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「忠臣蔵の決算書」。大石内蔵助はなぜ名リーダーなのか。“お金”から見える真のリーダー像。

 立場も考えもさまざまに異なる多数の同志を足かけ二年に亘って統制した内蔵助の力量は、あらためて高く評価されるべきものである。
(本文引用)
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 「忠臣蔵の決算書」は、「真のリーダー」がわかる本。

 最も人望を集めるリーダーとは、どんな人か。
 それはメンバーの金銭に配慮できる人物。

 さらに言うと、メンバーのプライベートな事情や、多様な価値観を鑑みて、懐事情を考えられる者。

 いくら意欲があっても、どんぶり勘定で、金銭的負担をかけるようでは、人は離れていくばかり。

 大石内蔵助が後世に名を遺すリーダーなのは、「お金」を考えることができたから。


 上方から江戸に来るメンバーの旅費、飲食代、武器購入費、遺された妻子の生活費・・・。

 大石内蔵助は、メンバーの「金銭的負担」を実に緻密に考えていた。
 
 「武士の一分」だけで動いたのではない。
 現実的に「予算」まで考えていたからこそ、名リーダーと語り継がれるのだ。

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夏休みの自由研究におすすめ!「テーマで歴史探検」。「●●を掃除すると美人になる」は本当だった!?

評価:★★★★★

 犬の歴史やトイレの歴史なんて、教科書には絶対載っていませんね。でも、ひとつのことがらをテーマにして歴史を見ていくと、驚くような発見があるのです。
(「はじめに」より)
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 夏休みの自由研究、まず悩むのが「題材」。
 そこで超絶おすすめなのが、「テーマで歴史探検」だ。

 本書との出会いは、とある朝日新聞社のイベント。
 会議室の隅にポンと置かれ、「ご自由にご覧下さい」と書かれていたのでパラパラとめくったところ一目惚れ。

 「なにこれ・・・面白-い!」と感動し、すぐさま購入した。

 それもそのはず、本書の著者は河合敦先生。
 「世界一受けたい授業」に出演する、稀代の日本史伝道師。

 歴史を楽しく学べちゃうのは当然なのである。


 本書はタイトル通り、テーマ別に歴史をひもとく本。
 お城、お茶、服装、色、歌舞伎、化粧、納豆、豆腐・・・そして御不浄などなど。

 誰でも知ってる身近な物をとりあげ、知っていそうで知らない歴史を解説する。

 夏休みの自由研究で、間違いなく大活躍する一冊だ。 
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■「テーマで歴史探検」内容



 本書では22ものテーマから、歴史を解説。

 まずは、日本で最も活躍する金属「銅」の歴史からスタート。

 そこから仏教、城、神社など「いかにも歴史らしいものの歴史」を説き、徐々に身近なものに突入。

 そば、天ぷら、納豆、豆腐、お茶、書道、犬の歴史など、知っていそうで知らない「裏側」を公開。

 さらに化粧、服装、お風呂、トイレの歴史からは、意外な事実も・・・。

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 毎日目にしている、あんなもの・こんなものは、どんな歴史・変遷をたどって現在に至るのか?
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■「テーマで歴史探検」感想



 私が本書を「自由研究」におすすめする理由。

 それは、「ひと味違う自由研究、ただものじゃない自由研究ができるから」だ。

 本書の解説は、「~という歴史を経て現在に至る」という単純なものではない。

 現代のヒット曲や出処不明の言い伝え、そして物議をかもした「あのニュース」等々と、つなげて考えられるものばかり。 

 「今、話題になっている~だが、それは歴史的に見てどうなのか」ということにまで考察を深めて、歴史解説ができるのだ。

 たとえばお城の歴史。

 先日、首相が「大坂城にエレベーターを作ったのは失敗だった」などと発言。
 そこで本書で、城の歴史を見てみる。

 実はお城は時代のニーズに合わせ、かなり変遷。
 時代に沿っていくことで、お城としての機能を果たしていることがわかるのだ。 
( 「首相もこの本を読んでいたら、いくらジョークとはいえ、あんな軽率な発言はしなかったろうに」・・・)

 また「色」の歴史では、東京スカイツリーのライトにも言及。
 そこから、「外国人から見た日本人のイメージ」を色で解説。

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 「色」の歴史をたどれば、「世界の日本人観」や「なぜ、あの建物・ライトはあの色なのか」までありありとわかるのだ。

 そして最も驚かされるのは、御不浄の歴史。
 あの「神」が入ったヒット曲、実は本当に「神様」が関わっていたとは正直ビックリ。

 さらに「御不浄を掃除すると美人になる」という言い伝えも、あながち迷信ではないと判明。
 軽視されがちな「言い伝え」も、歴史を丁寧にひもとくと、意外なほどしっかりとした裏付けがある。
 
 そんなことを自由研究で発表すれば、誰もが目をむくことだろう。

 夏休みの自由研究で、どうにも題材が見つからなければ、心の底から本書がおすすめ。
 学校で「面白い自由研究だね!」「それ見せて!」など、注目されること請け合いだ。

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「サピエンス全史」上下巻読了し、「今読むべき1冊」と再確認。「差別」の解説が心に刺さります。

評価:★★★★★

 私たちは仲間の動物たちや周囲の生態系を悲惨な目に遭わせ、自分自身の快適さや楽しみ以外はほとんど追い求めないが、それでもけっして満足できずにいる。
 自分が何を望んでいるかもわからない、不満で無責任な神々ほど危険なものがあるだろうか?

(本文引用)
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 2017年を代表する本「サピエンス全史」。
 昨年末に上巻を読み終え、年始にかけて下巻を読み終えました。


 
 上巻の終盤から下巻にかけては、人類の歴史というものをすっかり忘れて読みふけりました。

 なぜなら「現代人として、人として、グサグサと刺さる内容」だったからです。

 刺さった理由は、差別の歴史が容赦なく書かれていたから。
 
 著者は「サピエンス」「人類」という視点から、人間社会で脈々と続く「差別」について解説していきます。
 
 まず基本的なところでは男女差別。
 他、黒人差別やインドのカースト、ナチスのユダヤ人迫害等、あらゆる「差別」について人類学的に紐解いていきます。

 「差別」について考えていくうえで、本書がひとつポイントとして掲げるのは「生物学的にそれは正当化されることなのか」です。

 たとえばアパルトヘイトで黒人が入れない浜辺。
 黒人と白人とで紫外線による影響が異なるから、黒人と白人を分けているという言い訳があるとすれば、それは成り立つのか?

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 未だに根強い男女差別。
 筋力や瞬発力が強いというだけで、男性は女性の人権を踏みつぶす権利があるというのか?

 強姦をした場合、謝る相手は女性ではなく、女性を所有している夫だという理不尽な社会がある事実を、私たちはどう受け止めるべきなのか?

 僧侶は口から作られ、奴隷は脚から作られるという説でカーストを正当化できるのか?

 ナチスがアーリア人種を最上のものとしたのは、生物学的に証明できるのか?

 著者は「世界は統一に向かっていく」としながらも、差別の根強さについて多角的な視点で説いていきます。

 そして上下巻を通し、本書ではたびたび「サピエンス」についてこう語ります。

 我々は全体の不幸よりも個人の不幸を重要視してしまう、と。

 そもそもネアンデルタール人の排除から始まったサピエンスの歴史。

 本書は地球や生命の誕生から、科学の発展まで「人類の歴史」をじっくりと見つめていきます。

 でも本書を読む限り、人類の内面はあまり変わっていない様子。

 つまるところ我々は「集団の不幸・利益よりも、個人の不幸・利益を重んじてしまう」生き物のようです。

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 今、世界的に改めて「差別問題」が浮き彫りとなっています。

 移民への差別、暴露されるセクハラetc.

 昨今起きる事件と本書を照らし合わせると、いくら技術が発展しても、心の中に深く根付く差別意識・排除意識はまるで変わっていないということに驚かされます。

 だからこそ今、「サピエンス全史」は読まれるべき本なのでしょう。

 単なる社会・歴史・科学の教科書ととらえず、自分の心にある「差別・排除意識」を見つめる・・・「サピエンス全史」は、そんな「人としての課題」「人生のバイブル」として読みたい一冊です。

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「サピエンス全史」上巻読み中。常識も善悪も覆えり、メカラウロコがボロボロ。

評価:★★★★★

 もくろみが裏目に出たとき、人類はなぜ農耕から手を引かなかったのか? 一つには、小さな変化が積み重なって社会を変えるまでには何世代もかかり、社会が変わったころには、かつて違う暮らしをしていたことを思い出せる人が誰もいなかったからだ。
(本文引用)
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 2017年に話題となった本で、「サピエンス全史」は欠かせないでしょう。

 刊行当初から注目されていましたが、「アメトーーク!」の読書芸人でさらに人気に火がつき、書店でもずーっと平積み。
 年末になっても売れ行きは落ちないようで、近所の書店で残り二冊だったところを購入。

 現在上巻をほとんど読んだところですが、あまりにも面白いので下巻も買っちゃいました!
 
 なぜそれほどまでに惹きつけられるのかというと、この「サピエンス全史」、本当に固定観念がゴロッと覆されます。



 いえ、覆されるのは固定観念や常識だけにとどまりません。

 自分の中にある「善悪の判断・善悪の基準」まで大きくぐらついてきます。

 また、「世界を救ったもの」と思い込んでいたものが、実は人類にとって後戻りできない大失敗だったことも・・・。

 「サピエンス全史」は、そういう意味で「読書の醍醐味」を与えてくれる本。

 「今まで疑いもしなかったこと、今まで自分が正しいと思っていたことが根底から粉砕されるって、こんなにワクワクして爽快なんだ~! だから本って面白い!」
 心からそう思える一冊です。

(※面白すぎて付箋貼りまくり!)
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■「サピエンス全史」上巻概要



 「サピエンス全史」上巻では、人類の誕生から、帝国の成立までが書かれています。
 
 本書は人類の歴史を、「認知革命」「農業革命」「科学革命」の3段階に分けて話を進めていきますが、上巻ではそのうち「認知革命」と「農業革命」をとりあげます。

 認知革命は、思考・言語によるサピエンス生き残り術を指し、農業革命は狩猟から農耕への変化を解説していきます。

 東アフリカで生まれ、ネアンデルタール人や他人種をことごとく絶滅に追いやったホモ・サピエンス。

 いわばサピエンスは、私たち(ほぼ)全員の祖先と言えるわけです。

 でも、いったい彼らはどうやって他人種を絶滅させたのか。

 サピエンスと他人種の違いは、いったいどこだったのか。

 驚くべきサピエンスの生存技と、人類が繰り返してきた成功と失敗の軌跡とは?
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■「サピエンス全史」上巻感想



 「サピエンス全史」上巻を読み、驚いたのは次の3つです。

 ●噂話は最高のサバイバル術
 ●目に見えるものだけでは生き残れない。
 ●小麦は人類の失敗作。

 著者はサピエンスが繁栄した理由として、「情報共有ができていた」ことを挙げます。

 その情報とは、危険回避のための警告(「ライオンがいるから気をつけろ」といったもの)ではありません。

 「噂話」です。

 私たちにとって社会的な協力は、生存と繁殖のカギを握っている。個々の人間がライオンやバイソンの居場所を知っているだけでは十分ではない。自分の集団の中で、誰が誰を憎んでいるか、誰が誰と寝ているか、誰が正直か、誰がずるをするかを知ることのほうが、はるかに重要なのだ。


 そう、噂話やゴシップは立派なサバイバル術。
 誰が信用できず、誰が信用できるのかをつかんでおくことは、集団にとって絶対必要なことなんです。

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 著者はさらに、噂好きな人を、集団を守るジャーナリストと称賛。
 本気とも冗談ともつかないような説を主張しますが、読めば読むほど、「確かにそうだ。その通りだわ」と思えてきます。

 もし身近に噂好きな人がいたら、「この人は私たちの集団を守ってくれる重要人物なんだ」と思うようにしましょう。(自分が敢えてその役を買って出る必要はありませんが・・・)

 著者はさらに、神話や偶像崇拝の重要性も熱弁。
 人類の発展と聞くと、「火を起こす」とか「道具を使う」といった「目に見えるもの」を思い浮かべますが、実は「目に見えないもの」が何倍も重要なんです。
 
 本書を読むと、宗教や伝承などの見方がガラッと変わりますよ。
 
 そして最も驚いたのが、「小麦は人類を救うものではなかった」ということ。
 著者は、人類は農耕を始めたばっかりに、様々な不都合が生じるようになったと主張。
 
 特に小麦の登場と、小麦がチヤホヤされる状況に大胆な異論を唱えます。

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 小麦を育てる農耕は、サピエンスの体に多大な負担をかけます。
 また乳児にお粥を食べさせるようになることで母乳を飲む量が減り、子どもの死亡率も上昇・・・と、悪い点ばかり。
 

より楽な暮らしを求めたら、大きな苦難を呼び込んでしまった。


 とまで断じます。

 ここまで小麦を悪者にしている本は、低糖質ダイエットの本か「サピエンス全史」ぐらいなのではないか。

 そう言いたくなるほど、本書では小麦による弊害を説いていきます。

 たいてい、小麦の登場により「人類は救われた」「国家は繁栄した」「この民族だけは生き残った」という展開になりそうですよね。

 でも「サピエンス全史」は、その説に真っ向から反論していくんです。
 
 別に小麦の健康被害を訴える内容ではないので、小耳にはさむ程度で読めば良いと思います。
 すぐさま「私、パンを食べるのをやめる!」などと思う必要はありません。

 ただ歴史を紐解いていくと、今まで常識・正義と考えていたものは、あっさりとひっくり返ってしまうんだなぁ・・・。

 心ゆくまでそう思えることが、本書のたまらない魅力。
 
 サピエンスの成功・繁栄、そしていつの間にかやってしまっている「失敗」の数々からは目が離せません。

 「教科書では絶対に教えてくれない歴史を知りたい」という方に、非常におすすめの本です。

 さて、いよいよ大晦日。

 年をまたいで下巻を読んでいくつもりです。

 皆さま、よいお年をお迎えください。

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映画「少女ファニーと運命の旅」原作!「ファニー 13歳の指揮官」ファニー・ベン=アミ

評価:★★★★★

「守護天使さん、おねがい。どうか助けて。今度こそ自由になれるように、わたしたちを守って。逃げるのはこれが本当に最後になるように・・・・・・」

(本文引用)
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 映画「少女ファニーと運命の旅」原作。

 朝日小学生新聞で薦められていたので、手に取りました。

 本書を読んで、まず湧き上がるのは戦争に対する怒りです。

 戦争は、弱い者が犠牲になります。

 社会の強者は、戦争を「国のため」と言うかもしれません。

 でもそんな強者の身勝手、勝者の論理でいちばん傷つくのは、いつでも一番守られるべき弱者なんです。



 本書の翻訳者、伏見操さんも「訳者あとがき」でこう語っています。 

戦争においてもっとも苦しむのは、戦争を起こした「国」ではなく、いつもいちばん弱い人たち-とくに子どもです。それは戦争に勝っても負けても変わりません。


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■「ファニー 13歳の指揮官」あらすじ



 ファニーはユダヤ人の少女。
 第二次世界大戦直前、ナチスがドイツを支配したと同時に、家族でフランスに逃げてきました。

 理由はもちろん、ユダヤ人迫害から逃れるためです。

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 しかし密告により、ファニー一家は警察に追われ、親子は引き裂かれます。

 ファニーは幼い妹2人と共に、子どもたちだけでスイスに逃げる計画に参加します。

 ところが途中で、リーダーの青年が逃亡。
 急きょファニーが、リーダーを任されることになります。

こうしてわたしは、スイスへ、そして自由へむかって逃げる。十一人の子どもの命をあずかることになったのだった。

 たった13歳で、大変な重責を担ったファニー。
 彼女たちに待ち受ける運命とは?
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■「ファニー 13歳の指揮官」感想



 本書を読むと、戦争とは差別とは、何と残酷なことかと胸を締めつけられます。

 ファニーら子どもたちは、戦争と差別により生命の危機にさらされます。

 少し声を出すだけで、憲兵に見つかるのではと恐怖に怯え、「今日が人生最後の日かもしれない」という思いで、ひたすら歩きつづけるファニーたち。

 文章からその姿を想像するだけで、「何で幼い子どもたちが、大人が勝手に始めたことで、こんな苦しみを味わわなければならないのだろう」と憤りを感じます。

 たとえばこのくだりからは、ファニーたちの並々ならぬストレスがうかがえます。

最後の食事・・・・・・それってどういう意味? ふたりの看護婦さんは何について話していたの? 最後の食事ってことは、わたしたちを殺すつもり? だから憲兵は昨日、あんなにものわかりがよかったの?
 わたしは窓という窓、壁という壁を調べ、どこかに割れ目やすき間がないかさがした。早くここから逃げなくちゃ。でも、どうやって? どうしたらいいの? 扉には鍵がかかり、銃を持った憲兵たちが見張っているというのに・・・・・・。

  「子どもの脳を傷つける親たち」にも書かれていましたが、大人の役割は、子どもが安心して過ごせる場を作ることです。

 子どもは心安らぐ生活を送ることで、愛情や優しさ、適切な判断力や社会性を身につけ、巣立っていきます。

 しかし戦争や差別は、子どもを絶え間ない恐怖に陥れます。

 戦争と差別は、子どもを守るべき大人たちが、寄ってたかって子どもを壊していくことなんです。

 この物語は、著者が体験した実際の出来事をつづったものです。

 よってエピローグでは、ファニーをはじめ妹たちのその後についても書かれています。

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 そこからは大きな悲しみも喜びもうかがえますが、戦争の悲惨さや理不尽さを決して忘れてはならないという熱意も、ヒシヒシと伝わってきます。

 戦争の酷さと虚しさを次代に伝えていくために、大人も子どもも読みたい名著です。

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安倍首相とオバマ大統領がアリゾナ記念館で慰霊。それを受けて「オバマへの手紙  ヒロシマ訪問秘録」を読んだ。

評価:★★★★★

  「オバマ大統領に謝罪のハードルを課すのは核廃絶の近道ではない。憎しみを超えて世界を考え、被爆者は苦渋の選択で大統領の広島訪問を熱望している」
(本文引用)
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  2016年は、日米の歴史にとって大きな出来事があった。
 5月にはバラク・フセイン・オバマ米大統領が被爆地・ヒロシマを訪れ、12月には安倍首相がアリゾナ記念館(旧日本軍による真珠湾攻撃の犠牲者を慰霊する施設)を訪れた。

 そこで、これは今年中に読まねばと思い手に取ったのが、「オバマへの手紙」。

 地元メディアが集めた1472人分の市民の声は、どのようにしてオバマ大統領を動かしたのか。
 被爆者の思いを、広島テレビ放送社長である著者が克明に綴る。
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「昭和十八年の冬 最後の箱根駅伝 戦時下でつながれたタスキ」早坂隆  感想

評価:★★★★★

 <思えば駅伝競走でのあのスタートラインだった九段の鳥居が人生最后のゴールインでした>
(本文引用)
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 今度のお正月の箱根駅伝は、涙で画面がかすんでしまう・・・いや、画面がグシャグシャになって何も観えないかもしれない。こんな本、読まなければよかった・・・そう恨みたくなるような一冊だ。

 本書は、箱根駅伝誕生から現在までの歴史を、当時の選手たちのインタビュー等も交えて丁寧にたどったものだ。

 そのなかでも本書が焦点を当てるのは、昭和18年の第22回大会。

 日本全体が戦争へと突入するなか、学生の徴兵延期措置撤廃が決まり、昭和19年、20年はもはや開催不可能に。
 よって、昭和18年の大会は戦前戦中における「最後の箱根駅伝」となり、現在でも時に「幻の大会」と呼ばれるようになる。



 その大会に出た選手たちは、「この駅伝が終わったら戦争に行く」との覚悟を胸に秘めながら出場。なかには特攻に呼ばれ、完全に死を意識した日記を遺したまま出場した選手もいたという。実際、本当に人生最後の「走り」となった学生もいた。

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プロフィール

アコチム

Author:アコチム
反抗期真っ最中の子をもつ、40代主婦の読書録。
「読んで良かった!」と思える本のみ紹介。
つまらなかった本は載せていないので、安心してお読みください。

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