恋愛小説  椰月美智子

 二人は若く、野蛮で、頼りなく、頑固で弱く、ひたむきだった。
(本文引用)
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 しばしば、夫と「面白かったテレビドラマ」の話になる。そこでノミネートされるドラマに共通しているのは、「登場人物が優等生でない」こと。
 登場人物が、下品、野蛮、反秩序であればあるほど、ドラマの魅力は増してくる(なかでも最高なのは、稲森いずみ主演「年下の男」。まともな人間が1人いるかいないかという、とびきりアナーキーな恋愛ドラマ。とにかく面白いので、ご覧になっていない方はぜひ。)

 そういう意味で、この「恋愛小説」にものめりこんでしまった。
 わんさか出てくる登場人物たちは、いずれ劣らぬ「下品・野蛮・反秩序」ぶり。なかには、読みながら吐き気を催す人もいるかもしれないが、ラストに近づいていくうちに、泥が濾されて砂金が出てくるので、ぜひ最後まで読んでみていただきたい。
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 主人公の美緒は、痩せていて顔が小さく、誰からも「かわいい」と言われる容姿をしている。さらに美緒は、猫のように人の懐に入ってはスルリと出ていくような態度が身についており、余計に男性からはモテてモテて困っちゃうといった状況だ。

 そんな美緒には、健太郎という恋人がいる。結婚もするつもりで付き合っており、すでに双方の実家も了承済みで、お金を出し合って車まで買った。
 にも関わらず、何と美緒は、健太郎と共通の友人サスケのことを好きになってしまう。いや、気持ちよりも先に行動をしてしまう。





 その後に美緒は、サスケへの思いをどんどん募らせていくのだが・・・。さて、美緒はどっちを選ぶのか?

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プロフィール

アコチム

Author:アコチム
反抗期真っ最中の子をもつ、40代主婦の読書録。
「読んで良かった!」と思える本のみ紹介。
つまらなかった本は載せていないので、安心してお読みください。

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