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「オペレーションZ」あらすじ感想。真山仁は「アノ作家」に負けない予言者だった!?

 そして、我々は本当に後がなくなった――。(本文引用)
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 3月からドラマ放送されている「オペレーションZ」。

 半年前に読んでいたら、「こんなこと、起きるわけがない」とエンタメ気分で読んでいただろう。
 
 しかし、新型コロナウイルス感染拡大が止まらない今、とてもそんな気分で読むことはできない。
 「本当に起こるかも・・・」と、戦慄しながら読んでいる。

 「アノ作家」や真山仁ぐらいの巨匠になると、予知能力がつくのであろうか・・・。
 
 日本の経済が破綻寸前。
 社会的弱者が見殺しにされる政策。
 そしてアノSF作家が、小説で未来予測。

  
 新型コロナウイルスの「コ」の字もなかった時に書かれた小説だが、まるで今回の事態を見通したよう。

 世界経済が日に日に落ち込んでいる今、「今そこにある危機」として読んでおくべき一冊だ。

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真山仁「バラ色の未来」。日本にカジノは毒か薬か?ギャンブル依存症の問題は?

評価:★★★★☆

 「この大キャンペーンって、未来がバラ色だと勝手に決めつけて、欲望に溺れた挙句に破滅した人間の愚かさを暴くのが目的ですよね」
(本文引用)
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 「捕らぬ狸の皮算用」――この小説を一言で表すと、こういうことだ。

 それが狸一匹ならまだいい。そして、狸のために家財も何もかも売り払ったというわけでないのなら、まあいい。

 しかしお金がドロンと枯葉になった瞬間、何もかもが崩れ落ちる。

 真山仁の新刊「バラ色の未来」は、そんな危機感に満ち満ちている。
 正義漢・真山仁ならではの熱い一冊だ。





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海は見えるか  真山仁

評価:★★★★☆

  社会の常識とか倫理とかが大事っていうのも分かるけどさ、それより何より俺たちが望んでるのは、普通の生活なんだよ。
(本文引用)
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 「そして、星の輝く夜がくる」に続く、「まいど」先生・小野寺徹平シリーズの第2弾。
 東日本大震災に関する小説は、もはや真山仁のライフワークとなっている。そのなかでも、この小野寺シリーズは平易で柔らかな筆致で書かれているためサクサクと読めるが、それで終わらないのが真山作品。
 
 政治、経済、医療、教育・・・軽やかな文体ながら、震災が残すあらゆる問題点について鋭く深く斬り込んでいく。
さて、震災から2年目を迎えた被災地の小学校で、小野寺は何を思い子どもたちと対峙していくのか。
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 小学校教員・小野寺徹平は、東日本大震災で被災した小学校に派遣され、二度目の春を迎える。



 実は小野寺には、阪神淡路大震災で妻子を失うという過去がある。

 月日が経つにつれ、子どもたちの心の傷は癒えてきているように見えたが、月日が経ったからこそ露わになる問題もある。
 そうして心が不安定になる子どもたちを前に、小野寺はもがき続ける。どうすれば子どもたちを助けられるのか、と。

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雨に泣いてる 真山仁

記者が博愛主義者になったら、それは仕事を辞める時だ。(本文引用)
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 今まで、「社会派ミステリー」と銘打たれた小説はいくつもあったと思うが、たいてい「社会派」に重きが置かれ、「ミステリーなんてあったっけ?」という場合が多い。
 しかし、これは見事に「社会派」と「ミステリー」を両立させている。ここまで「ミステリー(=犯人探し)」の要素が強いのは、真山作品にしては珍しいのではないか?
 とにもかくにも、非常に面白かった。意外な展開の連続と、そのたびに湧き上がる主人公の葛藤に引きこまれ、一気に読んだ。
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 物語は、2011年3月11日午後、東日本を大きな揺れが襲った瞬間から始まる。
 東北が震源と知った新聞記者・大嶽圭介は、すぐさま現地取材を申し出る。阪神・淡路大震災を経験しており、良い記事が書けると踏んだためだ。

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売国 真山仁

 <真ちゃん、世の中には簡単には正体を見せへんぬかりないものが案外、そこらへんに潜んでるんです。>(本文引用)
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 真山仁氏の本は、必ず買う。よって、「勝手知ったる・・・」といった気持ちで読み始めるのだが、今回はちょっと違う感触をもった。構成等いろいろな面で、今までの真山仁作品とは異なる面が、本作にはあるのだ。
 それを好むか好まないかは読者次第だが、私にとっては非常に面白く、寝る間も惜しんで読んでしまった。それはおそらく、私がミステリーやパズルが好きだから。

 全く違う2つのストーリーが、いつ重なり合うのか。手帳に書かれた数字は、いったい何を示すのか。 

国破れて正義あり

 

正義ありて国甦り


 そんないつもの真山節も健在ながら、ミステリー色も強い本作は、社会派エンタテインメントとして十分楽しめる小説となっている。

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プライド 真山仁

 胸の内で強く思い、黙って行動している時、“誇り”ほど人を強くする情熱はない。ところが、ひとたびこの言葉を口にすると、急に怪しくなる。
(「文庫版あとがき」より)
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 以前、「心に太陽を持て」という本について書いた。 

「唇に歌を持て。
勇気を失ふな。
心に太陽を持て。
さうすりや何だつてふつ飛んでしまふ。」

 ドイツの詩人ツェーザル・フライシュレンによって書かれたものだ。
 この詩は、「路傍の石」等で知られる文豪山本有三氏を魅了し、山本氏は「心に太陽を持て」と記した色紙も遺している。そしてその思いは、真山仁氏も同様らしい。
 真山氏は、この詩を現代の日本人に贈りたいと語り、さらに独自の一節を加える。

 

「心にプライドを持て」

 真山仁短編集「プライド」は、善より悪が闊歩する世の中で、真の誇りをもって人生を突き進んでいく者たちの、雄々しくもちょっと悲しい物語だ。
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そして、星の輝く夜がくる 真山仁

 「きっとみんないつかは飽きちゃうと思うんだ。人助けって疲れっから。それに、小野寺ちゃんもそうだけど、帰る場所があるだろ。いずれは去っていく人なんだ。だから、みんながいなくなるまでの間は甘えて、しっかり体力を蓄えておこうって思ってる。そっからが本当の勝負だから」
(本文引用)
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 「『人を助ける』って、本当に難しい――よなぁ・・・」。読みながら、そう考え込まざるをえなかった。
 大量の瓦礫、絶えず漂う粉塵と異臭・・・そのなかで子どもたちの心を開かせようと奮闘する小学校教師を描いた本書は、 柔らかな文体ながら「真の復興とは何か」を鋭く問いかける、「問題作」ともいえる小説だ。
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 東日本大震災から2か月後、被災地の小学校に、ある1人の教師が赴任してくる。名前は小野寺徹平。彼はいきなり「まいど!」と子供たちに挨拶し、絶妙なボケで子供たちの心を解きほぐす。
 しかし少しでも余震が来ると、小野寺は厳しく「机の下に隠れろ!」と指導する。しかしそれに従う児童はわずかだった。皆、地震に慣れてしまっているのだ。

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プロフィール

アコチム

Author:アコチム
反抗期真っ最中の子をもつ、40代主婦の読書録。
「読んで良かった!」と思える本のみ紹介。
つまらなかった本は載せていないので、安心してお読みください。

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