聞く力 阿川佐和子
「アガワさん、この対談、何年やってるんですか」
「えーと、七年・・・・・・かな」
「もっともっと、たくさんやったほうがいいですよ」
「へ?」
「だって非常に話しやすいもん」
(本文引用 一部省略)
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結局その連載は20年、900回を超す名物コーナーとなったわけだが、本書に、それだけ続いた理由やコツを期待すると、「ありゃ?」と思うかもしれない。
阿川氏なりの心がけや、人の心を和ませる人柄といったものはそこはかとなく感じさせるが、阿川氏自身「『ノウハウ本』を、というお申し出は断った」と言っていただけあり、「人の心を開かせるには~、人の話を聞くには~」といった明確なアドバイスはない。
それでも私は、この本を大変面白く読んだ。
大げさかもしれないが、「人間って、何て素敵なんだろう!」と心が震え、泣けて泣けて仕方がなかった。
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本書の特徴として挙げられるのは、数多くの失敗談が載せられているということだ。
インタビューするつもりが、相手が聞き上手すぎて、気が付けば自分ばかりがしゃべっていたこと。
あらかじめ準備した質問事項ばかりが気になり、せっかく乗ってきた会話がぶつ切り状態になってしまったこと。
誠意のつもりで謝罪をしたら、相手の怒りがぶり返してしまったこと・・・。
そして何と、趣味のゴルフでの失敗からも、コミュニケーションのコツを得る。
そしてそれ以上に魅力的なのが、やはり成功談。
ちょっとした観察が功を奏した北野武氏との対談。
聞きにくいことを「えいやっ!」と聞いたことで知った、橋本龍太郎元総理夫人のあふれる魅力。
様子が目に浮かぶような、デーモン閣下の誠実なヘヴィメタ解説。
そして、心の傷を癒すように話した、井上ひさし氏・・・。
どれもこれも、内容は、その人自身の偉業や驚きの裏話といったものではない。
話す内容は、有名人でなくても日常遭遇している出来事だ。
なのに、これほどまでに笑えて、泣けるのは相手が有名人だからだろうか?
いや、違う。
人は誰しも、その人にしかない輝ける魅力がある。
徹頭徹尾、話がつまらない人などいない。生まれてから死ぬまで、話すこともないほどつまらない人生を歩む人など、まずいない。
人の話は宝石箱。
たとえ最初はつまらないと思っても、耳を傾けると、必ずそこには聞き手が胸をときめかせるようなエピソードや言葉が現れるのだ。
本書を読み、今まで「この人の話は長いから・・・」と聞こうとしなかったり、「この人の話は面白いんだよね!」と思わず身を乗り出したりと態度を変えていた自分が、たまらなく恥ずかしくなった。改めねば・・・。
あれ?もしかするとこれが、阿川さんがくれた「聞く力」メソッドなのかな?
※ちなみに、冒頭に挙げた引用部分は、某有名俳優さんとの対談でのひとコマ。
実は本書の中で、一番印象に残った(および笑った)部分である。
「えーと、七年・・・・・・かな」
「もっともっと、たくさんやったほうがいいですよ」
「へ?」
「だって非常に話しやすいもん」
(本文引用 一部省略)
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もはや知らない人はいない(?)爆発的ベストセラー「聞く力」。
遅ればせながらようやく手に取ったが、読み始めたが最後、ノンストップで一晩で読んでしまった。
そして夜が明け、今、目の前の風景が違って見えることに驚いている。
それは、
「誰もが皆、その人にしかない魅力をもっている」・・・当たり前のことなのだが、そのことに大いに気づかされたからである。
週刊文春の対談連載「この人に会いたい」。
そのホステス役を務める阿川氏は、「3カ月続くかどうかと思いながら始まった」(日本経済新聞 2013/01/28夕刊 「人間発見」より)と話す。
遅ればせながらようやく手に取ったが、読み始めたが最後、ノンストップで一晩で読んでしまった。
そして夜が明け、今、目の前の風景が違って見えることに驚いている。
それは、
「誰もが皆、その人にしかない魅力をもっている」・・・当たり前のことなのだが、そのことに大いに気づかされたからである。
週刊文春の対談連載「この人に会いたい」。
そのホステス役を務める阿川氏は、「3カ月続くかどうかと思いながら始まった」(日本経済新聞 2013/01/28夕刊 「人間発見」より)と話す。
結局その連載は20年、900回を超す名物コーナーとなったわけだが、本書に、それだけ続いた理由やコツを期待すると、「ありゃ?」と思うかもしれない。
阿川氏なりの心がけや、人の心を和ませる人柄といったものはそこはかとなく感じさせるが、阿川氏自身「『ノウハウ本』を、というお申し出は断った」と言っていただけあり、「人の心を開かせるには~、人の話を聞くには~」といった明確なアドバイスはない。
それでも私は、この本を大変面白く読んだ。
大げさかもしれないが、「人間って、何て素敵なんだろう!」と心が震え、泣けて泣けて仕方がなかった。
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本書の特徴として挙げられるのは、数多くの失敗談が載せられているということだ。
インタビューするつもりが、相手が聞き上手すぎて、気が付けば自分ばかりがしゃべっていたこと。
あらかじめ準備した質問事項ばかりが気になり、せっかく乗ってきた会話がぶつ切り状態になってしまったこと。
誠意のつもりで謝罪をしたら、相手の怒りがぶり返してしまったこと・・・。
そして何と、趣味のゴルフでの失敗からも、コミュニケーションのコツを得る。
そしてそれ以上に魅力的なのが、やはり成功談。
ちょっとした観察が功を奏した北野武氏との対談。
聞きにくいことを「えいやっ!」と聞いたことで知った、橋本龍太郎元総理夫人のあふれる魅力。
様子が目に浮かぶような、デーモン閣下の誠実なヘヴィメタ解説。
そして、心の傷を癒すように話した、井上ひさし氏・・・。
どれもこれも、内容は、その人自身の偉業や驚きの裏話といったものではない。
話す内容は、有名人でなくても日常遭遇している出来事だ。
なのに、これほどまでに笑えて、泣けるのは相手が有名人だからだろうか?
いや、違う。
人は誰しも、その人にしかない輝ける魅力がある。
徹頭徹尾、話がつまらない人などいない。生まれてから死ぬまで、話すこともないほどつまらない人生を歩む人など、まずいない。
人の話は宝石箱。
たとえ最初はつまらないと思っても、耳を傾けると、必ずそこには聞き手が胸をときめかせるようなエピソードや言葉が現れるのだ。
本書を読み、今まで「この人の話は長いから・・・」と聞こうとしなかったり、「この人の話は面白いんだよね!」と思わず身を乗り出したりと態度を変えていた自分が、たまらなく恥ずかしくなった。改めねば・・・。
あれ?もしかするとこれが、阿川さんがくれた「聞く力」メソッドなのかな?
※ちなみに、冒頭に挙げた引用部分は、某有名俳優さんとの対談でのひとコマ。
実は本書の中で、一番印象に残った(および笑った)部分である。