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半沢直樹最新作「アルルカンと道化師」感想。次のヒーロー登場の予感!あのイベントと関係は?

「絶体絶命の窮地で、半沢課長がどうするか、お前らはその目でしっかりと見ておけ」
(本文引用)
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 あーーーーー、面白かった!もう最っ高!!

 われらが半沢直樹が、またも見事に悪党成敗。
 今回の半沢さんは、もはや水戸黄門を通り過ぎて、桃太郎侍。
 「ひとつ人世の生き血をすすり、二つ不埒な悪行三昧・・・」とばかりに、敵をバッサリ。
  
 半沢直樹シリーズは、「オレバブ」「ロスジェネ」「銀翼」と全て読んできたが、この「アルルカンと道化師」で「半沢直樹の反撃力・破壊力」が頂点に達したのではないかと思う。

 (半沢直樹シリーズのレビューはこちら↓
 ●「オレたちバブル入行組」
 ●「オレたち花のバブル組」
 ●「ロスジェネの逆襲」
 ●「銀翼のイカロス」


 それというのも、この「アルルカンと道化師」、銀行内の悪党が、もうホンットーに「ワル」。
 浅野支店長、小木曾、宝田・・・悪者たちの思惑を目にするたび、「あなた・・・親がこんな姿を見たら泣くよ・・・?」と、耳元で「ふるさと」を歌いたくなった。

 ま、「アルルカンと道化師」がとんでもなく面白いのは、「悪党がとことん悪党」=「影が濃いぶん、光がまぶしい」からなんだけどね。

 ドラマも相変わらず絶好調の、半沢直樹シリーズ。
 さて最新作「アルルカンと道化師」では、半沢直樹がどんな倍返しを見せてくれるのか。
 
 そこには「ポスト半沢」を予感させる人物も・・・?

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「ノーサイド・ゲーム」ドラマ放送開始直前レビュー!悪人は意外な人物・・・演じる俳優はいったい誰?

評価:★★★★★

 「『ノーサイド』の精神は日本ラグビーの御伽話かも知れないが、いまのこの世界にこそ、それが必要だと思わないか」
(本文引用)
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 待ちに待った池井戸潤最新刊!
 7月からドラマ放送開始、「ノーサイド・ゲーム」をさっそく読んだ。

 「ドラマが始まる前に読めるかな?」と不安だったが、やはりやはりの一気読み。

 さすが池井戸作品、アッという間にペロリとたいらげてしまった。あー、おいしかった。

 とはいえ実は、「最後の40ページ」はもったいぶって読んだ。
 「さすがにもう何も起こらないだろう」と気を緩めていたら、何やら大逆転の予感。


 その予感を残しつつ眠りにつき、翌朝「ラスト40ページ」を一気に読んだ。
 満足、実に満足・・・。

 「ノーサイド・ゲーム」を読み終えた日は、吹く風がなんとも心地よく、いつもの倍の距離ランニングをしてしまった。
 (※ちなみに窪美澄「トリニティ」感想で書いた「I氏」とは、池井戸潤氏である。
 誰も気に留めていないと思うが、念のため・・・。)

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■「ノーサイド・ゲーム」あらすじ



 主人公・君嶋は、大手自動車メーカー勤務。
 能力・人格ともに申し分のないエリートだ。

 しかし君嶋は、本社から工場へ異動することに。
 ある商社の大型買収に異を唱え、左遷されたのだ。

 君嶋は工場で、同社の弱体ラグビー部・アストロズのゼネラルマネージャーに就任。

 実は君嶋はラグビーについてはズブの素人。
 不安だらけの船出だったが、確かな経営感覚と先見の明で、アストロズをみるみる成長させていく。

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 だがその影で、ラグビー部廃部の噂も流れ・・・?
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■「ノーサイド・ゲーム」感想




 「会社の抱える運動部の再建」「廃部の噂」・・・そう聞いて「ルーズヴェルト・ゲームじゃないか!」と思うかもしれない。

 正直、私もそう思った。

 ところが読むうちに「おやっ?」
 「・・・これはルーズヴェルト・ゲームより根が深いぞ・・・。ある意味、もっと質が悪いかも」と夢中で読んだ。

 「ノーサイド・ゲーム」は池井戸作品らしく、勧善懲悪が実にわかりやすい。

 だが今までの池井戸作品より、「悪役が実に見えにくい」のが本書の魅力。

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  一見、「こいつめ!」と言いたくなる悪者が、実は最大の理解者に(この役、「いかにも!」な俳優さんが演じるので楽しみ)。
 逆に、味方と思っていた人がとんでもない悪人に(さて、これは誰が演じるのか!?)。

 そんな人狼ゲームのような面白さが「ノーサイド・ゲーム」には、ある。

 「さて、本当の悪人は誰でしょう?」と手探りしながら読める、新たな面白さがあった。

 ドラマが始まったら、ツイッターで「こいつが犯人かー!#ノーサイド・ゲーム」なんてつぶやきが、ネットを騒がすであろう。

 そして何のかんの言っても、最後はこんな言葉で締めくくられるのが、池井戸作品のステキなところ。

「最後には道を過たず、理に敵ったものだけが残る。逆にいえば、道理を外れれば、いつかしっぺ返しを食らう」


 今、「あのことに納得いかない」「何であいつが」「正義はどこに?」とモヤモヤしてる人も多いだろう。

 でも本書を読めば、思わず「よしっ!」

 「もう一度、自分を信じて生きてみるかぁ」と、体の奥からエネルギーがきっとわいてくる。
                                             
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「下町ロケット ヤタガラス」感想。スカッと度は池井戸潤作品史上!その理由とは?

評価:★★★★★

「人生を綴るページの中には、痛恨の一ページも存在する。残念ながら、今回がまさにそれだ」
(本文引用)
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 待ってましたー!「下町ロケット」シリーズ最新刊。
 買ってすぐに一気読みしたので超速レビューしちゃいます。
 
 「下町ロケット ヤタガラス」は、ずばり「池井戸作品史上、スカッと度最高」!
 
 とにかく今回は、悪役の数が違う。
 百鬼夜行、仮面ライダーのショッカーよろしく悪者があちこちから登場。
 人間不信になりそうなほど、渡る世間は鬼ばかりなのですが、その分「スカッと度」はメガトン級です。

 今現在、ストレスが猛烈にたまってる人。
 人間の善意というものが、信じられなくなってる人。
 とにかく何でもいいから、胸のすく思いをしたい人に、「下町ロケット ヤタガラス」は全力でおすすめ。


 
 10月14日のドラマスタートまでに、一足早く佃社長の活躍に快哉を叫びましょう。

 (※それにしても「下町ロケット ヤタガラス」の帯・・・竹内涼真君の大出世がビンビンに伝わってきますね。
 ドラマで立花くんの台詞は多いのかな?
 竹内涼真君のファンなので、とーっても楽しみです(^^))

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■「下町ロケット ヤタガラス」あらすじ



 佃製作所は、創業以来の大ピンチ。
 経営危機を救った人物に、恩を仇で返され、頼りにしていた人物も自己都合で退社。
  
 高い技術力に関わらず、社長の人の良さゆえ中小企業に甘んじてしまう弱さが、佃製作所を窮地に追い込んでいます。

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 そんな時、帝国重工の財前が、佃に協力要請。
 無人農業ロボットの開発に、佃の力が必要とのこと。
 
 しかも佃社長の旧知の人物、農機具研究者の第一人者にもコネクトを頼みます。
 
 財前の誠実な人柄を知る佃は、かつての親友と財前をつなげ、農機具改革に邁進。
 
 しかし、佃と財前の前に、大きな壁が。

 出世や己の成功のために、人を踏みつける人間たちが、佃をギュウギュウと苦しめることに・・・。
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■「下町ロケット ヤタガラス」感想



 巻末に、池井戸潤はこう書いています。

 「本書には様々な敵役が登場しますが、それらはすべて著者による勝手な創造であることを付記しておきます」

 この一文を読んだ瞬間、思わずブハッ。
 
 池井戸潤作品といえば、「よくもまあ・・・」と言いたくなるほどあくどい人間が登場しますが、本書は数も質も「悪の極致」。

 「下町ロケット ゴースト」で信じられない裏切りを行なった者
 人の手柄は自分のもの、自分の手柄は自分のもの、自分のミスは人のもの・・・というジャイアンもビックリのモラハラ上司
 盗人猛々しいベンチャー社長
 「あなたの作ったお米なんて食べたくないよ!」と怒鳴りつけたくなるような、腹黒農家の面々・・・。

 数え上げたらキリがないほど、本書には悪役がキーッ!キーッ!とばかりに登場。
 フジテレビの「スカッとJAPAN」悪役祭り3時間スペシャルを一冊にまとめた感じです。

 それだけに、ラストの後味の良さは最高。
 ただのスカッとではなく、「人間っていいな」と思わせてくれます。

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 「スカッとJAPAN」でも、ただ成敗するのではなく、「人間を信じられる結末」のほうが気持ちいいですよね。

 弱きを助け強きをくじき、正直に生きている人間が評価され、嘘は暴かれる。
 そして悪事に走り続けた人間が、わが身を振り返り、過ちと虚しさに気づく。

 悪の穂が一斉に刈り取られた後は、黄金色の穂が風に凪ぐ・・・そんな光景が浮かぶラストには、思わず涙がこぼれました。
 
 大満足のうちに読み終えましたが、読み終えた瞬間、私の中で「下町ロケット」ロスが。
 
 佃製作所は次に何をやってくれるのか。
 財前は?佃の友は?トノさんは?

 そして、イモトアヤコさん演じる島津は?

 佃製作所の発展と、帝国重工とのタッグ、技術者たちのたゆまぬ努力を、いつまでもいつまでも見守りたいと思います。

 さて、次はどんな悪役が登場するのか。

 「下町ロケット」の次回作、いつになるかはわかりませんが、すでに待ちきれない心境です!

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池井戸潤最新刊!「下町ロケット ゴースト」。今回の敵はいつもと違う!

評価:★★★★★

「合法的だがモラル無し、って会社少なくないですからね。なりふり構わず儲けに走る企業に、どれだけの人が泣かされてるか」
(本文引用)
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 いや~、待ってたよ~、池井戸潤さんの最新刊!
 池井戸潤さんの本を買うのは、私にとって息を吸うようなもの。
 
 「読んで当然。読まなきゃ死んじゃう!」と言いたくなる必須事項です。

 というわけで、さっそく読んだ「下町ロケット ゴースト」。
 
 今回は「敵」も「味方」も、半歩ほどズレた内容。
 佃製作所はちょっぴり鳴りを潜め、佃製作所にかかわる「ある企業」が窮地に立たされることに。

 その企業を救えば佃製作所も絶体絶命という、「ドミノ倒し的」なストーリーとなっています。



 そして技術以上に、法廷の香りがムンムン。
 「池井戸潤さん、いよいよ日本のジョン・グリシャムか!?」と興奮してしまいました。

 では「下町ロケット ゴースト」の紹介、いってみよー!
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■「下町ロケット ゴースト」あらすじ



 ある日、佃製作所は大口取引先から、衝撃的な知らせを受けます。
 
 納品するはずだった新型エンジンを、採用しないというのです。

 新型エンジンにコストも時間もかけていた佃製作所にとって、採用白紙は大きな痛手。

 佃製作所の面々は悩み考えた末、他の機器で勝負をすることに。
 
 それはトランスミッション。

 もともとバルブが得意な佃製作所は、トランスミッション業界に参入できると踏み、あるトランスミッションメーカーにアプローチします。

 そのメーカーは「ギアゴースト」。

 小さいながらも優れた技術で、将来有望なベンチャー企業。
 
 とある大手バルブ企業もギアゴーストとの取引を望みますが、そこに佃製作所が入り込んだことで事態は一変。
 
 ギアゴーストの社長は、清廉潔白な人物。
 大手企業の傲慢な態度を退け、公明正大なコンペで取引先を決めようとします。

 ところがそんな誠実さがギアゴーストの首をしめることに。

 ギアゴーストの機器が、ある大企業の特許を侵害しているとの通告が。
 15億円支払えば許してくれるというものの、そんなお金は当然なし。

 それを聞いた佃製作所は、社運をかけてギアゴースト救済に乗り出しますが・・・? 

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■「下町ロケット ゴースト」感想



 池井戸潤小説といえば、「技術と銀行」の二段構え。
 ところが今回は、かなりミステリーチック。

 リーガル・サスペンスの色が濃く、読んでいる間、ずっと名取裕子の顔が浮かんでいました。

 「池井戸潤さん、もしかして日本のジョン・グリシャムかスコット・トゥローをねらってるんじゃ・・・」

 そんな邪推をしながら読んだ「下町ロケット ゴースト」。
 やはり安定の「読みやすさ・面白さ・スカッと感」でした。

 特に後半、敵の「化けの皮がはがれていく」経緯がドッキドキ。
 
 相手の弱点をつかむ、ある「記事」とは?
 そしてギリギリまで法廷に提出できなかった、ある書面とは?

 相手を追い詰める証拠が、ジワジワと現れる様は読み応えたっぷり。

 「スカッとするまで、あと●秒」と、ページにカウントダウンを入れてほしいと思っちゃいました。

 そんな勧善懲悪の池井戸小説ですが、ラストはひねりが効いたもの。
 今秋、「下町ロケットヤタガラス」という新刊が出るそうですが、それにつなげていくのかな?
 
 佃製作所は、帝国重工は、そしてギアゴーストはどうしていくのか。
 秋になるのが待ち遠しいです。
 (そんな気持ちにさせるエンディングにするなんて、池井戸さんて商売上手!)

 本書は、佃製作所のメンバーや、帝国重工の財前さんが好きな人にはちょっと物足りないかもしれません。
 池井戸小説に「人情」を求める人にとっても、「ちょっと違う」と思うかもしれません。

 でも「ビジネスは人情だけではできない」「でも人として間違ったことは許されない」・・・そんな「ビジネスのジレンマ」を味わいたい人には超おすすめ。

 また、今の仕事に納得できない人にも、手に取ってほしい内容です。

 仕事とは何か?
 人とは何か?
 
 夏休み、そんなことをゆっくり考えたい方は、「下町ロケット ゴースト」を課題図書にしましょう。
 
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池井戸潤「花咲舞が黙ってない」。杏さんと堺雅人さんでドラマ化してほしい!

評価:★★★★★

 世間では当たり前のことが、否定されねじ曲げられる。
 そんな組織に明日はあるのだろうか。

(本文引用)
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 先日、大杉漣さんが急逝し、杏さんが哀悼の意を語っておられました。

 「ああ、そういえば花咲舞のお父さんは大杉さんだったなぁ・・・」

 大杉漣さんの作る料理に上川隆也さんが舌鼓を打ち、杏さんが正義を語る。

 杏さん演じる花咲舞の「狂咲」ぶりに、 「正義感が強いところは、母親に似たんですかねぇ・・・」と目を細めるお父さん。

 そのシーンを見ることは、もうないんだなと寂しさを覚えました。
 
 そこで読んだのが、「花咲舞が黙ってない」。



 花咲舞といえば、誰にも止められない鼻っ柱の強さが魅力でしたが、今作はちょっと大人っぽい・・・と言いますか、以前より「大人の事情」を呑み込む女性になっています。
 
 それだけに、前作より「スカッと」度は下がりますが、また別の魅力が浮上。
 
 「人としての間違いを正せるのは、花咲舞だけではない。
 誰もがもどかしく思っていて、誰もが正しくありたいと思ってるんだ」

 そんな「一歩引くことで、真の正義が浮かび上がってくる」という、実に深みのある物語になっています。

 そうそう、あのオバケドラマの主役も登場。
 視聴率40%超をとった、あの名バンカーがコンドルのジョーのように舞い降りてきますよ。
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■「花咲舞が黙ってない」あらすじ



 東京第一銀行の臨店指導グループ・花咲舞は、上司の相馬健と一緒に、各支店のトラブルなどを見て廻ります。

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 外食チェーンの競争から情報漏洩を疑われる支店。
 小切手のミスから、無理矢理前倒しで振り込みをさせられる支店。
 町おこしのため、束になって多額の融資を申込む温泉街・・・。

 舞と相馬は、支店トラブルを必死に解決していきますが、そのうち当行の不審な動きに気づきます。

 頭取が、件の温泉街を訪問。
 
 しかしその地の支店長すら、頭取が来ることを知らされていませんでした。

 人目をはばかるようにして、頭取一行が温泉街を訪れた理由は?

 そして、「鋭い金貸しの目」をした「あの男」の正体は・・・?
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■「花咲舞が黙ってない」感想



 前述したように、本書の花咲舞はちょっと大人な感じ。
 もちろん、冴えた推理力、煮えたぎるような正義感、そして光の速さの行動力は変わりません。
 
 でも、忖度するようになったというか、「ここは一歩引いておこう」「ここからはあの人の役目だ」というような控えめな部分が出てきています。
 
 前作までのように、花咲舞が99%推理・説得・解決をして、残り1%を相馬さんがフォローして締める・・・という感じではありません。
 花咲舞の推理力と正義感が40%、相馬さんのフォローが30%、残り30%を「意外な助っ人」が解決・・・という塩梅になっています。

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 そう聞くと、花咲舞の活躍が見られず寂しいと思うかもしれませんが、いえいえ、これがなかなか乙なもの。

 銀行の正義・・・まぁ「保身」ですが・・・はおかしい!と思っている人は、決して花咲舞だけではありません。
 
 こんな人もあんな人も、実は「銀行の正義はおかしい!」と思っていることが判明。

 花咲舞がかすむほど、「人間としての矜持」を持ったバンカーが活躍し、悪者を顔面蒼白にしてくれます。

 そんな「正義のバトン」が、本書の見もの。

 半沢直樹をはじめとした「キレ者」が、どんな形で「銀行の悪しき体質」を斬っていくのか、しみじみと堪能できます。
 
 この「花咲舞が黙ってない」、3話~7話を、ぜひドラマスペシャルで放送してほしいな。

 主役はもちろん杏さん・上川さん・塚地さん、そして堺雅人さんで!
 昇仙峡玲子は、木村佳乃さんなんかがいいな。

 スカッとしつつも、心の奥にしみいる素敵なドラマになりそうです。

 お父様役の大杉漣さんがいらっしゃらないのは、やはり寂しいですが・・・。

 ぜひ映像化してほしい一冊です。

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向井理と斎藤工主演で最速ドラマ化!池井戸潤「アキラとあきら」レビュー。これはビジネス版「帝一の國」!?

評価:★★★★★

 「金は人のために貸せ。金のために金を貸したとき、バンカーはタダの金貸しになる」
(本文引用)
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 お待たせしました!池井戸潤さんの新刊です。

 この「アキラとあきら」は2017年7月9日からWOWOWでドラマスタート。
 
 向井理さんと斎藤工さん主演ということで、眼福なドラマになりそうですね~。
 すっかり池井戸ファミリー俳優となった、石丸幹二さんも出演されるそうです。

 あらすじは、零細工場の息子・山崎瑛(あきら)と、大会社の息子・階堂彬(あきら)の物語。
 生まれも育ちも異なる二人が、時には同じバンカーとして、そして時にはバンカーと経営者として対峙します。



 お互い頭脳明晰な二人が、多くの従業員や家族を守ろうとするとき、いったいどんな歯車が回っていくのか。

 池井戸潤さんの小説はいつもハッピーエンドですが、今度という今度は本当にダメかも・・・と心臓をギュッとつかまれる思いで一気読みしました。
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 瑛は少年時代、父親の工場が倒産し、夜逃げを余儀なくされます。
 引っ越し先でも、父親はビジネス上のトラブルに見舞われ、瑛の家の経済状態はどんどん傾いていくことに・・・。
 瑛は懸命に生きつつも自分の将来を悲観します。

 一方の彬は、海運業を手広く展開する大企業の息子。
 小さい頃からお抱え運転手がいるような生活をしますが、誠実で自分に厳しい性格ゆえ、会社は継がず自力で銀行員になります。

 そんな瑛と彬は大学卒業後、同じ銀行に入行。
 頭脳と人間力に優れた二人は、入行後の研修でお互いを良きライバルとして認識します。

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 しかしその後、彬の父親が突然他界したことで運命は大きく変わることに。

 彬の実家の会社は危機に瀕し、瑛は銀行員として、彬の会社の再建に努めます。

 もはや絶体絶命の彬の会社。
 彬の会社を救うために出した、瑛の驚きのアイデアとは?
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 瑛と彬の頭脳戦は、二人が銀行に入ったばかりの頃から始まります。
 研修も実践も、お互い一歩も引かない好勝負。

 貧乏育ちと大金持ちなんて、たいてい一人は善良で一人は意地悪なんて構図になりそうですが、この「アキラとあきら」はそうでないところが良いですね。

 倒産して路頭に迷うか、崖っぷちから蘇るか。
 いったいどちらに転がるのかハラハラしながらも、「アキラ」も「あきら」も清廉な人柄なので、とても気持ちよく読むことができました。

 で、読んでいて思ったんです。

 この「アキラとあきら」って、漫画「帝一の國」みたいだな~って。
(映画「帝一の國」、初日に観に行きましたが、もんのすごく面白かったですよ! 今年の映画で一番のおすすめです!)

 「帝一の國」のストーリーにそって考えると、瑛は大鷹弾、彬は赤場帝一です。
 (ついでに言うと、彬の弟・龍馬は東郷菊馬、彬の叔父・崇は氷室ローランドといったところでしょうか。ガシャポンはごつい榊原光明ですね。)

 瑛も彬も非常に優れた頭脳をもち、瑛はとにかく好青年。
 彬は恵まれた環境で育ち、どことなく憎めない真っすぐさがあります。




 お互いライバルのように感じながらも、実力を率直に認めあい、いつしか手に手をとって協力しあう。
 この構図がもう、そのまま「帝一の國」!
 瑛が最終的に出した稟議書は、「マイムマイム事変」といえる革命的なものです。

 ・・・まあ、こんなことを言っても「帝一の國」を知らないとつまらない話なので、ここで終わりにしますが、個人的にはぜひ両方とも読んで、観て、味わっていただきたいです。

 ビジネスや金融等を学びながら、とにかく爽やかな気持ちになりたい方は、池井戸潤小説がおすすめ。

 なかでもこの「アキラとあきら」は、後味の良さでは天下一品ですね。
 ビジネス青春感動巨編といったところでしょうか。

 ドラマで向井理さんと斎藤工さんがどのように演じるのか、画面上でどれだけ汗と涙を流し、爽やかな風を吹かせてくれるのか。
今からとっても楽しみです。

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陸王  池井戸潤 

評価:★★★★★

「だけどな。全力でがんばってる奴が、すべての賭けに負けることはない。いつかは必ず勝つ。お前もいまは苦しいかもしれないが、諦めないことだな」
(本文引用)
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 大大大好きな池井戸潤氏の最新刊である。

 「池井戸潤の小説が面白い」ということは、私にとって「人間はいつか必ず死ぬ」というのと同じぐらい当たり前のことなので、 発売当日に迷わず購入。そしてその説は、この作品でも裏づけられた。

 もしかすると池井戸氏は、物語終盤に出てくるこのセリフを、ファンに対して唱えていたのではないか。 

「裏切れないですよ。裏切れるもんですか」

 まあ、それは冗談としても、「陸王」は池井戸ファンの期待に見事に応えてくれた一冊だった。

 いや、応えてくれただけではない。これまでの池井戸作品よりもさらに一皮もふた皮もむけたような感触がある。やっぱりこれからも、池井戸作品からは離れられない!



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プロフィール

アコチム

Author:アコチム
反抗期真っ最中の子をもつ、40代主婦の読書録。
「読んで良かった!」と思える本のみ紹介。
つまらなかった本は載せていないので、安心してお読みください。

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