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「怖いのは嫌いだけどミステリーが読みたい!」という人は「先生と僕」「僕と先生」の同時買いがおすすめ。

評価:★★★★★

「やっぱ、日常の謎って意地悪だなあ」
(本文引用)
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 ミステリーは好きだけど、残酷なのは苦手・・・。
 そんな方には、「坂木司ミステリー」が断然おすすめ。

 私自身、最近、猟奇的なミステリーが読めなくなってきた。

 若い頃は連続殺人ものとかドキドキしながら読んでいた。
 しかし今は、安易に遺体とか殺人とかが出てくると、ちょっとゲンナリ。
 年をとると、「死を軽く扱わないでほしい」みたいな気持ちになるのかもしれない・・・。

 その代わり、今好きで好きで仕方ないのが「人が死なないミステリー」。
 日常生活のちょっとした謎から、逮捕するほどではない(だけど見過ごせない)犯罪が起こる。

 そんな「身近なミステリー」が、今は読んでてひたすら楽しい。

 というわけで、坂木司さんの本を一気に二冊紹介。

 ストーリーは全て「えっ? そんなところにミステリーが?」と驚くものばかり。

 半径100m以内で起きそうな“事件”だから、ある意味、猟奇殺人より刺激的。
 
 「ミステリーで怖い思いはしたくない。ミステリーの面白い部分だけもらって、楽しく脳を活発にしたい」
 「自分も名探偵気分を味わいたい」



 
 そんな「プチ名探偵願望」があるのなら、坂木作品一気読みがおすすめだ。
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■「先生と僕」「僕と先生」あらすじ■



 「先生と僕」「僕と先生」の主人公はタイトル通り、先生と僕の2人組。

 1人は男子大学生・伊藤二葉。
 顔はフツーで、疑うことを知らないノンビリタイプ。
 やや鈍くさいが、「5秒見れば何でも覚えてしまう」という特技を持っている。

 もう1人は男子中学生・瀬川隼人。
 ジャニーズ系のイケメンで、アルカイックスマイルで人々を悩殺。
 家は裕福で頭も切れるという、非の打ち所がない少年だ。

 二葉は隼人の家庭教師となるが、二人はいつしかコンビで「身近な事件」を次々解決。

 書店の雑誌に挟まれる、謎の付箋。
 火災を起こしたカラオケ店から、忽然と姿を消した客。
 市民プールで謎の暗号を書きつける人物。
 バレンタインのチョコレートフェアで、代金を預かったまま戻らないスタッフ。
 就職活動でエントリーシートが紛失!
 味は良いが、どこかイメージと違う食事を出すレストラン。
 バーベキューで消えた牛の串焼き・・・。

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 さて、犯人はなぜそんなことをしたのか? してしまったのか?

 二葉と隼人は事件を解明しながら、「人間」の奥深さをひしひしと知っていく。

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■「先生と僕」「僕と先生」感想



 このシリーズのコンセプトは、とにかく「怖くないミステリー」。
 人が死なない、人を脅えさせない、警察がほとんど出てこない異色のミステリーだ。

 何しろ主人公の二葉君が、とんでもない怖がり屋さん。
 そんな彼が事件と向き合うわけだから、当然「怖くない話」ばかりなのだ。

 しかし本書に収められている物語は、猟奇殺人以上に恐ろしい。
 なぜならどれも、いつ自分が巻き込まれてもおかしくない事件だからだ。

 本書の事件の当事者は、罪をほとんど自覚していない。
 いや自覚していないどころか、自分の罪を正当化しながら生きている。
 一言でいうと「身勝手」なのだ。

 よく考えると、日常に潜む謎は「身勝手な人・非常識な人」が発端となり、引き起こされることが多い。
 
 「なぜこんなところに、こんな柵があるんだろう?」
 「なぜ今年から、こんな規則ができたんだろう?」
 「なぜこの病院、受付時間が変わったんだろう?」
 「なぜこの棚、位置が変わったんだろう?」

 そういう謎は、「一部の人の迷惑行為」がきっかけであることが多い。

 「先生と僕」「僕と先生」に出てくる事件は、そんな現実をあぶり出している。

 だから猟奇殺人より怖い。

 気がつけば、自分がとんでもない罪を犯しているかもしれない。
 明日にでも、自分がとんでもない犯罪に巻き込まれるかもしれない。
 
 そんな気がして夜も眠れなくなるのだ。

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 よって本書は怖くないけど、ブルッと震えるミステリー。
 他人事とは思えないから、怖くないのにメチャメチャハマれる。
 そして「あの張り紙の謎がわかった私、もしかして名探偵!?」なんて夢まで見れてしまうのだ。

 「ミステリーを読みたいけど、怖いのは苦手・・・」
 「怖いのは嫌いだけど、謎解きは好き」

 そういう人は、ぜひ「先生と僕」「僕と先生」の同時買いを。

 えっ? 一冊ずつじゃダメかって?

 う~ん、一冊ずつでもいいんだけど・・・「先生と僕」を読んじゃったら自然と「僕と先生」も読みたくなることに。

 実際私、「先生と僕」を読んだ翌日に「僕と先生」を読破。
 読む手が止まらなかった身としては、「別々に買おう」なんて・・・残酷すぎて言えない。
                                                                     
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「ウィンター・ホリデー」坂木司  感想


評価:★★★★★

 届けてやる。俺に託されたすべての荷物を、届けてやる。
(本文引用)
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 「♪坂木司の本を あなたにあげる~、あったかいんだからぁ~」と、思わず口ずさんでしまった。

 ホストの男性のもとに突然やってきた小学生男子。
 彼らは実は父子だという。
 そんな彼らが織りなすトラブルは、温かいハートを集めて集めて何とか解決・・・したのかどうかはわからないが、とにかく周囲の人間を和ませることだけは確実だ。そしてもちろん、読む者の心もホカホカを通り越してアッツアツに温めてくれる。

 坂木司さんの小説は、やっぱりいい!
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 元ホストで、現在は宅配便のドライバーをしているヤマトには、小学生の息子・進がいる。
 実はヤマトは最近まで、自分に息子がいることを知らなかった(その衝撃の事実は「ワーキング・ホリデー」の冒頭で知ることとなる)。
 普段、進は母親・由希子と暮らしているが、たまにヤマトのもとにやってきては、ヤマトを助ける。進の方がずっとしっかりしているのだ。

 ヤマトの仕事は、12月からめっぽう忙しくなる。
 クリスマスプレゼント、おせち料理等々を届けなくてはならないからだ。それが終わればバレンタインデーにホワイトデー・・・。
 食べ物を運ぶことも多いこの季節、宅配便の仕事をするヤマトたちは、細心の注意を払いながら懸命に仕事を続ける。それはひとえに、お客様の思いを届けたいからだ。





 しかしそれだけに、小さなトラブルが大きな事態に発展して・・・?

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切れない糸  坂木司

評価:★★★★★

  都会的な仕事じゃないし、スーツを着ることもない。でも、小回りがきいて自分の思うとおりに動くことができる。それに、たくさんの人を救うことなんてできやしないけど、近所の人の助けにはなれそうな気がしてきたし。
(本文引用)
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 「物語を読むって、た~のしい~~!」
 心からそう思える小説で、読んでいる時間も読んでいない時間もウッキウキしていた。

 ミステリーだから当然、「次はどうなるんだろう?」「真相は何だろう?」というドキドキ感もあった。しかし本書の魅力は、それだけでは到底語りつくせない。

 十重二十重に重なる謎解きも素晴らしいが、そこに隠された「人の温かさ」がたまらない。
 読めば読むほど人間が大好きになってくる、人を信じられるようになってくる、メガトン級にハートウォーミングなミステリーだ。(本書があまりにも面白かったので、坂木氏の本を何冊か買ってしまった!)



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プロフィール

アコチム

Author:アコチム
反抗期真っ最中の子をもつ、40代主婦の読書録。
「読んで良かった!」と思える本のみ紹介。
つまらなかった本は載せていないので、安心してお読みください。

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