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「希望の糸」感想。加賀恭一郎シリーズ最新刊はミステリー禁じ手?刑事が事件の渦中に・・・。

評価:★★★★★

 「だから死ぬまで、その糸は離さない」
(本文引用)
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 東野圭吾最新刊!
 そして加賀恭一郎シリーズ最新刊!

 前宣伝であまり「加賀恭一郎シリーズ」と伝えられていなかったので、思わず歓喜。

 「そう考えない人間は、刑事じゃない」


 なんて言葉をサラリ。 
 相変わらず「刑事のお手本」のようなキレモノぶりを見せてくれる。

 だが今回は、さしもの加賀恭一郎も複雑な心境だったかもしれない。

 なんと従弟が、とある事件の“核”に。
 
 1つの事件から引きずり出される、加賀家の知られざる過去とは?


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■「希望の糸」あらすじ



 ある夫婦は、子ども2人を一度に失った。
 妻の故郷で大型地震に見舞われたのだ。
 
 生きる気力を失った夫婦は、新たに子どもを作ろうと決意。
 女児が生まれ、今はもう中学生だ。

 一方、ある旅館では主人が死の淵に。
 遺言書には、主人の知られざる「もうひとつの顔」が示されていた。

 2つの家族が複雑な事情を抱えるなか、東京都内で事件が発生。
 カフェを営む女性がナイフで刺殺されたのだ。

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 誰もが口をそろえて「あんなにいい人いない」と言う、事件被害者。
 彼女はなぜ殺されたのか。

 2つの家族が思い悩むなか、事件の全貌がゆっくりと明らかに・・・。
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■「希望の糸」感想



 「糸」という言葉が入ってる故、家族の物語であることは容易に想像できる。

 しかも意外と早く犯人が判明。

 「あれ?何かずいぶん単純な話だなぁ・・・。東野圭吾もそろそろ隠居の時期かしら・・・」なんて、失礼を承知で思ってしまった。

 が、読み終えればやはり「東野圭吾ってすごい!」という結論に。

 事件の糸が、どこにつながり、どうほぐれていくのかは、最後の最後まで想像不可能。

 「いやいや、こっちの件は解決したみたいだけど、あっちはどうなったの?」
 「あー解決してよかった・・・と、あれ?まだこの問題が残ってたよね?」

 そんなこんがらがった糸の行方を、行きつ戻りつ大捜索。
 ひねりにひねりにひねりひねって、ラストは10点満点、文句のつけようのない着地となっている。

 それに何といってもこの「希望の糸」。
 刑事自身が「とある事件の核」という、異例のストーリー展開。
 
 加賀家の「意外な過去」が、全編を通じて明らかになっていく。

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 こうなるともうね、次の加賀恭一郎シリーズがますます楽しみになっちゃう!

 だって「本書で明かされた過去をふまえたうえで、次の物語が紡がれる」ということだよね。
 
 刑事が「ミステリー当事者」というのは禁じ手かもしれない。
 しかしシリーズものなら、こういう禁じ手はむしろ歓迎。

 ストーリーだけでなくキャラクターも含めて楽しめるので、今後もどんどんこういう禁じ手を投入してほしい。

 「あっちの糸」がほぐれそうと思えば、「こっちの糸」がこんがらがる。
 刑事自身ががんじがらめになってしまう、異色の迷宮ミステリー「希望の糸」。

 からまってどうにもほどけない・・・ということにならないよう、丁寧に丁寧に物語を味わいたい一冊だ。

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ハマりすぎ危険!東野圭吾「パラレルワールド・ラブストーリー」。でもこれどうやって映画化したの?

評価:★★★★★

疑問の第二は、じつは崇史にとっては圧倒的にこちらのほうが肝心なことだが、智彦が恋人だと紹介した麻由子が、なぜ現在自分の恋人になっているのかということだった。
(本文引用)
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 映画「パラレルワールド・ラブストーリー」が5月に公開される。
 予告編を観ただけでも「面白そうな雰囲気」ムンムン。

 映画公開に向けて、原作をじっくり読んでみた。

 そこで思った。
 「・・・これ、どうやって映画化したの?」

 予告だけ観ると、素直なファンタジーに思える。
 「主人公の玉森裕太君と吉岡里帆さんが付き合っていて、でも染谷将太君が「僕の彼女」と言って紹介したのも吉岡里帆さんで、玉森君が大パニック!」・・・と、「ややありがちな人間入れ替わりもの」に見えるのだ。



 ところが!
 原作を読んでビックリ。
 「素直なファンタジー」とか「ややありがち」なんて単純なものでは、全くなかった。

 発禁本級の「人類の根幹を揺るがす問題作」だ。
 
 東野圭吾氏は本書について、こう語る。
 

 アイデアが生まれたのは20代。
 小説にしたのは30代。
 そして今ではもう書けない。


 ここで言う「今ではもう書けない」とは、東野圭吾氏自身にまつわることであろう。

 しかし「パラレルワールド・ラブストーリー」は、ある意味本当に「今は書けない」。
 AIの台頭に慄く今、「人間の脳の危うさ」にタブー寸前まで迫っているのだから。
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■「パラレルワールド・ラブストーリー」あらすじ



 敦賀崇史は大学院に通学中、ある女性に一目惚れする。
 彼女は、並走する電車の乗客・津野麻由子。

 崇史は電車と電車がグーッと迫るたびに麻由子の姿を見つけ、恋愛感情を抱く。

 しかし麻由子は何と、崇史の親友・智彦の恋人と判明。
 崇史は「何であいつと・・・」と嫉妬する。

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 場面変わって、崇史の部屋。
 崇史が目覚めると、ホットケーキの香りがする。

 ホットケーキを作ってくれているのは津野麻由子。
 麻由子と同棲中の崇史は幸せを感じるが、ふといままでにない不安を感じる。

 そういえば夕べ夢を見た。
 親友の智彦が、麻由子を恋人として紹介している夢を・・・。

 果たして麻由子の恋人は、崇史なのか智彦なのか?
 二つの世界が展開される真相とは?
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■「パラレルワールド・ラブストーリー」感想



 「今ではもう書けない」と東野圭吾は言うが、こんな物語は「東野圭吾にしか書けない」。
 
 「ガリレオ」シリーズでもそうだが、東野圭吾のすごさは「ヒトと科学技術」の見事な融合。

 脳科学について「これでもか」というほど緻密に描き、そのうえで恋愛・友情ともシットリ絡めちゃう。

 理科系の専門用語が飛び交い、チンプンカンプンになりそうなのに、ラストでホロリとさせる手腕は「さすが」である。

 しかしその一方で、本書には「恐怖」を感じる。

 「『私という人間』なんて、ちょっとしたことで壊れてしまう」・・・その脆さを残酷なまでにえぐり出しているからだ。
 
 機械には「私」という思考はない(たぶん)。
 「私はなぜここにいるの?」「『私』って何?」という疑問を持たないため、常に行動が安定しているといえる。

 だが人間は時に「自分」というものがわからなくなる。
 よって言動が不安定になり、社会に適応できないという事態も生じる。

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 「パラレルワールド・ラブストーリー」は、そんな「脳の弱さ」を危険水域ギリギリまで描写。
 あまり夢中で読むと、「私っていったい何なんだ!」という疑問が生じ、自分を壊したくなるかもしれない。

 非常に面白い小説だが、のめり込み過ぎると危険だ。

 5月に公開される映画は、いったいどのような作品なのか。
 どうやってこの数奇な物語を映像化したのか。

 今から新緑の季節が待ち遠しい。

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「恋のゴンドラ」(東野圭吾)感想。この冬、恋愛・結婚を「決めたい」人が読むべき理由。

評価:★★★★★

ゆっくりとゴーグルとフェイスマスクを外した。
数秒後、里沢温泉スキー場に絶叫がこだました。

(本文引用)
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 「スキー場で恋はするな」
 昔から、そんな話をちょくちょく聞く。
 
 「スキー場で恋をしてはいけない」
 その理由は、地上に降りてからガックリするから。

 スキーウェアやスノボウェアは、人の魅力を引き上げる魔法の杖。
 特に男性の場合、「スキーやスノボが上手い」というだけで「白馬のプリンス」に見えてくる。

 だから「スキー場で恋をしてはいけない」と言われるのだ。

 しかし「恋のゴンドラ」を読むと、その認識はガラリと変わる。


 
 恋をするなら、絶対スキー場がおすすめ。
 特に人生の伴侶を決める「婚活」は、「スキー場ですべし」と言いたいほど。

 なぜかって?
 それは本書を読めばなるほど納得。
 
 スキー場ほど、「人間の本性」が出る場所は、この世にないのだ。
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■「恋のゴンドラ」あらすじ



 広太の趣味はスノーボード。
 このたび、合コンで知り合った桃実を誘い、スキー場にやってきた。

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 好きな女の子とスノボができる!
 広太はそんな極上の幸せをかみしめるが、ゴンドラに乗った瞬間、気分は暗転。
 
 一緒に乗り合わせた女性グループに、何と同棲相手の美雪が。

 ゴーグルとフェイスマスクで必死に顔を隠し、桃実から話しかけられても、沈黙を続ける広太。

 何とか隠し通せたものの、その後、予想外の展開に・・・。
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■「恋のゴンドラ」感想



 「恋のゴンドラ」は連作短編集。
 しかも全部、見事な「どんでん返し」付き。
 
 ラブコメなので、「犯人捜し」「アリバイ崩し」のような「どんでん返し」はない。
 だから本格ミステリーを読みたい人には、物足りない可能性大。

 しかし「ちょっとひねったラブコメディー」を読みたい人には、超おすすめ。
 「やられた!」と天を仰ぐたびに、「こんな素敵な恋したい」と思うはず。

 「どんでん返し」で、心のゴーグルとフェイスマスクがはがされるたびに、「スキー場の恋、いいじゃん!」と荷造りしたくなるだろう。

 なかでもおすすめの物語は、第5話「スキー一家」とラストの「ゴンドラ リプレイ」。

 「スキー一家」はある新婚カップルと、妻実家の物語。

 新婚カップルはスノボが趣味だが、妻の父親がスノボ嫌い。
 スキーは大好きだが、スノーボーダーを毛嫌いしている。
 
 そんな義父の手前、娘婿は「スノボが趣味」と言えず、スキー場ではひたすらスキー。
 しかしそこに、義父のスノボ嫌いを一変させる出来事が・・・?

 この物語は、どんでん返しが見事。
 短編だが、この物語1つで長編にしても良いほど、見事な「ハートウォーミングミステリー」となっている。
 今、義実家と確執がある人に心底おすすめの物語。
 義父・義母とのわだかまりが、やっと雪解けを迎えるかもしれない。

 そしてラストの「ゴンドラ リプレイ」。
 くっつきそうでくっつけないギクシャクカップルが、徐々に歩み寄る「ときめきラブコメ」だ。

 ある男性は、ある女性に好意を抱いているものの、とにかくやることなすことピント外れ。
 空気が読めず不器用すぎるため、女性の心はどんどん離れていく。

 そんなある日、女性にふとした閃きが。
 ようやく、その男性とうまくやっていけるヒントを発見。
 それは男女の関係において、コペルニクス的転回といえるものなのだが・・・?

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 婚活がどうにもうまくいかない・・・そう思っている人は「ゴンドラ リプレイ」がおすすめ。
 うまくいかない原因が、発見できる可能性大。

 「婚活、こう考えればうまくいく!」と目からウロコが落ちる内容だ。

 今冬で恋愛も結婚も「決めたい」人は、ぜひ「恋のゴンドラ」を。
 どんでん返しを楽しみながら、成功のヒントもしっかりゲット。

 来年は新居の書棚に、本書を並べていることだろう。
 
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映画「マスカレード・ホテル」公開間近!「マスカレード・ナイト」感想。全作読んでわかった「面白い理由」。

評価:★★★★★

「怪しんで怪しんで、最後に疑問が解けた時、人は一切疑わなくなる」
(本文引用)
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 いよいよ映画「マスカレード・ホテル」の公開が迫ってきました!

  

 もう夏休み頃から楽しみで楽しみで仕方がないのですが、その理由は「配役」。

 主役の刑事が木村拓哉さん、超敏腕コンシェルジュ役が長澤まさみさんというのが、膝を打ち砕くほどドンピシャすぎ。

 キャスティングについては、「ボヘミアン・ラプソディ」に負けてないかも・・・と期待しています。



 加藤諒くんの「パタリロ!」には負けてるかもしれないけど。



 さて、どうせ映画を観るのなら「マスカレード」シリーズは全作読破したい。(「マスカレード・ホテル」「マスカレード・イブ」は読了)
 映画化するのは第一作「マスカレード・ホテル」のようですが、もしかすると「イブ」「ナイト」の要素も入ってくるかもしれないし。

 そこで今回、「マスカレード・ナイト」を読み終えたわけですが、全作読んでやっとわかったんです。
 なぜ東野圭吾の「マスカレード」シリーズは面白いのか。

 「マスカレード」シリーズの魅力を語る前に、まずあらすじをご紹介しますね。

※「マスカレード・ホテル」のレビューはこちら
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■「マスカレード・ナイト」あらすじ


 
 場所は都内マンション。
 「女性が死んでいるかもしれない」という匿名電話があり、現場に行くと感電死した女性の死体が発見されます。

 被害者には交際相手もおらず、捜査は難航。
 
 そんなある日、警察に密告状が届きます。

 内容は何と、犯人登場の予告。

 大晦日の夜、ホテル・コルテシア東京の仮装パーティーに犯人が現れるというのですが・・・? 

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■「マスカレード・ナイト」感想



 「マスカレード」シリーズは、累計265万部突破の大ヒットシリーズ。
 東野圭吾作品のなかでも、トップの人気を誇るのですが、なぜそこまで人気があるのでしょうか。

 それは「マスカレード・ナイト」まで全て読めば判明。
 「推理が二重構造になっているから」なんです。

 ミステリーは、犯人の仕掛けが優れていることも重要ですが、それ以上に「推理が優れていること」も大切。

 「マスカレード」シリーズは、ホテルマンと警察がダブルで名推理を発揮するから、他シリーズより「一段上の面白さ」があるんです。
 
 本作では、警察も舌を巻く推理を、ホテルマンたちが続々と披露。
 お客様のデータや仕種、部屋の様子から「どんなお客様か」「どんな声掛けをすれば喜ばれるか」を巧みに使い分け、刑事陣を驚かせます。

 秘密の扉の閂がどんなに固く頑丈でも、ホテルマンの洞察力と、警察の嗅覚を持ってすれば怖いものなし!

 1人の名探偵や名刑事が解決するのではなく、ホテルマンと警察それぞれが「自分の武器」を持ち寄って解決するから、「マスカレード」シリーズは読んでて楽しいんです。

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 特に今回は、ホテルマンのプロ意識が爆発。
 
 山岸尚美の「何でも可能にするコンシェルジュ力」と、新登場・氏原の「何でもお見通しの観察力」が、どう解決につながるか。

 「マスカレード・ナイト」を読めば、「私も自分の強みで、難事件を解決できるかも」なんて探偵気分になれますよ。

 さらにラストでは、事件を超越した「カラクリ」も暴露。
 
 推理のみならず物語自体も「二重構造」と言えるので、面白さも二倍二倍!となっています。
 さすが東野圭吾作品!
 悔しいほどバッサリサラリと、読者を思いっ切り騙してくれます。

 ちなみにこの「マスカレード・ナイト」。
 舞台が大晦日のホテルなので、年末に読むのにピッタリ。

 「今年最後の一冊」を飾るのに、ふさわしい傑作ですよ。
 
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「沈黙のパレード」感想。真犯人は結局誰?私の推理が正しければ最高のミステリー

評価:★★★★★

「結果的に彼の献身は水泡に帰してしまいました。同じようなことはもう繰り返したくない」
(本文引用)
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 東野圭吾「ガリレオ」シリーズ最新刊!
 安定の面白さである。

 個人的には「容疑者Xの献身」のほうが好きだが、ギリッギリまで真犯人がわからないという点では「沈黙のパレード」の勝ち。

 ただし、私の推理が合っていればの話だが(湯川教授風)。

 沈黙で無罪を勝ち取りつづけた凶悪犯、そして彼と戦う善良な市民。
 理不尽な司法の前で、本当に鉄槌をくだしたのは誰なのか。
 そして本当に鉄槌をくだされるべき人物は、誰なのか。

 被害者が加害者となり、加害者が被害者となる「交差」のなかで、見えた真実とは?



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■「沈黙のパレード」概要



 ある日、火災のあった家から遺体が見つかった。
 遺体の一つは、3年前に行方不明になった若い女性。
 食堂を営む家の、看板娘だった。

 捜査を続けるうちに、もう一つの事件が浮かび上がる。

 それは約20年前に、幼い少女が殺された事件。

 警察は、焼け跡から見つかった若い女性と、20年前に殺された少女とを、同一犯の仕業と見る。
 
 容疑者の名前は蓮沼。

 しかし蓮沼は沈黙を続けることで無罪を勝ち取り、のうのうと生活。

 「蓮沼が犯人」と考える被害者遺族らは、蓮沼に天誅をくだす方法を考える。

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 その矢先、「蓮沼が死んだ」という知らせが・・・?
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■「沈黙のパレード」感想



 「真犯人が最後までわからない」・・・そういうミステリーが好きなら、満足間違いなし。
 トリック好きの人より、「どんでん返し好き」「真相の向こうにまた真相」という「驚き」を求める人なら、お腹いっぱいになれる一冊だ。

 ガリレオシリーズらしく、トリックはバリバリの理科系。
 ただ「バリバリ理系」すぎて、「こんなに手の込んだことをする人、本当にいるのかな?」とリアリティには疑問あり。
 
 しかし、「登場人物の職業を」生かしたトリック」なので、自然と読める。
 湯川教授と容疑者たちの頭脳戦は、読み応えたっぷりだ。

 だが、本書の魅力は何と言ってもどんでん返し。
 最後の1ページまで真相がわからない。

 正直に言って、私自身の推理が正しいのか、読み終えた今もわからない。
 最後は読者に、真相の推理を任せた形。
 読んだ人の多くは「・・・ということは、あの人が犯人ということでいいのかな? いいんだよね!」と自分に問いかけたのでは?

 これから読むあなたには、「真犯人の向こう側にいる真犯人の、さらに向こう側にいる真犯人」を探る思いで読んでいただきたい。

 読んだ人同士で、「結局●●を殺したのは、せーの・・・!」と意見をぶつけあってもいいだろう。

 シリーズを重ねるごとに、人間らしくなっていく湯川教授にも注目。
 「長い脚」という表現に、「福山ガリレオ」らしさが爆発。

 ぜひ本書も映像化していただきたい。
 
 佐織役はぜひ、久保田紗友さんで!
 聡明でキラキラした雰囲気がピッタリだと思うんだけどな。

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キムタクも長澤まさみさんもピッタリ!映画「マスカレードホテル」原作レビュー。

評価:★★★★★

 ホテルの中で仮面を被っているのは客たちだけではない
(本文引用)
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 2019年1月に、いよいよ映画「マスカレード・ホテル」が公開されます。

 主演は木村拓哉さんと長澤まさみさんですが、もうピッタリすぎるほどピッタリですね。
 このキャスティングだけでも、「絶対観たい観たい観たい!」と心臓がバックバクします。
 
 俳優さんといい、シチュエーションといい、事件の仕掛といい、とにかくゴージャスな「マスカレード・ホテル」。

 映画公開前に読むもよし。
 観賞後に読むもよし。

 どちらでも絶対楽しめる、極上のミステリーです!

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■「マスカレード・ホテル」あらすじ



 舞台は高級ホテル・コルテシア東京。

 そのホテルに、突如刑事たちがホテルマンに化けて捜査を始めます。

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 理由は、連続殺人を止めるため。

 都内で3件発生した殺人事件の、次の場所がコルテシア東京だからです。

 切れ者刑事・新田浩介は精悍なマスクを生かし、フロント業務に従事。
 コルテシア東京の従業員・山岸尚美の指導を受けながら、犯人探しを始めますが・・・?

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■「マスカレード・ホテル」感想



 「マスカレード・ホテル」の魅力は、「怪しい人が多すぎる」こと。
 
 先日、「接客業で理不尽なクレームが絶えない」というニュースが報道されましたが、ホテルはその最たるもの。

 「ありえない!」と言いたくなる理解不能な客・クレームが、次から次へと現れます。

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 そんな客たちに、刑事たちは逐一目を光らせるわけですが、読んでいると自分まで刑事になった気分。

 「この人怪しい!犯人かな?」と思ったら空振り・・・かと思ったら?(もうこれ以上は言えない!)の連続で、読む手が止まりません。

 刑事・新田浩介がスポンジのように「ホテルマンの作法」を吸い込み、完璧に業務をこなしていく成長ぶりも見もの。
 何でもこなせる木村拓哉さんだからこそ演じられる役ですね、これは。

 これから「マスカレード・ホテル」を読む方は、1人でも怪しいと思ったら要チェック。

 犯人を当てられたら、胸がスカーッとしますよ!
 
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「ラプラスの魔女」(東野圭吾)は面白いけど禁じ手だらけでは?映画は観たいけど・・・。

評価:★★★★☆

「人間は原子だ。一つ一つは凡庸で、無自覚に生きているだけだとしても、集合体となった時、劇的な物理法則を実現していく。この世に存在意義のない個体などない。ただの一つとして」
(本文引用)
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 現在、映画「ラプラスの魔女」が公開されています
 櫻井翔君や広瀬すずちゃんが、あちこちの番組で宣伝してますよね。

 「確かに映画化したら面白いだろうな~」と思える小説なので、ぜひ映画館に行きたいと思います。
  
 それにしてもこの「ラプラスの魔女」って、禁じ手だらけの推理小説じゃないかと思うんですよね。

 「こういうのってありなの?」
 「こんなトリックを許してしまったら、何でもアリじゃない!」
 とかなり疑問。


 
 でもグイグイ読めてしまうから、東野作品って不思議。
 他の作家さんだったら「何だこりゃ?」と思い、読むのをやめてしまいそうな設定なのに、東野圭吾さんの小説だとアッという間に読めてしまうんです。

 そこが超ベストセラー作家たるゆえんなんでしょうね。
 改めて敬服します。
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■「ラプラスの魔女」あらすじ



 ある温泉街で、映像プロデューサーの男性が死亡します。

 原因は硫化水素によるガス中毒。
 一緒にいた妻がどうも怪しいのですが、証拠をつかみきれないまま事故死とされます。
 
 その後、他の温泉街で無名の俳優が死亡。
 死因は同じく硫化水素による中毒死。

 映像に関わる人物が、相次いで同じ死因で亡くなることで、事件はがぜんきな臭いものに。

 しかし温泉街とはいえ、両方ともとうてい硫化水素が発生しそうにない場所。

 いったい彼らはなぜ死んだのか。
 事故死?他殺?
 そして他殺としたら、誰がどうやって殺したのでしょうか?
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■「ラプラスの魔女」感想



 先述したように、読んだ第一印象は「こんなのアリ?」というものです。

 こんなミステリーがまかり通るのなら「小窓しかない密室で起きた殺人は、体の関節を全てはずせるタコ人間が犯人」というストーリーでもOKになっちゃいます。

 でも東野圭吾さんが理科系出身だからか、それとも一流作家ならではのリーダビリティさのせいか、「おもしろーい!」って読めちゃうんですよね、これが。

 殺人の手法も動機も、かなりぶっとんでいますが、事件の真相が徐々に見えてくる過程はワクワク。
 また、ある人物の横顔があらわになっていくプロセスも目が離せません。

 いわゆる「オーソドックスなミステリー」の部分と、「こんなのミステリーとはいえないでしょ!」と言いたくなる部分とがうまく溶け合っているのが、「ラプラスの魔女」の魅力です。

 また、神秘的な映像がありありと浮かぶ物語なので、映像化を意識して書かれたのかな?(憶測)

 これは広瀬すずちゃんや福士蒼汰くんの「怪演」が観られそうですね~。
 
 主人公・円華の物語「魔力の胎動」も読みたいところ。

 2冊とも読んで映画館に行けば、映画を何倍も楽しめそうです。
 「魔力の胎動」も読もうっと! 

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プロフィール

アコチム

Author:アコチム
反抗期真っ最中の子をもつ、40代主婦の読書録。
「読んで良かった!」と思える本のみ紹介。
つまらなかった本は載せていないので、安心してお読みください。

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