「ベルリンは晴れているか」。10万円ぐらい払いたいスゴ本。意外過ぎる結末にうなった!

評価:★★★★★

 いずれにせよ、“戦争だったから”“非常事態だったから”目を覚ました猛獣が、私自身の内側にいたのは確かだった。
 私はいつから狂ってしまったんだろう。
(本文引用)
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 またスゴ本に出合ってしまった・・・。

 「ベルリンは晴れているか」の評判は聞いていたが、まさかここまで充実した読書ができるとは。

 ストーリーの重厚さは片手で持てないほどで、濃厚さは喉が焼けつくよう。
 あふれんばかりの人間愛が心をグサグサと刺し、意外過ぎる結末がとどめに。
 
 「この内容を1,900円+税で読めるの?読んでいいの?ホントに?」と著者と出版社に確認したくなった。

 はっきり言おう。
 「ベルリンは晴れているか」は10万円ぐらい出して読んでもいい本。



 ハードカバーの新刊を買い「損した」とモヤモヤしている人に、本書は絶対おすすめ。
 「損した読書」の苦い体験が一掃され、一気にプラスに転じることだろう。
 (そしてまた本を買ってしまい、出費がかさむという・・・。いいんだか悪いんだか)

 終戦直後のベルリンで、ある男性が毒殺される。
 かつて、その男性に恩を受けた少女は、彼の死を甥っ子に伝えようと奮闘するが・・・?

 国境や民族主義を越えたところで見えたものとは?

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■「ベルリンは晴れているか」あらすじ



 舞台は1945年のベルリン。
 戦争に敗れた今、米国・ソ連・英国・フランスの統治下に置かれている。

 土地も人間も荒廃しきったなか、ドイツ人少女・アウグステは突然、軍人の尋問を受ける。
 彼女の恩人・クリストフが毒殺されたというのだ。

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 警察はクリストフの周辺を洗い、犯人を捜す。
 その間アウグステは、クリストフの甥っ子の行方を捜す。

 クリストフの甥エーリヒは、かつてクリストフ夫妻のもとで大事に育てられていた。
 しかしエーリヒは幼い頃、突如失踪。

 アウグステは何とかして、エーリヒにクリストフの訃報を伝えようとするが・・・?
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■「ベルリンは晴れているか」感想



 本書を読み、まず浮かんだのは、宇宙飛行士・毛利衛さんの言葉だ。

 「宇宙からは国境線は見えなかった」
 
 聞いた当時も、「何という名言!」と心が打ち震えたが、本書を読み、毛利さんの言葉は本当に至言だなとしみじみ。

 なぜ国境はあるのか。
 同じ人間なのに、敵国とか同盟国とか●●民族や●●人種というものがあるのか。
 そして、なぜ戦争はあるのか。

 本書を読んでいたら、そんな思いがわきあがり、胸が震えた。

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 どっちの国が味方で敵で、敵国の人間は何をしてるかわかったもんじゃない。
 民族主義が自分に何をしてくれた?迫害と差別しかないじゃないか。

 そんなやり場のない怒りと、途方もない猜疑心。
 戦争とは、ここまで人の心を荒ませ腐らせるのか・・・と改めて戦慄した。

 だからこそ、作中で時おり見える「国境・民族を越えた思い、越えたい思い」に触れると涙が出てくる。

 陽気な泥棒カフカの、ユダヤ人を演じた日々の告白。
 アウグステが愛読書を命に代えてでも離さない理由。

 差別や民族主義で封じ込められた思想が解放される時、人は言いようもない喜びを覚える。

 本書に登場する人々の「告白」や「思い」には、「人間捨てたもんじゃない」という希望を感じる。

 明日世界が滅亡してもリンゴの樹を植えよう・・・そんな気にさせられるのだ。

 そしてラスト直前に明かされる、毒殺事件の真相。
 
 「ミステリーの禁じ手では!?」と思うほど意外すぎるものだったが、動機を聞いて納得&号泣。

 「意外過ぎる」のに、戦争・迫害という異常事態と重ね合わせて、実にうまく昇華されている。

 こういうミステリーの書き方もあるのかと、著者の力量にただただ脱帽・敬服した。

 「ベルリンは晴れているか」、今年読んだ本で、軽くベスト3にランクイン。
 家族で読み継いでいきたい一冊だ。

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「小学生のための読解力をつける魔法の本棚」感想。幸せになりたいなら必読の一冊。

評価:★★★★★

人間関係を築いていく中では、相手の気持ちに寄り添ったり、自分とは違う意見もあるのだということを認める、そういうことを知ることが人間として最も大切なことではないでしょうか。(本文引用)
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 日経新聞夕刊で、著者・中島克治氏のインタビューを読んだ。
 
 そこで本書の存在を知り、即購入。
 購入理由は、著者の写真。
 インタビューの内容はもちろん、中島氏の誠実さあふれる表情・目元に一撃されてしまったのだ。

 「この人が書いたものなら間違いない」
 
 そう直感し、Amazonでポチり。
 翌日届き、さっそく読み、「ああ、私の直感は正しかった」と今、猛烈に感動している。

 子どもを社会で羽ばたける人間にしたい。
 人々と協力しあって、世に貢献できる人にしたい。
 だいそれたことはしなくていい、とにかく自力で食べていける人間にしたい。
 子どもも私も幸せになりたい。



 本書には、そんな「親の願い」を全て叶えるコツがつまっている。

 子育てや人生に、少しでも迷いや不安が生じたら何度でも読みたい一冊。
 
 「うん、子どもも私も大丈夫!」ときっと思えるはずだ。
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■「小学生のための読解力をつける魔法の本棚」概要



 著者・中島克治氏は麻布中学・高校の国語科教諭。
 
 本書では様々な生徒の姿を通し、「読書」の効用をあらゆる点から伝えていく。

 「国語の成績が伸びない」
 「子どもに読解力がない」
 「書く力がない」

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 著者は、そんな保護者たちの悩みに丁寧に解答。

 さらに中島氏は、読書は国語の力を伸ばすだけではない。
 人間としての力を伸ばすと主張する。

 国語力・読解力・書く力をつけるには、いったいどうすればよいのか。
 より効果的な読書をする方法とは?
 
 そして、読書が人生そのものに与える効用とは?
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■「小学生のための読解力をつける魔法の本棚」感想



 本書のボリュームは決して多くはない。
 ページ数は200ページ前後で、字も大きい。
 1日足らずでサッと読めるだろう。

 しかしこの「1日足らずのサッ」が、人生全体を変える。

 読書がいかに心を豊かにし、「社会の一員である私」を幸福にするか。
 読書がいかに心を強くしなやかにし、辛い時、支えになることか。
 
 少しでも自分の人生を、子どもの人生を、そして自分にかかわる人の人生をも幸せにしたいと思うなら、本書は必読。
 
 幸せのチケットは「良い学校に入るための効率的な受験勉強」ではなく、「一見無駄に思える読書」にある。
 
 本書は、そんな「人間・人生にとって最も大切なこと」を愛をもって教えてくれる。
 だから1日足らずでサッと読めても、与える影響は一生ものなのだ。

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 かといって、本書は「勉強ができること」を批判するわけではない。

 読む力・書く力をはじめ、真の学力をつけるには、どんな読書をすべきか。
 学力を伸ばす読書法を、例文・設問も挙げて具体的に伝授する。

 さらに実際の生徒の作文と、添削の様子まで公開。
 「ここまで教えてくれていいの?」と恐縮するほどの親切設計である。

 子どもの国語力が不安な人は、絶対に「読んで損なし!」の内容だ。

 巻末には小学校低学年・中学年・高学年別の「おすすめ本」を紹介。
 しかも多い!
 リストを眺めるだけでワクワクが止まらないほど多い!

 これだけ挙げられていれば、親子でどっぷり読書を楽しめること請け合い。
 リスト片手に書店に行けば、家計がピンチになるほど買いすぎてしまうかもしれない。

 しかし長い目で見れば、決して損のない出費だ。
 本書が提唱する読書法を心がければ、お金には代えられない価値が心の中に生まれるだろう。

 個人的に、本書は以下の3冊と併読するのがおすすめ。

 ・西岡壱誠「東大読書」
 ・大澤真幸「<問い>の読書術」
 ・橋本武「伝説の灘校教師が教える一生役立つ学ぶ力」

 上記3冊と、本書「小学生のための読解力をつける魔法の本棚」を読めば、鉄壁・最強の読書術が手に入る。
 もっと幸せになるチケットが、確実に手に入るのだ。

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貫井徳郎「我が心の底の光」感想。地面師事件を見てたら再読したくなった。

評価:★★★★★

「人生なんて、考えてみたこともなかった。どうでもよかったから」(本文引用)
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 連日報道されている「地面師事件」。

 積水ハウスが50億円以上だましとられ、逮捕者は10人以上という異例の騒動。

 しかもどこまでが悪人で、どこからが「善意の第三者」なのかわからないという、不気味かつ難解な事件である。

 この事件を見ていて、ムズムズと再読したくなったのが「我が心の底の光」。

 貫井徳郎作品と聞けば、どことなく「果てもしれない気味悪さ」を感じるだろう。
 「乱反射」に代表されるように、「どことどこがつながり結末に向かうのか」が見えないのが、貫井作品の魅力。

 本書「我が心の底の光」は「詐欺」が共通項の連作短編だが、そんな「展開の読めなさ」「得も言われぬ不気味さ」が炸裂。



 読めばきっと「地面師事件のような事件は、めったにないかもしれないが、いつ起きても不思議じゃない」と納得するだろう。
 
 知恵をひねり良心にさえ目をつぶれば、詐欺の手口などいくらでも考え、実行できるのだ。
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■「我が心の底の光」あらすじ



 主人公の晄は、伯父夫婦に育てられている。
 5歳の時、母が死に、父が人を殺したからだ。

 その後、晄は成長と共に犯罪に手を染め始める。
 クレジットカードを見せびらかす少女、地主、小料理屋の女将、ベンチャー企業の社長・・・。
 さまざまな人物に近づいては、次々とお金をだまし取っていく。

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 良心をもたない行動で、暮らしをたてていく晄。
 
 最終的に、彼が選んだ行動とは?
 そして、彼をそこまで犯罪に駆り立てたものとは?
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■「我が心の底の光」感想



 本書を読んだ最初の感想は、「よくここまで様々な詐欺手口を書けるものだなぁ」というもの。

 黒川博行の小説等もそうだが、多種多様な詐欺手法を、実に緻密に描いてる点にホオオッ・・・とただただ感心する。
 
 特に無辜の市民を、巧妙に犯罪に巻き込む手口は圧巻。
 地面師事件も、厄介なのは「犯罪グループとみなされる人物のなかに、善意の第三者も含まれている点」だという。

 「我が心の底の光」で描かれる犯罪も、気がつけば普通の市民が、犯罪加害者に取り込まれているのだ。

 詐欺の主犯は詐欺を成功させるために、いかに手段を選ばないか。
 「立ってる者は親でも使え」の精神で詐欺グループを巨大化し、成功確率を上げていく執念には驚かされる。

 本書で描かれる犯罪は、そんなしつこさ・図太さ・気味悪さ・果ての無さが、地面師事件を思わせるのだ。

 そんな救いようのない物語だが、ところどころ「人間らしさ」という光がほの見える。
 犯罪に巻き込んだ人間、そして加担した人間。
 それぞれの後悔が、本書のスパイスとなっている。

 そのスパイスに触れるたびに、本書の旨味がジワリと心に広がっていく。

 良心というスパイスが徐々に積み重なり、ついにラストでは・・・。
 タイトルの意味がわかった瞬間、少しの希望に安堵し、その後、さらに大きな絶望と悲しみがのしかかる。

 恨みを恨みでしか返せないこと、犯罪には犯罪でしか返せないこととは、何と空しいことか。
 どうしようもないやるさなさを残し、本書は幕を閉じるのである。

 貫井徳郎の小説は、いつも救いがないのに救いがある。救いがあるのに救いがない。

 読後感は悪いのに、なぜ貫井徳郎の小説は私をここまで惹きつけるのか。

 さらに疑問が深まった、不思議な魅力を放つ一冊である。

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「人工知能に哲学を教えたら」感想。AIと人間って違わない気がしてきた。

評価:★★★★★

人間のみが独創性をもち、人工知能は模倣しかできないと考え、人間と人工知能を分断するような近代的な発想は、そろそろ限界がきているのではないでしょうか。
(本文引用)
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 日経新聞「目利きが選ぶ3冊」で紹介されていたので、購入。
 読んでいる最中、偶然にも「人間とAI」を考えさせるニュースが。
 
 「EU、AIに倫理指針 ~人種や性別 差別防ぐ~」(2018年11月6日・日経新聞朝刊)。

 現在、融資や人事試採用にAIを活用する動きが出てきている。
 しかし大きな問題が。
 AIが人種・性別差別にかかわる偏ったデータを読み込み、差別的分析をする恐れがあるというのだ。

 そこで欧州連合は、AIの倫理指針を策定。
 「AIが判断に使ったデータなどの情報開示制度を創設」
 「AIの透明性などを監査する機関を設置」等の案が盛り込まれる予定という。



 こんなニュースを聞くと、一見「やっぱり人工知能は人工知能。人間が1つひとつ教えてあげないと、何もできないのよねぇ」などと思ってしまう。

 しかし本書を読んだら、そんな考えはひっくり返ってしまった。

 それは本書掲載の「トラックにワンワン!と叫んだ幼児」の話を読んだから。
 
 もしかすると人間のAIに違いなどないのでは?
 あるとすれば、受精卵から生まれてきたか否か・・・それぐらいしかないのではないか?
 そう思えてきたのだ。

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 人間とAIは絶対に違う!
 人間のほうが優れている!

 そう思う人は、一度、本書に目を通して見てほしい。
 「おやおや?」と、途端に自分の考えに自信がなくなってしまうだろう。

 ま、私のことなのだが・・・。
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■「人工知能に哲学を教えたら」概要



 本書では「人間はこう考えるけど、人工知能はどうなの?」と聞きたくなる疑問を徹底検証。

 「1人と5人、どっちの命をとる?」のトロッコ問題。
 自動運転の事故はどこに責任がある?
 AIに芸術はわかるの?
 AIに美人は判断できる?
 AIにとって幸福とは?

 そして終盤になると、今いちばん知りたいことへ。
 AIは本当に仕事を奪うのか、引いては「AIは人類を滅ぼすのか?」という疑問も検証。

 人間は人工知能に脅かされるのか。
 どうにも気になる「あんなこと・こんなこと」に哲学者がじっくり答えていく。

 果たしてその結果は?
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■「人工知能に哲学を教えたら」感想



 本書の魅力は「人間と人工知能の違いがわからなくなること」だ。

 昔から、人間とコンピュータの違いとなると、「人間は自分で考えることができるけど、機械は人間が教えてあげないといけない」と言う。
 私も当然、そう思っていた。

 だが、本書を読んだら、途端にその考えが揺らいだ。
 いや揺らぐどころか、底からぶち壊された。

 たとえば本書で紹介される「子どもは『ワンワン』をどうやって知るか?」のエピソード。
 1歳の男児を連れた母親が、犬のいる家の前を通るたびに「ワンワンだよ」と教えていた。
 
 しばらくして、男児はその家の前を通る時、「ワンワン!」と言うようになる。
 母親は子どもの成長を喜んだ。
 
 ところがある日、男児はトラックを指さし「ワンワン!」と叫んだ。
 トラックの周辺には犬もおらず、トラックに犬の絵が描かれているわけでもない。
 さて、なぜ男児はトラックを指さし「ワンワン!」と言ったのか。

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 答えは本書に書かれているが、このエピソードを読み、「あれ?じゃあ人間も人工知能もスタート地点は同じってことじゃない!」と膝を打った。

 その「認知の規則」に当てはめると、AIに差別排除の倫理規定を設けるニュースも、違って見えてくる。
 
 そもそも人間が差別をしていたから、AIも差別をするのだ。

 人間も、差別をしないように教育を受け、脳をプラグラミングされていれば、差別しない人間に育つ。
 しかし親や教師など、身近な大人が差別主義者だと、そこで育った人間は差別主義者となる。
 そんな差別主義者の思考がまざったデータをAIが読み取っているから、差別する恐れがある。
 差別排除の倫理規定を設ける。
 AIは差別しなくなる。
 
 「ワンワン事件」を当てはめると、このような循環が見えてくる。
 つまり人間も人工知能も、脳・思考回路の作られ方は同じ。

 「人間がコンピュータより上」とか「人間は自分で考えることができるがコンピュータはできない」というのは、極端に言うと「誤り」なのである。

 ではそこに生命が絡むとどうなるか。
 「そりゃ、人間とコンピュータでは、人間の命のほうが大事に決まってる」と思うだろう。
 
 しかし本書を読んでいると、その考えすら揺らいでくる。
 人間主体の目線から人工知能主体へと目線を変えた時、果たして命に順位はつけられるのか?
 
 「人間の生命のほうが大事なのは当然」という考えは、本書の第1章を詠み終えた頃には崩壊しているだろう。

 こういう本を読むと、つくづく「読書って面白いな」と感じ入る。
 今まで何の疑問ももたなかった「頑ななまでの自分の考え」が、見事に突き崩される。 
 
 そんな爽快感をくれた著者に、心からお礼を言いたい。
 
 ちなみに本書では、「人工知能と経済の未来」「AI vs. 教科書が読めない子どもたち」の対立構造についても言及。

 一緒に読むと、さらに深く楽しめるだろう。

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「ジーヴズの事件簿」。皇后陛下御愛蔵で人気急上昇!読んだ感想は?

評価:★★★★★

「そんなの無茶だよ。だって、ジーヴズなしではぼくは一日もやっていけないもの」
(本文引用)
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 皇后陛下のお言葉で、一気に注目を浴びたシリーズ。

 退位後の楽しみとして読書を挙げられ、「ジーヴスも二、三冊待機しています」とお答えになったとか。

 書店でもジーヴズシリーズは急きょ平積み。
 皇后陛下のお言葉を載せたポップと共に、絶賛大売出し中だ。

 ミーハーな私は早速購入。

 まずはジーヴズが初めて登場する「ジーヴズの事件簿 ~才知縦横の巻~」を読んでみた。




 読んで納得。

 ジーヴズはユーモア小説なのだが、何と言うか「人間力に非常に長けたユーモア」なのだ。

 アクの強い人間たちのわがままを、「心の奥で密かに望む方法」で事件を解決。

 一見、「とんでもないことをしてくれた!」と思うものの、一晩考えると「ジーヴズの判断は正しかったなあ。自分は幼かったなぁ」とシャッポを脱いでしまうのである。

 超有能執事ジーヴズとは、いったいどんな人物なのか。

 皇后陛下が愛するジーヴズの魅力とは?
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■「ジーヴズの事件簿」あらすじ



 舞台はイギリス。
 バーティはお金持ちだが、ちょっと頼りない青年。

 以前の従僕が靴下を盗んだため、新しい執事を雇う。

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 そこでやってきたのがジーヴズだった。

 優柔不断なバーティの周りは、トラブルでいっぱい。

 「家族の恥ずかしい回顧録が出版される。原稿用紙を取り戻して!」
 「バーティ、ぜひこの女性と結婚しなさい」
 「真珠がなくなったわ!あなたが盗んだの!?」

 バーティが疲労困憊するなか、ジーヴズは常に冷静。
 
 そして誰にも気づかれることなく、見事に事件を解決する。
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■「ジーヴズの事件簿」感想



 ジーヴズの面白いところは、誰も傷つかないミステリーであること。
 そして、外からではわからない欲望をくんであげることだ。

 たとえば第一話は、「家族の恥ずかしい過去をさらしたくない」という令嬢からの願い。
 バーティは、回顧録の原稿を取り戻すようキツく言われ、いざ実行。
 
 生来の不器用さで、見事に失敗する。

 ところがジーヴズは、まるでそれを逆手に取るように事件を解決。
 ジーヴズの行動は「逆効果!?」と言いたくなるものだが、実はみんなが幸せになる方法なのだ。

 その他、「ジーヴズの春」や「ロヴィルの怪事件」など、どれも人間の心理を巧みに操り事件を解決。

 誰も傷つけずに、超絶厄介な問題を鮮やかに処理する姿は、ただただ爽快。
 
 思わず「ウフフ」と笑う展開は、確かに「時間ができたらゆっくり読みたい」と思わせる魅力満載だ。

 読むうちに、身近な人の心の奥をのぞきたくなってくる。
 でもそれをこじ開けることなく、相手の気持ちをくむからこそジーヴズは天才なのだろう。

 本当に人を愛し敬うとは、どういうことか。
 ジーヴズとバーティ織りなすドタバタ劇のあとには、いつでも「愛」が輝いている。

 ユーモアとミステリーを楽しみながら、雄大な人間愛も学べる貴重なシリーズである。

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「沈黙のパレード」感想。真犯人は結局誰?私の推理が正しければ最高のミステリー

評価:★★★★★

「結果的に彼の献身は水泡に帰してしまいました。同じようなことはもう繰り返したくない」
(本文引用)
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 東野圭吾「ガリレオ」シリーズ最新刊!
 安定の面白さである。

 個人的には「容疑者Xの献身」のほうが好きだが、ギリッギリまで真犯人がわからないという点では「沈黙のパレード」の勝ち。

 ただし、私の推理が合っていればの話だが(湯川教授風)。

 沈黙で無罪を勝ち取りつづけた凶悪犯、そして彼と戦う善良な市民。
 理不尽な司法の前で、本当に鉄槌をくだしたのは誰なのか。
 そして本当に鉄槌をくだされるべき人物は、誰なのか。

 被害者が加害者となり、加害者が被害者となる「交差」のなかで、見えた真実とは?



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■「沈黙のパレード」概要



 ある日、火災のあった家から遺体が見つかった。
 遺体の一つは、3年前に行方不明になった若い女性。
 食堂を営む家の、看板娘だった。

 捜査を続けるうちに、もう一つの事件が浮かび上がる。

 それは約20年前に、幼い少女が殺された事件。

 警察は、焼け跡から見つかった若い女性と、20年前に殺された少女とを、同一犯の仕業と見る。
 
 容疑者の名前は蓮沼。

 しかし蓮沼は沈黙を続けることで無罪を勝ち取り、のうのうと生活。

 「蓮沼が犯人」と考える被害者遺族らは、蓮沼に天誅をくだす方法を考える。

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 その矢先、「蓮沼が死んだ」という知らせが・・・?
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■「沈黙のパレード」感想



 「真犯人が最後までわからない」・・・そういうミステリーが好きなら、満足間違いなし。
 トリック好きの人より、「どんでん返し好き」「真相の向こうにまた真相」という「驚き」を求める人なら、お腹いっぱいになれる一冊だ。

 ガリレオシリーズらしく、トリックはバリバリの理科系。
 ただ「バリバリ理系」すぎて、「こんなに手の込んだことをする人、本当にいるのかな?」とリアリティには疑問あり。
 
 しかし、「登場人物の職業を」生かしたトリック」なので、自然と読める。
 湯川教授と容疑者たちの頭脳戦は、読み応えたっぷりだ。

 だが、本書の魅力は何と言ってもどんでん返し。
 最後の1ページまで真相がわからない。

 正直に言って、私自身の推理が正しいのか、読み終えた今もわからない。
 最後は読者に、真相の推理を任せた形。
 読んだ人の多くは「・・・ということは、あの人が犯人ということでいいのかな? いいんだよね!」と自分に問いかけたのでは?

 これから読むあなたには、「真犯人の向こう側にいる真犯人の、さらに向こう側にいる真犯人」を探る思いで読んでいただきたい。

 読んだ人同士で、「結局●●を殺したのは、せーの・・・!」と意見をぶつけあってもいいだろう。

 シリーズを重ねるごとに、人間らしくなっていく湯川教授にも注目。
 「長い脚」という表現に、「福山ガリレオ」らしさが爆発。

 ぜひ本書も映像化していただきたい。
 
 佐織役はぜひ、久保田紗友さんで!
 聡明でキラキラした雰囲気がピッタリだと思うんだけどな。

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米原万里訳「わたしの外国語学習法」感想。語学を勉強するなら読んで損なし!の名著。

評価:★★★★★

美人は、初めに姿を見せた時は、《常に正しい》のです。後になって、彼女は実は馬鹿で、退屈で、意地悪だということが明らかになったりするものですが、最初の内は、何と言っても、やはり軍配は彼女の方に上げられるのです。
(本文引用)
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 語学を学ぶなら「絶対読んで損なし!」の一冊。

 あの米原万里氏の翻訳というだけでも、面白くないわけがない。
 さらに文庫化にあたり、米原氏自身が 

エッ、これほどの傑作をこのわたしが翻訳していたの!? おいおい、マジ? いや嘘だろう! まさか!

と言っていたほどの名著なのだ。
 
 語学を勉強したい人はもちろん、何かしら目標をもって勉強に取り組みたいという人にも、おすすめの本だ。

 そう聞いた人は、冒頭に挙げた引用部分に違和感を覚えるのでは?
 「美人は常に正しいって何のこと?語学と美人と、どんな関係があるの?」と眉をひそめるかもしれない。



 実はこの「美人論」こそ、語学=コミュニケーションのツボとして心得ておきたいこと。
 
 それは本書を読んでのお楽しみだが、ひとまず概要と感想を述べていく。

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■「わたしの外国語学習法」概要



 著者ロンブ・カトー氏は、16ヶ国語を習得した女性。
 しかもほとんど自国から出ることなく、独学のみで身につけてしまったという。
 
 本書ではリーディング、スピーキング、リスニング・・・全ての習得法を公開。

 語学を学ぶ意義とは?
 コミュニケーションで大事なこととは?

 語学学習というものを根底から見つめた結果、編み出した「究極の学習法」とは?

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■「わたしの外国語学習法」感想



 まず本書の素晴らしい点は、「語学を学ぶことのモチベーションを上げてくれる」こと。
 そして「モチベーションを維持してくれること」だ。
 
 語学を学ぶ際、最も課題となるのが「そもそも、なぜ語学を学ばなければならないのか」だ。
 三日坊主になってしまうのが、それが見つけられないから。
 カトー氏は「語学を学ぶことのメリット」を、学校では教えてくれない観点で明言する。

 わたしたちが外国語を学習するのは、外国語こそが、たとえ下手に身につけても決して無駄に終らぬ唯一のものだからです。

 

もし、ベネチアの鉄道駅で、ミラノに行くにはどの列車に乗るべきかということを尋ねるのに、ことばが間違っていたおかげでミラノに着くかわりにブダペストに戻ってきてしまったとしても、何ひとつ尋ねることも出来ぬよりどれだけましかもしれません。


 カトー氏のこの言葉は、語学学習への情熱の灯をチロチロと燃え上がらせてくれる。
 本書は「語学を学ぶことは、これほどまでに素晴らしい」ということを大前提として、実践的な学習法を次々解説する。

 では実際の学習法はどうかというと、これがちょっと驚きの内容。

 「今まで、逆だと思ってた!」「その方法でいいの!?」と目を丸くするものも。
 しかし「外国語を学ぶことは、外国語のしくみ全体を知ること」という大局的な視点から考えていくと、本書の方法は非常にうなずけるもの。
 さらに「外国語を学ぶことは、生きる世界を広げること」というスケールで考えていけば、本書の方法しかないと思える。

 だからといって、方法が大ざっぱというわけではない。
 
 提唱する学習法は、細かな点まで行き届いた、非常に緻密なもの。
 ここまで実践的で、効果がはっきり感じられそうな方法は、そのへんの語学問題集には載っていないだろう。

 語学を広く大きく、しかも深く緻密に学ぶなら、まず本書を買うのがおすすめ。

 本書一冊あれば、モチベーションの向上・継続から、実践的な学習法まで全てカバー。

 「そうだ、語学、やろう」と思ったときのファーストブックに、本書は最もおすすめだ。

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プロフィール

アコチム

Author:アコチム
仕事・家事・育児の合間に文字を楽しむ、兼業主婦の備忘録です。
本の評価は以下のとおり(2015年10月~)
★★★★★=読むと一生幸せでいられます。
★★★★☆=読むと1年間幸せでいられます。
★★★☆☆=読むと1週間幸せでいられます。
★★☆☆☆=これ以下の本は載せません。

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