「売上を、減らそう」感想。社長に惚れた!閉店危機も乗り越える、ビジネス成功「2つの秘訣」とは?

評価:★★★★★

 わたしが考えたのは、さらに「売上を減らす」ことでした。

(本文引用)
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 今もっとも話題の外食店「佰食屋」。
 一日に絶対100食しか出さず、売り切れたら閉店。
 店員はアルバイト・正社員とも、日が明るいうちに帰宅可能。

 日本一といっても過言ではない、超ホワイト企業だ。

 本書は「佰食屋」社長・中村朱美氏自らが執筆。
 
  「7割が3年もたない」といわれる飲食業界で、なぜ超短時間労働なのに生き残れたのか。
 
 そこには「超短時間労働」だからこそできる、驚きの戦略が。

 本書は「日本の働き方」に、間違いなくカザアナをあける一冊。

 労働時間が短くても、社員が未経験者ばかりでも、災害つづきで崖っぷちに立たされても、「やり方」次第で企業は儲かる。

 いや、「儲かる」ことを考えなかったから、生き残れたのか。


 コペルニクスもビックリの「型破りのビジネスモデル」を、本書は惜しげもなく公開する。
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 本書からは、「ビジネス成功2つの秘訣」が見えてくる。

 1つは「人を大切にする」こと。
 そしてもう1つは「人を大切にするという信念を曲げない」ことだ。

 「佰食屋」は、ちょっと目を疑うほど「人を大切にする」。

 しかも従業員もお客さんも同等。

 従業員のためにお客さんを犠牲にするのでもなく、お客さんのために従業員を犠牲にするのでもない。

 どちらも最大に幸せになれる交点を見極めて、営業しているのだ。

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 たとえば佰食屋の、整理券配布システム。

 時間指定の整理券を配ることで、お客さんはその間京都観光ができる。
 そして小さいお子さん連れだった場合、指定時間に、席に子供用椅子を置いておくことができる。
 さらに整理券を配ることで、従業員の士気はアップ。

 その「士気」とは、単なる「やる気」ではない。
 
 「自分の作った食事を楽しみにしてくれる人がいる」という思いと、「終わりが見える安心感」、そして100食限定ならではの「売り切った達成感」。

 従業員はそれら3つを、日々心にとめることで、モチベーションをコンスタントに維持できるのだ。

 さらに「佰食屋」は「人を大切にする」だけでなく、「人を大切にする信念の強固さ」も筋金入り。

 たとえば佰食屋では、やる気のある人は採用しないという独自の理論を展開。
 その理由は、従業員を大事にしてるから。

 今の働き方だからこそ、従業員も客も幸せを感じている。
 ならばそれを壊す人は、佰食屋にはいらない。
 イノベーションを目指している、他の企業に行けばよい。

 佰食屋は、世間の常識に反してでも、人を大事にする信念を断固として曲げないのである。

 その頑強さがわかるのは、京都が災害に遭い、崖っぷちに立たされたとき。

 相次ぐ天災で客足が遠のき、いよいよ閉店の危機に。
 そんな時、「人を大事にする」という信念が思わぬ突破口になり・・・?

 「人を大切にする経営」とはよく聞くが、本書ほど「具体的」かつ「画期的な対策」が書かれた本は初めて。

 お客さんも社員も大切に・・・って、こんな工夫をすれば実現できるんだなぁ。

 社長の「人に対する並々ならぬ愛」と、「人を守り抜く行動力」、そしてコペルニクスもビックリの「破天荒な発想力」に脱帽!

 ビジネス本で初めて、社長に「惚れた!」と叫んでしまった。

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「Think clearly」感想。読んだら嘘のように物事がうまく運ぶようになった秘密とは?

評価:★★★★★

よい人生を手にしようと人々が競い合っている場所で、よい人生は見つからない。
(本文引用)
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  「・・・なにこれ!? 物事がめちゃくちゃ上手くいくんですけど!」

 予想以上に仕事がうまく進んだ理由。
 それはフットワークを軽くしたこと。

 フットワークが軽くなった理由は、「Think clearly」を読んだから。

 「Think clearly」を読むと、不思議なほど行動力がわいてくる。

 行動力がわくと、こんな疑問・不安はサーッと一掃。
 
 「あれ?これってどうすればいいんだろう?」
 「この仕事、どうすれば無駄なくできるんだろう?」
 「あの仕事、失敗しないかなぁ・・・」

 
 心配性で、ひとつのことが気にかかると頭がガチガチになってしまう私。

 そんな自分を変えたくて、「Think clearly」を読んだら大正解。

 自分でも信じられないほどフットワークが軽くなり、上記のような疑問・不安を一気に解決できたのだ。

 ではなぜ「Think clearly」を読むとフットワークが軽くなり、物事がスルッとうまく運ぶのか。

 今現在、心配事で胃が痛くなってる人に、本書は心からおすすめだ。

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■「Think clearly」内容



 「Think clearly」のコンセプトは、「よりよい人生を送るための思考法」。

 さまざまな心理学研究や、成功者たちの信念から「52の思考の道具箱」を提示。

 人生がうまくいかない、いつまでたっても幸せを感じられない「本当の原因」を、今までにない観点で突き付ける。

 さらにそこから、「人生をうまくいかせる方法」を伝授。

 人間が無自覚に行なっている、「人生がうまくいかない(いくはずがない)思考法」とは?
 そして「うまくいかない思考法」をガラリと変える、「考え方のコツ」とは?
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■「Think clearly」感想



 はっきり言って、人生をうまくいかせるには「Think clearly」一冊あればよい。

 なぜなら本書には、物事をうまく運ぶ「究極のコツ」が書かれちゃってるから。

 「結局のところ、それだよね」と、どうにも反論できない思考法が書かれているからだ。

 物事・人生をうまく運ぶ「究極の思考法」とは、「自分をなくすこと」。

 これは主体性や個性をなくす、ということではない。
 「自分を重要視しすぎるな。謙虚であれ」ということだ。

 己を不幸にしたり、ストレス・プレッシャーを感じたりするのは、ずばり「自分を重視しすぎている」のが原因。

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 評価されたいばかりに完璧な計画を作るな。
 後から修正することを考えよ。
 自分と他人を、「富」や「地位」など小さいことで比較するな。
 たとえ狭い分野でも、自分の得意なこと・できることをすべし。
 SNSにとらわれるな。
 今の自分が恵まれてると感じていても、自慢をするな。それはあなたの業績ではない。遺伝子のおかげだetc.

 どれもこれも、とどのつまり「自分を重要視するな」ということ。

 評価されたい、自分のイメージを落としたくない・・・そんな「自分重視心理」は、どんどん己を不幸にする。

 物事をうまく進め、人生を快適にしていくには、「自分という存在はちっぽけである」と自覚し、「自分をなくすこと」なのだ。

 私は本書を読んでから、「自分は小さい」と言い聞かせるようにした。
 すると信じられないほど、体が動く。
 そして体が動くと、どこかしら救いや協力の手が差し伸べられ、「気がつけば全部うまくいってる」という状況になるのだ。

 「ストレスやプレッシャーを感じていたのは、自分を過大評価・重視しすぎていたせいなんだなぁ・・・」と、半世紀近く生きてきて初めて自覚。

 本書を読まず自分を増長させていたら、さらに強いプレッシャーで、一歩も動けなくなっていたことだろう。
 そして何もうまくいかないまま、人生を終えていたかもしれない。

 「Think clearly」、私はこの一冊で、救われた。 

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「愚者のエンドロール」感想。ミステリーは謎解きが面白いんじゃない。謎になるのが面白いんだ!

評価:★★★★★

 「私はその違和感が、ずっと気になっていたんです」
(本文引用)
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 大人気「古典部シリーズ」第二弾。
 ミステリーはミステリーでも、前作「氷菓」とはかなり違った趣だ。

 「氷菓」は純粋な謎解きを、存分に楽しめるミステリー。
 いっぽう「愚者のエンドロール」は、「謎を解く」のではない(いや、最終的には解くのだが)。

 いわば「謎になる」ミステリー。

 ミステリーの魅力は、「探偵みたいに謎を暴けること」だけと思っていないだろうか。

 実は自分自身が謎になってしまえば、ミステリーはもっと面白い。

 「謎を解く」よりも「謎の一味」になった方が、探偵になるより何倍もワクワクするのだ。


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■「愚者のエンドロール」あらすじ



 神山高校古典部のメンバーは、ある日、試写会に赴くことに。
 
 それは同高校・ビデオ映画研究会の自主映画。

 内容はミステリー。
 密室のなか、一人の少年が腕を切り落とされて死んでいたという設定だ。

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 犯人も密室の謎もわからぬまま、映画は終了。

 古典部のメンバーは、映画の謎解きに頭をひねるが・・・?
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■「愚者のエンドロール」感想



 とにかく最後の最後まで気が抜けない。

 解決したと思ったら、実は解決の入り口にも立っておらず振り出しに。 
 そもそも「解決しよう」という発想自体が「真犯人の罠」にひっかかってるという、何とも「お人が悪い」ミステリーなのだ。

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 なぜ「解決しようという発想自体が罠」なのか。

 理由は前述どおり、「謎解き」ではなく「謎になる」ミステリーだから。

 「謎解き」という行為は、自分が「謎の外」にいるからこそできること。

 しかし「愚者のエンドロール」は「謎解き」ではない。

 「謎を解く」でなく「謎になる」。
 ということは、あなたのいる場所は「謎のどこ」にあたるのか?

 かなりネタバレになってしまうが、読みながら、ぜひ「事件における自分の立ち位置」に注意していただきたい。

 「よーし、謎を解くぞ!」と息巻くと、その立ち位置から足をすくわれるに違いない。
 
 でもこんな足のすくわれ方、大歓迎。
 ミステリーファンなら、気持ちよくスッ転べるはずだ。

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「安楽死を遂げるまで」感想。講談社ノンフィクション賞受賞作。「安楽死を選ぶ人」には5つの特徴があった。

評価:★★★★★

 「何でも99.9%を求める子でしたからね。死ねなかったことも、彼女には苦しみでした」
(本文引用)
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 オランダでは死因の3~4%が安楽死。
 この数値を聞いて、どう思うだろうか。

 「そんなに多いの?」と驚くと同時に、「そんなに少ないの?」と拍子抜けするのではないだろうか。

 「安楽死が認められた国」と聞くと、何となく「安楽死がスタンダード」という印象がある。

 ところが本書によると、実際に安楽死を選ぶ人はごくわずか。
 決して一般的ではないのだ。
 
 ではいったいどんな人が、安楽死を選んでいるのだろうか。
 どんな人が安楽死を遂行しているのだろうか。

 実は安楽死を選ぶ人には、5つの特徴・共通点があった。

 本書でそれを知ったうえで、「安楽死を遂げた日本人」(本屋大賞ノンフィクション賞候補作)を読んでみていただきたい。
 もちろん先に、「安楽死を遂げた日本人」を読んでいても大丈夫。

 なぜ安楽死した日本人女性は、安楽死を選んだのか。
 本書と併せて読むと、彼女が安楽死を選んだことに心の底から納得できる。

 「なるほど、彼女は安楽死を選ぶはずだ」と。
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■「安楽死を遂げるまで」内容






 本書では、著者が「安楽死できる国々」を訪問。
 数時間後に「死ぬこと」が決定している人、および彼らの家族や友人を取材する。

 彼らはさまざまな形で、満足のいく旅立ちを実行。
 死ぬ日に盛大なパーティーを催す人、夫のラブレターを握りしめながら「死」に臨む人、人生最後のタバコを味わう人・・・。

 「人生はすべて自分が決める」という信念のもと、彼らは満足して最期のときを迎える。

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 しかし日本では、患者側の希望で「安楽死」の処置をしても殺人扱いに。
 
 「安楽死が認められる国」と日本では、いったいどんな違いがあるのか。
 そして「安楽死を選ぶ人」には、どんな特徴があるのか。

 濃密な取材と膨大なデータから、違いや共通点をあぶりだす。
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■「安楽死を遂げるまで」感想



 本書の魅力は、「安楽死を認める国・選ぶ人」の特徴を明確に書ききってること。

 安楽死・自殺幇助が認められてる国と、日本の違いはどこにあるのか。

 その「違い」をえぐり出すことで、「日本の風潮・タブー」をエンボスのごとく浮き彫りに。

 「個」を重んじるか「和」を重んじるか。
 「自分の人生は自分のもの」か、「自分の人生は自分のものであり、他者のものでもある」でとらえるか。

 「安楽死ができる国」と比べることで、「日本人の人生観・死生観」をパンドラの匣を開けるように、まざまざとあぶり出している。

 そして本書の読みどころは、何と言っても「安楽死を選ぶ人」の共通点。

 著者の取材によると、安楽死を選ぶ人の共通点は「4W」。

 4つの「W」とは、白人(White)、裕福(Wealthy)、心配性(Worried)、高学歴(Well-educated)である。

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 さらに最大の共通点といえるのが、「意志が強固」であること。
 とにかく一度「こう」と決めたらテコでも動かないタイプの人が、安楽死を選んでいるのだ。

 「安楽死を遂げた日本人」の「ミナ」も、まさにそれらの特徴が合致。
 
 「安楽死を遂げた~」でのインタビューを読むと、ミナの頭脳明晰さに驚かされる。
 また彼女のキャリアからも、「こう」と決めたら邁進する意志の固さがうかがえる。

 そして姉たちの様子からは、ミナの家族の実直さや品の良さが感じられる。

 本書と併せて読むことで、ミナが安楽死を望んだことに至極納得できるのだ。

 また二冊ともに、橋田壽賀子氏が例に挙げられているのも興味深い。
 橋田氏も確かに、「5つの特徴」の多くに合致している。
 
 とはいえ安楽死は、本人が望むだけでは実行できない。
 医師による客観的な判断をいくつも課せられるため、一概に「5つの特徴が当てはまってるから安楽死を選ぶ」とは判断できない。

 だが本書で「安楽死を選ぶ人の特徴」を知っておくことに損はない。

 来たる高齢化社会や「生き方・死に方を選ぶ時代」において、家族や自分がどう人生を全うするか。
 どんな生き方・死に方を真に望むか。

 安楽死を望むのか。
 絶対に安楽死などしたくないのか。

 大切な人と「満足できる死に方」を考える際、きっと本書は大きなヒントを与えてくれる。
 
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併せて読みたい。↓


「安楽死を遂げた日本人」のレビューはこちら

「愛と追憶の泥濘(ぬかるみ)」感想。史上最恐のドロドロ恋愛小説!愛する人をどこまで信じられますか?

評価:★★★★★

 「けっきょく支配するかされるかなんだ、人なんてものは」
(本文引用)
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 「結局ドラマも小説も、ドロドロが面白いよね~」
 「どこかにドロドロ、落ちてないかな~」

 そんな欲求不満をお持ちなら、「愛と追憶の泥濘(ぬかるみ)」が断然おすすめ。

 「やっぱり恋愛小説はドロドロじゃなきゃ!」と、下世話魂が活性化され、一気に元気が出るはずだ。

 なお、読後「人間不信」に陥っても、当方は責任を持たない。
 「何があってもパートナーを信じられる」という自信のある人だけ、ページをめくっていただきたい。
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■「愛と追憶の泥濘」内容



 主人公の莉歩は27歳。


 中学校の図書室で司書をしている。

 恋人の博之は、教育関連企業の営業マン。
 優しくて気が利いて、何よりイケメン。

 莉歩と博之の交際は順調で、結婚に向かってまっしぐら。

 双方の両親も承諾し、障害は何もなかった。
 ただひとつ、博之が抱える「重大な問題」を除いては。

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■「愛と追憶の泥濘」感想



 本書はSNSでも「一気読み」と評判。
 私も夢中になり、歯を磨いてる最中も読んだ。

 なぜ「愛と追憶の泥濘」は、そこまで読者を引き込むのか。

 理由のひとつは、いわゆる泥沼の恋愛劇。
 浮気を疑い、恋人を信じられなくなり、相手を詰問。
 
 ドロドロの恋愛小説の王道パターンだ。

 しかし「愛と追憶の泥濘」の引力は、その先にある。

 物語が進むうちに、善人と悪人、支配者と被支配者、攻撃と守りが徐々に変化。

 いわば「ストーカー被害に遭っている」と訴える人が、実はストーカーだった・・・みたいな。

 善人に感情移入し同情しているうちに、だんだん雲行きがおかしくなり、とんでもない結末へ。

 その展開はさながら、どんでん返しのミステリー小説。

 恋愛小説なのに、「やられた!」「だまされた!」と思わず叫ぶ展開となっている。

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 だから本書は、「何があってもパートナーを信じられる人」だけ読むべき。

 「まともな人」が「まともじゃなかった」
 その真相が明るみになるにつれて、読んでるこっちまで、愛する人を信じられなくなる。

 人生崩壊を避けるなら、本書は読まないほうがいい。

 ※ドラマ化熱望!勝手にキャスティング。
 ●莉歩:田中みな実
 ●博之:斎藤工
 ●曽根原:佐藤二朗
 ●香澄:MEGUMI


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「吃音」感想。本屋大賞ノンフィクション賞候補作。非吃音者が知るべき課題がここにある。

評価:★★★★★

「残り、時間が・・・・・・、少ないから、こそ、私は、訓練をしたいんです。死ぬ、までに、どうしても、思うように、話すという経験、を、してみたいの、です」
(本文引用)
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 吃音に悩んだ著者が、15年以上かけた取り組みの結実。

 「Yahoo!本屋大賞ノンフィクション賞候補作」で、今もっとも注目のルポといえるだろう。

 しかし手に取るのはやはり吃音者や、そのご家族が多いのだろうか。
 
 だとすれば問題だ。

 この本は、非吃音者こそ読むべき。

 非吃音者の対応次第で、吃音者の人生は天と地ほども差が出る。
 大げさではなく、生死を分けてしまうのだから。


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■「吃音」内容



 本書は、ある男性の飛び降り自殺から始まる。

 吃音を苦にして、公団住宅から飛び降りたのだ。

 しかし彼は一命を取り止め、現在は一人娘と暮らしている。

 著者は彼をはじめ、全国の吃音者および家族にインタビュー。
 
 そこに立ちはだかるのは「仕事」の壁。

 就職活動で筆記で好成績をあげても、面接でつまずく。 
 話さなくてよい技術職で実績を上げたものの、そのために管理職となり、会議やプレゼンが障害に。
 業務報告がうまくできず、上司に罵倒されつづけ、自死する者も・・・。

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 吃音者が安定した職につき、長く仕事を続けることがいかに困難か。

 数多くのインタビューから、「吃音をめぐる過酷な現実」をあぶりだす。
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■「吃音」感想



 恥ずかしながら、吃音の悩みがこれほど深く、つらく、苦しいものとは知らなかった。

 なぜ吃音がこれほどつらいか。

 本書を読むかぎり、最大の理由は「安定した収入を得られないこと」。

 吃音により電話をとれない、会議で発言できない、業務報告ができない、そもそも面接が通らない。

 本書に登場する方々は、総じて高学歴で、専門知識や高度な技術を持っている。
 しかし「電話」「会議」「面接」という「話すこと」が大きな壁となり、「安定した収入確保」が難しくなってしまうのだ。

 登場する吃音者のなかには、実際に命を絶った者もいる。

 吃音だからこそ人の役に立ちたいと、看護師になった男性。
 しかし彼は職場の無理解・パワハラが度重なり、部屋でひとり冷たくなっていた。

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 吃音で仕事がスムーズにいかず、周囲に責め立てられ、いつ辞めさせられるかもわからない。
 彼の自殺の原因は、非吃音者たちの無理解。

 つまり非吃音者の理解・対応は、吃音者の命の鍵を握っているのだ。

 だからといって、暗い話ばかりではない。
 職場全体をあげて、驚くほど吃音対策を徹底させてる組織もある。

 会話補助装置を導入し、吃音者の技術・経験を生かせる仕事に配置。
 そこで働きはじめた吃音者が、どれほど生き生きすることか。

 心が軽くなれば、吃音の症状が和らぐことも多いという。
 
 職場・非吃音者の対応によって、吃音者の人生は180度変わるのだ。

 だから本書は、非吃音者こそ読むべき。
 
 吃音者を死に追いやるか。
 吃音者に命を吹き込むか。

 吃音への理解・対応は、そのまま生命を左右する。
 本書は、そんな「事の重大さ・深刻さ」を世の中に知らせてくれている。
 
 もし読まなかったらと思うと、戦慄する。
 私は誰かを、死に追いやってしまうかもしれない。

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「氷菓」感想。京アニが遺してくれた名作アニメ原作。タイトルが「氷菓」の秘密とは?

評価:★★★★★

 「先生。伯父がなぜ『氷菓』と名付けたのか、先生はご存じですか」
(本文引用)
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 「氷菓」はアニメ化もされた、学園ミステリーの金字塔。

 それもそのはず、著者・米澤穂信はミステリー界のトップ・オブ・トップ。

 「満願」でミステリー三冠王を獲得し、今や他の追随を許さない人気作家だ。

 「氷菓」は、いわば「米穂人気の序章」本。
 
 ラノベ・中高生向けに見えるが何の何の。
 一歩先行く「ひねり」「驚愕」「どんでん返し」は、ミステリー好きの大人も大満足。

 「こりゃミステリー界トップに躍り出るのも当然だわ」と、思わずうなる傑作だ。 


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■「氷菓」あらすじ



 主人公の奉太郎は高校1年生。

 廃部寸前の「古典部」に入り、部室をのぞくことに。

 部屋の鍵を開けると、そこにはすでに一人の女子生徒がいた。

 ん?なぜ人がいたのに、鍵をかけないと入れなかったのか?
 部屋は中からは施錠できない。
 ということは、女生徒は閉じ込められていたことになる。

 彼女が部室に閉じ込められた理由とは?

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 そこから古典部たちの「謎の日々」が幕を開ける。
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■「氷菓」感想



 「氷菓」を読んでいると、骨の髄から「ゾワッ」とする。
 ミステリーだからゾワッとするのは当然、と思うだろう。

 しかし「氷菓」の「ゾワッ」は、ちょっと違う。

 私もミステリーの当事者かもしれない。
 しかも被害者ではなく加害者側。
 
 「私も気づかぬうちに、誰かに怖い思いをさせているかもしれない」と震えがくるのだ。

 「氷菓」に登場する謎は、とにかく日常に潜む謎ばかり。

 女生徒が部屋に閉じ込められた謎。
 一冊の本を、毎週違う人が借り、当日以内に返してくる謎。
 部活の文集探しを、一人の生徒が頑なに渋る謎。

 どれもこれも「いかにもありそう」な謎ばかり。
 
 読んでいると、「自分が何気なくしてる行動が、他の人には不思議体験になってるかも・・・」とドキドキしてくる。 

 特に「本の貸し借りにまつわる謎」が面白い。
 
 図書室の本は2週間借りられる。
 それにもかかわらず、「ある本」の貸出期間は2時間程度。
 
 毎週違う生徒が借りては、すぐに返却されるのだ。

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 この謎は、読めば誰もが「あるあるあるある!」とうなずくはず。
 学校生活のなんでもない行動が、別の人には大きな謎に映ってしまう。

 だから「氷菓」はゾワッとする。
 平穏に生きているようで、いつどこで、誰を戸惑わせているかわからないのだ。

 そして最大の謎は、「氷菓」というタイトル。
 33年前に高校で起きた「ある出来事」が、「氷菓」と名付けられた原因。

 タネ明かしを見れば、「これぞ米澤穂信!」と思わず納得。
 「あ~! そういうことだったのぉ!?」と半月板が割れる勢いで、膝をポンッ!

 「氷菓」という言葉に込めた深い思い。
 そしてその「深い思い」を隠すように仕込んだ、巧みな言葉遊び。

 後の「よねほ人気」を予感させるには、十分な超絶技巧ぶり。
 アニメ化されるほど評判を呼ぶのも納得だ。

 最後に・・・。
  
 「氷菓」のアニメカバーには、制作者の名が記されている。
 京都アニメーション放火事件で、亡くなられた方の名も、そこに刻まれている。

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 表紙の裏にはキャラクターや背景の設定資料も。

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 その緻密な描写からは、京都アニメーションの方々の熱意が伝わってくる。
 「氷菓」の面白さをアニメで精いっぱい表そうと、ペン先にこめたことが伝わってくる。

 改めて、志半ばで未来を奪われた方々の無念を思う。

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プロフィール

アコチム

Author:アコチム
仕事・家事・育児の合間に文字を楽しむ、兼業主婦の備忘録です。
本の評価は以下のとおり(2015年10月~)
★★★★★=読むと一生幸せでいられます。
★★★★☆=読むと1年間幸せでいられます。
★★★☆☆=読むと1週間幸せでいられます。
★★☆☆☆=これ以下の本は載せません。

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