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「それ自体が奇跡」あらすじ感想。絶対ドラマ化してほしい一冊!主役はぜひアノ俳優さんで・・・。

「紙切れ一枚で、あなたのことがほかの誰よりも好きだと公的に表明する。表明してもらえる。それは、人として大きな自信になります」
(本文引用)
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 新型コロナが終息したら、ぜひドラマ化してほしい一冊。
 主役は・・・ふふふ、もち「アノ俳優さん」で!
 (というか「アノ俳優さん」をモデルにして書いたのではないかと、勝手に推察。)

 結婚3年目、今年31歳になる夫婦が、ふとしたことでギクシャク。

 「夫婦として」、そして「個人として」生きていくうえで大切なこととは何か。

 紆余曲折を経て「誰にでも起こっている奇跡」に気づくと、人生はパッと100倍明るく。
 ラストでは、思わず快哉を叫ぶ人生賛歌だ。

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本屋大賞は「ひと」で決定でいいんじゃない?ノミネート作断トツの感動作。

評価:★★★★★

「他人同士でも、人は人なんだから、横断歩道を挟んで向き合った時点である種の関係性はできてるでしょ? 高瀬くんは、そういうのに無頓着なの。で、わたしはそれがちょっとツラい」
(本文引用)
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 ずっと気になっていた「ひと」。

 「本の雑誌」で2位に選ばれ、本屋大賞にもノミネート。
 書店でもあまりに宣伝されているので、却って引いていたのだが・・・。

 ああ、何でそんな邪推をしてしまったのか。

 もっと早く読めばよかった。

 読んでおけば、一生のうち幸せな時間が少し前倒しで増やせたのに。
 豊かな日々を一日でも二日でも増やせたのに。

 この際だから言おう。
 書店で気になった本は、即買うべし!



 「ひと」を早く買わず、激しく後悔している私が言うのだから間違いない。
 人間の一生は長いようで短い。
 幸せの時間を少しでも増やしたいなら、書店でプッシュされている本は買うべきだ。

 ところで、本屋大賞ってまだ決まってなかったんだっけ? 
 他のノミネート作には大変申し訳ないが、「ひと」でよいのではないか?

 いやいや、そんなことを言っては「ひと」の作者にも失礼だ。

 世の中にはいろんな「ひと」がいる。
 人間の多様性を認め、他人の尊厳を傷つけることなく、より温かい方に行動する。
 見えない誰かの笑顔を思い、誰も否定することなく、より温かい手を差し伸べる。

 その大切さ、美しさを教えてくれるのが「ひと」なのだから。

 う~んでも、やっぱり大賞は「ひと」が受賞してほしいけどね。
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■「ひと」あらすじ



 柏木聖輔は20歳の大学生。
 
 3年前に父親が事故で他界。
 
 そして大学入学後まもなく、母親も無理がたたって突然死する。
 
 聖輔は大学を辞め、仕事を探すことに。
 
 そこで出会ったのが、コロッケがおいしい総菜屋。

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 所持金55円で、何とかコロッケが1つ買えそうだが、店の主人がオマケをしてくれる。
 
 どうやらその総菜店、バイトを募集しているらしい。

 聖輔はさっそく応募。
 惣菜屋で働くこととなる。
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■「ひと」感想



 たとえばレストランや喫茶店、美容院、病院の受付・・・。

 同じ店員さん・スタッフさんなのに、「この人が対応してくれると嬉しい」と言いたくなる人がいる。
 「あの人がいるから、またあのお店に行こうかな」と言いたくなる人がいる。
 
 ちなみにスーパーのレジでも「人気のある店員さん」というのがいる。

 一見みんな同じに見えて、「特定の店員さんのレジに人が集まる」という現象が起こるのだ。

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 他にもあらゆる場面で、人は「人気の有無」が分かれる。

 名前も知らない人だけど、「あんな人に会えるなんて今日はハッピー!」と思える人がいる。

 一方で「この店員さんかあ・・・」と客を落胆させるスタッフや、二度と会うこともないだろうに「金輪際会いたくない!」と思わせてしまう人もいる。

 いったい彼らの違いは何なのか。

 その違いが如実にわかるのが、この「ひと」だ。

 本書には実にいろんな人間が登場する。

 生まれ育ちも年齢もバラバラだが、ある「ひとつのこと」でパックリ分かれている。

 それは「情の有無」だ。

 主人公の聖輔は物静かで真面目で実直。
 誰もが彼を信用する。
 しかしややお人好しなのが、玉にキズ。
 天涯孤独で後ろ盾がないため、社会的な立場も非常に弱い。

 ではそんな聖輔に対し、人々はどう接するか。

 そこで人間は大きく分かれる。

 生活態度はルーズだが、聖輔を守り抜く者。
 聖輔に気を遣わせないよう、最大限の配慮をしながら金銭的支援をする者。
 アポなしでやってきた見知らぬ青年(聖輔)を、おいしいお茶で迎える者。
 自信を失いかける聖輔の「良さ」を認め、ひっそりと寄り添う者。

 一方、こんな人間もいる。

 聖輔が孤独なのをいいことに、金銭をむしり取ろうとする者。
 上から目線で、自分の都合を押しつける者。
 杓子定規な対応で、聖輔の訪問をピシャリとはねのける者。

 この違いは、情があるかないか。

 本書に登場する「悪人」「嫌な人間」は、犯罪をおかすほどの者ではない。
 ただ単に、ちょっとした情がないだけ。
 おそらく社会で滞りなく生活はしていけるだろう。

 もしかすると「情のある人」より、ある意味「勝ち組」の人生を歩むかもしれない。
  
 しかし本書を読むと、こう思える。

 同じ「人間」なら、同じ「人生」なら、やっぱり「情のある人生」のほうがいい。
 少しぐらい損をしても「情のある人」として生きたい。
 その方が、どんなに心が満たされるか。
 どんなにどんなに、涙が出るほど幸せか。

 本書の「情あるチーム」の行動を見ていると、そう思わずにいられないのだ。

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 話は戻って、お店等で人気のある店員さんは、本書で描かれるような「情」があるのだろう。

 目立つほどの善行を施すわけではない。
 でも、生まれついての気質からあふれるような、さり気ない優しさ・情がある。

 「あの人がいるから、あのお店に行きたい」
 そう思わせる人は、聖輔を支える「情あるチーム」のような人たちなのだ。

 さて、そんな聖輔だが、終盤はちょっとした変身が。
 ただの「良い人」を越えた先に、聖輔が待ち受ける未来とは?

 ああ、聖輔の将来が気になる!
 ぜひ続編を出していただきたい。

詳細情報・ご購入はこちら↓

運転免許の教習所に通っている方は絶対読むべき!ロック好きも必読!「本日も教官なり」(小野寺史宜)感想

評価:★★★★★

「社会に出たら、追いつめられることは何度もあるよ。予想外のことも起きる。そうなっても対応できるように動かなきゃいけない。運転と同じだよ。だろう運転じゃダメなんだ。かもしれない運転をしないと」
(本文引用)
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 日経新聞「目利きが選ぶ今週の3冊」で絶賛されていたので購入。
 いやもう、これ、最高!です。

 読みながら、「心に涼風が吹き抜けるって、まさにこんな感覚だな~」と再認識。

 私の人生のなかで、「元気が出る小説 ベスト3」には軽く入る一冊ですね。

 今現在、「自分に勇気を与えてほしい」「背中を押してほしい」「人生に喝を入れてほしい」とお考えの方は、読めば全て叶いますよ。



 そして何より、この小説を読むべき人は「運転免許の教習所に通っている人」。

 車を運転するうえで大切なものが、この小説にはぜーんぶ詰まっています。
 本書を読んだ後に教習所に行ってみてください。

 「あれ?君、運転うまくなったね」
 「今日の運転、すごく良かったよ」

 と教官に言われること間違いなし。

 運転初心者の方も、本書で「交通事故に遭わないメソッド」を楽しみ学ぶことができます。

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 人生にも運転免許にも効く「本日も教官なり」。

 久しぶりに「読んで損なし!」と皆にオススメできる小説と出会えました。
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■「本日も教官なり」あらすじ



 主人公の益子豊士は、運転免許教習所の教官。

 別れた妻・美鈴との間に、17歳の娘・美月がいます。

 ある日、豊士は美鈴から連絡を受けます。

 その内容は「美月が妊娠した」というもの。

 豊士は実の父親として、何とか美月を支えたいと必死になりますが、どこか空回り。

 老若男女が集まる教習生と触れ合いながら、豊士は家族を救う術を模索しますが・・・?
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■「本日も教官なり」感想



 人生で、信頼できる恩師や友だちって一人はいますよね。
 積極的に何かしてくれるというわけではないんだけど、嫌なこと、辛かったこと、嬉しかったことは真っ先にこの人に話したい・・・そんな人が一人はいるのではないでしょうか。

 「本日も教官なり」は、そんな恩師・親友のような一冊。

 特に豊士が教習生に話す言葉は、何気ないようで温かさに満ちており、読んでいるだけで心の錆が取れるような気がします。

 初孫を送迎するために必死で通う高齢女性、サッカーや卒論で忙しく教習所に通えなかったにも関わらず、無理やり免許を取ろうとする大学生、人気教官ともしかすると・・・?のうら若き女性。

 教習生は、教官が厳しいとつい「この人は私の敵!?」などと逆恨みをしがち。

 筋違いもいいとこなのですが、それを豊士は常にうまくかわし、教習生を心から励まします。

「おれらは敵じゃない。味方ですよ」

 と。

 たとえば、なかなか運転がうまくならない高齢女性に、豊士は人生全般を考え、ある提案をします。
 それは「教習所の教官がそんなこと言っていいの!?」と目をむくような内容で、現実にはあり得ないかもしれません。

 でもこれはフィクション。「ありえない」アドバイスをしたっていいのです。
 車や運転の素晴らしさを知り、それを伝える役目のある教官は、本当は豊士のように思っているかもしれません。

 今、自分は何のために免許を取っているのか。
 免許を取ったら、、どんな生活を送りたいのか。
 人生でいちばん大切なことは、何なのか。

 現在、教習所に通っている方は、ぜひ豊士の言葉に耳を傾けてみてください。

 免許をとった後、豊士の言葉を思い返せば、心底楽しい車ライフを送ることができますよ。

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 また、サッカーと卒論で忙しく、最後の最後で無茶を言う学生との会話も必読!

 教習所なら、いざとなったら教官が補助ブレーキを踏んでくれます。
 でも免許をとったら、教官も補助ブレーキもなし。
 全て自分で責任を引き受けなければなりません。

 さて、学生にその覚悟はできているのか。

 運転免許とは、そのまま安全に社会生活を送る免許といえるのかもしれません。
 (「運転免許のない人は安全に社会生活を送る資格がない」という意味ではありませんよ、念のため)

 自分の人生も他人の人生も大切にできない人は、免許を取る資格はない。
 自分も他人も危険にさらすような人間には、ハンコを押すことなどできない。

 豊士の姿勢からは、そんな真の優しさがうかがえます。

 だから豊士は信用できるし、この小説も信用できる。

 本書が「何かあったらこの人に相談したい、伝えたいと思える親友みたいな存在」と言ったのは、そういうわけなんです。

 随所にさしはさまれるロックの名曲も、スパイスとして効果的。

 運転免許教習所に通っている方と、ロック好きの方。

 そして、人生に迷いを感じている人や何となく元気の出ない人に、本書は超×100オススメです!

詳細情報・ご購入はこちら↓

プロフィール

アコチム

Author:アコチム
反抗期真っ最中の子をもつ、40代主婦の読書録。
「読んで良かった!」と思える本のみ紹介。
つまらなかった本は載せていないので、安心してお読みください。

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