石田衣良「眠れぬ真珠」は恋愛小説が苦手な人こそおすすめ!
評価:★★★★★
「人を好きになるとき、なにがただしい形かなんて、わたしにはぜんぜんわかりません」
(本文引用)
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後味も予想以上に爽やかで、読後、思わず本書に謝罪。
「最初、あなたのこと嫌っていてごめんなさい」なんて・・・。
石田衣良さん、この本を世に送り出してくれてありがとうございます!
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主人公の咲世子は版画家。
誰もが認める美人ですが、40代半ばの今も独身を貫いています。
妻のいる画商の男性と関係はもっていますが、結婚願望はなく、毎日粛々と仕事に打ち込んでいます。
咲世子はある日、仕事のアイデアを練るため行きつけのカフェへ。
カフェに新しく入ってきたウェイター、徳永素樹と出会います。
素樹は28歳で、映像の世界に生きる男性。
咲世子と素樹は年齢の壁を越え、互いが磁力を持つように惹かれ合います。
でも咲世子は、常に覚悟しています。
素樹との美しい日々は、すぐに幕を下ろすことを。
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石田衣良さんの文章は生々しいので、読みはじめた時は「しまった!」と思いました。
官能的なシーンに目を覆いたくなったからです。
「う~ん、このグロテスクな世界についていけるのだろうか」と、読むのをやめそうになったのですが・・・気がついたら底まで見えるような清らか水をスイスイ泳ぐような調子で、それはそれは気持ちよ~く読んでいました。
泥水まみれになるかと思っていたのに、読み終える頃には頭も心もすっかり浄化。
汚泥から拾い上げたものを、諦めずに汚れを取っていたら、とんでもない宝物が出てきたような感触です。
まず咲世子と素樹、互いの思い、互いのリスペクトぶりが突き抜けるほど純粋。
咲世子も素樹もアーティストなので、誰かを思い慕う気持ちが「仕事」「作品」にクッキリと現れます。
咲世子の気持ちは版画の色合いにふくらみを与え、素樹の気持ちは観る者の胸をうつ映像に。
二人のひたむきな気持ち、そして気持ちを託した作品づくりは、「私の人生にあなたが現れてくれてありがとう」とでも言いたげな健気さがあります。
本書ではしばしば「恋愛に正しい形はない」という言葉が出てきます。
でも咲世子と素樹の恋は、まさに「究極的な、恋愛の正しい形」。
相手を心から尊敬し、相手を思うが故に勇気をふり絞る-咲世子と素樹の愛の形は、これ以上ない「正しさ」に満ちてる気がします。
咲世子と素樹の姿を見ていると、ただただ純粋にこう思えます。
「こういう恋愛ができたら、いいよね」と。
途中の紆余曲折はなかなかヘビーなので、読むのが辛くなる人もいるかも。
でもちょっと辛抱して、ラストまで泳ぎ切ってみてください。
きっと「うわ~、読んでよかったぁ!」と思えますよ。
「恋愛小説を読みたいけど、いつも途中で挫折してしまう」という方に、「眠れぬ真珠」はおすすめ。
恋愛小説を読むのが得意になる、足掛かりになりますよ。
「人を好きになるとき、なにがただしい形かなんて、わたしにはぜんぜんわかりません」
(本文引用)
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実は「大人の恋愛小説」というものが苦手です(子どもの恋愛小説も苦手だけど)。
この「眠れぬ真珠」は、「大人の恋愛小説」にジャストミートに入る内容で、いちばん苦手とするタイプ。
苦手とするタイプ・・・のはずなのに、図らずも寝食を忘れて読みふけることに。
読んだ後は、この本と出合えた奇跡に静かな感動を・・・いえ、静かじゃないな・・・猛々しいほどの感動を覚えました。
私にとって「眠れぬ真珠」との出会いは、結婚するはずではなかった人と結婚しちゃったような感じ。
もともと嫌いなタイプで第一印象も最悪なのに、気がついたら「なくてはならない存在」になっていた・・・それぐらい夢中になって読みました。
この「眠れぬ真珠」は、「大人の恋愛小説」にジャストミートに入る内容で、いちばん苦手とするタイプ。
苦手とするタイプ・・・のはずなのに、図らずも寝食を忘れて読みふけることに。
読んだ後は、この本と出合えた奇跡に静かな感動を・・・いえ、静かじゃないな・・・猛々しいほどの感動を覚えました。
私にとって「眠れぬ真珠」との出会いは、結婚するはずではなかった人と結婚しちゃったような感じ。
もともと嫌いなタイプで第一印象も最悪なのに、気がついたら「なくてはならない存在」になっていた・・・それぐらい夢中になって読みました。
後味も予想以上に爽やかで、読後、思わず本書に謝罪。
「最初、あなたのこと嫌っていてごめんなさい」なんて・・・。
石田衣良さん、この本を世に送り出してくれてありがとうございます!
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■「眠れぬ真珠」あらすじ
主人公の咲世子は版画家。
誰もが認める美人ですが、40代半ばの今も独身を貫いています。
妻のいる画商の男性と関係はもっていますが、結婚願望はなく、毎日粛々と仕事に打ち込んでいます。
咲世子はある日、仕事のアイデアを練るため行きつけのカフェへ。
カフェに新しく入ってきたウェイター、徳永素樹と出会います。
素樹は28歳で、映像の世界に生きる男性。
咲世子と素樹は年齢の壁を越え、互いが磁力を持つように惹かれ合います。
でも咲世子は、常に覚悟しています。
素樹との美しい日々は、すぐに幕を下ろすことを。
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■「眠れぬ真珠」感想
石田衣良さんの文章は生々しいので、読みはじめた時は「しまった!」と思いました。
官能的なシーンに目を覆いたくなったからです。
「う~ん、このグロテスクな世界についていけるのだろうか」と、読むのをやめそうになったのですが・・・気がついたら底まで見えるような清らか水をスイスイ泳ぐような調子で、それはそれは気持ちよ~く読んでいました。
泥水まみれになるかと思っていたのに、読み終える頃には頭も心もすっかり浄化。
汚泥から拾い上げたものを、諦めずに汚れを取っていたら、とんでもない宝物が出てきたような感触です。
まず咲世子と素樹、互いの思い、互いのリスペクトぶりが突き抜けるほど純粋。
咲世子も素樹もアーティストなので、誰かを思い慕う気持ちが「仕事」「作品」にクッキリと現れます。
咲世子の気持ちは版画の色合いにふくらみを与え、素樹の気持ちは観る者の胸をうつ映像に。
二人のひたむきな気持ち、そして気持ちを託した作品づくりは、「私の人生にあなたが現れてくれてありがとう」とでも言いたげな健気さがあります。
本書ではしばしば「恋愛に正しい形はない」という言葉が出てきます。
でも咲世子と素樹の恋は、まさに「究極的な、恋愛の正しい形」。
相手を心から尊敬し、相手を思うが故に勇気をふり絞る-咲世子と素樹の愛の形は、これ以上ない「正しさ」に満ちてる気がします。
咲世子と素樹の姿を見ていると、ただただ純粋にこう思えます。
「こういう恋愛ができたら、いいよね」と。
途中の紆余曲折はなかなかヘビーなので、読むのが辛くなる人もいるかも。
でもちょっと辛抱して、ラストまで泳ぎ切ってみてください。
きっと「うわ~、読んでよかったぁ!」と思えますよ。
「恋愛小説を読みたいけど、いつも途中で挫折してしまう」という方に、「眠れぬ真珠」はおすすめ。
恋愛小説を読むのが得意になる、足掛かりになりますよ。