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猛暑に読むなら「DIVE!!」。芦田愛菜さんもおすすめの青春スポ根で夏を乗り切ろう!

評価:★★★★★

 「もっと自分だけの、最高の、突きぬけた瞬間がいつかくる。そういうのを信じて飛んでるんだ」
(本文引用)
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 今年の夏はキツイ。
 いつもの夏より数倍疲れる。

 猛暑の言葉どおり、今夏の暑さには猛り狂うような異常性・凶暴性を感じる。
 
 そこで読んだのが、森絵都「DIVE!!」。


 実は本書も「十角館の殺人」同様、本棚の奥で眠っていた本。
 
 「老後の楽しみに」と思っていたが、これまた「十角館~」同様「まなの本棚」おすすめなので、前倒しして読み始めた。

 いや~、読んでよかった!
 海やプールで「超気持ちいい!」を味わった後に、仲間と笑顔で焼き肉をガッツリ。
 「DIVE!!」なら、部屋で本を読んでるだけで、そんな極上体験ができてしまう。

 これから訪れる厳しい残暑、読書で乗り切るなら、この「DIVE!!」がダントツでおすすめだ。
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■「DIVE!!」あらすじ



 坂井知季は中学生。
 飛び込みの選手として、日々練習を重ねている。

 しかし知季が所属するダイビングクラブが、存亡の危機に。
 そこにやってきたのが、女性の新任コーチ。

 彼女はクラブ存続の「ある条件」のために、米国からやってきた。

 「ある条件」とは、ダイビングクラブから最低1名、オリンピック選手を出すこと。
 オリンピックは来年に迫っており、このままでは到底不可能。

 しかし五輪代表選手が出なければ、ダイビングクラブは倒産。

 はたして知季たちは目前に迫った五輪に、出ることができるのか?
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■「DIVE!!」感想



 「DIVE!!」は夏バテしてる人におすすめ。
 だが、もっとおすすめしたい人がいる。

 それは「今、打ち込んでいることに疑問を持っている人」だ。

 勉強ならいくら打ち込んでも疑問を持たない。
 受験や就職、年収などライフプラン・ライフステージに直接結びつくからだ。

 しかしこれがスポーツや趣味の話になると、違ってくる。

 「こんなことやってて、何になるんだろう?」とふと虚しくなるものだ。

 だが「DIVE!!」を読んでいると、そんな疑問が氷解する。
 スポーツでも趣味でも、何か1つのことに打ち込んでいる自分を、自信をもって肯定できるようになるのだ。

 本書に登場する飛び込み選手たちは、「1つのことに打ち込む人にしか見えない風景」を見ている。
 命を賭けてのぼった山の頂上で、ご来光を拝む・・・そんな「己の限界に挑戦した者にしか見えない風景」を見ているのだ。

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 だからこそ彼らは、通常では考えられない「バカなこと」をする。
 自分の損得を1ミリでも考えたら、決してしない行動をとってしまう。
 「何のために今までがんばってきたの?」「そんなことじゃ、世の中わたっていけないよ」とコンコンと諭したくなる「バカなこと」をしてしまう。

 だがそんな「バカなこと」ができるのは、「1つのことに打ち込む人にしか見えない風景」を見てるから。
 1つのことに、ただただひたむきに打ち込んでいるからこそ、損得を度外視した「バカなこと」をするのだ。

 何かに打ち込んでいる方は、そんな「損得を度外視した行動」ができる人。
 それって「将来どうするの?」「何の役に立つの?」なんて考えるより、ずっと大事だと思う。

 今現在、1つのことに打ち込みながらも疑問・不安を感じてる人は、ぜひ「DIVE!!」を読んでみてほしい。

 「私、このままでいいんだ」と自信をもって、己の人生を邁進できるだろう。

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中学生・高校生に全力でおすすめ! 森絵都「永遠の出口」

評価:★★★★★

あんなにも懸命に自分のことを考えたのは、あとにも先にもあれっきりかもしれまい。
 考えて、考えて、考えて、ある日、ふいに思った。
 こうしてはいられない。

(本文引用)
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 森絵都さんがいれば、ドラえもんはいらないかも。
 なぜなら森絵都さんは、タイムマシーンのような作家だから。

 作品を読んでいると、小学生・中学生・高校生の頃の自分にヒューッと体ごと戻されます。

 大学生の頃の感覚は、まだ体のあちこちに残っているような気がしますが、高校以前となるとほぼ忘却の彼方へ。

 でも森絵都さんがいる限り、ページを開けばいつでも、その頃の感覚を思い出すことができます。

 だから世の中に森絵都さんの小説があるかぎり、いつでも昔に戻れるのです。

 この「永遠の出口」は、そんな小説の代表格。

 1人の女の子の姿を、小3から高3まで描きつづけた連作短編集です。
 いわば小説版「6才のボクが、大人になるまで」といったところでしょうか。

 大人になって振り返ると、何もかもが腹立たしいほど愚かで浅はかだった少女時代。

 でもあの愚かしさは、大人になるためには欠かせないものだったんだなぁ――胸がチクリとなりながらも、心からそう思える傑作です。





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 小学3年生の岸本紀子は、「永遠」という言葉に脅されつづけています。

 姉の景子が何かにつけて、「紀ちゃん、かわいそう。あの●●を永遠に見ることができないんだね」などと言ってくるからです。

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 そんな「永遠」に対する怯えや憧れに疲れ、紀子は「永遠の出口」を1つひとつ探り当て、大人への入り口を見つけていきます。

 その相手は、同じクラスの女の子だったり、「黒魔女」と呼ばれる恐ろしい担任だったり、誤解から付き合い始めた男の子だったり・・・。

 色々なことにぶつかりながら、一歩一歩大人に近づいていく紀子がつかんだものとは?
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 この「永遠の出口」は九章から成っており、章が進むごとに小3、小5、中学生になる春休み、中学、高校・・・と紀子が成長していきます。

 そう聞くと、学校生活ばかり描かれているように思えるかもしれませんが、そこはやってくれます、森絵都さん!描かれるのは学校だけではありません。

 不良少年のたまり場、アルバイト先のレストラン、家族旅行・・・様々な場所で、紀子はいろんなことを考え、いろんなことに悩んで、ぐんぐんと成長していきます。

 学校以外の場でも、子どもの心というのはここまで育てられていくものなんですね。

 ・・・と言いつつ、いちばん印象に残っている章は学校でのお話。
 第二章「黒い魔法とコッペパン」です。

 5年生になった紀子のクラスには、あるベテラン女性教師が着任します。
 彼女は「私が担任になると、必ず成績が上がる」と豪語し、一見頼もしい教師に見えたのですが、その内実はひどいもの。

 まずえこひいきがひどく、成績の良い子だけを集めて寵愛。
 そしてしょっちゅう難病や奇病の話を子どもたちに聞かせ、「成績が悪いと、この病気になって死ぬ」などと話します。

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 子どもたちは彼女を「黒魔女」と呼び、クラスの雰囲気はどんどん悪化。
 子どもたちの不満は爆発寸前になりますが、ある日決定的な出来事が起こります。

 それをきっかけに、紀子と、幼なじみの男子・鳥井真雪が集会を開催。

 鳥井は集まったクラスメイトに、まずはこう提案します。 

「退治するのは無理だと思う。でも、みんなのかかってる魔法を解くことはできるかも」

 黒魔女を退治することはできないけど、みんなのかかっている魔法を解けば、この問題は解決するかもしれない。

 そんな鳥井の提案を受け入れた子どもたちは、さっそく行動開始。
 すると紀子のクラスは、黒魔女がいるにも関わらず、素晴らしいクラスに変貌していったのです。

 さて、そんな鳥井の秘策とは?

 この物語は「黒魔女」のキャラクターが強烈なだけに、かなりインパクトのある内容になっています。でも実際、こういう先生って意外と多いのではないでしょうか。
 私の友人のお子さんも、まさにこういう「黒魔女」先生が担任になり、不登校になった児童がいたそうです。
 私が小学生の時にも、ここまで極端じゃないけど、似たような先生がいたような記憶が・・・。

 そして大人になってからも、この「黒魔女」のような人に出会うことって多いような気がします。
 もちろん、黒魔女が男性であることも。

 もし現在、誰かに心理的に追い詰められているような気がしたら、ぜひこの章を読んでみてください。

 鳥井君の秘策は、大人にも効きますよ!

 そう考えると、人はいつまでも「永遠の出口」を見つけることなどできないのかもしれませんね。

 紀子はあちこちにぶつかって傷だらけになりながら大人になってきますが、大人になってもあまり変わらないのかも。

 子どもの頃よりはちょっとだけ器用になっただけで、誰もが死ぬまで、紀子のようにもがきつづけるのかもしれません。

 だからこそ、この「永遠の出口」は面白いです。

 自分は今までいろんなことにぶつかって大人になってきたなあ。
 そして今でも、何だかんだと色んなことにぶつかっては歩いているなあ。
 いつまで歩き続けるかはわからないけど、こうして歩くのも悪くないかも。

 人生に対し、そんな希望が見えてきます。
 いやー、これは良い本に出合うことができたものです!

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 人生、ツルリと傷ひとつなく歩める人なんていないんだよ。
 森絵都さんの「永遠の出口」は、中高生の方に、こう語り掛けながらポンッと手渡したくなる一冊です。

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忘れられない人がいる方におすすめ!森絵都「出会いなおし」

評価:★★★★★

 「ちょっと考えちゃって」
 「何を」
 「発砲事件がなかったら、そのサラダもなかったかもって可能性」

(本文引用)
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 とにかく「ハズレなし」の作家・森絵都さん。
 「みかづき」で頂点に達したかと思いましたが、この「出会いなおし」でさらに迫力が増した気がします。
(「みかづき」のレビューはこちら

 最新刊「出会いなおし」は、タイトル通り「再び出会った人同士」を描いた物語です。

 それほど親密というわけではなかったけれど、何となく気になっていた「あの子」。
 初めての出会いで猛烈に腹が立ち、二度目の出会いでそれがストンと腑に落ちた「あの男」。
 目の前からいなくなったはずなのに、突如自分と息子の前に現れた「亡き妻」。



 「出会いなおし」は再会のパターンをとことん突き詰めた短編集。
 
 もし今、忘れられない人がいて苦しんでいたら、ぜひ読んでみてほしい一冊です。

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みかづき  森絵都

評価:★★★★★

 「欠けている自覚があればこそ、人は満ちよう、満ちようと研鑽を積むのかもしれない」
(本文引用)
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 これはもう、日本版「百年の孤独」か、パール・バックの「大地」だ!

 何世代にもわたる長~い年月の物語を、面白くてアッという間に読んでしまう。そんな、うんと贅沢な読書ができたという点で、本書は上に挙げた歴史的名作に並ぶ傑作だ。
 
 森絵都はこの作品で、他の若手作家からは一歩も二歩も抜きんでたのではないか。本書からは、もう大御所の風格が漂っている。
 森絵都の小説は、安定して高評価を得ている。それでも、本書を読み、失礼ながらこんなことを思ってしまった。

 「森絵都って、こんなにすごい作家だったの!?」



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 物語のスタートは、昭和36年。
 ある小学校で用務員を務める大島吾郎は、勉強についていけない児童に、こっそり勉強を教えはじめる。
 その教え方が評判を呼び、吾郎は、ある女子児童の母親・赤坂千秋にスカウトされる。 

 「大島さんに、ぜひ、私が立ち上げる塾に来ていただきたいんです」

 それが、大島家の長い長い「塾の歴史」の始まりだった。
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 この物語は、吾郎・千秋夫妻、3人の娘たち、そしてさらに孫の世代まで渡る大島家の塾の変遷を描いたものだ。

 その年月は40年以上にもなるが、物語の焦点はひたすら「教育」。
 勉強についていけない子に学ぶ楽しさを知ってもらいたい時代、公立学校に塾が敵視されていた時代、高校進学率が上がり、より良い学校に行くことが目的となった時代・・・。
 それぞれの時代ごとに、大島家の塾がどのように闘っていくかが、本書の見どころだ。

 エリート養成か、ついていけない子に基礎から教えていくか。
 吾郎と千秋のぶつかり合い、3人の娘たち同士の考え方の相違は、読者にも「教育とは何か」を大いに考えさせる。

 私など、現在小学生の子どもがいるため、一文字一文字が心に深く刺さった。確かに私は、子どもに「勉強のできる子になってほしい」と思っている。しかしそれはいったい、何のためなのか・・・いわゆるエリートになってほしいのか、一生安定した暮らしをしてほしいからなのか・・・大島家の葛藤を読みながら、何度も何度も自問した。
 
 そんな迷いに答えてくれたのは、物語終盤まで影の薄かった、ある人物。
 就職活動に失敗し、髪を金髪に染めた若者が見出した「本当の教育」の意義とは?

 途中何度も嵐に見舞われながらも、教育への情熱だけをオールに大海に漕ぎ出す大島家。
 40年以上にわたる大島塾の大航海の物語は、大島家の掲げる「教育」と同じぐらい、否それ以上に、人々に「生きる力」と「明るい心」をもたらすだろう。

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クラスメイツ 森絵都

 だれだって、はげまされるよりは、はげましたいんだ・・・・・・。(本文引用)
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  「『認められたい』の正体」を読んで以来、妙に中学生の心理が気になるようになってしまった。
 いったいどうすれば、自分を認めてほしくてたまらないような、でも放っといてほしいような中学時代を乗り越えることができるのか。私もかつて中学生だったはずなのに、ウンウン悩んでしまった。

 そこで、この度読んだのが、森絵都著「クラスメイツ」
 とある中学校のクラスメイト全員が、各章でそれぞれ主人公を務める異色の群像劇だ。

 たとえばトップバッター、第1章の主人公は相本千鶴。彼女は、常に出席番号1番の苗字のせいで、学期初めはいつも一番すみっこの席になってしまう。
 そんなわけで友達作りに遅れをとりがちな千鶴は、後ろの席の榎本志保里に、勇気を振り絞って声をかける。

 2人はそのまま仲良くなり、とりあえず順調なスタートを切った千鶴だが、彼女にはもうひとつ「ある決意」があった。
 その決意のために、千鶴は志保里と共にさっそく行動を始めるが、その結果、気づいたこととは・・・?

 まずは、特に問題のなさそうな女子生徒の話から始まるが、次の章を読んで驚く。
 子どもたちが、これほどの不安と恐怖を抱えながら学校に通っていたとは。



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プロフィール

アコチム

Author:アコチム
反抗期真っ最中の子をもつ、40代主婦の読書録。
「読んで良かった!」と思える本のみ紹介。
つまらなかった本は載せていないので、安心してお読みください。

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