このカテゴリーの最新記事

「おまえの罪を自白しろ」。ダイナミックな面白さで大満足!犯人の本当の目的は?そしてホントの罪とは?

評価:★★★★★

「警察であれば、そう面倒なことではありません。もちろん、その目的はひとつ。――憎き犯人にも自白させてやるんです」
(本文引用)
______________________________

 「あー、面白かった!」とホクホク満足した小説は、たいてい映像化される。
 おそらく、いやきっと、本書も多分にもれず。
 映画や、年末年始のスペシャルドラマなどで映像化されるだろう(妄想&希望)。 

 真保裕一氏の作品なので、「面白いこと」はわかっていた。
 と言いつつ、途中までは「あれ? 何か凡庸な内容だな~。読むのをやめようかな・・・」と挫折の危機が。

 しかし後半戦に入ってからメキメキ話が盛り上がり、ラストは全く想定外の展開に。
 脳がひっくり返るような「スケールのでかい面白さ」で、大満足のうちに読み終えた。


 あ、これ「相棒スペシャル」で放送してくれるのもいいな。
 
 何しろ真相が、想像をピョーンと越えたもの。
 右京さんが全容を解明し、皆が瞠目する場面が、今から目に浮かぶ。

 テレビ朝日さん、「相棒元日スペシャル おまえの罪を自白しろ」なんていう企画はいかがでしょうか。
 (朗報をお待ちしています。)
______________________________________

■「おまえの罪を自白しろ」あらすじ



 ある日、3歳の少女が誘拐された。
 少女は大物政治家・宇田清治郎の孫。

 犯人は孫娘の解放に、ある条件を突きつける。

 『我々の要求は金銭ではない。
  孫娘の命を救いたければ、明日午後五時までに記者会見を開き、おまえの罪を包み隠さず自白しろ。今まで政治家として犯してきたすべての罪を、だ』


 宇田は建設省の官僚だったこともあり、公共工事ではかなり危ない橋を渡ってきた。
 談合、収賄・・・全ての罪を自白すれば、政治生命は間違いなく絶たれる。

b280a40f7c7f41e65736b6342b122d90_s.jpg


 そして宇田の自白は国を激震させ、一蓮托生で多くの政治家・官僚も葬り去られることに・・・?

 犯人の狙いは、いったい何なのか。
 孫娘は本当に解放されるのか?
 ____________________________________

 

■「おまえの罪を自白しろ」感想



 冒頭でも書いたが、最初は正直「・・・あんまりおもしろくないかも・・・」と思ってしまった。
 華麗なる一族の孫誘拐、政治家の汚職、公共工事の談合等々、「ありがちだなぁ~。真保裕一さんだから、もっと突飛な話で驚かせてくれると思ったんだけど・・・」などとややガックリきていた。

 しかし110ページを過ぎた頃、私は「そんなことを考えた自分」を恥じることに。

 「犯人のねらい」について、捜査陣は「待てよ?」とばかりに方向転換開始。
 
 刻一刻とタイムリミットが迫るなか、思いっきり発想を柔軟にして解決に邁進していくのだ。

 そしていよいよ解決か?となった後に、もうひとひねり。
 
 「ええええええ? そういうことだったのぉ~!?」という「やられた感」に、私は思わず顔を覆った。
 
 (真保さん、先ほどの失言、申し訳ございません。
 やっぱり面白いです。これからもついていきます。)

 ピンボールのように「あっちでもない、こっちでもない」と推理が二転三転するなか、たどり着いた答は、ピンボールを機械ごとひっくり返すもの。

 さて、この自白、あなたは見抜けるだろうか?

 読んでおけば、いつか映像化されるとき、「自分は真相を知ってるもんね」と優越感を味わえることだろう。
 というわけで、テレビ局の方、映画会社の方、何とぞ「おまえの罪を自白しろ」の映像化をよろしくお願いいたします。

※映像化熱望本限定コーナー:勝手にキャスティング

●宇田清治郎:西岡徳馬
●宇田揚一郎:葛山信吾
●宇田晄司:桐谷健太
●緒形麻由美:貫地谷しほり
●緒形恒之:平岡祐太

                                                                     
詳細情報・ご購入はこちら↓

赤毛のアンナ  真保裕一

評価:★★★★☆

 「今まで頑張ってきたつもりだけど・・・・・・アン・シャーリーになれなかったよ、あたし・・・・・・」
(本文引用)
______________________________

 いきなり「赤毛のアンナ」などというタイトルを見せられたら、てっきり「赤毛のアン」のパロディのコメディ小説と思ってしまうかもしれない。

 しかし、著者が真保裕一氏なので、そんなことはないだろうと思い読んでみた。
 真保作品は、いつも人の心の底にある悲しみを優しくすくいとるような、慈しみと誠実さにあふれた小説だからだ。

 そしてこの小説も同様だった。
 もし、自分が人には到底いえない過去を持っていたらどうするか。もし、愛する人の過去が気になって仕方なくなったらどうするか。
 この小説は、「今現在の自分」と「今、眼の前にいる大切な人」を信じることの難しさを伝えている。と同時に、それを信じることができる人が、いかに強いかということも。



続きを読む

レオナルドの扉 真保裕一

 「約束したろ、ジャン。――空を飛ぶ時は一緒だって」 (本文引用)
__________________________________

  本を読む楽しさを知ったのは、いつのことだろう。この小説を読み、ふとそんなことを思った。
 なぜなら本書は、「本を読む楽しさを知った頃のときめき」を鮮明に思い出させてくれた作品だからだ。

 国をまたいで宝探しをする、超弩級の歴史冒険譚。天才レオナルド・ダ・ヴィンチの「本当の」遺産とは何か?それを手に入れるのは、果たして誰か?
 誰も知らない歴史の扉が、今、開かれる。
____________________________

 舞台は、18世紀末から19世紀初頭のイタリア。時計屋の少年ジャンは、祖父ベルナルドと二人暮らし。父親は、かつてフランス軍がイタリアを攻めてきた際に逃げ出したと言われ、そのせいで二人は肩身の狭い思いで暮らしつづける。


 そんなある日、フランス軍の兵隊が突如、ジャンとベルナルドを襲う。フランス軍は、どうやらジャンの父親の行方を追っている模様。
 実は父親は、ただ逃げ出したわけではない。フランス軍からイタリアを守るべく、レオナルド・ダ・ヴィンチの遺産を持ち出し、姿を消したのであった。

続きを読む

プロフィール

アコチム

Author:アコチム
反抗期真っ最中の子をもつ、40代主婦の読書録。
「読んで良かった!」と思える本のみ紹介。
つまらなかった本は載せていないので、安心してお読みください。

最新記事
シンプルアーカイブ
最新コメント
最新トラックバック
RSSリンクの表示
QRコード
QR

書評・レビュー ブログランキングへ
にほんブログ村 本ブログへ
にほんブログ村
カテゴリ
広告
記事更新情報
リンク
広告