他人も自分も思いのままに動かせる!「図解モチベーション大百科」池田貴将

評価:★★★★★

テストを何度かくり返すうちに、Bチームの方が大きく成績が伸びた。
テストが楽しかったという声も多かった。

(本文引用)
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 カフェやファーストフードのスタンプカード。
 よく見ると、最初から1個スタンプが押されているものと、全く押されていないものがありませんか?

 もしあなたが、スタンプが押されているカードと押されていないカードを持っていたら、両方の店にフラリと通ってみてください。

 「今日はこっちに通うぞ!」なんて思わずに、あくまで何も考えず「つい」「フラリ」と通うことがポイント。
 通う回数をカウントしてみたら、驚きの結果が出てくるかもしれませんよ。

 (※結果を早く知りたい方は、「図解モチベーション大百科」のp.20をどうぞ)



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 「図解 モチベーション大百科」は、とにかく「どうすれば人は動くか」を徹底分析した本。
 
 子どもに勉強をさせるには?
 子どもを徳の高い人物に育てるには?
 部下をやる気にさせるには?
 上司に優しくしてもらうには?
 仲間で仕事を早く終わらせるには?
 良いアイデアを出すには?


 そして、

 自分のモチベーションを上げるには?

 等々について、100の実験結果から解決策を提案します。

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 たとえば面白いのが、この実験。

 医師や看護師にこまめな手洗いをすすめるため、病院の洗面所付近に次の貼り紙をします。

 貼り紙A
 手の清潔さは、あなたを病気から守ります。

 貼り紙B
 手の清潔さは、患者を病気から守ります。


 その後「手洗いの頻度」と「石鹸の使用量」を調べた結果、貼り紙Aは変化がなく、貼り紙Bは両方とも明らかに増えたのです。

 何かを守ってほしい場合は、「他人への影響を伝える」と効果抜群!

 そういえば私は先日、子どもと一緒に防災教室に行ったのですが、職員の方のこんな言葉が胸に響きました。

 「この防災グッズを準備しておくことで、避難所で病気が蔓延しにくくなる」
 「こうすることで、抵抗力の弱いお年寄りを救うことができる」

 確かに「こうすると、あなたは快適に過ごせますよ」と言われるよりも、「こうすると、避難所のみんなが助かりますよ」と言われると、「よし、やろう!」という気になるんですよね。
 これは「妥当性の論理」という実験ですが、非常に納得できるものです。

 他にも、レポートを早く提出させる方法や、トラックの過積載を防ぐ方法など「他人を操る方法」が満載。 
 これ一冊で、子どもも部下も上司も学生もお客さんも、みんなみんなみんな、みーんな思うままに動かすことができます。

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 もちろん「自分を動かす方法」も、とことん解説。
 たとえば、あがり症の方には「感情変換」の実験がオススメ!
 
 緊張するとつい、「落ち着け、落ち着け」と念じてしまいますよね。
 でもこれ、実は逆効果。
 「なんだかオイラ、ワクワクしてきたぞー!」とドラゴンボールの悟空のように、自分に言い聞かせてみてください。

 あるいは、もう思い切って聴衆に「今、私は非常に興奮しています」と宣言しちゃってもいいです。

 緊張している自分を認めてしまった方が、結果的に良いパフォーマンスができるんですって!
 これは参考になりそうですよね。

 相手が期待通りに動いてくれない、物事が思うように運ばない、どうにもやる気が起きない、何事も三日坊主で続かない・・・そんな悩みが1つでもあれば、損はない一冊。

 いちばん重大な悩みに当てはまりそうな実験を、1つでも試してみてください。
 「なんだ、こうすれば良かったのか!」とスキップしたくなりますよ。
 
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歴史が苦手な受験生必読!大人気歴史家・磯田道史著「司馬遼太郎」で学ぶ日本史

評価:★★★★★

登りつめた坂はやがて下りになります。坂の上の雲がつかめないままに坂を下っていくと、下には昭和という恐ろしい泥沼がある。司馬さんは、この書名でそのことを言外に語っていると私は思います。
(本文引用)
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 磯田道史さんは、今や押しも押されもせぬ大人気歴史家。
 私は“歴女”というわけではありませんが、磯田さんの本はとにかく「ためになる」のでついつい読んじゃいます。

 司馬史観ならぬ磯田道史観は、家計から防災まで現代に役立つものばかり。
 そんな磯田さんが、いよいよ本丸を攻めるとばかりに「司馬遼太郎を語る」というのですから、これは放っておけません。

 結果、さすが磯田道史さん。
 司馬遼太郎の本から現代人は何をつかみ、何を活かし、何を次代につなげていくかを見事に切り取ってくれています。

 これだから磯田道史ファンはやめられません!



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 磯田道史さんは、司馬遼太郎さんと「歴史をつくる歴史家」と評します。

 歴史を物語として語りながら、読む人の心と体を動かし、次世代の歴史をも動かしていく。
 司馬遼太郎さんは作家であると同時に、そんな「歴史をつくる歴史家」だったと著者は語ります。
 
 司馬さんがなぜそんな存在となったのか。
 磯田氏はその理由として、司馬氏の戦争体験を挙げます。

 なぜこんな国になってしまったのだろう。
 
 司馬さんの作品にはその「Why?」があると、磯田氏は分析。

 磯田さん自身、

私は司馬さんの文章を読むとき、その出来事がなぜ起きたかという因果関係を彼がどのようにとらえているかを文脈から読み取るように心がけています。

と語ります。

 さらに磯田さんは、歴史を学ぶ意義として次のように主張。

そもそも私たちはなぜに歴史を学ぶのでしょうか。過去を例に、どうしてそうなったのかを知っていれば、現在や将来に似たような局面に出くわしたときに、役に立つからでもあります。



 磯田さんは、司馬さんの作品「花神」や「二十一世紀に生きる君たちへ」、「この国のかたち」などを紹介しながら、「司馬遼太郎を通して歴史をいかに生かすか」を丹念に解説していきます。
 
  


 この本の魅力は、ずばり「歴史は過去のものではなく未来につながるもの」と認識させてくれることです。
 
 歴史を学ぶというと、「過去の人間ドラマを楽しむもの」と思いがちです。
 そして歴史が苦手、歴史に興味がないという方はおそらく、「過去のことを学ぶこと自体に興味が持てない」のではないでしょうか。
 確かに「過去を学ぶこと」って、すなわち「暗記物」という気がして、めんどくさく感じてしまいますよね。

 でも本書を読むと、歴史に対するそんな偏見が吹き飛びます。

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 これから一歩でも未来を生きるのならば、一歩でも後の過去を学ぶことは欠かせない。
 過去を学ばなくても未来を生きることはできるでしょうが、過去を学ぶと学ばないとでは、未来を生きる姿勢が全く異なってくる。

 そのように認識を新たにできます。
 
 夏休み、受験生の方は必死に勉強していることでしょう。
 
 暗記物よりも、自分で考える数学などのほうが得意で、ついつい歴史は後手後手になる人も多いのではないでしょうか。

 でも歴史を学ぶことって、一生を通じてとっても大切。
 勉強の息抜きに、ぜひこの「『司馬遼太郎』で学ぶ日本史」を読んでみてください。

 歴史が得意にはなれなくても、勉強や進路に対する姿勢が変わり、思わぬ収穫があるかもしれませんよ。
 
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賢く売って賢く買いたい人は必読!「これ、いったいどうやったら売れるんですか?」永井孝尚

評価:★★★★★

「やっぱり美味しいプリンを安く提供して、お客さんに喜んでほしいですからね。赤字だし休みも取れないけど、やりがいありますよ!」
店長の努力には敬意を表しつつ、でも私はこう思わざるを得なかった。
(うーん、何か間違っている・・・・・・)

(本文引用)
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 「これ、いったいどうやったら売れるんですか?」というタイトルから、売り手側の本と思われることでしょう。

 でもこの本、実は「買い手」にとっても非常~に役に立つ本。
 本書を読めば、賢い買い物、損をしない買い物ができるようになります。

 高級品を買った後、「本当にあれを買って良かったのかな」と不安になっていませんか?
 お財布の中がクーポンやポイントカードでパンパンになっていて、しかも期限が切れていませんか?


 安心してください。
 本書を読めば、それもちゃーんと「損をしない買い物」の一助になることがわかります。



 そして本書を読めば、商品への審美眼も磨かれます。
 つまり「これ、いったいどうやったら売れるんですか?」は、短期的に見ても長期的に見ても、消費者を賢くしてくれるんです。

 商売で損をしたくない人はもちろん、買い物で損をしたくない人も、本書は非常に有効ですよ。
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■腕時計をする人が少ないのに、腕時計の広告が増えるのは?



 本書は、まず「腕時計をする人が激減しているのに、腕時計の広告が増えている謎」から入ります。

 携帯やスマホを皆が持つようになってから、腕時計をする人はみるみる減っています(私は必ず腕時計をしますが)。

 それにも関わらず、腕時計各社は広告にお金をかけています。

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 一見、時代に逆行しているように見えますが、そこが商売の面白さ。
 身近で腕時計をしている人を見てみてください。
 ちょっと変わった腕時計をしていることがありませんか?

 実は私の夫は、スマホと連携できる腕時計をしており、メールやLINEが来ると通知が来る腕時計をしています。
 またダイエット中の兄は、歩数や心拍数などを確認できる腕時計をしています。

 そう、実は腕時計は小さいながらも、無限の可能性を秘めた優れもの。
 フツーの腕時計が売れない時代だからこそ、一点、優れた特殊能力を持つ腕時計が売れるんです。

 本書を読んでいると、身近なグッズや「お買い物」に対する固定観念がガラガラと崩れていきます。
 でも固定観念がガラガラと崩れることが、賢い買い物の第一歩になるんです。


■ベンツを買いにイオンにGO!



 ベンツと言えば高級車の代名詞ですよね。
 でも本書によると、あの「イオン」でもベンツが売られているとのこと。

 「イオンでベンツ」なんて、一見違和感を覚えますが、これもベンツの巧みな戦略のひとつ。

 今やベンツは「成功者が買うもの」だけではありません。
 「ある人たち」にとってはアイコン的商品、特別に需要のあるグッズになっているんですね。

 ベンツを買う気がなくても、お近くのイオンモールに行ってみてください。
 新たなベンツ戦略に「あ、なるほど」と大いに納得することでしょう。
 (そしてついでに、ベンツを買ってしまうかもしれません)


■クーポンでいっぱいの財布だって恥ずかしくない!



 気がつくとたまっているクーポンやポイントカード。
 ちょっと何だかBBAの象徴という気がして、恥ずかしくなりますよね。

 でも大丈夫。
 賢い売り手は、そんなあなたを見捨てません。

 確かに、お財布をきれいに整理しておくことはとっても大事です。
 でも「損をしたくない」気持ちもとーっても大事!

 本書で「期限切れのクーポン」による売り上げ増の秘策を知れば、安心してクーポンやポイントカードを貯め込むことができますよ。

■本書をヒントに、賢く売って賢く買おう!



 本書を読んで驚くのは、街には、ビジネスチャンスがいかに多く転がっているかということです。

 でもそれは、街の見方・物の見方・人の見方次第。
 世の中の見方を変えれば、売り手も買い手もWin-Winの戦略が街のあちこちに隠れているんです。

 本書を読んだ後、グルッと街を歩いてみてください。

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 楽に儲ける戦略や、損をしない買い物ができる方法を見つけるアンテナがピピッと反応し、ホクホク顔で帰宅することができますよ。

 「これ、いったいどうやったら売れるんですか?」
 賢く売りたい・賢く買いたい人は必読の一冊です。

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サラッと読める夏の怪談!?宮部みゆき「地下街の雨」

評価:★★★★☆

  「なんちゅうのかねえ・・・・・・あんな稼業をしていると、他人様の人生をのぞくような気分を味わうことがよくあるんだけども、あの時は、ただのぞいただけじゃなしに、他人様の人生を盗んだような気がしたんですよ」
(本文引用)
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 集英社文庫「ナツイチ」の一冊。
 宮部みゆきさんによる、サラッと読めるミステリー・・・というか怪談ですね。

 人間、心に何か後ろめたいところがあると、何でも「恐怖」になってしまうものなんですね。

 「幽霊の正体見たり枯れ尾花」というのは、枯れ尾花に原因があるのではなく、枯れ尾花を見た人の心に原因があるようです。

 心に濁りが一点もない人はいないと思いますが、その一点がとんでもない事態を引き起こすことも・・・。

 「地下街の雨」を読むと、心の整理整頓が必要なことがよーくわかります。
 そうしないと、車ごと海に突っ込んだり、人の葬儀でもめたり、突然世の中から音が消えたりするかもしれませんよ。



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「地下街の雨」あらすじ



 本書は7篇から成る短編集です。

 表題作「地下街の雨」は、喫茶店のウェイトレスの話。
 大手企業に勤めていた麻子は、婚約が破談になり退職。
 会社近くの喫茶店で、ウェイトレスとして働きはじめます。

 ある日、そこにひとりの女性がやってきます。
 女性は麻子に親しげに話しかけますが、どうやら、かなり問題のある人間の様子。
 調べてみると、彼女は思い込みや妄想が激しい性格で、前職を辞めさせられたとか。

 麻子は彼女と距離を置きたいと思いますが、なぜかずいずいと麻子に近づいてきます。
 しかしそこには、意外な理由があったのです。
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「地下街の雨」感想



 「あらすじ」では、表題作「地下街の雨」について書きましたが、実は私がいちばん好きなのは第5話「勝ち逃げ」です。

 主人公の浩美は、ある日、叔母の訃報を聞きます。
 叔母は非常に頭の切れる女性で、教育者として長く社会に尽くしてきましたが、恋愛とは無縁の人生のようでした。

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 ところがある日、叔母のもとに一通の手紙が届きます。
 浩美はその手紙を読み、叔母が若い頃、駆け落ちをしようとしたことを知ります。

 さて、いったい誰がそんな手紙を入れたのでしょうか。

 この「勝ち逃げ」は、ラスト1ページで「え?ええ?」と読み返したくなる事実が判明します。

 しかしそこに至るまでの、親戚たちの心の交錯がなかなか見もの。

 誰がこの手紙を入れたのか、手紙によって叔母への気持ちはどう変わるのか、そして駆け落ちの相手は誰なのか。

 さんざん読者を翻弄し、疲れた頃にソロリと種を明かし、アッと驚かせる仕掛けは、さすがミステリーの名手!
 「勝ち逃げ」を読む時には、一語一句よく頭に叩き込みながら読んでみてください。

 本書に収められる物語はすべて、心の迷いが大きな騒動を引き起こすものばかり。
 心に引っかかるものがあると、ほんの小さなことがトリガーとなり、人命を落とすことにもなるようです。

 宮部作品としては、長編ミステリーに比べると、やや物足りなさを感じるかもしれません。
 でもちょっとした心のボタンのかけちがいや、不満、嫉妬、羨望、自己否定感が自分の人生も他人の人生も狂わせてしまうという点では、非常に宮部みゆきらしい短編集といえます。

 サラッと読めるけどグサッとくる、夏の怪談「地下街の雨」。
 読むと涼しくなるので、猛暑の日にどうぞ。

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阿部サダヲ主演で映画化!「彼女がその名を知らない鳥たち」沼田まほかる

評価:★★★★★

  「楽しかったなあ、十和子。ほんまに楽しかった。この生活いつ壊れてしまうんか思うさかい、いろいろなことあってもあんだけ楽しかったんや」
(本文引用)
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 私の中にある「ミステリー」という概念を、グワァッとそっくり変えてくれた一冊。
 帯に「最低な大人たちによる、最高に美しい恋愛ミステリー」とありますが、後半まで「これってミステリーなの?」との疑問はぬぐえませんでした。

 でも終盤になり、「これ以上のミステリーはない」と納得!

 さらに「最低な大人たちによる、最高に美しい恋愛」というコピーにも大いにうなずきました。
 もう本当に、惚れ惚れするほどどうしようもない人たちの集まりなのですが、そこから出てきた真実は、クズではなくダイヤモンド。



 かなり描写がえぐいので、読むのがキツいと感じる人もいるかもしれませんが、ぜ最後まで読んでみてください。
 「最低」が「最高」に裏返った瞬間、「読んで良かった」と思えますよ。
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「彼女がその名を知らない鳥たち」あらすじ



 主人公の十和子は、陣治という男性と暮らしています。
 
 陣治は地位も教養もなく、とにかく下品。
 手先が極端に不器用で、すぐに物を壊したり汚したりしてしまいます。
 周囲からも「なんでこんな男といるの?」という目で見られる日々です。

 十和子は8年前、黒崎という男にひどい捨てられ方をします。
 その傷が癒えないまま、十和子は仕方なく陣治と暮らし、心の中で陣治を罵倒しつづけています。

 十和子は陣治や他の男性と愛し合うなか、黒崎のことがどうしても忘れられずにいますが、徐々に黒崎の意外な事実が判明。

 そしてついに刑事が十和子のもとに・・・。
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「彼女がその名を知らない鳥たち」感想



 ひたすら「絶望、絶望、絶望」の連続で、ここまで読ませることに驚かされます。

 本当に、一言でいうと「クズ」ばかりが登場する小説で、読んでいるだけで人間不信になりそう。

 なかには、読むのがキツイという人もいるかと思いますが、私はグイグイ引き込まれてしまいました。

 ここまで倫理観が欠如した人間ばかりで、どうやって物語が終結するのか・・・それを何としてでも見届けたくて、ラストまで一気に読みました。

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 で、結論としては「最後まで読んで、本当に良かった」です。

 前述しましたが、ラストで「クズ」から「ダイヤモンド」がコロンと飛び出します。
 十和子、陣治、黒崎、十和子の義兄など、皆ちょっと(いやだいぶ)おかしいのですが、実はこの中に一人、真実をきちんと見極める人物がいます。

 その人物の思いが一気に噴き出したときに、ズラリと並んだ「絶望」のカードが一気に「希望」のカードに変身。
 まさかまさかの展開に、驚くと同時に、思わずニヤリとしてしまいますよ。

 それにしても、この小説を映画化しようと言い出した方は素晴らしいですね。
 映像化したら、よりミステリー色、どんでん返し色が強くなって、非常に面白いと思います。
 映画を観たい方は、なるべく早いうちに観て、ネタバレされないように注意が必要です。

 ミステリ―らしくないんだけど、これほどミステリーらしい小説もない。
 「彼女がその名を知らない鳥たち」は、そんな「ミステリーの概念を変える」一冊です。


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タイムスリップもので最高に泣けた一冊!「デイ・トリッパー」梶尾真治

評価:★★★★★

 「起こってはいけないことは絶対に起こらない。目的を達成しようとしても“時間の意志”が阻止してしまうのですよ。勝手にね」
(本文引用)
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 日経新聞「目利きが選ぶ今週の3冊」で高評価だったので購入。

 いや~、面白かった!そして泣いた!
 これは「夏への扉」みたいに、後世に残るSF小説になるのではないでしょうか。

 表紙だけ見るとラノベっぽいのですが、非常に知的で情感もいっぱい。
 「デイ・トリッパー」は、SFと純愛が見事に融合した成功例ですね。
 筒井康隆さんの「時をかける少女」を初めて読んだ時のようなときめきを、久しぶりに思い出しました。



 「デイ・トリッパー」の魅力は、タイムスリップの盲点をついた「ある視点」が加えられていること。
 ラストでその「ある視点」を知った瞬間、「そう来たか!」と膝を打つと同時に涙がジンワリとあふれてきますよ。
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「デイ・トリッパー」あらすじ



 主人公の香菜子は、結婚して3年余で夫を亡くします。
 夫の大介は突然、原因不明の病に倒れ、あっという間に死んでしまったのです。

 香菜子は悲しみに打ちひしがれますが、ある日、ひとりの女性に声をかけられます。
 女性は香菜子に、こう言います。

「香菜子さん。もう一度、ご主人に会う方法があるのですが」



 女性の話によると、過去の肉体に、現在の自分の心を送り込むことができるとのこと。

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 香菜子は、歴史を変えないという約束のもと「過去の自分の肉体」に「現在の自分の心」を送り込み、元気だった頃の大介と再会します。

 再び大介に会った香菜子は、大介との時間を大切に大切にします。

 大介が愛おしくてたまらない香菜子は、約束を破る誘惑にかられます。

 香菜子の行動は、果たして歴史を変えてしまうのでしょうか?

 香菜子と大介の運命やいかに!?
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「デイ・トリッパー」感想



 「デイ・トリッパー」は立派なSF小説ですが、そんなことを完全に忘れてしまうぐらい純愛モードムンムン!
とにかく胸がキューンとします。

 でもSFの要素が全く疎かになっておらず、理系ムードもムンムン。

 冒頭でも書きましたが、恋愛とSFがここまでガッツリと融合できることに、ただただ驚きました。

 大介を思う香菜子の純粋さや苦悩、大介の誠実さ(こんな男性なら香菜子にここまで愛されるのは当然!)、そして香菜子を見守る科学者たちの優しさや、香菜子に「迷い」を生じさせる老女の悲しみ・・・登場人物の心が1つひとつ非常に丁寧に描かれているので、心が打たれます。

 それだけに、「デイ・トリッパー」は本当に幸せをもたらしてくれるのかが、最後の最後まで気になります。
 人物描写にふくらみがあるので、「みんなが幸せになれますように!」と思わず祈ってしまうんですよね。

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 科学は人をどこまで幸せにできるのか、科学で人の心や歴史を変えることはできるのか・・・「デイ・トリッパー」はその命題を、ある意味残酷なまでに突き付けてきます。

 だから、私は自信を持ってこう言います。
 「デイ・トリッパー」はSF小説の名作だ、と。

 一見、何でも解決できてしまいそうなタイムトリップ。
 タイムトリップにはどんな限界があり、どんな可能性があるのか。

 ぜひ香菜子を自分に、大介を愛する人に置き換えて、タイムトリップの限界と可能性について考えてみてください。

 そしてそのうえで、今後の人生も大介と共に歩みたければどんな手があるか。
 ラストでその「奥の手」を知った瞬間、心がパァァッと晴れやかになり、涙がポロポロと出てきちゃいますよ。

※ドラマ化希望!というわけで勝手にキャスティング

香菜子:吉岡里帆
大介:福士蒼汰
芙美:小松菜奈
機敷野:近藤正臣


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追悼・日野原重明さん「明日をつくる十歳のきみへ ~一〇三歳のわたしから~」

評価:★★★★★

 そのインスピレーションは、わたしにこう伝えていました。「これまでの人生は、自分のために生きてきた。これからは、世話になった人への恩返しでなく、出会ったどんな人にも自分のいのちを捧げよう」と。
(本文引用)
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 先月、聖路加国際病院名誉院長・日野原重明先生が亡くなりました。
 105歳という大往生でしたが、本書を読んだら「まだ生きていてほしかった」という悔しい気持ちが沸き上がりました。

 なぜなら日野原先生は、本書でこんな句を寄せているから。 

「オリンピック 一〇八歳のバー 軽々と」

 日野原先生は、十歳の子どもたちといっしょに東京オリンピックを楽しみたかったそうです。

 そう考えると「もう3年、生きていてくだされば」と思ってしまいますが、きっと空の上から東京オリンピックを見守って下さることでしょう。



 逝去されるまで、人々の心に灯をともしつづけた日野原重明さん。
 本書は、日野原先生の崇高な魂の源泉を知ることができる貴重な一冊です。
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 本書には、日野原先生の信念・メッセージが3つ込められています。

 1つは「人生に無駄なものはひとつもない」
 2つめは「他人のために自分の時間・命を使う」
 3つめは「いつまでも夢を持つ」

 ことです。

 まず「人生に無駄なものはひとつもない」について。
 
 日野原先生は若い頃、いくつか重病を患っています。
 当時はまだ特効薬もなく、ひたすら安静にするしかないなかで、日野原青年は焦りを感じます。

 でも後々、日野原先生は「あの病気があったからこそ、今の自分がある」と思うようになります。

 腎炎で運動ができなくなったためにピアノと出会い、結核で辛い日々を送ったおかげで、患者の気持ちに寄り添う医師となった――そんな経験を通して、日野原先生は「人生にむだなものはひとつもない」と語ります。

 そして2つめ、「他人のために自分の時間・命を使う」について。
 日野原先生がそう思うようになったきっかけは、かなり驚きのものでした(私が知らなかっただけかしら?)。

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 1970年、日野原先生は九州の学会に出席するため、飛行機に乗ります。
 すると離陸直後、9人の若者が日本刀やピストル、ダイナマイトなどを持って立ち上がり、飛行機を北朝鮮に向かわせようとします。
 そう、日野原先生は「よど号ハイジャック事件」に巻き込まれてしまったのです。

 日野原先生は生きた心地がしなかったそうですが、そこで当時の運輸政務次官が身代わりとなり平壌に行くことに。
 日野原先生は、無事飛行機を降りることができたそうです。

 「よど号」ハイジャック事件に巻き込まれたことで、日野原先生は「初めて会った人にも自分の命を捧げよう」と決意。

 その思いは、後に地下鉄サリン事件でも生かされることになります。
 聖路加国際病院はサリン事件に巻き込まれた人を多数引き受け、適切な対処で多くの人命を救うことになります。

 そして3つめ、「いつまでも夢を持つ」こと。

 100歳を越えてもなお夢を持ち続けた日野原先生ですが、ここで日野原先生の意外な面が現れます。
 ずっと自分の足で歩き続けていた日野原先生ですが、年齢も年齢なので、さすがに晩年は車椅子を勧められます。

 日野原先生は当初はそれを拒み、乗り始めてからも恥ずかしさに顔を隠していたそう。でも考えを改め、堂々と車椅子を乗るようにしたところ、車椅子だからこそわかる景色に気がついたとのことです。

 日野原先生が車椅子を拒み、恥ずかしいと感じていた・・・これは結構意外でしたね。
 何となく、人の勧めるものは何でも「ああ、それはいいですね」とすんなり受け入れるような印象があったので・・・。

 本書は、そんな日野原重明先生の横顔まで知ることができます。

 日野原重明先生の生き方が最良というわけでもありませんし、こう心がけたから105歳まで生きられたというものでもありません。

 でも、日野原先生の生き方からは「かっこいい大人」という言葉が浮かんできます。
 「いつまでも元気なお年寄り」というのではなく「かっこいい大人」。

 すべての時間を自分のことに使う子ども時代を終えたら、今度は他人に自分の人生を注ぎ込む大人時代に突入する。

 本書からは、そのかっこよさ、美しさをビシビシと感じ取ることができます。
 そしてそんな利他的な生き方が、結局は自分の喜びになるということも・・・。

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 なかなか真似することはできませんが、本書を読むだけでも、「幸せな人生」のエッセンスを頭にちょっぴりふりかけることができたかなーと思います。

 タイトルに「十歳のきみへ」とありますが、大人の方が読んでも学ぶところ大!な一冊ですよ。

 小学生のお子さんがいらっしゃる方は、ぜひ親子で読んでみてください。 

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プロフィール

アコチム

Author:アコチム
仕事・家事・育児の合間に文字を楽しむ、兼業主婦の備忘録です。
本の評価は以下のとおり(2015年10月~)
★★★★★=読むと一生幸せでいられます。
★★★★☆=読むと1年間幸せでいられます。
★★★☆☆=読むと1週間幸せでいられます。
★★☆☆☆=これ以下の本は載せません。

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