降霊会の夜 浅田次郎
人間は、嫌なことを片っ端から忘れていかなければ、とうてい生きてはいけない。でもな、そうした人生の果ての幸福なんて、信じてはならないと俺は思う。
(本文引用)
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雷の恐怖で動けなくなっている女性を、ゆうちゃんは招き入れるが、どうも女性の様子がおかしい。現世の者とは思えぬ雰囲気を醸し出しているのだ。
そして女は言う。
父親に背中を押されダンプカーに巻き込まれた少年、離れた土地で自ら命を絶った女性・・・。
彼らは皆、ゆうちゃんの心に住み着くことができぬ悲しみを抱えたまま、早逝した者たちだった。
そして、ゆうちゃんの頭の中に、あの声が響く。
(本文引用)
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生きている-それだけで、人はどれだけ罪を重ねるのだろう。そして私は今まで、知らず知らずのうちにどれだけ罪を犯してきたのだろう。
読みながら、そんなことを思い総毛立った。
ひょんなことから、過去の知人と再会を果たす一人の男。
しかしその知人とは、いずれもこの世を去った者たち。彼岸と此岸とが対話する、謎の降霊会で男が気づいたこととは-。
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主人公は、高原に住む年配の男性。幼少時代からのニックネームは「ゆうちゃん」だ。
ある日、ゆうちゃんの住む地域一帯に雷雨が起こる。庭を見ると、ひとりの女が佇んでいる。
読みながら、そんなことを思い総毛立った。
ひょんなことから、過去の知人と再会を果たす一人の男。
しかしその知人とは、いずれもこの世を去った者たち。彼岸と此岸とが対話する、謎の降霊会で男が気づいたこととは-。
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主人公は、高原に住む年配の男性。幼少時代からのニックネームは「ゆうちゃん」だ。
ある日、ゆうちゃんの住む地域一帯に雷雨が起こる。庭を見ると、ひとりの女が佇んでいる。
雷の恐怖で動けなくなっている女性を、ゆうちゃんは招き入れるが、どうも女性の様子がおかしい。現世の者とは思えぬ雰囲気を醸し出しているのだ。
そして女は言う。
ゆうちゃんは、女に誘われるがまま、霊媒師のもとでかつての友人らに会う。「会いたい人はいませんか。生きていても、亡くなっていてもかまいません」
父親に背中を押されダンプカーに巻き込まれた少年、離れた土地で自ら命を絶った女性・・・。
彼らは皆、ゆうちゃんの心に住み着くことができぬ悲しみを抱えたまま、早逝した者たちだった。
そして、ゆうちゃんの頭の中に、あの声が響く。
――何を今さら。忘れていたくせに。