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「おっぱいエール」感想。若年性乳がんの女性3人組が日本にエール!控えめに言って最高の一冊。

抗がん剤の副作用も心配だし、それが無事終わったところで、その先にはまだ光すら見えなくて、たくさんの困難が待ち構えているに違いないのに-でも、その最中に、大切な人の笑顔に出会える瞬間があるのだとしたら、やっぱりそれは、「悔しいけれど、おもしろい」に違いない。
(本文引用)
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 今までこれほど元気が出た小説は、ない。
 
 その「元気」も、ただ「やるぞー!」という単純なものではなく・・・なんだろう?
 今後、どんなマイナスなことが起きても、とにかく生きるだけ生きていけるような、這ってでも生きていけるような、予想外の緊急事態に直面しても静かに笑顔をたたえていられるような・・・。

 何があっても自分を見失わず、人を貶めることなく、一個の尊厳ある人間として立っていられるような。
 何があっても、一筋の光に大きな希望を見出せるような。

 そんな「心の奥深くからの元気」を、本書は私に贈ってくれた。

 これほどの感動が、私の人生にまだ残っていたなんて。

 
 「おっぱいエール」、最高だ。
 どんなに控えめに言っても、最高としか言いようのない小説だ。

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伊与原新「月まで三キロ」あらすじ・感想。人生に疲れた人へ。科学こそ「生きるエネルギー」になる!

「赤ん坊の月は、地球のそばにいるじゃないですか。幼いころは、無邪気にくるくる回って、いろんな顔を見せてくれる。うれしい顔、悲しい顔、すねた顔、楽しい顔、さびしい顔、全部です。でも、時が経つにつれて、だんだん地球から離れていって、あんまり回ってくれなくなって、とうとう地球には見せない顔を持つようになる」
(本文引用)
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 現在、「生きているのがつらい」と感じている人は、ぜひ本書を手に取ってみてほしい。
 本当に、だまされたと思って、第一話だけでも読んでみてほしい。

 「生きるのがつらい」と悩む人に、こんなお願いをするのは傲慢かもしれない。
 「あなたに私の何がわかる」と誹りを受けるかもしれない。

 でも「月まで三キロ」に綴られる文字を、登場人物たちの思いを、悲しみを苦しさを寂しさを追ってみてほしい。

 そして同時に、本書を読みながら「人間の悲喜こもごもに関係なく活動をつづける自然界」に、そっと目を向けてみてほしい。

 
 今まで、あらゆる美辞麗句で「人生って楽しいよ」と言われても動かなかった心が、何か「変わる」。

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小松左京「復活の日」あらすじ感想。東京五輪の年に書かれた予言的名著。感染症はなぜパニックを引き起こすのか。

  人間は永遠に手いたい試行錯誤によってしか、物事を知ることができないものなのだろうか?
(本文引用)
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 「初版あとがき」を読み、思わず「ウソッ・・・!」と叫んだ。 

 「昭和三十九年八月      小松左京」


 昭和39年は、東京五輪が開かれた年。
 奇しくも、感染症で世界中がパニックに陥る小説が「東京五輪開催年」に出版されていたのだ。

 人気俳優の死を皮切りに、各地で突然死が続発。
 その真相は、全身麻痺を起こす細菌だった!

 小松左京著「復活の日」は、感染症によるパニックを緻密に描いたSF小説。

 しかし読めば読むほど、とてもフィクションとは思えない。
 
 なぜ「フィクション」とは思えないのか。

 
 それは今、実際に起きている“新型コロナウイルス・パニック”と、ゾッとするほど似ているからだ。

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「安楽死特区」あらすじ感想。ミステリーじゃないのにミステリーより怖い「どんでん返し」3連発!

この物語が近い将来、現実にならないことを祈っています。
(「あとがきにかえて」より)
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 「どんでん返しにもほどがある!」
 これが、本書読了後の第一声だ。

 そう聞くと、ミステリー小説と思うかもしれないが、本書はミステリーではない。
 全く、ない。

 しかし「どんでん返し」の衝撃度は、そんじょそこらのミステリーよりはるかに強い。
 
 どんでん返しといえば、ミステリーの専売特許と思っていたが、本書を読み、認識がガラリと変わった。

 実は人間はすでに、「どんでん返し」が渦巻く住処。


 知能犯でも名探偵でもない、普通の人間こそが「大どんでん返し」を起こしてしまう。

 「安楽死特区」は、そんな気づきをくれる衝撃的な一冊だ。

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誉田哲也「背中の蜘蛛」あらすじ感想。直木賞候補作!「読んだら日常には戻れない」は本当だった。

「馬鹿だな、お前・・・・・・人の秘密を暴く側の人間が秘密を持ったら、その時点で負けなんだよ」
(本文引用)
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 直木賞候補作。

 帯に「読後、あなたはもうこれまでの日常には戻れない」と書かれているが、本当にそのとおりだった。

 縁もゆかりもない、赤の他人の殺人事件。
 しかし意外な形で、自分の生活を脅かす。

 その危険に気づけるのは、「背中の蜘蛛」を読んだ人だけ。
 
 だから本書を読んでしまうと、もう読む前には戻れない。

 読んだ人と、読んでいない人とでは、風景の見え方、日々の過ごし方、人生の歩き方が全く違ってくるはずだ。


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「流浪の月」あらすじ感想。本屋大賞候補作!事件の本当の加害者は「読者」かもしれない。

 「わたしのしてることは、きっとおかしいんだろうね。病気だと思われてもしかたないんだろうね。心配してくれてありがとう。でも、もう見捨ててほしい」
(本文引用)
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 本屋大賞ノミネート作。
 SNSでも非常に評判が良いので、読んでみた。

 そして1ページめを開いた瞬間から「あ、これは買って正解」と予感。
 すぐにグイッと引き込まれ、家事も放り出し一気読みした。

 世間をにぎわせた少女誘拐事件。
 その事件に一生つきまとわれる、被害女性。

 だが本当に恐ろしいのは、彼女を囲む世間。
 つまり本書を読む私こそ、彼女を最も苦しめる加害者かもしれない――読みながら、そんな恐怖がわきおこった。

 怖い。自分の残酷さを突き付けられてつらい。もう責めるのはやめてくれ。
 そう思いながら、いや、そう思うからこそ、私は読む手を止められなかった。

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「熱源」あらすじ感想。直木賞・「本屋が選ぶ時代小説大賞」受賞作。まさに生きる熱源となる名作。

 「そこには支配されるべき民などいませんでした。ただ人が、そこにいました」
(本文引用)
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 読みながら、胸がカァッと熱くなるのがわかった。

 心がたぎってくる、という感じだ。
 
 人は誰でも、幸せに生きる権利がある。
 しかし世界には、「幸せに生きる権利」を奪われている人がいる。
 
 いや「幸せに」どころか、「生きる権利」「存在価値」そのものを否定される人がいる。

 そのような理不尽な思いをしている人が、己の生きる道を探り、必死に幸せになろうとする。
 心が熱くならずにいられようか?

 直木賞受賞作「熱源」は、まさに熱源となる本。


 「私は生きていていい、生まれてきて良かったのだ!」と、心の底から自分を肯定できるようになる。

 ずばり「生きるエネルギー、ガソリン」となる一冊だ。 

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プロフィール

アコチム

Author:アコチム
反抗期真っ最中の子をもつ、40代主婦の読書録。
「読んで良かった!」と思える本のみ紹介。
つまらなかった本は載せていないので、安心してお読みください。

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