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「ある晴れた夏の朝」が日経新聞「春秋」に登場!

 今日は広島原爆の日。

 74年前の8月6日、広島に原爆が投下されました。

 そこでぜひとも読みたいのが、以前ご紹介した「ある晴れた夏の朝」



 本日に日経新聞「春秋」でも、紹介されています。

 原爆について、これほどまでに意見を戦わせることができるのかと、目の覚める思い。
 若者のディベートを通して、「真の平和とは何か」をじっくりと考えることができる名作です。

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 なぜ私が原爆について考え、本を読んだのか。
 それは広島の原爆が、他人事ではないからです。

 私の両親はともに山口県出身。
 特に戦争や空襲などで亡くなった人はいないのですが、祖父がもう少しで原爆の犠牲になるところでした。

 私の祖父は山口大学の教授でした。
 戦争当時、すでに山大で教鞭をとっていた祖父は、学生をつれて外に出ることもあったそう。

 空襲の時は学生とともに逃げ、防空壕の中の人から「入りなさい!」と手招きされるも、危険を感じてひたすら海方面へ。

 後に祖父も学生も全員助かった状態で帰宅しますが、件の防空壕は全て潰されていたそうです。

 祖父は原爆投下の日も、外に出ていたとのことで、母の実家家族は全員「お父ちゃんは死んだ」と思ったとか。

 後日、親戚が広島に骨を拾いに行ったところ、入れ違いで祖父は帰宅してきたそうです。

 どういうわけか、危うく難を逃れた祖父。
 でも被爆者手帳は持っていたようです。

 なので私にとってヒロシマの原爆は、他人事ではない出来事。
 
 これからもずっと、「原爆とは何だったのか」「戦争とは何か」について考えていきたいと思います。

 ちなみに原爆に関する本では、「生きているかぎり語り続ける」も非常におすすめです。
 原爆資料館などにある「赤い背中の少年」の方が、その後、どんな人生を歩まれたかがつづられています。

 
 「赤い背中の少年」である谷口稜曄さんは、16歳のとき長崎で被爆。
 2017年に88歳で亡くなられるまで、「赤い背中」とともに生き、結婚への障害や、心の傷、厳格な体重管理などと向き合います。

 本書を読むと、原爆は一瞬の出来事ではない。
 何十年も何百年も残りつづけ、語り続けねばならない出来事なのだと痛感させられます。

 「ある晴れた夏の朝」と一緒に、ぜひ読んでみてください。
 

「ダ・ヴィンチ」BOOK OF THE YEAR 2016発表!

  「ダ・ヴィンチ」の「BOOK OF THE YEAR 2016」が発表になりました!
 読書好きの方は、待ちに待っていたのではないでしょうか。

 私もさっそく読み、50位以内で読み逃している本をチェック。
 なかには、現在積ん読中のものもあるので、どんどん読んでいきたいと思います。

 いちおうここで、当ブログ内で、50位以内に入っているもののリンクを貼っておくので、よろしければお読みになってみてください。
(あえてここでは順位は書きません)




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古本で、犯罪被害者の支援を!

 日本経済新聞2014/12/27夕刊に、こんな記事が載っていた。

 「大そうじ 捨てるの待って 
 古本で犯罪被害者支援 ~寄付で転居費用、広がる輪~」

 
 これは、古本や書き損じた年賀はがきを現金に換え、犯罪被害者の支援をする取り組みだ。

 犯罪被害者は、転居や法律相談等、多額の費用ねん出を迫られる場合がある。
 そこで立ち上がったのが、NPO法人「全国被害者支援ネットワーク」と古書買取・販売会社「バリューブックス」。
 両者がタッグを組み、書き損じの年賀はがきと古本を、その費用に充てる仕組みが見事できあがった。

 記事によると、「書き損じた年賀はがきは1枚50円になり、2千枚集まると被害者の転居費用になる」とのこと。
 古本は現在のところ「28万冊余りが集まり、約282万円」が支援に充てられたそうだ。

 参照ホームページはこちら→「ホンデリング」

 私もぜひ協力したい。

クリスマス・イヴに「最後の1分」を購入!

 日本経済新聞2014年12月24日「エンジョイ読書」面に、こんな本が紹介されている。

 エレナー・アップデール著「最後の1分」。
 クリスマスを間近に控えた町で、爆発事故が起こる。それまでの最後の1分を描いたというものだ。

 これは、作家の青崎有吾氏が紹介してくれているのだが、あまりにも面白そうなので、読んだ瞬間に買ってしまった。
 しかもどうにも待ちきれず、Kindleでの購入だ。(ちなみに、私は基本的に“紙派”である。しかし、どうしてもどうしてもどうしても今すぐ読みたかったのだ!)

 読んだ感想はクリスマス終了後になりそうだが、「1分間を描いた250頁を読む」という面白さは、季節を問わないだろう。
 う~、考えるだけでワクワクゾクゾクしてくる。よし、読もう!

日経・経済図書文化賞発表!

 11月3日の日本経済新聞において、第57回日経・経済図書文化賞が発表されている。

 受賞作は以下の3点。

  


  左から、「労働時間の経済分析」は、「効率的に非効率な仕事をする」日本企業の働き方の謎に迫ったものだという。
 日本の平均労働時間が短くなってきているのは、パートタイム労働者が増えたからであり、フルタイム労働者の年間労働時間は変わっていないと切りこむ。
 さらに、週休2日制の普及で、平日の労働時間は増え、睡眠時間は減っているという分析もあるとのこと。

 こういった分析を目にすると、全体を表すデータを見ただけで安心してはいけない、と痛烈に思う。そうなる背景には、何が起こっているのか。そうなった結果、どこに歪みが起きているのか。データの裏に隠された細かな事情に目を配る必要性を、思い知る。

 中央、「日本の住宅市場と家計行動」は、記事を読んでいて最も心惹かれた作品。
 震災で住まいを失った人に二重ローンが課せられている現状から、日本の住宅ローン構造(遡及型ローン)に言及。そうしたローン構造から日本の転居率に触れていく。
 さらに「地震リスクと家計」との関連性を分析しているという点に、息を呑む。
 なかでも、 

世帯年収の低い家計ほど、その後数カ月で防災意識が再び低下し、実際の行動に結びつく割合も低いことなども解明

 との分析は耳が痛い。

 最後、「サービス産業の生産性分析」
 評者・樋口美雄氏によると、「これまで日本のサービス産業の生産性について真正面から切りこんだ書物はほとんどなかった」という。その理由として、需要の影響を受けやすいため企業間での生産性格差が大きく、平均値がとれない(とっても有意義なものにならない)ことが挙げられるらしい。
 そこに挑んだのが、本書の価値なのであろう。著者森川正之氏は、長年にわたり膨大なデータを作成し、そこからサービス産業の生産性引き上げの処方箋を示しているという。

 いずれも、ちょっと気軽に手に取るといった類の本ではないかもしれない。しかし、社会の一生活者として持つべき視点が示されているには違いなく、ポイントだけでも知る必要があるだろう。
 生活のために、人生のために、私もぜひ拝読したいと思う。
 

「はやぶさ2」と、立花隆氏の「有人宇宙開発無用論」

 日本経済新聞11月2日「SUNDAY NIKKEI サイエンス」目玉記事は、「はやぶさ2」。

 11月末に打ち上げられ、小惑星から砂・岩石片等を採取。2020年11~12月に帰還する予定だという。
 記事によると、あの話題になった「初代はやぶさ」は開発に約7年半かかった。しかし今回の「はやぶさ2」は、その経験を踏まえ、2年半で完成させたという。

 これが成功すれば、「宇宙の中で有機物がどのように進化してきたのか」、「どのようにぶつかりながら今の惑星や小惑星帯が生まれたのか」などの手掛かりがつかめ、ひいては「生命の起源」に迫ることにもつながるというからワクワクする。

 新しく搭載される装置・機能も見ものだ。
 小惑星到着時に人工クレーターを作る「衝突装置」がそのひとつだが、記事を読む限り、その発射先の地盤によって成否が分かれそうだ。
 岩盤のように硬いのか、砂地のような柔らかさをもつのか。それは「行ってみないとわからない」。2018年6~7月に向かえるというその正念場を、ぜひ見守りたい。

 さて、この記事を読んでいて思い出したのが、先日レビューした立花隆著「四次元時計は狂わない」だ。

 立花氏は、そのなかで「日本の有人宇宙開発に反対」の姿勢を明言している。




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「君たちはどう生きるか」は早慶戦か、巨人-南海戦か。

 日本経済新聞「春秋」に、こんなことが書かれていた(2014/10/28)。

 吉野源三郎著「君たちはどう生きるか」で描かれている野球の試合が、時代によって変わっているというのだ。

 これは、主人公コペル君が、友人の北見君と水谷君を相手に、野球放送の真似をするという場面だ。
 「春秋」でも「その興奮ぶりが並大抵ではない」と書かれているように、コペル君ら3人の熱狂ぶりが凄まじい。
 風呂敷をかぶったコペル君が、ラジオの後ろに隠れ、アナウンサーよろしく実況中継を繰り広げる。 

「・・・・・・紺青の空晴れ渡り、風は落ち、神宮球場には砂埃一つあがりません」


 

「城北の雄、早稲田!城南の雄、慶應!」

 

「走者一塁、三塁! 慶應のバッターは、キャプテン勝川君! 守っては軽快無比、打っては三番の重責を負う・・・」

 そんなコペル君の放送に、友だちは大いに盛り上がり、「三振にしなきゃあ!」などと物言いまでつける始末。
 ついには三つ巴のもみ合いとなり、「ただいま、暴漢があらわれました」と息も絶え絶え放送を続けるという展開になる。

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プロフィール

アコチム

Author:アコチム
反抗期真っ最中の子をもつ、40代主婦の読書録。
「読んで良かった!」と思える本のみ紹介。
つまらなかった本は載せていないので、安心してお読みください。

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