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二重生活  小池真理子 

評価:★★★★★

「こういうことが言えるのではないでしょうか。尾行している側は、決して対象者と接触しようとしてはならず、また、尾行されている者は決して振り返ってはならないのだ、と。それがこの種の尾行の鉄則なのです」
(本文引用)
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  最後の2ページで、ザァッと体中に鳥肌が立った。
 ラストを迎え、読者がすっかり油断しているところを背後からいきなり肩をつかみ、また物語の世界に有無を言わせず引きずり込む。これほど見事なラストは、そうそうないだろう。

 この小説は映画化され、現在公開中だが、やはりこの小説と同じような終わり方をしているのだろうか?
だとすれば、ラストに入った瞬間の観客たちの表情は見ものだ。みな目を剥き、息をのんで「まさか・・・!?」という顔をしているに違いない。
 それを観るためだけに、今すぐ映画館に向かいたいとウズウズしている私は、この本の主人公と同じぐらい危ない人間なのかもしれない。



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モンローが死んだ日  小池真理子

図らずしてそんなことを口にした鏡子だったが、それから七カ月後、自分がこの日、この時、思わず口走った言葉の重大さに気づくのである。
(本文引用)
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 今年いちばんのイッキ読み。ぜひぜひ、ドラマ化してほしい。
 いや、ジュリアン・ムーアとディラン・マクダーモット主演で映画化、全米公開、逆輸入で日本でロードショー・・・という流れでもいいかもしれない。
 この溶けるような愛と、それを一気に突き崩すサスペンスフルなストーリー展開は、観衆をスクリーンに釘付けにするだろう。あ~、想像するだけでゾクゾクする!
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 還暦を間近に控えた鏡子は、軽井沢近くの記念館で管理人をしている。夫はすでに他界しており、子どももいないため、一軒家にひとり静かに暮らしている。
 そんな鏡子は、一人の精神科医の男性・高橋と出会う。知り合った場所は、地元のクリニックの精神科。夫の死後、精神状態が不安定になったために受診したのが高橋であった。


 高橋の治療は非常に適切で、鏡子の精神状態はどんどん良くなっていく。薬の処方も良かったのであろうが、何より「自分の心の闇を全て受け入れてくれる」高橋という存在そのものが大きかった。
 二人は次第に親密になり、男女の関係になる。お互い離別・死別しているため、誰にも後ろ暗いところのない恋愛だった。

 しかし、そんな満たされた日々のなか、高橋は忽然と姿を消す。

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プロフィール

アコチム

Author:アコチム
反抗期真っ最中の子をもつ、40代主婦の読書録。
「読んで良かった!」と思える本のみ紹介。
つまらなかった本は載せていないので、安心してお読みください。

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