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飯間浩明「日本語をつかまえろ!」感想。「ふんいき?ふいんき?」「カレー」は「辛い」からカレー!?日本語の「衝撃の真実」判明。

 「カレーライスの『カレー』は、『辛え』(からい)から来ているんだよ」
 カレーを食べながら、そんなことを言う人がいます。「ばかばかしい話をしないで」と、だれも本気にしません。
 でも、日本を代表する学者がそう言っていると知ったら、あなたはどう思いますか。

(本文引用)
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 告白します。
 私、今まで「ふいんき」と言う人のことを軽蔑してました。

 「『雰囲気』と漢字で考えれば、『ふんいき』に決まってるじゃない!
 『ふいんき』なんて言ってるのは、漢字を知らない証拠!!」

 そんな風に、鼻息を荒くしていました。

 でも本書を読んで一変。

 「ふいんき、いいじゃない!」

 そう思えるようになったんです。

 もちろん私自身は今後も「ふんいき」と言いつづけます。


 だからといって、「ふいんき」と言う人のことを蔑むことは、もうしません。できません。

 なぜなら私自身、「言葉を間違って読んでいること」がわかったから。

 雰囲気が「ふいんき」になっても、全くおかしくないことがわかってしまったから・・・。

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「サクっと書けちゃう!文章レシピ60」。「舟を編む」馬締さんの文章術!?「伝わる文」に変える「たった1つのコツ」公開。

料理をする場合、「これをこうして、こうすればいい」というレシピに従えば、最小の労力でおいしいものが作れます。文章を書く場合も同じです。
(「はじめに」より)
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 「伝わる文」が一発で書ける究極レシピ。

 何しろ、「舟を編む」の馬締さんが書いた文章術。
 (※正確には「リアル馬締さん」と言われる人の文章術)

 辞書編纂者のメソッドだけあり、「ムダがないのにシッカリ伝わる文」をサラッと書けるようになります。
 
 「彼に会議に出るよう伝えたのに、なぜ来なかったの?」
 「あれほど注意事項を書いたのに、なぜ誰も守ってくれないの?」
 「誠意を持って伝えたのに、相手がなかなか許してくれない・・・」

 「辞書を編む」でおなじみ飯間浩明氏が、そんな悩みを一気に解決!


 60の超実践レシピが、あなたの「伝わらないモヤモヤ」をスッキリ解消します。

 「伝わらなくてもどかしかった自分」よ、さようなら。

 本書を読めば「伝えたいこと」がドンピシャで届き、ストレスフリーになりますよ。

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辞書を編む 飯間浩明

 「辞書に載ることばだけを集めよう」と思っていては、本当に必要なことばは集められないのです。
(本文引用)
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 ロマン、ただただロマンである。
・・・これは以前、「天地明察」のレビューで書いた言葉だが、ここにもまたロマンのつまった一冊があった。

 「舟を編む」の三浦しをん氏絶賛!の、その名も「辞書を編む」

 「舟を編む」で描かれた辞書編纂、主に言葉の採用や語釈の裏側をたっぷりと解説した一冊で、著者はまさに「リアル馬締さん」なのだが、いやもう、ただただロマン。言葉だけでこれだけの世界、いや宇宙ができあがるのかと驚き、笑い、そして涙がこぼれた。
 まずは、この本を出してくださった飯間浩明氏、および光文社の方々に心からお礼を言いたい。ありがとう、ありがとう、と。


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 著者の飯間氏は、三省堂国語辞典(以下「三国」・編纂メンバーの一人である。
 飯間氏によると、三国は「実例に基づいた項目を立てる」「中学生にでも分かる説明を心がける」の2つを大方針としており、そのために氏は、日々「今、生きている言葉」の採集にいそしんでいる。

 たとえば「甘熟」。
 実は今、「かんじゅく」と入力しても出てこなかった漢字なのであるが、そんな「甘熟」を辞書に載せるかに、まず立ち止まる。
 辞書によっては、ある意味「正しくない言葉」と認定され、載せてもらえない「甘熟」。
 しかしこの「甘熟」、現在多くの飲食店やショッピングサイトで使われており、かなり市民権を得た言葉らしい。
 そこで実例主義を重んじる「三国」の登場。
 このように今現在生きている言葉、広がっている言葉は載せていこうじゃないか。三国のメンバーは、このように考えるのである。

 しかしこの実例主義、読者にとっては嬉しいのだが、作る方はどうやら大変そうである。

 飯間氏は、赤ペン片手にファッション雑誌や音楽雑誌を丹念に読み、テレビ番組は原則として録画、商店街の看板やツイッター、そして家族との会話まで隈なくチェックをし、目に留まった言葉をどんどん採集していく。

 「ソルベカラー」「リピート服」「ポルチーニ」「プチプラ」「黒染め」「1億万倍」「自宅系レストラン」・・・。

 読みながら、私も一緒に「ん~、その言葉はまだ浸透してないんじゃない?」などと考えてしまったが、その涙ぐましいまでの努力、辞書作りにかける情熱は、まさに圧巻。
 それだけに、チェックを入れた雑誌を新幹線で誰かに持っていかれてしまう件などは、読んでいる私までオロオロ。「どうしよう、どうしよう」と涙がポロポロ、心臓が爆発しそうであった。

 そして言葉の取捨選択をした後は、何といっても語釈。

 「女」、「愛」、「プログレッシブ ロック」「ガチ」・・・。

 さて、これらの言葉をどう説明するか。
 読む人を選ばない国語辞典。わかりやすく、しかも誰にでも納得してもらえる説明が、これほど難しいものとは・・・。

 なかでも私が感動したのが、「右」という言葉の語釈。
 右利きの人に対しては「お箸を持つ方」で済ませるかもしれないが、辞書でそれは通用しない。さてどうするか。
 そんな紆余曲折を経て出された結論、語釈は、もうドンピシャリ。
 それ以上もそれ以下も考えられない見事な語釈に、私は雷に打たれたような感動を得た。そうか!そう説明すればいいのか!
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 世の中にあふれる言葉を見つめ、星の数ほどある言葉を集め、言葉を拾い、時に泣く泣く捨て去り、一つひとつ丁寧に語釈をつけていく。
 そんな気が遠くなるような作業ができるのは、言葉への並々ならぬ愛情、そしてそれ以上に言葉を使う人間たちへの深い深い愛情ゆえなのだ。
 本書は、そのことを存分に、惜しみなく伝えてくれている。

 ・・・世の中で最も愛のつまった本とは、辞書なのかもしれない。

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プロフィール

アコチム

Author:アコチム
反抗期真っ最中の子をもつ、40代主婦の読書録。
「読んで良かった!」と思える本のみ紹介。
つまらなかった本は載せていないので、安心してお読みください。

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