「ベルリンは晴れているか」。10万円ぐらい払いたいスゴ本。意外過ぎる結末にうなった!
評価:★★★★★
いずれにせよ、“戦争だったから”“非常事態だったから”目を覚ました猛獣が、私自身の内側にいたのは確かだった。
私はいつから狂ってしまったんだろう。(本文引用)
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ハードカバーの新刊を買い「損した」とモヤモヤしている人に、本書は絶対おすすめ。
「損した読書」の苦い体験が一掃され、一気にプラスに転じることだろう。
(そしてまた本を買ってしまい、出費がかさむという・・・。いいんだか悪いんだか)
終戦直後のベルリンで、ある男性が毒殺される。
かつて、その男性に恩を受けた少女は、彼の死を甥っ子に伝えようと奮闘するが・・・?
国境や民族主義を越えたところで見えたものとは?
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舞台は1945年のベルリン。
戦争に敗れた今、米国・ソ連・英国・フランスの統治下に置かれている。
土地も人間も荒廃しきったなか、ドイツ人少女・アウグステは突然、軍人の尋問を受ける。
彼女の恩人・クリストフが毒殺されたというのだ。
警察はクリストフの周辺を洗い、犯人を捜す。
その間アウグステは、クリストフの甥っ子の行方を捜す。
クリストフの甥エーリヒは、かつてクリストフ夫妻のもとで大事に育てられていた。
しかしエーリヒは幼い頃、突如失踪。
アウグステは何とかして、エーリヒにクリストフの訃報を伝えようとするが・・・?
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本書を読み、まず浮かんだのは、宇宙飛行士・毛利衛さんの言葉だ。
「宇宙からは国境線は見えなかった」
聞いた当時も、「何という名言!」と心が打ち震えたが、本書を読み、毛利さんの言葉は本当に至言だなとしみじみ。
なぜ国境はあるのか。
同じ人間なのに、敵国とか同盟国とか●●民族や●●人種というものがあるのか。
そして、なぜ戦争はあるのか。
本書を読んでいたら、そんな思いがわきあがり、胸が震えた。
どっちの国が味方で敵で、敵国の人間は何をしてるかわかったもんじゃない。
民族主義が自分に何をしてくれた?迫害と差別しかないじゃないか。
そんなやり場のない怒りと、途方もない猜疑心。
戦争とは、ここまで人の心を荒ませ腐らせるのか・・・と改めて戦慄した。
だからこそ、作中で時おり見える「国境・民族を越えた思い、越えたい思い」に触れると涙が出てくる。
陽気な泥棒カフカの、ユダヤ人を演じた日々の告白。
アウグステが愛読書を命に代えてでも離さない理由。
差別や民族主義で封じ込められた思想が解放される時、人は言いようもない喜びを覚える。
本書に登場する人々の「告白」や「思い」には、「人間捨てたもんじゃない」という希望を感じる。
明日世界が滅亡してもリンゴの樹を植えよう・・・そんな気にさせられるのだ。
そしてラスト直前に明かされる、毒殺事件の真相。
「ミステリーの禁じ手では!?」と思うほど意外すぎるものだったが、動機を聞いて納得&号泣。
「意外過ぎる」のに、戦争・迫害という異常事態と重ね合わせて、実にうまく昇華されている。
こういうミステリーの書き方もあるのかと、著者の力量にただただ脱帽・敬服した。
「ベルリンは晴れているか」、今年読んだ本で、軽くベスト3にランクイン。
家族で読み継いでいきたい一冊だ。
いずれにせよ、“戦争だったから”“非常事態だったから”目を覚ました猛獣が、私自身の内側にいたのは確かだった。
私はいつから狂ってしまったんだろう。(本文引用)
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またスゴ本に出合ってしまった・・・。
「ベルリンは晴れているか」の評判は聞いていたが、まさかここまで充実した読書ができるとは。
ストーリーの重厚さは片手で持てないほどで、濃厚さは喉が焼けつくよう。
あふれんばかりの人間愛が心をグサグサと刺し、意外過ぎる結末がとどめに。
「この内容を1,900円+税で読めるの?読んでいいの?ホントに?」と著者と出版社に確認したくなった。
はっきり言おう。
「ベルリンは晴れているか」は10万円ぐらい出して読んでもいい本。
「ベルリンは晴れているか」の評判は聞いていたが、まさかここまで充実した読書ができるとは。
ストーリーの重厚さは片手で持てないほどで、濃厚さは喉が焼けつくよう。
あふれんばかりの人間愛が心をグサグサと刺し、意外過ぎる結末がとどめに。
「この内容を1,900円+税で読めるの?読んでいいの?ホントに?」と著者と出版社に確認したくなった。
はっきり言おう。
「ベルリンは晴れているか」は10万円ぐらい出して読んでもいい本。
ハードカバーの新刊を買い「損した」とモヤモヤしている人に、本書は絶対おすすめ。
「損した読書」の苦い体験が一掃され、一気にプラスに転じることだろう。
(そしてまた本を買ってしまい、出費がかさむという・・・。いいんだか悪いんだか)
終戦直後のベルリンで、ある男性が毒殺される。
かつて、その男性に恩を受けた少女は、彼の死を甥っ子に伝えようと奮闘するが・・・?
国境や民族主義を越えたところで見えたものとは?
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■「ベルリンは晴れているか」あらすじ
舞台は1945年のベルリン。
戦争に敗れた今、米国・ソ連・英国・フランスの統治下に置かれている。
土地も人間も荒廃しきったなか、ドイツ人少女・アウグステは突然、軍人の尋問を受ける。
彼女の恩人・クリストフが毒殺されたというのだ。
警察はクリストフの周辺を洗い、犯人を捜す。
その間アウグステは、クリストフの甥っ子の行方を捜す。
クリストフの甥エーリヒは、かつてクリストフ夫妻のもとで大事に育てられていた。
しかしエーリヒは幼い頃、突如失踪。
アウグステは何とかして、エーリヒにクリストフの訃報を伝えようとするが・・・?
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■「ベルリンは晴れているか」感想
本書を読み、まず浮かんだのは、宇宙飛行士・毛利衛さんの言葉だ。
「宇宙からは国境線は見えなかった」
聞いた当時も、「何という名言!」と心が打ち震えたが、本書を読み、毛利さんの言葉は本当に至言だなとしみじみ。
なぜ国境はあるのか。
同じ人間なのに、敵国とか同盟国とか●●民族や●●人種というものがあるのか。
そして、なぜ戦争はあるのか。
本書を読んでいたら、そんな思いがわきあがり、胸が震えた。
どっちの国が味方で敵で、敵国の人間は何をしてるかわかったもんじゃない。
民族主義が自分に何をしてくれた?迫害と差別しかないじゃないか。
そんなやり場のない怒りと、途方もない猜疑心。
戦争とは、ここまで人の心を荒ませ腐らせるのか・・・と改めて戦慄した。
だからこそ、作中で時おり見える「国境・民族を越えた思い、越えたい思い」に触れると涙が出てくる。
陽気な泥棒カフカの、ユダヤ人を演じた日々の告白。
アウグステが愛読書を命に代えてでも離さない理由。
差別や民族主義で封じ込められた思想が解放される時、人は言いようもない喜びを覚える。
本書に登場する人々の「告白」や「思い」には、「人間捨てたもんじゃない」という希望を感じる。
明日世界が滅亡してもリンゴの樹を植えよう・・・そんな気にさせられるのだ。
そしてラスト直前に明かされる、毒殺事件の真相。
「ミステリーの禁じ手では!?」と思うほど意外すぎるものだったが、動機を聞いて納得&号泣。
「意外過ぎる」のに、戦争・迫害という異常事態と重ね合わせて、実にうまく昇華されている。
こういうミステリーの書き方もあるのかと、著者の力量にただただ脱帽・敬服した。
「ベルリンは晴れているか」、今年読んだ本で、軽くベスト3にランクイン。
家族で読み継いでいきたい一冊だ。