「教育格差」感想。新書大賞3位。「これ、本当に1100円で読んでいいの?」罪悪感すら感じるド迫力の一冊。

 なにしろ、常に「もっとできたはず」なのだ。あなたも私も、生きている限り「こんなもんじゃない」のである。
(本文引用)
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 「この価格で、こんな本が読めちゃっていいの?」と、ただただ恐縮。
 1,100円とは思えない内容の濃さに、罪の意識すら感じた。

 湧き水のようにあふれ出る膨大な調査データ、さらにその一滴一滴を遠心分離機にかけるように緻密に読み解いた分析。

 しかも内容は、著者の「人類愛」いっぱい。
 長期的視野で、心の底から人々の幸福を考えた「愛」が、ヒリヒリするほど伝わってくる。

 ところが残念なことに、本書を読むのは「本書を読まなくてよい人」と推察。

 内容の緻密さ・文章量の多さからして、どう考えても学のある人しか読まないと思われ。
 
 読むべき人が読まず、読まなくてよい人が読むというパラドックスが起きてしまうのだ。 


 ところがそのパラドックスこそが、本書の魅力であり、本書のねらい。

  「読まなくてよい人」が本書を読むことで、社会に大きく寄与するのだ。

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誉田哲也「背中の蜘蛛」あらすじ感想。直木賞候補作!「読んだら日常には戻れない」は本当だった。

「馬鹿だな、お前・・・・・・人の秘密を暴く側の人間が秘密を持ったら、その時点で負けなんだよ」
(本文引用)
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 直木賞候補作。

 帯に「読後、あなたはもうこれまでの日常には戻れない」と書かれているが、本当にそのとおりだった。

 縁もゆかりもない、赤の他人の殺人事件。
 しかし意外な形で、自分の生活を脅かす。

 その危険に気づけるのは、「背中の蜘蛛」を読んだ人だけ。
 
 だから本書を読んでしまうと、もう読む前には戻れない。

 読んだ人と、読んでいない人とでは、風景の見え方、日々の過ごし方、人生の歩き方が全く違ってくるはずだ。


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「辺境で診る 辺境から見る」感想。中村哲さんは日本人でもアフガン人でもない。地球人だったのだ。

 彼らは外国人の情熱のはけ口でもなければ、慈善の対象でもない。日本人と同様、独自の文化と生活意識を持った生身の人間たちである。
(本文引用)
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 中村哲さんの「6万字インタビュー」が、令和2年2月12日に公開された。
 (サイトはこちら→「中村哲が14年に渡り雑誌『SIGHT』に語った6万字」。)

 6万字インタビューと本書を読み、改めて強く思う。

 中村哲さんは、真の「地球人」だったのだ、と。

 ご著書を読んでいると、心底「国境」という言葉を忘れてしまう。
 
 たまたま文化や言語、気候や宗教等違いはあるが、日本もアフガニスタンも「人間」は変わらない。
 同等の人権・思想・理想・信念・自尊感情を持ち、上下など一切ない。


 同じ人間が、気候等の何らかの違いで困っている。
 そこで彼らとともに力を併せ、解決していく。
 ただただ実直に誠実に、それを続けてきただけのこと。

 中村哲氏の本からは、そんな「フラットな目線」と「決してぶれない姿勢」がヒシヒシと伝わってくる。

 だから私は思う。
 中村哲さんの心の中の地図には、国境はなかったのではないかと。

 同じ地球に生きる者として、助けを必要としている仲間に手を差し伸べ、ともに歩む。
 そんな「真の地球人」だったのではないかと。

 本書を読み、改めて、中村哲氏の死が悔やまれる。
 
 中村氏の死去は、日本やアフガニスタンの損失にはとどまらない。
 地球全体が至宝を失ったのだ。

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「流浪の月」あらすじ感想。本屋大賞候補作!事件の本当の加害者は「読者」かもしれない。

 「わたしのしてることは、きっとおかしいんだろうね。病気だと思われてもしかたないんだろうね。心配してくれてありがとう。でも、もう見捨ててほしい」
(本文引用)
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 本屋大賞ノミネート作。
 SNSでも非常に評判が良いので、読んでみた。

 そして1ページめを開いた瞬間から「あ、これは買って正解」と予感。
 すぐにグイッと引き込まれ、家事も放り出し一気読みした。

 世間をにぎわせた少女誘拐事件。
 その事件に一生つきまとわれる、被害女性。

 だが本当に恐ろしいのは、彼女を囲む世間。
 つまり本書を読む私こそ、彼女を最も苦しめる加害者かもしれない――読みながら、そんな恐怖がわきおこった。

 怖い。自分の残酷さを突き付けられてつらい。もう責めるのはやめてくれ。
 そう思いながら、いや、そう思うからこそ、私は読む手を止められなかった。

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恩田陸「ドミノin上海」あらすじ感想。「ドミノ」がパワーアップして帰ってきた!そしてまた“あのミス”を連発。

 倒れる。
 これって、倒れてるよな?
 俺も一緒に倒れている。

(本文引用)
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 あのエンタメ小説の大傑作「ドミノ」が、パワーアップして帰ってきた!
 
 舞台は東京駅から、人・動物・食材うずまく上海へ。
 
 スケールが圧倒的に広くなってるにも関わらず、登場人物の「ドジさ加減」がそのままだから困っちゃう。
 
 学習しない人たちが、広い世界で、またまたおんなじミスを連発。

 結果、もっと「被害」が大きくなってしまうのだ。

 しかも「ドミノin上海」では、パンダとイグアナも参戦。

 森羅万象まじわる運命ゲームに、寝食忘れて読みふけった。

 いや、恩田陸さん、最高だわ。

 

 

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恩田陸「ドミノ」あらすじ感想。最新刊「ドミノin上海」はコレを読まなきゃ始まらない!

 それぞれ中身を知らない同じ模様の袋を持って、いつのまにか隣合わせに並んでいたのだった。
(本文引用)
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 恩田陸の最新刊「ドミノin上海」、気になっている人もいるのでは?
 
 「ドミノin上海」を読むのなら、まず「ドミノ」を読むのが必須。

 

 
 ドミノで波乱を巻き起こしたメンバーが、「ドミノin上海」にもジャジャンと登場。
 つまり「ドミノ」を読んでいないと、楽しさが半減。
 
 知り合い同士のパーティーに、一人ポツンと参加して、壁の花になってしまう可能性大なのだ。

 「蜜蜂と遠雷」で、恩田陸が気になってる人。
 恩田陸が気になるがゆえに、「ドミノin上海」を読みたくてウズウズしてる人。

 「ドミノ」はそんな方におすすめの一冊。

 いや、「おすすめ」ではない。
 
 「課題・宿題・必須の一冊」だ。

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「超難関中学のおもしろすぎる入試問題」感想。「社会人として必要なスキル」は全て中学受験に詰まっていた!

 中学受験の問題は「現代社会を映す鏡」です。
(本文引用)
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 「あ~、うちの子、中学受験させればよかった!」

 本書を読み、心の底から後悔した。

 なぜなら中学受験の入試問題には、「社会人として必要なこと」がギュウギュウに詰まってるから。
 
 豊かな教養、人を心地よくさせるマナー、正しい国語力、本質をつかむ力、時代を読み取る洞察力、論理的思考力・・・。
 
 たった1日、たった数時間の試験で、それらの技能が丸わかり。
 中学受験の入試問題には「立派な社会人になるために、豊かな人生を送るために、身につけておいてほしいスキル」が濃縮果汁100%で配合されているのだ。

 だから私は後悔した。
 「あ~、受かっても落ちてもいいから、中学受験に挑戦だけでもさせればよかった!」と。


 本書を読むかぎり、中学受験の入試問題を解くことで、こんなメリットがあるとお見受けした。

 幅広い教養と美しいマナーが身につき、誰とでも気持ちのよいコミュニケーションをとれる。
 物事の本質・背景・関連性をすばやくつかむことができ、相手の希望・要求にしっかり応える仕事ができる。
 論理的思考力がつき、仕事を効率的にこなせるようになる。また、相手にわかりやすい説明もできるようになる。
 時代を読み取る力がつき、ビジネスで大成功を収めるかも・・・。
 
 難関中学の入試問題は、いずれも「社会がどんなに変化しようとも、それに打ち勝ち、幸せに働ける力」をみるもの。
 挑戦するだけでも、10年後、20年後、いや定年後の人生まで変わってきそうだ。

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 中学受験の入試問題が、これほどまでに「人間としての総合力」を鍛え上げるものだったとは・・・。
 私は、何も知らなかった自分をおおいに恥じた。

 というわけで、「今からでも遅くはない!」とばかりに本書を繰り返し熟読。
 親子で「一社会人としての人間力アップ」をはかるつもりだ。 
 

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プロフィール

アコチム

Author:アコチム
反抗期真っ最中の子をもつ、40代主婦の読書録。
「読んで良かった!」と思える本のみ紹介。
つまらなかった本は載せていないので、安心してお読みください。

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