「東大作文」感想。世界一のサービスマンも「東大作文」の思考が原点!?
父が、自分を主語にして、対等に話してくれなければ、いつまでも僕はそのことに気づけなかったと思います。
(本文引用)
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「伝える力」がスルスル身につく文章術だ。
東大合格の秘訣は、相手に伝わる文章を簡潔に書くことだ。
しかもこの技術は、東大合格だけではない。
営業・プレゼン・メール・SNS・・・全てに使える一生ものだ。
だが、たいていの人はこう思うだろう。
「伝えようとすれば長くなり、短くすると伝えきれない」
しかし本書を読めば、そんな悩みは雲散霧消。
「何だ、こうすれば、短い文章で相手を説得できるんだ!」と視界が一気に開けてくる。
ちなみに「東大作文」の思考は、世界トップのサービスマンにも通じるもの。
「言葉で人を動かす力」は、人生のサクセスに欠かせないものなのだ。
今、財布にある2,000円を最大限に生かすなら「東大作文」がベストバイ。
読めば生涯賃金が、数千万は違ってくる。
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「東大作文」とは「短い言葉で、確実に人に伝えて、人を動かす」文章のこと。
やや言葉は悪いが、「相手を丸め込む文章」ともいえる。
本書では具体的な事例を挙げて、人を丸め込む文章作りを徹底指導。
・目的をハッキリさせる。
・主張は断言すべし!八方美人になるな。
・一方通行にならない。
・読み手が変化する「アウトプット」を目指す。
・「読者は頭がいい」という思い込みを脱ぎ捨てる。
・無駄をそぎ落とし、短くする。
などなど、鋭い指摘を懇切丁寧に解説。
あまりの細やかさに、まるで著者が「あーダメダメ、その書き方、伝わらないから!」「こう書いた方が、ほら!絶対いいって!」と、マンツーマンで言ってくれているような錯覚に陥る。
本書が挙げるコツを1つひとつ忠実に守れば、間違いなく「伝わる文章・動かす文章」が書けるであろう。
しかし「今、本書を読む暇がない!」という方に向けて、私が「最重要」と思ったコツを紹介する。
それは「自分を主語にする」ことだ。
文章は、自分を主語にして伝えると相手に響く。
「世間や社会、データ」を主語にするのではなく、「私」を主語にすることで、相手との格差がなくなり距離がグッと縮まるからだ。
究極的に言ってしまえば、人間は「対等な相手」の言葉以外は入ってこない。
上から目線で「やれ!」と言われていたものが、同じ目線で「やるといいよ」と言われた瞬間、スッと頭に入ってくる。
著者は、文章を書くうえで「己のポジション作りが大事」と主張するが、その「ポジション」とは「対等になること」というのだ。
このくだりを読んだとき、私はある人物を思い出した。
サービス世界コンクール・世界大会で優勝し、日本人初の「世界一のメートル・ドテル」となった宮崎辰氏だ。
「おもてなし世界一」ということは、相手に心を伝え、相手を感動させ、相手を「また来たい」と動かせる技量が「世界一」ということだ。
日本経済新聞「人間発見」で、宮崎辰氏はこんなエピソードを披露している。
若い頃、お客様にデザートを選んでいただく際、「君ならどれがいい?」と聞かれた。
その際、宮崎氏は1つのお菓子を指し、「僕はこのお菓子が大好きです」と素で答えてしまった。
その瞬間、お客様は「君、いいね」「名前、何ていうの?」と聞かれ、そこからサービスマンとして名をあげていったという。
これはまさに「自分が主語・対等」となり、相手を動かした好例。
「上から目線」で、「こちらのチョコレートは●●産のカカオ豆で・・・」などとしたり顔で言っていたら、客は決して喜ばなかった。
宮崎氏が「僕はこれが大好きです」と「自分を主語」にして「対等な立場」で言ったから、客は喜んだのである。
「東大作文」の本質は、まさに読み手に対する「お・も・て・な・し」。
本書の文章術は、文章に限らない。
どんな仕事・場面でも有効な「サクセスの秘策」なのだ。
文章、企画、営業、プレゼン、何気ない会話・・・「相手がいること」で「今一つうまくいかない」と思っている人は、ぜひ「東大作文」を。
文章を書く機会はなくても「あ、『東大作文』が効いてる!」とハッとする場面にきっと出会えるはず。
そしてそのたびに、「ヨッ♪」と小さくジャンプをしてしまうだろう。