「三匹のおっさん ふたたび」
「これはこの前、君たちが盗ろうとした漫画だ」
井脇が事務机の上に置いてあった漫画を手に取り、中学生たちに向けて裏を返した。
「税込み四百円。これを一冊売って、おじさんの店はいくら儲かると思う?」
(本文引用)
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さてストーリーはどうかというと、今回は、三匹を取り巻く家族たちの物語が中心となっている。
「働いたこともない甘ったれ女」と、元祖「三匹~」で散々言われ続けた清一の嫁・貴子が、改心して始めたパート先で思いもよらないトラブルに巻き込まれる。そのとき、おっとりとしたお嬢さんだった貴子がとった驚きの行動とは・・・?
他にも、
おっさんの再婚話、おっさんの息子たちの複雑な思い、孫や娘の大学受験
・・・と、元祖編ではどことなく頼りなかった家族たちが、この続編で様々な人生の壁に直面し、たくましく成長していく。
さらに見ものなのは、「偽三匹のおっさん」の登場。
ヒーローになりたいがために、無実の市民までをも強引に犯罪者扱いをする勘違いトリオだ。
本物の「三匹のおっさん」のファンである者にとっては、非常に腹立たしい存在であるが、それが「地域の守り方」の本質を改めて問うきっかけとなっている。コメディでありながら、実にオトナなストーリーなのだ。
というわけで、続編ということで飽きてしまうかな?とも心配したが、それはまったくの杞憂であった。
それは、元祖編と解決方法が違うためであろう。
「三匹のおっさん」では、おっさんたちが快刀乱麻のごとく事件をバッサバッサと斬っていく爽快さを楽しんだが、この「ふたたび」はちょっと違う。
ただ犯人を捕まえるというだけでなく、犯人に対し、どこまでも長く温かい目で「ことの重大さ」をじっくりと教えている。対症療法ではない、根治を目指した解決法といえ、非常に説得力のある結末となっている。これでは飽きてしまうわけがない。
最後に、有川浩氏は「本を買うことは、未来の本、未来の作家への投資」と書かれている。
どうやら、私はおっさんたちだけでなく、有川氏にも長く温かい目で人生を諭されてしまったようだ。
そう、この作品には、人生を導いてくれるヒーロー・ヒロインが何匹も隠れているのである。
他の有川浩作品のレビューはこちら→「ヒア・カムズ・ザ・サン」
「県庁おもてなし課」
「三匹のおっさん」
井脇が事務机の上に置いてあった漫画を手に取り、中学生たちに向けて裏を返した。
「税込み四百円。これを一冊売って、おじさんの店はいくら儲かると思う?」
(本文引用)
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さて、前回「三匹のおっさん」をご紹介したが、あまりの面白さに「三匹のおっさん ふたたび」をすぐに買ってしまった。
すでにドラマ「三匹が斬る!」のようなシリーズ化の様相を呈しているが、まだまだ三匹の活躍が見たい!という読者の方が多かったのであろう。私もその一人だ。
そうして手に取った、この「ふたたび」の表紙を開いてみると、何と登場したのは漫画!
元祖「三匹のおっさん」から表紙イラスト・挿絵を担当されている須藤真澄氏による、元祖編のダイジェスト漫画である。
さすが「おもてなしマインド」満載の有川作品。
ハイライトシーンのみとはいえ、第一巻のストーリーを漫画で読むことができるとは、何とも嬉しいサービスだ。
すでにドラマ「三匹が斬る!」のようなシリーズ化の様相を呈しているが、まだまだ三匹の活躍が見たい!という読者の方が多かったのであろう。私もその一人だ。
そうして手に取った、この「ふたたび」の表紙を開いてみると、何と登場したのは漫画!
元祖「三匹のおっさん」から表紙イラスト・挿絵を担当されている須藤真澄氏による、元祖編のダイジェスト漫画である。
さすが「おもてなしマインド」満載の有川作品。
ハイライトシーンのみとはいえ、第一巻のストーリーを漫画で読むことができるとは、何とも嬉しいサービスだ。
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さてストーリーはどうかというと、今回は、三匹を取り巻く家族たちの物語が中心となっている。
「働いたこともない甘ったれ女」と、元祖「三匹~」で散々言われ続けた清一の嫁・貴子が、改心して始めたパート先で思いもよらないトラブルに巻き込まれる。そのとき、おっとりとしたお嬢さんだった貴子がとった驚きの行動とは・・・?
他にも、
おっさんの再婚話、おっさんの息子たちの複雑な思い、孫や娘の大学受験
・・・と、元祖編ではどことなく頼りなかった家族たちが、この続編で様々な人生の壁に直面し、たくましく成長していく。
そして、三匹の本拠地である地域の人々の素顔も、この続編では垣間見ることができる。
商店街でのお祭を再開させるために、寄付金集めに奔走する男たち。
ゴミの不法投棄を続ける、ごく一部の非常識な住民。
少年たちの万引きに頭を悩ませる書店店主。
・・・いかにもありがちな地域の問題に、今回は「三匹のおっさん」だけでなく住民たちも共に向き合い、知恵を出し合っていく。
その様子は、以前NHKで放送されていた「近所の底力」を見ているようで、エンタテインメントとしてだけでなく、お役立ち情報としても非常に楽しめる。
商店街でのお祭を再開させるために、寄付金集めに奔走する男たち。
ゴミの不法投棄を続ける、ごく一部の非常識な住民。
少年たちの万引きに頭を悩ませる書店店主。
・・・いかにもありがちな地域の問題に、今回は「三匹のおっさん」だけでなく住民たちも共に向き合い、知恵を出し合っていく。
その様子は、以前NHKで放送されていた「近所の底力」を見ているようで、エンタテインメントとしてだけでなく、お役立ち情報としても非常に楽しめる。
さらに見ものなのは、「偽三匹のおっさん」の登場。
ヒーローになりたいがために、無実の市民までをも強引に犯罪者扱いをする勘違いトリオだ。
本物の「三匹のおっさん」のファンである者にとっては、非常に腹立たしい存在であるが、それが「地域の守り方」の本質を改めて問うきっかけとなっている。コメディでありながら、実にオトナなストーリーなのだ。
というわけで、続編ということで飽きてしまうかな?とも心配したが、それはまったくの杞憂であった。
それは、元祖編と解決方法が違うためであろう。
「三匹のおっさん」では、おっさんたちが快刀乱麻のごとく事件をバッサバッサと斬っていく爽快さを楽しんだが、この「ふたたび」はちょっと違う。
ただ犯人を捕まえるというだけでなく、犯人に対し、どこまでも長く温かい目で「ことの重大さ」をじっくりと教えている。対症療法ではない、根治を目指した解決法といえ、非常に説得力のある結末となっている。これでは飽きてしまうわけがない。
最後に、有川浩氏は「本を買うことは、未来の本、未来の作家への投資」と書かれている。
どうやら、私はおっさんたちだけでなく、有川氏にも長く温かい目で人生を諭されてしまったようだ。
そう、この作品には、人生を導いてくれるヒーロー・ヒロインが何匹も隠れているのである。
他の有川浩作品のレビューはこちら→「ヒア・カムズ・ザ・サン」
「県庁おもてなし課」
「三匹のおっさん」