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近藤高顯「ティンパニストかく語りき」感想。ティンパニを知るとオーケストラってこんなに楽しくなるんだ!

 「あんたがここぞと思ったところでバンッ! と叩けばよろしい。そしたら皆、あんたについてきよる。心配しなさんな!」
(本文引用)
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 朝日小学生新聞「よみとき天声人語」で紹介。
 「ティンパニは指揮者に次ぐ、第二のまとめ役」という言葉に「ムムッ!?」と惹かれ、読んでみました。

 読んでビックリ、大当たり。
 「ティンパニを知ると、音楽が何倍も楽しくなる」ことがわかったんです。

 今まで指揮者、ピアニスト、ヴァイオリニスト等、さまざまな音楽家の本を読んできましたが、「音楽の面白さ」が伝わったのは本書がダントツ。

 もっと早く読んでいれば、クラシックコンサートやオーケストラのCDを、もっともっと楽しめたのに・・・と激しく後悔しています。


 クラシックが好きな方にも、「クラシックは眠くなる」という方にも、本気でおすすめの一冊です。

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「僕はいかにして指揮者になったのか」感想。佐渡裕が“愛される理由”がわかる紆余曲折の自伝エッセイ!

 欲しい音のためなら、僕は素っ裸になってもいいとさえ思っている。
(本文引用)
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 ある事情により、急きょ佐渡裕さんのご著書を拝読。

 佐渡裕さんと聞くと、私はまず「名指揮者」である以上に、「愛される指揮者」という言葉が浮かびます。

 クラシックという、半ば近寄りがたい高尚な世界を、身近なものにグッと近づけてくれる・・・。
 「佐渡裕」という存在を見ているだけで、純粋に「音楽って楽しい!」という気持ちがわきあがり、心が弾みます。

 
 ではなぜ佐渡裕さんは、“愛される指揮者”でありつづけるのか。
 クラシック好きの人も、そうでない人も、「佐渡裕」には魅了されるのか。

 「僕はいかにして指揮者になったのか」(通称:「僕いか」)を読めば納得。

 「フルート奏者から指揮者へ」、「たった一言で破門の憂き目に」、「履歴書が危うくゴミ箱行き!?」
 世界的指揮者・佐渡裕の、山あり谷ありの軌跡から、「愛される理由」が見えてきますよ。

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山田ルイ53世「ヒキコモリ漂流記」。東大を嘱望された神童に何が?涙涙の転落と再生劇。

評価:★★★★★

転落はまだ終わらない。言い方は矛盾しているが、僕は、青天井で落下し続けていた。
(本文引用)
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 こんなに笑いながら泣いた本は初めて。

 「人間、生きてるかぎりやり直せる」と励ます本は多々ある。

 しかし本書ほど「あ、生きてさえいれば本当に、本当~にやり直せるんだ!!!」と勇気づけられる本はない。
 今まで読んで「励まし本」が全て一気にふっとんだ。

 何と言っても、転落の傾斜がすごい。
 地獄感・絶望感が尋常じゃない。
 正直な話、「・・・これはさすがに死んだほうが・・・もとい、生きるのがあまりに辛すぎるのでは?」と胃が痛くなった。

 髭男爵の「ルネッサ~ンス」は、生命がけの「ルネッサンス=再生」の叫びだったのだ!



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■「ヒキコモリ漂流記」あらすじ



 名門私立中学に入り、順風満帆と思っていたら、ある日突然引きこもりに。
 それはまるでカフカの「変身」。

 両親はうろたえ、かつてのクラスメイトは嘲笑。
 世の中からどんどん自分音居場所が消失していく。

 その後、大検を受けて国立大学に入学するも、またもドロップアウト。

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 お笑い芸人を目指し東京に出るが、出だしは野宿。
 わずかな健康飲料水と、飲食店の残飯でしのぐ毎日に。
 
 実家の家族とは絶縁状態になり、借金も膨らむ日々。
 
 神童だった山田少年は、いつしか社会の底辺の底辺をはいずりながら生きていた。
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■「ヒキコモリ漂流記」感想



 「生きているのが虚しい」あるいは「死んだほうがよい」と思ってるなら、最後の気力を振り絞って本書を読んでみよう。

 特に「私の人生、こんなはずではなかった」という人に、本書はおすすめ。

 天国と地獄の傾斜角度が度はずれてるため、「・・・まだ私のほうがましだな」と妙な元気が出るはず。
 そしてラストを読めば、「あ、こりゃ死んだら損だな、もったいないな」と希望がムクムクわいてくるだろう。

 なぜ本書を読むと、本気で「やり直せる」と思えるのか。
 それは「地獄の体験者自身」が、全く飾ることなく「地獄のまんま」を書いているからだ。

 名門中学に入り、心身のバランスを崩していたところに、最悪の事態が発生。
 完全に引きこもりになり、親からも見放されることに。

 しかも唯一「母の愛」を感じていた肉じゃがは、とんでもない代物と判明する。
 
 そして本格的に「この世」での居場所を失くし、転落スピードは「平家物語」級に加速。
 もはや人間か動物かもわからないほどの生活を強いられるのだ。

 世の中には多数「人生再生本」があるが、たいてい「人生や学校が楽しかった人」が書いている。
 だから勇気づけられても、「あなたはいいよね」「私はあなたとは違うんです」と斜に構え、なかなか「再生」に歩き出せない。

 しかし本書は違う。
 本当に「もうダメ」という状態にまで追い込まれた人間が、見事に再生。

 「これほどえらい目に遭った人でもやり直せたのだ。私もやり直せるに決まってる」と、心底自信が持てる。

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 グイグイ読ませる文章力も、本書の魅力。 
 あまりにも比喩が巧みで、何度も何度も声を出して笑った。

 しかし同時に泣いた。
 「この笑いの裏に、どれほどの苦しみ、辛酸があったのか」と思うと、涙が出た。
 笑ってるんだか泣いてるんだか、楽しいんだか悲しいんだかわからない涙がドバドバ出てしまった。

 思ってたんと違う人生でも、生きてりゃきっと何とかなる。
 生きてるだけで丸儲けって、ホントだな。

 本書を読むと、心からそう思えてくる。
 止まない雨も、明けない夜もないのだ。  

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立川談春「赤めだか」感想。育児・人材育成に悩んだら絶対読みたい一冊。

評価:★★★★★

 そう云われてこの人の弟子になって良かったと心底思った。一所懸命頑張りなさいなんて、口が裂けても云わないのだろう。人生思い通りにはいかないが、どう転んだってそれほど悪いことばかりあるわけじゃないと教えてくれているんだと思った。(本文引用)
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 「人を育てる」のは大変だ。

 子育て、職場での人材育成・・・「育てられる側」はいろいろ文句・不満はあろうが、実は非常に楽な立場。
 真剣に「この人を立派な社会人に育てよう」と思うのならば、「育てる側」のほうが圧倒的に大変なのだ。

 今現在、そんな「子育て」「人材育成」に真剣に悩んでいるなら、「赤めだか」は必読。
 「人を育てる」際、どんな言葉をかけ、どんな姿勢で接すれば、相手は期待に応えてくれるか。

 本書を読めば、「人を育てあげるコツ」がありありと見えてくる。
 
 さらにブッと笑えるユーモアも、ホロッと泣ける感動付き。



 「育児」「人材育成」の本をお探しなら、本書を読むのが一番お得。
 
 そこらへんの育児本やビジネス本を読むよりも、はるかに楽しく、はるかに身になる一冊だ。

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■「赤めだか」あらすじ



 著者・立川談春は、少年時代競艇選手を目指していた。

 しかし身長が応募規定より2センチ高かったため、挫折する。

 2センチで夢をあきらめた少年は、ある日、立川談志の落語に魅せられ入門を決意。

 門をたたくといきなり、黒豆やらチーズケーキの残りまで入れたハチャメチャカレーを食べさせられる。(でも「かまぼこ」だけは見送った)

 一抹の不安はありつつも、談春少年にもう迷いはない。

 「人間が作った世の中、人間にこわせないものはないんだ」

 談志師匠のその言葉を胸に、人生の大きなスタートを切る。

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■「赤めだか」感想



 「子どもが言うことを聞かず、育児がつらい」
 「部下に話が通じない。もしかして彼らは宇宙人!?」

 そう思ったら、「赤めだか」を読むのがおすすめ。

 「育児」「人材育成」がつらい原因は「自分にある」ことがわかり、さらに「どうすればつらい思いをせずに、相手を育てられるか」が見えてくる。

 たとえば立川流の育て方は、「人の進歩に合わせる」のが特徴だ。

 落語家に入門してくる人間は、年齢もキャリアもバラバラ。
 談春のように高校中退して入ってくる者もいれば、志の輔のように大学卒業後サラリーマンとなり、奥さんまでいる状況で入門する者もいる。
  
 立川一門では、そんなバラッバラの弟子たちを確実に成長させていく。

 それは1人ひとりの進歩・才能・得手不得手・・・に丁寧に合わせて、愛情こめて修行をさせるからだ。

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  「●歳だからできるはず」「社会人●年目だからできるはず」

 そういう思い込みで育てようとすると、イライラがつのるもの。

 年齢どおり、年数どおりに機械のように性能アップする人などいない。
 
 1人ひとりのペースや個性(「これは下手だけど、あれをやらせると上手い!」等)をしっかり見つめ、焦らず見守り指導していけば、必ず大輪の花を咲かせる。
 
 「赤めだか」は、そんな「人育て」の基礎・コツを教えてくれるのだ。

 「育児」「人材育成」に悩んだら、ぜひ本書を開いてみてほしい。

 立川流の育て方を、自分の「人育て」に当てはめればサッと光が。

 「あっ!こうすればいいんだ!」「こんな言葉をかければいいんだ!」と、育児・人材育成にムクムク自信がわくだろう。

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「日日是好日」感想。「読んで良かった」という言葉はこの本のためにある。

評価:★★★★★

「人間はどんな日だって楽しむことができる。そして、人間は、そのことに気づく絶好のチャンスの連続の中で生きている」
(本文引用)
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 「読んで良かった」

 心からそう思える本に、やっと出会えた。

 読み終えた今、本書に巡り合えた感動にブルブルと打ち震えている。

 樹木希林、黒木華主演で映画公開中の「日日是好日」。
 本書は、著者が25年間茶道に通い続けた軌跡がつづられたものだ。

 なぜ本書が「読んで良かった」と心底思える本なのか。

 それは読むだけで、人生がスキップしたくなるほど楽しくなるから。



 生きている、ただそれだけがどんなに素晴らしいことかを、骨の髄まで実感できるからだ。
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■「日日是好日」あらすじ



 著者・森下典子は大学時代、母親の勧めで茶道を習いはじめる。

 師匠は、母親が「タダ者ではない」と評する「武田のおばさん」。

 典子はイトコと一緒に通いはじめるが、覚えることが多く四苦八苦。
 
 手順をなかなか覚えられず、苦痛を感じ、やめたいと思ったことも。

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 しかし続けていくうちに、いくつかの通過点・臨界点が現れ、一気に開眼していく。

 ああ、世の中とは人生とは、何と美しいものだろう。
 自分の生きる1分1秒とは、何と愛おしいものだろう。

 季節で音を変える雨、名もなき草花、掛け軸に飛び散る墨液・・・。

 著者は茶室での時間を通じて、人生の美しさに目覚めていく。
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■「日日是好日」感想



 まず驚くのは、本書を読む前と、読んだ後とでは、目に映る世界が全く違うことだ。

 この本を読むまで、梅雨時の雨と秋雨の音が違うことなんて気づかなかった。
 コンクリートから必死に顔を出す草に、名前があることなど考えもしなかった。
 紙に散らばる墨液の斑点に、涙することなど思いもよらなかった。
 そして、大切な人との別れが必ず訪れることも忘れていた。

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 本書を読む前の「何も知らなかった、気づかなかった、忘れていた」世界は、灰色の世界だった。
 しかし本書を読み、それに気づいた途端に世界が色づいていった。

 だから私は、本書と出会えたことに、言いようもない幸福感を覚える。
 本書が発行されたのは10年前。
 もっと早く出会っていれば・・・と悔しい思いがするが、本書のコンセプトに従えば年月は関係ない。
 
 今、この瞬間に、この本と出会えたことに全力で感謝すべきなのだ。
 
 最後に、私が本書の中で、最も好きな一節を記しておく。
 

 幸せな時は、その幸せを抱きしめて、百パーセントかみしめる。それがたぶん、人間にできる、あらんかぎりのことなのだ。



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誰かを愛せるって、何て幸せなんだろう。「僕と妻の1778話」眉村卓。

評価:★★★★★

負けるな。
心を明るく朗らかに。
柔和な顔をして。
ひきつっていない本物の柔和な顔をして。
進め。
心を明るく朗らかに。

(本文引用)
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 読み終えた後、心の中がシーン・・・となりました。

 舞台が終わり、ガランとした劇場のように。
 雪が降り積もり、人も車も通らなくなった街のように。

 大切な人を永遠に亡くすということは、ここまで辛く空っぽな気持ちになるのか、とただただうなだれ、一呼吸置いた後、涙がボタボタとこぼれました。

 そしてひとしきり泣いた後、不思議と心の中に太陽の光がさしました。

 「いつかは別れてしまうけれど、それでも誰かを愛すること、愛せることは途轍もなく幸せなことなんだ」。

 心からそう思えたからです。



 人は皆、生まれてきた瞬間に、銃口のように死に向かって歩んでいきます。
 それならいっそ生まれてこなければよかった。そうすれば悲しみなんてないのに、などと思ってしまうこともあります。

 でも「僕と妻の1778話」を読んだら、「やはり生まれてきて良かったんだ」と確信をもって思えるようになりました。

 たとえいつかは皆死んでしまっても、生きていたことは絶対に無駄なことではない。愛したことは決して無駄ではない。
 
 著者・眉村卓さんのつづったショートストーリーと、眉村さんの思いは、そんなことを教えてくれました。
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  「僕と妻の1778話」は、読書芸人カズレーザーさんが薦める「妻に捧げた1778話」の姉妹品(のようなもの?)。

 本書では1778話のうち52話を収録。

 余命いくばくもない奥様のために、ショートストーリーを作っては読み聞かせた経緯をつづっています。

 第1話から追っていくと・・・命とはまるで砂時計のようだな・・・と儚さを感じずにはいられません。

 最初はユーモアのあるSFエッセイで、奥様も楽しんで読まれています。
 
 でも徐々に、エッセイの内容が現実味を帯びていきます。



 たとえば524話。
 パンを買おうとドアを開けると、そこは暴風雨というお話です。
 主人公には借金もあり、青息吐息の状況です。

 そこで主人公は語ります。
 

 頑張るだけは、頑張らねばならぬ。
 心を明るく朗らかに。
 心を明るく朗らかに。



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 そして842話。
 これは列車の衝突など、最悪の事態を考えたSFエッセイです。

 最悪の事態を常に考えておかなければならないのなら、それはキリがないだろう、という話になるのですが、そこで登場人物は語ります。

 「そういうことだろうなあ。そんなにたくさんあるとなれば、もうどうでもいいような気がしてきたよ。そうなのだ。何が起ころうとなるようになれ、なのだ。何かあったらそのときに最善を尽くせばいいんだ。それだけでいいんだ。ぼくはもう、何も怖くないぞ」


 そして1500話を越えた頃から、眉村さんご自身に疲れが見え始めます。
 読み手としても、「ああ、いよいよなのか」と読むのが辛くなってきます。

 そして最終話は、奥様にいちばん負担のかからない方法で物語をつづります。

 ・・・何かもうね、こういうのを読んでしまうと、「誰かを思う」って人間(とは限らないけれど)のもつ最高の能力だな、って思います。

 特別な才能とか特技とか名誉も何もなくていいから、とにかく誰かを愛する力だけは持っていてほしい。
 
 そう、子どもに語りかけちゃいました。

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 だからこの本は、絶望をいったん通り抜けて、希望を見せてくれる一冊。

 この世に生まれてきたこと、誰か愛せる人を見つけたこと、出会えたことは、何の見返りもないかもしれないけど・・・それだけで素敵なことなんだなぁと心から思わせてくれる宝物のような本です。

 実は最近、私たち夫婦も「寄る年波」を感じさせる一件がありました。

 ショックは受けましたが、それが頭をもたげるたびに、私は眉村さんの言葉をつぶやきます。
 

 心を明るく朗らかに。
 心を明るく朗らかに。


 本書を著してくれた眉村卓さん、そして本書と出会わせてくれたカズレーザーさんに、心より御礼申し上げます。

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マウンティングに疲れた方にオススメ。「うらおもて人生録」色川武大

評価:★★★★★

 負けるときは、きれいに負けよう。
 「――あ、負けちゃった」
 明るく、そういおう。

(本文引用)
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 またひとつ「人生のバイブル」ができました。
 
 私にとっては「君たちはどう生きるか」に続く名著!
 生きるって何て素敵なんだろう、人間って、世の中って、何て美しいんだろうと思える一冊です。

 この本は、特に「何らかの劣等感」を持っている方におすすめ
 あるいは、よくわからないけど知人にマウンティングされていると感じる人、逆に気がつくとマウンティングしてしまう(と自覚している)人にも超オススメ!

 「うらおもて人生録」を読むと、誰かと比べて勝った負けたと騒いだり、自分を卑下したりする気持ちが嘘のように消えます。
 
 そして、心から人を好きになることができます。

 恋愛という意味ではなく、もっと広い・・・そう、人間全てを愛するといった意味。

 友情にしろ恋愛にしろご近所づきあいにしろ、人を好きになるって結構勇気がいりますよね。
 だって、相手が自分を好きかどうかわからないですし、つい見返りを求めてしまいます。

 それに近しいだけに、相手と比較して卑屈になることもあるでしょう。

 でも「うらおもて人生録」を読むと、そんなこと本当にどうでもよくなります。

 「私が好きって思ってるんだから、もうそれでいいじゃない!」
 「相手に負けてたっていいじゃない。相手が勝っていることを素直に喜ぼうよ」

 そう思えると、何とまあ生きるのが楽しくなることか!

 もし現在、人との比較やマウンティングに疲れていたら、ぜひ読んでいただきたい一冊です。
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 本書の著者・色川武大さんは、「阿佐田哲也」の名で「麻雀放浪記」などの名作を生んだ作家です。

 それだけに「ばくち」の話が多く、自ずと「勝ち負け」の話になりがちです。

 そこで色川さんが語るのは、「負けの魅力」。
 色川さんは、劣等生だった頃の経験を挙げながら、「負けていることの魅力」と「勝っている(と思い込んでいる)ことで失われるもの」について優しく語ります。

 だからといって、色川さんは「わざと負けろ」と言っているわけではありません。
 肩ひじ張らずに、自分のウィークポイントみたいなものを自然に出せる人間になる。

 それが人としての魅力を引き出し、人生を豊かにするかを主張します。

 なかでも印象的なエピソードは、色川さんの同僚の話。
 一緒に新入社員として入った彼は、コチコチに緊張しており、誰とも親しくなろうとしません。

 ところが彼には意外な弱点があったのです。

 それを披露したことで、職場がドッとわき、一気に彼は打ち解けたのだとか。

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 「弱点がポロリと出てしまう」「弱点を見られてしまう」ということは、決してマイナスではありません。
 弱点のない人間はいません。
 ひょんなことから弱点を見られてしまったことで周囲が安心し、マイナスが大きなプラスに転じることがあるのです。

 色川さんが次々と明かすエピソードは、そんな「負け」が大きな「勝ち」をもたらすものばかり。
 だからとにかく、読むうちに全ての人間が愛しくてたまらなくなります。

 色川さんは世の母親たちに「子どもがなるべく多くのものを愛せるよう援助してほしい」と語りますが、まるで私が色川さんの子どもになったみたい。
 「うらおもて人生録」を読んでいるうちに、全ての人間や生き物が途端に色づいて見えるようになってきました。

 だから本書は、マウンティングや他人との比較に疲れたら、ぜひ読んでほしい。

 自分は負けている、あるいは勝っていると感じているけれど、果たして本当にそうなのかな?
 そもそも勝ち負けなんてあるのかな?


 心からそう思えます。

 そして本書を読み返すうちに、「小さく負けてみて、大きなものを得る」という技まで身につくかもしれません。
 そこまでいくと、もう人生の達人ですね。

 サラッと読めますが、幸せに生きるための薬効成分がたっぷり!
 つい、人と自分を比べてイライラしたり、自慢・マウンティングをしたりされたりしてしまう方は、ぜひお手に取ってみてください。

 心も体も一気に軽くなりますよ。
 
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プロフィール

アコチム

Author:アコチム
反抗期真っ最中の子をもつ、40代主婦の読書録。
「読んで良かった!」と思える本のみ紹介。
つまらなかった本は載せていないので、安心してお読みください。

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