「わたし、定時で帰ります。ハイパー」感想。平成のハラスメント総決算!一社に一冊いかが?
評価:★★★★★
結衣が作りたいと思っていたのは、自分だけが定時で帰る会社ではない。
(本文引用)
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東山結衣は30代前半。
WEBサイトの構築・運営をする会社に勤務。
絶対譲れないポリシーは定時に帰り、近所の中華料理店で半額ビールを飲むことだ。
実は結衣は二度婚約が破談となっており、現在実家に居候中。
何とかして現状を打破したいと思っている。
ある日、結衣のもとに大きな仕事の話が来る。
大手スポーツウェアメーカーのウェブCMだ。
他社が関わったCMが炎上し、結衣の会社にチャンスが到来。
しかし当のスポーツウェアメーカーは、激烈なハラスメントが横行する会社だった。
セクハラ、パワハラ、裁量労働制・・・。
結衣たちは凄絶なハラスメントに耐えながら、大きな山を動かそうとするが・・・?
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本書を読むと、いかに世の中が「ハラスメント」に対し鈍感だったかがわかる。
セクハラ、パワハラ、モラハラ・・・どれも「魂の殺人」、いや、魂も肉体も死に追い詰める犯罪行為だ。
「わたし、定時で帰りますハイパー」は、その罪の重さを色濃く描写。
ハラスメントにまつわる「あの事件」「この事件」を、物語にさりげなく織り込む構成は見事。
やや描写が極端なきらいはあるものの、極端さゆえに、ハラスメントに対する意識を研ぎ澄ましてくれる。
なかでも「おっ、これは・・・」と瞠目したのが、結衣の元婚約者・種田が味わったパワハラ経験。
種田は大学時代、野球部で悔やんでも悔やみきれない「罪」を犯した。
監督の強烈なパワハラと、それに異を唱えられない異常な空気のなかで、一生ひきずる罪を犯したのだ。
当時の状況を、種田はこう語る。
この話、どこかで聞いたことはないだろうか。
そう、昨年起きたアメリカンフットボールの事件だ。
本書ではこのように、実際のハラスメント事件を巧みに導入。
その他、大手広告会社の新入社員自殺事件も、しっかり織り込んでいる。
だから本書を読んでいると「ああ、本当に今までおかしいことだらけだったんだ。ハラスメントに対し、意識が鈍くなっていたんだ」と痛感する。
おかしいことをおかしいと言うこと、ハラスメントに対する感覚を研ぎ澄ませることが、いかに大切かがわかってくる。
だから本書は、ただのお仕事小説・フィクションではない。
実際の事件を思わせる場面をあちこちに織り込み、問題意識を喚起。
コミカルなようでいて、「待ってました」と言いたくなる「正義の書」なのだ。
ところでこれ、映画化しますよね?(えっ? しない?)
あるいは2時間スペシャルドラマ?
ぜひ帯ドラマよりスケールアップして、映像化していただきたい。
結衣が作りたいと思っていたのは、自分だけが定時で帰る会社ではない。
(本文引用)
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「わたし、定時で帰ります」の第2弾。
「こりゃ確かにハイパーだわ!」と思わずニンマリ。
定時帰宅が絶対の結衣が、ついに管理職となり、さらに茨の道を進むことに。
舞台は海外にまで飛び、いわば「テレビ版」が「映画版」になった感じである。
(「朱野さん、さては映画化をねらっていますね。ズバリそうでしょう!」←丸尾くん風)
命を削る過重労働、人権無視の超絶ハラスメント・・・そんな体質がしみついた企業に、結衣たちはどう挑むのか。
平成のハラスメント総決算の「わたし、定時で帰りますハイパー」。
ハラスメントのない時代に向け、令和の赤穂浪士が立ち向かう!
「こりゃ確かにハイパーだわ!」と思わずニンマリ。
定時帰宅が絶対の結衣が、ついに管理職となり、さらに茨の道を進むことに。
舞台は海外にまで飛び、いわば「テレビ版」が「映画版」になった感じである。
(「朱野さん、さては映画化をねらっていますね。ズバリそうでしょう!」←丸尾くん風)
命を削る過重労働、人権無視の超絶ハラスメント・・・そんな体質がしみついた企業に、結衣たちはどう挑むのか。
平成のハラスメント総決算の「わたし、定時で帰りますハイパー」。
ハラスメントのない時代に向け、令和の赤穂浪士が立ち向かう!
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■「わたし、定時で帰りますハイパー」あらすじ
東山結衣は30代前半。
WEBサイトの構築・運営をする会社に勤務。
絶対譲れないポリシーは定時に帰り、近所の中華料理店で半額ビールを飲むことだ。
実は結衣は二度婚約が破談となっており、現在実家に居候中。
何とかして現状を打破したいと思っている。
ある日、結衣のもとに大きな仕事の話が来る。
大手スポーツウェアメーカーのウェブCMだ。
他社が関わったCMが炎上し、結衣の会社にチャンスが到来。
しかし当のスポーツウェアメーカーは、激烈なハラスメントが横行する会社だった。
セクハラ、パワハラ、裁量労働制・・・。
結衣たちは凄絶なハラスメントに耐えながら、大きな山を動かそうとするが・・・?
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■「わたし、定時で帰りますハイパー」感想
本書を読むと、いかに世の中が「ハラスメント」に対し鈍感だったかがわかる。
セクハラ、パワハラ、モラハラ・・・どれも「魂の殺人」、いや、魂も肉体も死に追い詰める犯罪行為だ。
「わたし、定時で帰りますハイパー」は、その罪の重さを色濃く描写。
ハラスメントにまつわる「あの事件」「この事件」を、物語にさりげなく織り込む構成は見事。
やや描写が極端なきらいはあるものの、極端さゆえに、ハラスメントに対する意識を研ぎ澄ましてくれる。
なかでも「おっ、これは・・・」と瞠目したのが、結衣の元婚約者・種田が味わったパワハラ経験。
種田は大学時代、野球部で悔やんでも悔やみきれない「罪」を犯した。
監督の強烈なパワハラと、それに異を唱えられない異常な空気のなかで、一生ひきずる罪を犯したのだ。
当時の状況を、種田はこう語る。
「監督に呼ばれたんだ。一ヶ月ぶりに話しかけられて緊張している俺に、監督は言った。あの水を飲んだ奴、何とかしとけよ、わかってるなって」
この話、どこかで聞いたことはないだろうか。
そう、昨年起きたアメリカンフットボールの事件だ。
本書ではこのように、実際のハラスメント事件を巧みに導入。
その他、大手広告会社の新入社員自殺事件も、しっかり織り込んでいる。
だから本書を読んでいると「ああ、本当に今までおかしいことだらけだったんだ。ハラスメントに対し、意識が鈍くなっていたんだ」と痛感する。
おかしいことをおかしいと言うこと、ハラスメントに対する感覚を研ぎ澄ませることが、いかに大切かがわかってくる。
だから本書は、ただのお仕事小説・フィクションではない。
実際の事件を思わせる場面をあちこちに織り込み、問題意識を喚起。
コミカルなようでいて、「待ってました」と言いたくなる「正義の書」なのだ。
ところでこれ、映画化しますよね?(えっ? しない?)
あるいは2時間スペシャルドラマ?
ぜひ帯ドラマよりスケールアップして、映像化していただきたい。