「スコーレNo.4」スピンオフ掲載!宮下奈都最新刊「つぼみ」
評価:★★★★★
ずれてると思ったら、そのまま進んじゃ駄目なんだよ
(本文引用)
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私たちは世界に一つだけの花で、その花を咲かせることだけに一生懸命になればいい、と。
たとえば、私が思わず泣いてしまった物語「なつかしいひと」。
母親を突然亡くした家族が、新しい土地で不安を抱えながら生活をスタートさせる物語です。
主人公の「僕」は男子中学生。
転校先の学校でなかなかなじめずにいます。
そんなある日、知的で優しい女子高生に声をかけられます。
彼女は「僕」に本をプレゼントします。
「僕」はそれをきっかけに重松清の本を次々と読み(こういう場面に出てくるところに、重松清さんの巨匠ぶりを感じますね)、日々の愉しみが増えていきます。
そして意外な副産物も。
学校のリーダー的存在の男子生徒が「僕」に近づき、読んでいる本を教えてほしいと言います。
「僕」はリーダー的存在である彼を警戒し、しぶしぶ本を紹介。
ところが後日、彼は「僕」に向かって「サンキュ」と笑顔を向けます。
生徒たちに慕われている彼と打ち解けたことで、「僕」の学校生活は途端に彩を帯びます。
さて、ところであの女子高生とはいったい誰だったのか。
誰にも言ってないはずなのに、どうやら「僕」が母親を亡くしたことを知っている様子。
果たして彼女は誰なのか・・・?
この「なつかしいひと」は、心がもう本当にぬくぬく~っと温かくなります。
母親を失い生きる力を失った家族、そこにどこからともなくやってくる救いの手、さらに主人公の心をパッと明るくした同級生の「サンキュ」。
「僕」の生活を好転させた女子高生の正体は、わかりません。
何となくわかるような気もしますが、読むうちに、そんなことどうでも良くなります。
焦らず腐らず、そして周囲の人間に誠実に接しさえすれば、必ず雨がやみ夜は明ける。
そんな希望を、「なつかしいひと」は教えてくれます。
そしていちばん面白かったのは、再手話「ヒロミの旦那のやさおとこ」。
これはもう、ドラマ化してほしいですね。
陣内智則さんあたりを主役にして、「もう、こういうこと言うからモテるんだろうなぁ~」というモテオーラをバンバン発揮しながら演じていただきたいです。
この物語は、女友達の失踪事件です。
「やさおとこ」の旦那を置いて、突然行方をくらました女友達・ヒロミ。
主人公の美波は、同じ女友達のみよっちゃんと一緒にヒロミを捜します。
でもどうやら美波もみよっちゃんも「やさおとこ」がちょっと気になる様子。
「やさおとこ」に心を揺らしたまま、やさおとこの妻を捜す彼女たちの心中とは?
この「ヒロミの旦那のやさおとこ」も、やはり「世界に一つだけの花」を彷彿とさせる物語。
ライフステージの異なる3人が、それぞれ「隣の芝生は青い」気持ちになり、ちょっとした嫉妬心を持ちながら友情を確かめていきます。
結局、自分を誰かと比較しても仕方がない。
どんなに親しい友だちでも、私は私、人は人。
そう思えると、友だちってずっと友だちでいられるよね・・・なーんてことを教えてくれます
他人の人生も自分の人生も決して否定せず、尊重する。
難しいことかもしれませんが、それが幸せになるいちばんの近道なんですよね、きっと。
宮下奈都の最新刊「つぼみ」は、これから幸せになりたいと思っている「つぼみ」さんにオススメの一冊。
読んだ後にはきっと、硬かったつぼみが少しだけ花開いていますよ。
ずれてると思ったら、そのまま進んじゃ駄目なんだよ
(本文引用)
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あの名作「スコーレNo.4」のスピンオフ掲載!
麻子の妹たちや、麻子の母、麻子の父親に思いを寄せていた女性など、心かき乱す心模様が満載。
「スコーレNo.4」を、また読みたくなること間違いなし、です。
「スコーレNo.4」は麻子の成長物語で、麻子の苦悩や、突破口の見つけ方などが書かれていました。
でもこの「つぼみ」を読むと、悩んでいたのは麻子だけではないことがよーくわかります。
そして読んだ後は、思わずこう口ずさみたくなるでしょう。
「世界に一つだけの花 一人一人違う種を持つ・・・」
人と比べることをやめ、自分にしかない何かを見つけた時、不思議なほど世界が明るく見えてくる。
宮下奈都の最新刊「つぼみ」は、1人ひとり違う花を咲かせることの素晴らしさを教えてくれる、とびきり爽やかな一冊です。
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「つぼみ」には「スコーレNo.4」のスピンオフも収められていますが、その他の物語も掲載。
内容は異なりますが、どれも言いたいことは共通しています。
麻子の妹たちや、麻子の母、麻子の父親に思いを寄せていた女性など、心かき乱す心模様が満載。
「スコーレNo.4」を、また読みたくなること間違いなし、です。
「スコーレNo.4」は麻子の成長物語で、麻子の苦悩や、突破口の見つけ方などが書かれていました。
でもこの「つぼみ」を読むと、悩んでいたのは麻子だけではないことがよーくわかります。
そして読んだ後は、思わずこう口ずさみたくなるでしょう。
「世界に一つだけの花 一人一人違う種を持つ・・・」
人と比べることをやめ、自分にしかない何かを見つけた時、不思議なほど世界が明るく見えてくる。
宮下奈都の最新刊「つぼみ」は、1人ひとり違う花を咲かせることの素晴らしさを教えてくれる、とびきり爽やかな一冊です。
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「つぼみ」には「スコーレNo.4」のスピンオフも収められていますが、その他の物語も掲載。
内容は異なりますが、どれも言いたいことは共通しています。
私たちは世界に一つだけの花で、その花を咲かせることだけに一生懸命になればいい、と。
たとえば、私が思わず泣いてしまった物語「なつかしいひと」。
母親を突然亡くした家族が、新しい土地で不安を抱えながら生活をスタートさせる物語です。
主人公の「僕」は男子中学生。
転校先の学校でなかなかなじめずにいます。
そんなある日、知的で優しい女子高生に声をかけられます。
彼女は「僕」に本をプレゼントします。
「僕」はそれをきっかけに重松清の本を次々と読み(こういう場面に出てくるところに、重松清さんの巨匠ぶりを感じますね)、日々の愉しみが増えていきます。
そして意外な副産物も。
学校のリーダー的存在の男子生徒が「僕」に近づき、読んでいる本を教えてほしいと言います。
「僕」はリーダー的存在である彼を警戒し、しぶしぶ本を紹介。
ところが後日、彼は「僕」に向かって「サンキュ」と笑顔を向けます。
生徒たちに慕われている彼と打ち解けたことで、「僕」の学校生活は途端に彩を帯びます。
さて、ところであの女子高生とはいったい誰だったのか。
誰にも言ってないはずなのに、どうやら「僕」が母親を亡くしたことを知っている様子。
果たして彼女は誰なのか・・・?
この「なつかしいひと」は、心がもう本当にぬくぬく~っと温かくなります。
母親を失い生きる力を失った家族、そこにどこからともなくやってくる救いの手、さらに主人公の心をパッと明るくした同級生の「サンキュ」。
「僕」の生活を好転させた女子高生の正体は、わかりません。
何となくわかるような気もしますが、読むうちに、そんなことどうでも良くなります。
焦らず腐らず、そして周囲の人間に誠実に接しさえすれば、必ず雨がやみ夜は明ける。
そんな希望を、「なつかしいひと」は教えてくれます。
そしていちばん面白かったのは、再手話「ヒロミの旦那のやさおとこ」。
これはもう、ドラマ化してほしいですね。
陣内智則さんあたりを主役にして、「もう、こういうこと言うからモテるんだろうなぁ~」というモテオーラをバンバン発揮しながら演じていただきたいです。
この物語は、女友達の失踪事件です。
「やさおとこ」の旦那を置いて、突然行方をくらました女友達・ヒロミ。
主人公の美波は、同じ女友達のみよっちゃんと一緒にヒロミを捜します。
でもどうやら美波もみよっちゃんも「やさおとこ」がちょっと気になる様子。
「やさおとこ」に心を揺らしたまま、やさおとこの妻を捜す彼女たちの心中とは?
この「ヒロミの旦那のやさおとこ」も、やはり「世界に一つだけの花」を彷彿とさせる物語。
ライフステージの異なる3人が、それぞれ「隣の芝生は青い」気持ちになり、ちょっとした嫉妬心を持ちながら友情を確かめていきます。
結局、自分を誰かと比較しても仕方がない。
どんなに親しい友だちでも、私は私、人は人。
そう思えると、友だちってずっと友だちでいられるよね・・・なーんてことを教えてくれます
他人の人生も自分の人生も決して否定せず、尊重する。
難しいことかもしれませんが、それが幸せになるいちばんの近道なんですよね、きっと。
宮下奈都の最新刊「つぼみ」は、これから幸せになりたいと思っている「つぼみ」さんにオススメの一冊。
読んだ後にはきっと、硬かったつぼみが少しだけ花開いていますよ。