石田衣良「約束」感想。東大生・読書好きおすすめの理由とは?
評価:★★★★★
世界の果てまでいって、最後の力の一滴がかれるまで生きよう。
(本文引用)
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もし生きるのがつらくなったら、本書を手に取ってみてほしい。
自分だけの人生を、ボロボロになっても生ききろうと、心底思えるだろう。
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小4のカンタには、自慢の幼なじみがいる。
幼なじみの名はヨージ。
勉強の運動も人柄も抜群で、学校のスター的存在だ。
しかしある日、二人は突然悲劇に遭う。
カンタの目の前で、ヨージは通り魔に刺殺されるのだ。
カンタは事件以来、不安定になり、校庭で砂を食べるといった行動に出る。
優秀なヨージではなく、自分が死ねばよかった・・・そう思っているのだ。
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先述した通り、本書は7編からなる短編集。
それぞれ登場人物も設定も、何もかもがガラリと違う。
しかし一つだけ、大きな共通点がある。
皆、「生きるのを放棄しかけていたこと」だ。
親友が殺されたことで、「自分が死ねばよかった」と苦しむ少年。
夫が不倫相手と事故死、次いで子どもが変調をきたし、疲弊する母親。
人生に虚しさを覚え、不登校になる中学生。
若くして夫をガンで亡くし、幸せの意味を問い続ける女性・・・。
皆、人生のどん底を経験し、生きるのをやめようとしている。
しかしそこから、彼らは静かに確実に再生。
一度力尽きかけた人々が、新たに力を得ていく過程は、読むだけで生きる力がわいてくる。
自分の心の泉に、まだこんなに水が残っていたのか・・・と驚かされるのだ。
なかでもオススメなのは、第2話「青色のエグジット」。
引きこもりだった息子は、列車事故に遭い片足を失う。
自暴自棄になった息子は、手がつけられないほどわがままに。
両親は息子の言いなりになる。
そんなある日、息子はスキューバダイビングと出会う。
片足がなくてもできるダイビング教室に通い、息子は変わっていくが・・・?
本書に収められた物語は、全て「登場人物の心の変化」が見どころだ。
なかでも「青色のエグジット」は、変化が劇的。
「もう生きていても楽しいことはないだろう」とあきらめていた家族が、思わぬ形で息を吹き返す姿には、ただただ涙。
生きていれば、どんなに干からびても生きてさえいれば、きっと何か喜びがある。
「青色のエグジット」は、そう心から信じさせてくれる物語だ。
表題作「約束」もよいが、本書を手に取ったらまず「青色のエグジット」を読んでみてほしい。
読み終えた頃には、心がエネルギー満タンになっていること間違いなし!だ。
現役東大生や読書好きがすすめる、石田衣良「約束」。
生きる力が枯れそうになっている、本を読む気力すらわかない・・・そう思っていたら、本書だけでも読んでほしい。
もう一日だけでも生きてみよう、もう一歩だけでも踏み出してみようと、体の奥から思えるはずだ。
世界の果てまでいって、最後の力の一滴がかれるまで生きよう。
(本文引用)
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プレジデントファミリーで、東大生が薦めていたため読んでみた。
別に東大生でなくても構わないのだが、読書量が豊富な人が薦めているとなると、がぜん読みたくなる。
そして読み終えた今、読書好きおすすめの理由が、はっきりわかった。
読書の効用は、「さまざまな人生を生きられること」と「生きる力を与えてくれること」。
物語を通して、自分とは違う靴を履き、人生を踏み出すパワーを得られることが読書の楽しさだ。
石田衣良の「約束」は、まさにその効果を得られる一冊。
設定が全く異なる7つの物語を通して、「よし生きよう!」と心底思わせてくれる珠玉の短編集だ。
別に東大生でなくても構わないのだが、読書量が豊富な人が薦めているとなると、がぜん読みたくなる。
そして読み終えた今、読書好きおすすめの理由が、はっきりわかった。
読書の効用は、「さまざまな人生を生きられること」と「生きる力を与えてくれること」。
物語を通して、自分とは違う靴を履き、人生を踏み出すパワーを得られることが読書の楽しさだ。
石田衣良の「約束」は、まさにその効果を得られる一冊。
設定が全く異なる7つの物語を通して、「よし生きよう!」と心底思わせてくれる珠玉の短編集だ。
もし生きるのがつらくなったら、本書を手に取ってみてほしい。
自分だけの人生を、ボロボロになっても生ききろうと、心底思えるだろう。
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■「約束」あらすじ
小4のカンタには、自慢の幼なじみがいる。
幼なじみの名はヨージ。
勉強の運動も人柄も抜群で、学校のスター的存在だ。
しかしある日、二人は突然悲劇に遭う。
カンタの目の前で、ヨージは通り魔に刺殺されるのだ。
カンタは事件以来、不安定になり、校庭で砂を食べるといった行動に出る。
優秀なヨージではなく、自分が死ねばよかった・・・そう思っているのだ。
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■「約束」感想
先述した通り、本書は7編からなる短編集。
それぞれ登場人物も設定も、何もかもがガラリと違う。
しかし一つだけ、大きな共通点がある。
皆、「生きるのを放棄しかけていたこと」だ。
親友が殺されたことで、「自分が死ねばよかった」と苦しむ少年。
夫が不倫相手と事故死、次いで子どもが変調をきたし、疲弊する母親。
人生に虚しさを覚え、不登校になる中学生。
若くして夫をガンで亡くし、幸せの意味を問い続ける女性・・・。
皆、人生のどん底を経験し、生きるのをやめようとしている。
しかしそこから、彼らは静かに確実に再生。
一度力尽きかけた人々が、新たに力を得ていく過程は、読むだけで生きる力がわいてくる。
自分の心の泉に、まだこんなに水が残っていたのか・・・と驚かされるのだ。
なかでもオススメなのは、第2話「青色のエグジット」。
引きこもりだった息子は、列車事故に遭い片足を失う。
自暴自棄になった息子は、手がつけられないほどわがままに。
両親は息子の言いなりになる。
そんなある日、息子はスキューバダイビングと出会う。
片足がなくてもできるダイビング教室に通い、息子は変わっていくが・・・?
本書に収められた物語は、全て「登場人物の心の変化」が見どころだ。
なかでも「青色のエグジット」は、変化が劇的。
「もう生きていても楽しいことはないだろう」とあきらめていた家族が、思わぬ形で息を吹き返す姿には、ただただ涙。
生きていれば、どんなに干からびても生きてさえいれば、きっと何か喜びがある。
「青色のエグジット」は、そう心から信じさせてくれる物語だ。
表題作「約束」もよいが、本書を手に取ったらまず「青色のエグジット」を読んでみてほしい。
読み終えた頃には、心がエネルギー満タンになっていること間違いなし!だ。
現役東大生や読書好きがすすめる、石田衣良「約束」。
生きる力が枯れそうになっている、本を読む気力すらわかない・・・そう思っていたら、本書だけでも読んでほしい。
もう一日だけでも生きてみよう、もう一歩だけでも踏み出してみようと、体の奥から思えるはずだ。