バレエとどんでん返しが好きな方に!秋吉理香子最新刊「ジゼル」。
評価:★★★★☆
自分が復讐の女王ミルタを踊る。運命としか思えなかった。
(本文引用)
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物語の深みという点では「サイレンス」に軍配ですが、驚愕!という点では「ジゼル」が上かな。
バレエの演目と重なるように、連続不審死事件が起こる展開も見事です。
最後まで、バレエもミステリーもどっぷりと楽しめました!
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主人公の花音はバレリーナ。
世界的プリマを目指し、日々レッスンに励んでいます。
花音が所属する東京グランド・バレエ団では、ある演目がタブーとなっています。
それは「ジゼル」。
多くのバレエ団では定番とされている演目ですが、東京グランド・バレエ団では禁忌。
それは15年前、「ジゼル」で主役を演じる女性が、不幸な死をとげたからです。
ところがこのたび、東京グランド・バレエ団で「ジゼル」を演ることが決定。
ジゼル役は、バレエ団の総裁の娘であり、美しき天才バレリーナでもある紅林嶺衣奈。
パートナーのアルブレヒト役は、嶺衣奈の夫であり監督でもある蝶野幹夫が務めます。
ところが本番に近づくにつれ、バレエ団を次々と不幸が襲います。
様々な事件・事故で配役が代わり、そのたびに喜びと嫉妬がうずまくことに。
さて東京グランド・バレエ団は、無事に本番を迎えることができるのでしょうか。
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この「ジゼル」、とにかく構成が「うまい!」です。
復讐と嫉妬、憎悪がうずまく「ジゼル」とからめ、バレリーナたちの倒錯する人間模様を丹念に描写。
その二重構造のおかげで、バレエもミステリーも存分に味わうことができます。
特に前半、「ジゼル」の解釈をめぐるミーティングの場面が秀逸。
バレエ小説ということで、バレエのレッスンの厳しさや美しさが描かれているのかと思いきや、ストーリーの解釈に重きが置かれており、それが小説全体に深みを持たせています。
あの登場人物は、自死だと思う? 殺人だと思う?
なぜ彼は、愛する人にそんな仕打ちをしたと思う?
どうして彼女だけ、そんな行動をとったのだろうか?
「ジゼル」の解釈をめぐり、バレエ団のメンバーたちは自由に意見を交わしますが、それが一連の不審死事件と見事にからんでいるんです。
そしていよいよ真相に近づくわけですが、あれれ? それはちょっと肩透かしな感じ。
秋吉理香子さんにしては、ずいぶんマイルドに仕上げたな~と、正直に言って不完全燃焼でした。
が、さすが秋吉理香子さん!
読者をただでは帰しません。
「そういえば、あの真相は何だったの? あれはもういいんかな?」なーんて思っていたところに、意外なカウンターパンチ。
ミステリーの次代の名手は、秋吉理香子さんに決定ですね、これは。
芸術面、ミステリー面、そしてエンタメ面どれをとってもサービス満点、お腹いっぱいの一冊。
バレエとどんでん返しが好きな方に、おすすめです!
自分が復讐の女王ミルタを踊る。運命としか思えなかった。
(本文引用)
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やってくれますね~、秋吉理香子さん!
私のなかで、「どんでん返しの女王」に決定!
湊かなえさんや芦沢央さんなど、最近は鮮やかなどんでん返しを見せてくれる作家が増えましたが、ここへきて秋吉さんが一歩リードした気がします。
実は終盤、真相が明かされる局面では、かなり肩透かしをくらった感じだったんです。
正直、この本を買って失敗だったかな?とも思ったほど。
でも、最後の最後で完全に想定外の真相が現れ、満足度が200%アップ!
「そんな真相、わかるわけないでしょ!」と言いたくなるラストともいえるのですが、「そんな真相も、確かにあり得るよね」とも言えるエンディング。
私のなかで、「どんでん返しの女王」に決定!
湊かなえさんや芦沢央さんなど、最近は鮮やかなどんでん返しを見せてくれる作家が増えましたが、ここへきて秋吉さんが一歩リードした気がします。
実は終盤、真相が明かされる局面では、かなり肩透かしをくらった感じだったんです。
正直、この本を買って失敗だったかな?とも思ったほど。
でも、最後の最後で完全に想定外の真相が現れ、満足度が200%アップ!
「そんな真相、わかるわけないでしょ!」と言いたくなるラストともいえるのですが、「そんな真相も、確かにあり得るよね」とも言えるエンディング。
物語の深みという点では「サイレンス」に軍配ですが、驚愕!という点では「ジゼル」が上かな。
バレエの演目と重なるように、連続不審死事件が起こる展開も見事です。
最後まで、バレエもミステリーもどっぷりと楽しめました!
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■「ジゼル」あらすじ
主人公の花音はバレリーナ。
世界的プリマを目指し、日々レッスンに励んでいます。
花音が所属する東京グランド・バレエ団では、ある演目がタブーとなっています。
それは「ジゼル」。
多くのバレエ団では定番とされている演目ですが、東京グランド・バレエ団では禁忌。
それは15年前、「ジゼル」で主役を演じる女性が、不幸な死をとげたからです。
ところがこのたび、東京グランド・バレエ団で「ジゼル」を演ることが決定。
ジゼル役は、バレエ団の総裁の娘であり、美しき天才バレリーナでもある紅林嶺衣奈。
パートナーのアルブレヒト役は、嶺衣奈の夫であり監督でもある蝶野幹夫が務めます。
ところが本番に近づくにつれ、バレエ団を次々と不幸が襲います。
様々な事件・事故で配役が代わり、そのたびに喜びと嫉妬がうずまくことに。
さて東京グランド・バレエ団は、無事に本番を迎えることができるのでしょうか。
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■「ジゼル」感想
この「ジゼル」、とにかく構成が「うまい!」です。
復讐と嫉妬、憎悪がうずまく「ジゼル」とからめ、バレリーナたちの倒錯する人間模様を丹念に描写。
その二重構造のおかげで、バレエもミステリーも存分に味わうことができます。
特に前半、「ジゼル」の解釈をめぐるミーティングの場面が秀逸。
バレエ小説ということで、バレエのレッスンの厳しさや美しさが描かれているのかと思いきや、ストーリーの解釈に重きが置かれており、それが小説全体に深みを持たせています。
あの登場人物は、自死だと思う? 殺人だと思う?
なぜ彼は、愛する人にそんな仕打ちをしたと思う?
どうして彼女だけ、そんな行動をとったのだろうか?
「ジゼル」の解釈をめぐり、バレエ団のメンバーたちは自由に意見を交わしますが、それが一連の不審死事件と見事にからんでいるんです。
そしていよいよ真相に近づくわけですが、あれれ? それはちょっと肩透かしな感じ。
秋吉理香子さんにしては、ずいぶんマイルドに仕上げたな~と、正直に言って不完全燃焼でした。
が、さすが秋吉理香子さん!
読者をただでは帰しません。
「そういえば、あの真相は何だったの? あれはもういいんかな?」なーんて思っていたところに、意外なカウンターパンチ。
ミステリーの次代の名手は、秋吉理香子さんに決定ですね、これは。
芸術面、ミステリー面、そしてエンタメ面どれをとってもサービス満点、お腹いっぱいの一冊。
バレエとどんでん返しが好きな方に、おすすめです!