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「世界を変えた10人の女性」。緒方貞子さんの偉業とは?未来を変える思考のヒントがみるみるわかる!

★こんな人におすすめ!

●緒方貞子さんの偉業について、重要ポイントを知りたい人。
●男女平等・共同参画の道筋をじっくり考えたい人。
●「世界を変える思考法」を知りたい人。
●「説得力のある主張をしたい」と思ってる人。

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 ここです、みなさん方がこれから社会に出ていく上で、ぜひヒントにしてほしいのは。
(本文引用)
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 先日、緒方貞子さんが亡くなった。
 日本人初の国連難民高等弁務官となり、組織・職域を越えて、多くの人命を救助。
 緒方氏の「人命第一」に基づく柔軟性と決断力、リーダーシップ、そして「愛」は、永遠不滅に語り継がれることだろう。

 そこで紹介したいのが、「世界を変えた10人の女性」。
 ジャーナリスト・池上彰氏が、お茶の水女子大学で行った講義の記録である。

 緒方貞子、マザー・テレサ、マリー・キュリー、ナイチンゲール、マーガレット・サッチャー、ベティ・フリーダン等々・・・。

 彼女たちの偉業とは、何だったのか。
 どのような点で「世界を変えた」といえるのか。
 そして彼女たちはどうして、世界を変えることができたのか。


 
 池上彰氏が、次代を担う女子大学生と共に「世界を変えた女性」について、徹底分析・討論していく。

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「池上彰の憲法入門」。国会議員が逮捕されないのはなぜ?完成までの意外なエピソードも!

評価:★★★★★

 そもそも憲法を読んだことがなくては、変えるべきか変えないでいいか、議論ができません。まずは、憲法を読んでみる。そこから始まるのではないでしょうか。
(本文引用)
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 改元に伴う天皇陛下の儀式を見ていたら、ムクムクとこんな衝動がわいてきた。

 「今一度、憲法について知らなくちゃ!」

 第二次世界大戦前の大日本帝国憲法と、現在の日本国憲法の大きな違いは、「主権が誰にあるか」。
 
 大日本帝国憲法下では主権は「天皇」にあったのが、日本国憲法では国民主権に。
 
 天皇のお立場も、「国の元首」から「象徴」になった。

 さらに司法も、かつては「天皇の名による裁判」だったのが「司法権の独立」となった。

 
 憲法を考えるうえで、「天皇陛下のお立場・あり方」を考えることは欠かせない。
 天皇の位置づけは、そのまま憲法、引いては「国の信念・かたち」を確認するうえで、認識しておかねばならないことなのだ。

 というわけで、今回の天皇陛下退位・即位は憲法を学ぶ絶好のチャンス。

 首相が何が何でも憲法改正しようとしている今、最も必要なのは「憲法を読み理解すること」。
 本書のようなわかりやすい本で、憲法を学ぶことで、自分なりの「正しい判断」「賢明な選択」をすることができる。

 改元し、天皇陛下への関心がピークになっている今、読んでみてはいかがだろうか。

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■「池上彰の憲法入門」内容



 本書ではまず「憲法とは何か」からスタート。
 法律が「国民が守るべきもの」である一方、憲法は「その国の権力者が守るべきもの」と解説。

 国家権力を野放図にせず、憲法で制限することで、「国民の自由と権利を保障する」としている。

 つづいて日本国憲法が完成するまでのプロセスを、詳しく説明。
 ある新聞社のスクープにより、当初の憲法案が大きく変更されたこと。
 日本と米国それぞれの主張が意外な点で混じり合い、意外な点でぶつかったことなどを詳しく解説する。

 そこから憲法の主な条文について解説。
 今、「違憲か合憲か」で問題となっている事例を交えて、憲法の本質や「現実とのズレ」にグイグイ迫っていく。
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■「池上彰の憲法入門」感想



 本書の特徴は、まず「憲法ができあがるまでのプロセス」を重視していること。
 マッカーサー元帥主導のもと、日本国憲法ができあがるまでの過程に、大きくページを割いているのだ。
 
 そう聞くと「今すぐ、憲法について知りたい」という人は焦るかもしれない。
 「そんなものを読んでる暇はない。ムダ」と思う人もいるかもしれない。

 しかし実際に読んでみると、その認識は間違いであると、すぐ気づく。
 完成までの道すじを知ると、日本国憲法の本質が目が覚めるように見えてくる、頭にスイスイ入ってくるということがよくわかる。

 日本国憲法を作る過程で、最も驚かされるのが「スクープによって変えられた」という事件。
 実は当初は、「天皇主権」は変えないつもりだったという。
 
 ところがある新聞社がそれをスクープとして報道。
 記事を見たマッカーサー元帥が激怒。

 「天皇の仕事は憲法にもとづいておこなわれる」、 「封建制度は廃止する」という方向で憲法を作ることになり、現在の「国民主権」「基本的人権の尊重」に落ち着いたのである。

 また自衛隊のあり方を知るうえでも、憲法作りのプロセスを知ることは非常に有効。
 マッカーサー元帥と、他の米国関係者との間で意見がぶつかり、「戦争の放棄の線引き」が行なわれたエピソードを紹介。
 
 この「戦争放棄」にまつわるエピソードは、憲法九条改正論議を考えるうえで欠かせない。

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 そう、本書の魅力は「起源にさかのぼること」で、「真の理解をサポートする」点。
 ただ日本国憲法を読むのではなく、「どのようにして生まれたのか」を知ることで、これほど憲法がわかるとは・・・と目の覚める思いがした。

 さすが池上彰さん。
 「どうすれば、人は物事を深く理解できるのか」をしっかり押さえた構成となっている。

 さらに本書では、主な条文について「事例」を交えて解説。
 首相の靖国参拝問題、一票の格差、生活保護とワーキングプア等々・・・。

 そして時おり問題となる、「不逮捕特権」。
 国会が開かれている間、なぜ国会議員は逮捕されないのか。
 
 このような問題が起こると、ネット上では怒りの声がわく。
 しかし実はこの不逮捕特権、憲法に照らすと「なるほどごもっとも!」とうなる「決まり」。

 もし「どうしても成立させたい法案」に反対する議員が、逮捕される事態になったら・・・?

 逮捕する権力をもつ人間が、常に公正で正しいわけではないと考えると、非常に納得できる特権なのである。

 本書を読めば、憲法がいかに「権力者の傍若無人行為を許さぬか」がわかる。

 そしてその「憲法の本質」を知れば、憲法改正論議への姿勢も変わってくる。

 令和になり、憲法は変わるのか変わらないのか。

 本書を通して憲法誕生のスタート地点、こめられた思いに立ち返り、慎重に慎重に考えていきたい。
                                                                     
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「速すぎるニュースをゆっくり解説します」池上彰。世界ニュースを頭に入れるなら、まずはここから!

評価:★★★★★

 かたや「美しい国、日本を、取り戻す」、かたや「Make America Great Again」
(本文引用)
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 平成のラストスパートに、世界情勢を一気につかめる一冊。
 「つかむ」と言っても、全て現在進行形の出来事なので、つかんでは逃げるウナギのようなものかもしれないが。

 でも本書を読めば、日々進行していく世界ニュースが、グッと面白くなる。
 
 そもそも世界情勢のニュースをスルーしてしまうのは、「面白くない」から。
 「面白くない」と感じるのは、「事の重大さ」がわからないからだ(私がそうなのだが)。
 世界のニュースに興味を持ち、グワッと把握するためには、まず「事の重大さ」を知るのが肝心なのだ。

 本書は、世界のさまざまな出来事について、スタート地点からゆっくり解説。

 
 「なぜエルサレムが首都に認定されたのが大問題なのか?」
 「なぜ難民受け入れが、世界的な問題になっているのか?」
 「なぜ連日、EU離脱が報じられるのか?」

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 そんな「なぜ?」は、起源にさかのぼって考えれば一発解消。
 池上流、「そこからですか?」の噛んで含めるような解説で、一気に「事の重大さ」がわかってくる。

 世界のニュースに興味を持ちたい、スルスルと理解したい・・・そう思う方に、本書の「ゆっくり解説」はおすすめだ。
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■「速すぎるニュースをゆっくり解説します」内容


 本書は大きく7章構成。
 アメリカのトランプイズムから始まり、EU崩壊、ロシアの新・帝国主義、イスラム国、中国の迷走、韓国・北朝鮮の今後、そして日本の安倍イズム・・・。

 分断、独裁、流出・流入・・・それらに隠れた問題点を、「世界の成り立ち」からじっくり解説。

 半藤一利やエマニュエル・トッド、出口治明との対談も交えて問題点を探り、世界の未来を占っていく。
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■「速すぎるニュースをゆっくり解説します」感想


 本書の魅力は「そこからですか?」から読めること。
 いわば神社のご利益を、古事記から知るようなもの。
 御祭神の性格や人間関係を神話から知ることで、よりご利益が腑に落ちる・・・そんな感覚を時事問題に持ち込んだ本だ。

 たとえばエルサレムの首都認定問題。
 池上氏はまず、トランプ大統領の家族関係から「アメリカ大使館移転」について解説。
 
 さらにそもそも、「なぜエルサレムは聖地なのか」を基礎からゆっくり説明。
 エルサレムの特徴から、「特定の国の首都」としてこなかった理由・・・つまり「特定の国の首都とすることが、どれだけ大問題であるか」を説いていく。

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 また本書は経験者の生の声から、世界情勢がわかるのも魅力。
 移民問題では、フランスとベルギー、あなたならどちらに行く?から言及。

 なかでもエマニュエル・トッド氏の経験談は、ベルギーの在り方の是非を問う興味深いもの。

 かつてオランダ語地域でカフェに入ったところ、ボーイから完全に流暢なフランス語で「あなたがフランス人だから、フランス語で接客しますが、ベルギー人でしたらそのようなサービスをするわけにはいきません」と言い放たれました。


 ベルギーは自国の文化を押しつけないため、移民にとって居心地が良いように見える。
 しかし実態は強烈な分離社会で、そこに移民がもっと入っていったら・・・と警鐘を鳴らす。

 「そこからですか?」と言いたくなる基礎の基礎から解説し、しかも生身の体験も交えていく。

 だから本書を読めば、イヤでも世界の大問題に興味が持ててくる。
 そしてイヤでも、世界の大問題が頭にスルスル入ってくるのだ

 世界問題が面白くなれば、日本の大問題も見えてくる。

 終盤、池上氏と出口治明氏との対談では、思わずゾクッ。
 確かに安倍首相と仲がいいのって・・・うん、その人たちだよね・・・。
 ということは・・・?

 ニュースってわかりやすく知れば知るほど、恐怖が大きくなるんだな。
 読み終えた途端に・・・胃が痛くなってきた。
                                                                     
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偏差値好きな教育“後進国”ニッポン 増田ユリヤ/池上彰

評価:★★★★☆

あれから三一年。日本の教育界は何を学んだのだろうか。
(本文引用)
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 タイトルから、日本の学歴社会・偏差値偏重主義を批判する本かと思っていました。
 
 でも、この本が指す「偏差値」とは、学力の偏差値ではなさそう。

 勉強に限らず、「何でも平均より上に見せようとする」偏差値好き。
 さらに言えば「優秀に見せようとするために、何か大きなものを隠し、誤魔化そうとする」偏差値好き、という意味と受け取りました

 本書は、日本の学習方法・学力向上への取り組みについては、むしろ高く評価しています。
 ならば、どこが教育後進国なのかというと「人権・いじめ」に関する意識です。



 本書では欧米で起きた「いじめ」事例をいくつか挙げ、いじめに対する各国の取り組みを紹介しています。

 それらの事例を見て驚くのは、「いじめ」に対する、大人と子供の意識の乖離。

 大人から見れば明らかに「いじめ」であることが、当事者である子どもたちは「いじめ」と捉えていない場合が多いんです。 

 なかでも衝撃的なのは、クラスメイトに宿題をやらせる「いじめ」をしていた事例。

 これはフランスの事件。
 クラスメイトに無理やり宿題をやらせ、宿題をやらなかったり提出が遅れたりすると、「何でやらなかったんだ」とすごむという「いじめ」でした。

 監視員の目により、このいじめが発覚しますが、いじめた側といじめられた側の意見の相違が食い違っていることに、大人は大きな衝撃を受けます。

 さらに驚くべきことは、双方とも「いじめ」と捉えていないこと。

 毎日会っている子どもたち同士で、自然発生的に起き、次第にエスカレートする暴力・いじめは、どんなに被害者が苦しくても「いじめ」に映っていない。

 そんな残酷な「子ども社会の現実」を、本書は突きつけます。

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 本書で紹介される事例を見ると、「いじめがわかった時の大人の対応」がいかに重要であるかがわかります。

 「いじめ」が少しでもわかったら、大人がはっきりと「それは許されない行為であること」「犯罪ともいえる行為であること」を毅然と示さなければならない。(子どもたちに対しても、世の中に対しても)

 いじめがダラダラと続く状況を作るのか、それとも「いじめ」がピタッと止む状況を作るのかは、大人の対応・態度次第であることが、本書を読むとわかります。

 日本が後進国であるのは、ずばりその点。 
 いじめが起きたという事実を、まっすぐ受け止めるのではなく隠蔽する。
 その姿勢が変わらないから、相変わらず「いじめ」「隠蔽」「自殺」「いじめの事実をしぶしぶ認める」という悲劇が繰り返されるのです。

 本書は、日本の教育を何から何まで否定するわけではありません。
 先述したように、学力向上・維持に関しては、日本の取り組みを評価しています。
 
 よって、「子どもを海外で学ばせたい」とか「世界に羽ばたく子どもにする術を知りたい」なんてことを期待すると、おそらく失望します。

 でも、「一個の人間として楽しく生きるために、大人はどうサポートすべきか」を考えるには非常に良い本。
 
 大人と子ども、手を取り合ってどう前向きに人生を歩いて行くか。
 それを考える手助けになる一冊です。
 
 道徳教育の重要性も増していますし、本書の内容を心に留めておいて損はありません。

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文章力をつけたい方は必読!「書く力 私たちはこうして文章を磨いた」

評価:★★★★★

 文章を書く「いろは」があるとして、その「い」のところは、「書く」ことではなくて、「自分が興味を持って読み続けられる良い文章を見つける」ことかもしれませんね。
(本文引用)
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 この一冊があればおいしい料理が何でも作れる。そんな料理本というものがある。本書は、そんな一冊だ。

 情報発信をする機会が爆発的に増えた今、文章力をつけたいという方は多いであろう。
 そんな方に「これは絶対に読まなきゃ損」「これさえ守れば、絶対に文章はうまくなる」と全力で薦めたくなるのが、この「書く力」。

 過去に文章の書き方を指南する本はたくさん出ているが、本書は究極の一冊ではないか。

 池上彰氏と竹内政明氏が明かす「うまい文章の秘伝レシピ」が、今、ここに明かされる。




●概要


 本書は対談形式となっている。

 話すのは共に、文章の達人であるこの二人。ジャーナリスト池上彰氏と、読売新聞「編集手帳」筆者の竹内政明氏だ。

 もともと、竹内氏の文章に惚れ込んでいた池上氏の希望で叶った企画らしく、対談は終始、池上氏が教えを乞う形で進められる。

 池上氏は、まず竹内氏の文章の大きな魅力として、「冒頭で先の展開が読めない」点を挙げる。

 国文学者の池田弥三郎さんに、夫人と一緒に東北の旅館に泊まった折の思い出話がある。
 散歩に出るとき、番頭さんが「じいさん、ばあさん、お出かけ」と大声で呼ばわった。戻ると今度は、「じいさん、ばあさん、お帰り」。
 一度はともかく、二度は勘弁ならぬ。キミ、僕たちは確かに若くはないが、もっとほかに言い方があるんじゃないか!

 この話は、後に思わぬ展開に転がっていき、読者は思わず惹きつけられる。
 冒頭で「ん?」と思わせ、どこにつながるかわからないが、ラストはしっかりと着地する文章で魅了するのが竹内流。
 そんな、冒頭と結末とのブリッジうまいブリッジのかけ方と、そのような達人技の磨き方を、竹内氏は披露する。

 他にも、池上流および竹内流の日々の研鑽の積み方や文章力向上の秘訣、そして書かないようにしている表現といった職人技が満載。
 帯に「ここまで明かしていいんですか?」とあるとおり、洗練された文章を書くコツが惜しげもなく語られる。


●「書く力」のここが面白い!


 本書の魅力は、「書くのが好きな人」だけでなく「読むのが好きな人」も存分に楽しめる点だ。
 まず、竹内氏の体から出てくる言葉は、それだけで読む者をワクワクさせるものだ。 

 道ばたで、ひどく肥満した男が痩せ薬を売っている。通りかかった人が男の風体をジロジロ見ながら、疑わしげに聞いた。「ほんとうに効くのかい?」男は答えた。

 

 ギャング映画には、しばしばボディーチェックの場面が出てくる。相手のポケットをまさぐり、衣服の膨らみを叩き、隠し持っている銃やナイフを探す。
 それに似た対談になった。

 先述した通り、竹内氏はブリッジをかける名手だ。一見、テーマとは関係のなさそうなアプローチから入り、それを次第に話のテーマへとつなげ、ラストではきちっと着地する。
 本書には、その例が豊富に載せられているのだが、それを読んでいるだけでも飛びあがりたくなるほど面白い。何度、フフッと笑ったり涙ぐんだりしたことだろう。

 膨大な知識、読む人を驚かせ喜ばせようとするユーモアとスピタリティ、そして日頃の鍛錬。それらが合わさると、かくも美しい文章ができるものなのかと目の覚める思いがする。

 さらに終盤に向けて、文章力向上法はさらに具体的になっていくが、そこで紹介される歴史上の名文もいい。

 島崎藤村、上田敏、そして唐詩etc.竹内・池上両氏とも、名文を書き写すといった鍛錬を欠かさないと語るが、その名文の例が大量に掲載されているのが嬉しい。
 両氏とも文章力アップのためには、まず大量の名文を読むことを挙げるが、本書を読めば誰でも、その鍛錬法をクリアすることができるだろう。

 文章を書くことはもちろん、文章を読むことが、これほどまでに心とろかすものとは・・・。本書を読んでいると、読書の愉悦にひたることまでできるのだ。


●まとめ


 とにかく文章力を上げたい、誰もがうなる文章を書きたい。
 そうお考えの方には、これ以上ないほど必読の一冊だ。

 本書には「うう~ん、うまい!」と読者が膝を打つような文章を書くメソッドが、企業秘密を明かすがごとく豊富に載せられている。
 しかも本書が奨励する文章は、ゴテゴテと飾り立てた、いかにも「うまい」と言わせたいような文章ではない。 

池上 本当にうまい文章というのは、「技巧が凝らされている」ということを、読者に気づかれないんですよね。

 それは、薄味だがしっかりと出汁の効いた、心から「おいしい」と酔いしれることができる。本書で紹介されている文章は、そんな料理レシピの文章版と考えて良いだろう。

 文章を書きたい方、そして書かなくても良いけど読みたい方。
 どちらにとっても、最高に美味でぜいたくな良書である。

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トランプ、プーチン、安倍晋三・・・。「新・リーダー論」であのコンビが現代のリーダーを斬る!

評価:★★★★★

 ナルシシズムの肥大した根拠のない全能感を持つような指導者は必要ない。
(本文引用)
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 2017年1月20日、オバマ大統領が退任し、いよいよドナルド・トランプ氏が大統領に就任する。
 かつて、これほどまで資質・適格性を問われる大統領はいないのではないか。
 就任式当日には、全米各地でトランプ氏大統領就任に対する抗議集会が開かれるという。

 今、世界は放任主義・超個人主義に大きく傾いている。
 そんな「新自由主義」が跋扈する今、どんなリーダーが世界をけん引しているのか。そのリーダーたちは、リーダーたる資質を持っているのか。
 池上彰・佐藤優の名コンビが、新自由主義時代のリーダーたちをぶった斬る!




●概要


 池上・佐藤両氏は、まず「リーダー不在の時代」である今を分析する。
 リーダー不在の原因のひとつは、信頼関係の崩壊。今、いわゆるエリート層と民衆との間の信頼関係が崩れていることを両氏は指摘する。
 それを象徴するのが、日本の裁判員制度。これはエリート層が自信を失い、市民に責任を丸投げしている証拠であると両氏は言う。

 他、イギリスのEU離脱も国民投票という「丸投げ」を実施。
 結果、制度や国がうまく機能しないという結果を生み出している。 

佐藤 民主主義は、エリートの責任感と国民のエリートへの信頼感によって支えられるものなのに、民主主義の基盤が崩れかけています。

 責任所在の曖昧さ、それに伴うエリートへの不信感、社会性を失い個人主義に走る民衆。
 そんな社会の病理が、言動が派手で攻撃的な「強そうなリーダー」を生んでしまっているという。

●「新・リーダー論」のここが面白い!



 この「新・リーダー論」の面白いところは、ちょっと知られていない裏話や独自の観点から、リーダーの資質を問うている点だ。

 たとえば、「強いリーダー」プーチン大統領について、両氏はこんなエピソードを披露する。
 オリンピックのドーピング問題で、プーチン大統領は「他の国もやっている」といった趣旨の発言をする。
 池上・佐藤両氏は、その発言からプーチンの真の姿を見る。 

そんな人だから、オリンピックのドーピング問題でも「他国もやっている」と言い放ってしまう。その発言がどれだけロシアの信用を失墜させるかがわからない。エリツィンならそんな発言はしない。

 「そんな人だから」というのはプーチン氏の経歴に伴うものだが、その「意外」な観点は、ロシア通の佐藤氏ならではのものだろう。これは私にとって、実に新鮮なものだった。

 また、伊勢志摩サミットに対する両氏の意見も見逃せない。 

池上 そもそもサミットの会場が伊勢志摩に決まった時、咄嗟に私が思ったのは、「えっ、まさか伊勢神宮に首脳たちを連れていくのか。おいおい、よせよ」ということでした。

 各国の首脳陣を、宗教色の強い伊勢神宮に連れていくのがどれだけトンチンカンなことかを、両氏は歯に衣着せぬ言説で主張。
 さらに、日本の自動車不正事件が問題となっているなか、首脳陣を自動車試乗会に連れていくという鈍感さをズバズバと指摘する。

 トランプ、プーチン、金正恩、安倍晋三etc.
 現代のリーダーのズレっぷりを、意外なエピソードや視点からバッサバッサと斬っていく様子は実に面白く痛快だ。


●まとめ



 池上・佐藤両氏は、繰り返し「人間は群れをつくる動物である」と語る。
 さらに「独りでは生きていけない存在である」とも。

 人間が本来そのような性質を持っているにも関わらず、リーダーの責任感が希薄で逃げ腰だと、その社会は崩れてしまう。
そして結果、極論・暴論を吐き、わざと敵を作っては這い上がる「強そうなリーダー」が生まれることになる。
 本書は、そんな現代の病理をさまざまな事例から鋭くえぐり出している。そしてそれらの分析から、両氏は真に幸せな社会への処方箋を書こうとしている。

 アメリカの大統領は、すなわち世界の大統領。すなわち、私たちの生きる世界の大統領イコールドナルド・トランプその人。
 そんな人がリーダーを務める世界と、今後どう向き合っていくべきか。本書はその術を与えてくれる。

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「僕らが毎日やっている最強の読み方」池上彰/佐藤優  感想

評価:★★★★★

 池上「ネットの論調が主流とは限らない。ネットで不特定多数に向けて情報発信している人は全体で見ればまだ少数派だ」くらいに考えておいたほうが、バランスがいいかもしれないですね。
(本文引用)
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 すっかり「知」の名コンビとなった池上彰氏と佐藤優氏。
 このお二人の「最強の読み方」、そして「新聞・雑誌・ネット・書籍から『知識と教養』を身につける極意」などと聞くと、それだけで「自分には無理」と怖気づいてしまいそうだ。

 だからといって、この本を読まずにいるのは、実にもったいない。
 読まないと、できるはずのことをできないまま一生を終えることとなる。本当はできたことなのに、できないことにしたまま、ただ頭と体が衰えていくのを待つだけになる。

 本書に書かれていることは、池上・佐藤両氏が「毎日やっている」ことだ。
 「毎日やっている」ということは、「いざという時にやっている」のとは違い、継続してやっていること、継続してできることという意味だ。
 つまり、それほど大変な労力を要するものであるはずがなく、誰でも実行可能なことばかりが書かれているはずなのだ。



 それは、本書のページを開けば、すぐにわかる。
 たとえば新聞の読み方ひとつとっても、彼らがかける労力と時間は驚くほど少ない。また、書籍の読みこなし方や偏りのない情報の獲得方法も非常に効率的で、確かにこれなら毎日できると納得できる。
 では、彼らが「知の巨人」であり、右に出る者のいない教養人であり、これほどの売れっ子である理由は何なのか。かくもシンプルな情報獲得法のなかに、いったい何が隠されているのか。

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プロフィール

アコチム

Author:アコチム
反抗期真っ最中の子をもつ、40代主婦の読書録。
「読んで良かった!」と思える本のみ紹介。
つまらなかった本は載せていないので、安心してお読みください。

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