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有栖川有栖「こうして誰もいなくなった」は最高に楽しいミステリーの遊園地!あの誤植の意味は?

評価:★★★★★

「はは、こいつは思ったより面白い。出題者というのは愉快な立場ですな。自分だけが正解を握っているというのは優越感をくすぐられる」
(本文引用)
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 帯に「有栖川小説の見本市」と書かれているが、見本市というより宝箱、いや遊園地といったほうが良い。

 一瞬で終わるけど心臓バクバクのフリーフォール。
 最初から最後まで「どうなるんだろう?」とドキドキするお化け屋敷。
 夢か現かわからないイリュージョンの部屋・・・。

 2ページで終わるミステリーもあれば、100ページ超の奇怪な話も。

 短編集は「全て均質なものが望ましい」と思っていたが、本書を読んでガラリと変わった。

 量もタイプもバラッバラな短編集は、とてつもなく面白い。
 そしてとてつもなくお得感があるのだ。

 こういう短編集を見せられちゃうと、もうね、「やっぱり巨匠は違うな」とただただ拍手。
 超ベテラン作家だからこそできる、ミステリーの遊園地。

 
 無限に広がるミステリーの波で、一日中飽きるほど遊ぶことができた。
 幸せだぁ!
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 本書に収められてるのは、ミステリーばかり14話。

 日常のなかで「ありそうな謎」から、日常では「とうていあり得ない謎」まで、さまざまな謎が満開だ。

 なかでも私が好きなのは、第1話「館の一夜」、第11話「本と謎の日々」、第12話「謎のアナウンス」。

 「館の一夜」は、山中に迷ってしまう男女の物語。
 カーナビ通りに走って来たのに、二人はすっかり迷ってしまい、仕方なくホテルに泊まることに。
 恋人同士ではないため、別々の部屋に宿泊したが・・・?

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 「本と謎の日々」は、書店で起きる「納得できない謎」をつづったもの。
 同じ本を2冊買ってしまい、返品に来た客。
 しかし客は、店に「これから気をつけてね」とクレーム。
 なぜ客は、自分の不注意にも関わらずそんなことを言ったのか?
 またある日には、店のポップが次々紛失。
 書店には、実にいろんなお客様が来るようで・・・。

 そして「謎のアナウンス」は、ある男性がデパートに行くたびに、おかしいアナウンスを聞くことに。
 なぜ彼がデパートに行くと、おかしいアナウンスが流れるのか?

 どの物語も、読めば「あ~、なるほど納得!」と膝をバチン!
 日常生活は、人の数だけミステリーがあるんだなぁと思わず笑いがこみあげてくる。
 
 本書を読んでから、デパートや書店に行くと、風景が違って見えてくる。
 そして手に取った本を、隅から隅までグルッと観察したくなる。
 本好きにとっては、ますます本が好きになっちゃう「目の毒」のようなミステリーだ。

 さらに本書をおすすめしたいのは、「好きな人に振り向いてもらいたい人」。
 謎に巻き込まれるのは、「謎を知らない人」ばかりではない。
 自分で謎を作ってしまえば・・・(これ以上はネタバレなので略)。

 本書を「ミステリーの遊園地」と言ったが、本書を読めばきっと、好きな人と遊園地に行けるはず。
 そしてもっと仲が深まるはず。

 何しろ本書には、「人を一日中飽きさせないコツ」がギッチリ詰まっている。

 ミステリーを楽しみたい、日常を楽しみたい、そして好きな人を楽しませたい。

 そう切に願うなら、「こうして誰もいなくなった」はおすすめだ。

 ちなみに私、本書のなかで一箇所、誤植を見つけてしまった

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 これって初版ならでは?
 「本と謎の日々」を読者に実体験させる試み?
 
 あの書店に現れた客なら、「これから気をつけてくださいね」と言うところだろうか。
 私はむしろラッキーと思い、大切にとっておくつもりだが、本当のところどうなんだろう?
                                                                     
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「鍵の掛かった男」有栖川有栖  感想

評価:★★★★★

 ――密室が開いて、何が見えましたか? 私の人生のすべてが判ったと言うのであれば、死に際がどうであったかも承知していると?
(本文引用)
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 ミステリーの宝石箱か満漢全席か。ここまで心ゆくまでミステリーというものをお腹いっぱい味わったのは、久しぶり!
 もうしばらくはミステリー小説はいいや・・・と思いつつも、「やっぱりミステリーは面白い!」と、またミステリーに手を伸ばしたくなってしまう。そんな大作だ。
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 ミステリー作家・有栖川有栖は、高名な作家・影浦浪子から、ある依頼を受ける。
 それは、梨田という男性の死の真相を突き止めてほしいというものだ。

 梨田は、大阪の小さなホテルのスイートルームに5年も住み続けていたのだが、ある日、部屋で死体となって発見される。
 警察は自殺として処理したが、梨田を知る影浦は、どうにもその結論に納得がいかないという。



 有栖川は、友人の犯罪社会学者・火村英生と共に真相究明に乗り出すが、梨田は天涯孤独で過去も全くわからない。まるで、鍵の掛かった密室のような男だったのだ。

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プロフィール

アコチム

Author:アコチム
反抗期真っ最中の子をもつ、40代主婦の読書録。
「読んで良かった!」と思える本のみ紹介。
つまらなかった本は載せていないので、安心してお読みください。

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