「語学を学ぶことのメリット」を、学校では教えてくれない観点で明言する。

 わたしたちが外国語を学習するのは、外国語こそが、たとえ下手に身につけても決して無駄に終らぬ唯一のものだからです。

 

もし、ベネチアの鉄道駅で、ミラノに行くにはどの列車に乗るべきかということを尋ねるのに、ことばが間違っていたおかげでミラノに着くかわりにブダペストに戻ってきてしまったとしても、何ひとつ尋ねることも出来ぬよりどれだけましかもしれません。


 カトー氏のこの言葉は、語学学習への情熱の灯をチロチロと燃え上がらせてくれる。
 本書は「語学を学ぶことは、これほどまでに素晴らしい」ということを大前提として、実践的な学習法を次々解説する。

 では実際の学習法はどうかというと、これがちょっと驚きの内容。

 「今まで、逆だと思ってた!」「その方法でいいの!?」と目を丸くするものも。
 しかし「外国語を学ぶことは、外国語のしくみ全体を知ること」という大局的な視点から考えていくと、本書の方法は非常にうなずけるもの。
 さらに「外国語を学ぶことは、生きる世界を広げること」というスケールで考えていけば、本書の方法しかないと思える。

 だからといって、方法が大ざっぱというわけではない。
 
 提唱する学習法は、細かな点まで行き届いた、非常に緻密なもの。
 ここまで実践的で、効果がはっきり感じられそうな方法は、そのへんの語学問題集には載っていないだろう。

 語学を広く大きく、しかも深く緻密に学ぶなら、まず本書を買うのがおすすめ。

 本書一冊あれば、モチベーションの向上・継続から、実践的な学習法まで全てカバー。

 「そうだ、語学、やろう」と思ったときのファーストブックに、本書は最もおすすめだ。

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プロフィール

アコチム

Author:アコチム
反抗期真っ最中の子をもつ、40代主婦の読書録。
「読んで良かった!」と思える本のみ紹介。
つまらなかった本は載せていないので、安心してお読みください。

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