「怖いのは嫌いだけどミステリーが読みたい!」という人は「先生と僕」「僕と先生」の同時買いがおすすめ。
評価:★★★★★
「やっぱ、日常の謎って意地悪だなあ」
(本文引用)
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そんな「プチ名探偵願望」があるのなら、坂木作品一気読みがおすすめだ。
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「先生と僕」「僕と先生」の主人公はタイトル通り、先生と僕の2人組。
1人は男子大学生・伊藤二葉。
顔はフツーで、疑うことを知らないノンビリタイプ。
やや鈍くさいが、「5秒見れば何でも覚えてしまう」という特技を持っている。
もう1人は男子中学生・瀬川隼人。
ジャニーズ系のイケメンで、アルカイックスマイルで人々を悩殺。
家は裕福で頭も切れるという、非の打ち所がない少年だ。
二葉は隼人の家庭教師となるが、二人はいつしかコンビで「身近な事件」を次々解決。
書店の雑誌に挟まれる、謎の付箋。
火災を起こしたカラオケ店から、忽然と姿を消した客。
市民プールで謎の暗号を書きつける人物。
バレンタインのチョコレートフェアで、代金を預かったまま戻らないスタッフ。
就職活動でエントリーシートが紛失!
味は良いが、どこかイメージと違う食事を出すレストラン。
バーベキューで消えた牛の串焼き・・・。
さて、犯人はなぜそんなことをしたのか? してしまったのか?
二葉と隼人は事件を解明しながら、「人間」の奥深さをひしひしと知っていく。
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このシリーズのコンセプトは、とにかく「怖くないミステリー」。
人が死なない、人を脅えさせない、警察がほとんど出てこない異色のミステリーだ。
何しろ主人公の二葉君が、とんでもない怖がり屋さん。
そんな彼が事件と向き合うわけだから、当然「怖くない話」ばかりなのだ。
しかし本書に収められている物語は、猟奇殺人以上に恐ろしい。
なぜならどれも、いつ自分が巻き込まれてもおかしくない事件だからだ。
本書の事件の当事者は、罪をほとんど自覚していない。
いや自覚していないどころか、自分の罪を正当化しながら生きている。
一言でいうと「身勝手」なのだ。
よく考えると、日常に潜む謎は「身勝手な人・非常識な人」が発端となり、引き起こされることが多い。
「なぜこんなところに、こんな柵があるんだろう?」
「なぜ今年から、こんな規則ができたんだろう?」
「なぜこの病院、受付時間が変わったんだろう?」
「なぜこの棚、位置が変わったんだろう?」
そういう謎は、「一部の人の迷惑行為」がきっかけであることが多い。
「先生と僕」「僕と先生」に出てくる事件は、そんな現実をあぶり出している。
だから猟奇殺人より怖い。
気がつけば、自分がとんでもない罪を犯しているかもしれない。
明日にでも、自分がとんでもない犯罪に巻き込まれるかもしれない。
そんな気がして夜も眠れなくなるのだ。
よって本書は怖くないけど、ブルッと震えるミステリー。
他人事とは思えないから、怖くないのにメチャメチャハマれる。
そして「あの張り紙の謎がわかった私、もしかして名探偵!?」なんて夢まで見れてしまうのだ。
「ミステリーを読みたいけど、怖いのは苦手・・・」
「怖いのは嫌いだけど、謎解きは好き」
そういう人は、ぜひ「先生と僕」「僕と先生」の同時買いを。
えっ? 一冊ずつじゃダメかって?
う~ん、一冊ずつでもいいんだけど・・・「先生と僕」を読んじゃったら自然と「僕と先生」も読みたくなることに。
実際私、「先生と僕」を読んだ翌日に「僕と先生」を読破。
読む手が止まらなかった身としては、「別々に買おう」なんて・・・残酷すぎて言えない。
「やっぱ、日常の謎って意地悪だなあ」
(本文引用)
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ミステリーは好きだけど、残酷なのは苦手・・・。
そんな方には、「坂木司ミステリー」が断然おすすめ。
私自身、最近、猟奇的なミステリーが読めなくなってきた。
若い頃は連続殺人ものとかドキドキしながら読んでいた。
しかし今は、安易に遺体とか殺人とかが出てくると、ちょっとゲンナリ。
年をとると、「死を軽く扱わないでほしい」みたいな気持ちになるのかもしれない・・・。
その代わり、今好きで好きで仕方ないのが「人が死なないミステリー」。
日常生活のちょっとした謎から、逮捕するほどではない(だけど見過ごせない)犯罪が起こる。
そんな「身近なミステリー」が、今は読んでてひたすら楽しい。
というわけで、坂木司さんの本を一気に二冊紹介。
ストーリーは全て「えっ? そんなところにミステリーが?」と驚くものばかり。
半径100m以内で起きそうな“事件”だから、ある意味、猟奇殺人より刺激的。
「ミステリーで怖い思いはしたくない。ミステリーの面白い部分だけもらって、楽しく脳を活発にしたい」
「自分も名探偵気分を味わいたい」
そんな方には、「坂木司ミステリー」が断然おすすめ。
私自身、最近、猟奇的なミステリーが読めなくなってきた。
若い頃は連続殺人ものとかドキドキしながら読んでいた。
しかし今は、安易に遺体とか殺人とかが出てくると、ちょっとゲンナリ。
年をとると、「死を軽く扱わないでほしい」みたいな気持ちになるのかもしれない・・・。
その代わり、今好きで好きで仕方ないのが「人が死なないミステリー」。
日常生活のちょっとした謎から、逮捕するほどではない(だけど見過ごせない)犯罪が起こる。
そんな「身近なミステリー」が、今は読んでてひたすら楽しい。
というわけで、坂木司さんの本を一気に二冊紹介。
ストーリーは全て「えっ? そんなところにミステリーが?」と驚くものばかり。
半径100m以内で起きそうな“事件”だから、ある意味、猟奇殺人より刺激的。
「ミステリーで怖い思いはしたくない。ミステリーの面白い部分だけもらって、楽しく脳を活発にしたい」
「自分も名探偵気分を味わいたい」
そんな「プチ名探偵願望」があるのなら、坂木作品一気読みがおすすめだ。
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■「先生と僕」「僕と先生」あらすじ■
「先生と僕」「僕と先生」の主人公はタイトル通り、先生と僕の2人組。
1人は男子大学生・伊藤二葉。
顔はフツーで、疑うことを知らないノンビリタイプ。
やや鈍くさいが、「5秒見れば何でも覚えてしまう」という特技を持っている。
もう1人は男子中学生・瀬川隼人。
ジャニーズ系のイケメンで、アルカイックスマイルで人々を悩殺。
家は裕福で頭も切れるという、非の打ち所がない少年だ。
二葉は隼人の家庭教師となるが、二人はいつしかコンビで「身近な事件」を次々解決。
書店の雑誌に挟まれる、謎の付箋。
火災を起こしたカラオケ店から、忽然と姿を消した客。
市民プールで謎の暗号を書きつける人物。
バレンタインのチョコレートフェアで、代金を預かったまま戻らないスタッフ。
就職活動でエントリーシートが紛失!
味は良いが、どこかイメージと違う食事を出すレストラン。
バーベキューで消えた牛の串焼き・・・。
さて、犯人はなぜそんなことをしたのか? してしまったのか?
二葉と隼人は事件を解明しながら、「人間」の奥深さをひしひしと知っていく。
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■「先生と僕」「僕と先生」感想
このシリーズのコンセプトは、とにかく「怖くないミステリー」。
人が死なない、人を脅えさせない、警察がほとんど出てこない異色のミステリーだ。
何しろ主人公の二葉君が、とんでもない怖がり屋さん。
そんな彼が事件と向き合うわけだから、当然「怖くない話」ばかりなのだ。
しかし本書に収められている物語は、猟奇殺人以上に恐ろしい。
なぜならどれも、いつ自分が巻き込まれてもおかしくない事件だからだ。
本書の事件の当事者は、罪をほとんど自覚していない。
いや自覚していないどころか、自分の罪を正当化しながら生きている。
一言でいうと「身勝手」なのだ。
よく考えると、日常に潜む謎は「身勝手な人・非常識な人」が発端となり、引き起こされることが多い。
「なぜこんなところに、こんな柵があるんだろう?」
「なぜ今年から、こんな規則ができたんだろう?」
「なぜこの病院、受付時間が変わったんだろう?」
「なぜこの棚、位置が変わったんだろう?」
そういう謎は、「一部の人の迷惑行為」がきっかけであることが多い。
「先生と僕」「僕と先生」に出てくる事件は、そんな現実をあぶり出している。
だから猟奇殺人より怖い。
気がつけば、自分がとんでもない罪を犯しているかもしれない。
明日にでも、自分がとんでもない犯罪に巻き込まれるかもしれない。
そんな気がして夜も眠れなくなるのだ。
よって本書は怖くないけど、ブルッと震えるミステリー。
他人事とは思えないから、怖くないのにメチャメチャハマれる。
そして「あの張り紙の謎がわかった私、もしかして名探偵!?」なんて夢まで見れてしまうのだ。
「ミステリーを読みたいけど、怖いのは苦手・・・」
「怖いのは嫌いだけど、謎解きは好き」
そういう人は、ぜひ「先生と僕」「僕と先生」の同時買いを。
えっ? 一冊ずつじゃダメかって?
う~ん、一冊ずつでもいいんだけど・・・「先生と僕」を読んじゃったら自然と「僕と先生」も読みたくなることに。
実際私、「先生と僕」を読んだ翌日に「僕と先生」を読破。
読む手が止まらなかった身としては、「別々に買おう」なんて・・・残酷すぎて言えない。