女性同士の人間関係に苦しむ人へ。「対岸の彼女」角田光代

評価:★★★★★

葵ももうひとりの女の子も、こわかったのだ。同じものを見ていたはずの相手が、違う場所にいると知ることが。
(本文引用)
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 昔から「女性の友情とは、極端なものだなぁ」と感じていた。

 もちろん人にもよるが、よく見かけるのが「ベッタリ仲良しだったのが、突然仲が悪くなる」というもの。

 昨日まで磁石のSとNのようにピッタリくっついていたのが、今日になったらSとS、NとNのように「ふんっ!」と反発といったものだ。

 そうなるのがわかっているなら、最初からベタベタ仲良くしなければいいのに・・・と傍から見ていると思うのだが、なかなか気質は変えられないもの。
 にこにこぷんっ!を繰り返す女性というのは、わりと多いのだ。



 角田光代氏の「対岸の彼女」は、そんな「女子独特の人間模様」をそっくりコックリ描いた本。
 「なるほど、にこにこぷんっ!にはこういう心理が働いていたのかあ~!」と半月板が割れそうなほど膝を打ってしまった。

 今現在、女性同士・女の子同士の人間関係に悩んでいる人は必読。
 読めば必ず「相手の思い・自分の思い」が目が覚めるようにわかり、心がスッと軽くなるはず。
 
 本書を閉じたら、思わずスキップしてしまうだろう。  
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■「対岸の彼女」あらすじ



 主人公・小夜子は専業主婦。
 3歳の娘がいる。

 大学卒業後、映画配給会社でバリバリ働いていたが、寿退社。
 実は人間関係に疲れての退職だったが、折よく結婚が決まり、それを口実に辞めたのである。

 しかし最近、仕事がしたくなってきた。
 子どもを連れて公園をあちこち回り、またもや人間関係に疲れるぐらいなら働いたほうが・・・。

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 そう思った小夜子は旅行会社で働きはじめる。
 
 しかし仕事の実態はハウスクリーニング。
 さんざん汚れた個人宅の清掃作業だった。

 そして勤務先の社長もまた、人間関係に疲れ、漂流を繰り返す女だった。
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■「対岸の彼女」感想



 本書は、小夜子の現在と、女社長・葵の過去とが交錯する物語。
 二人の女性の現在と過去を追いながら「女同士がわかりあえそうで、わかりあえない理由」が浮かび上がってくる構成だ。

 何でも話せる女友達はほしい、でも近づきすぎるとヤケドする。
 もうそんな思いはしたくないのに、また失敗してしまう。

 小夜子と葵の現在と過去を見てみると、「本当に人間って馬鹿だなあ」と苦笑いをしてしまう。
 
 しかしそこが、「対岸の彼女」の大きな魅力。
 「人間の愚かさぶり」を、いやらしいぐらい緻密に描写。
 「もしかして、私のこと見てた?」とドキドキしながら読み入ってしまうのだ。

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 仲良くなりたい相手なのに、どうして自分が上位に立ちたいんだろう。
 どうでもよいことなのに、なぜ相手の意見を否定したくなるんだろう。
 
 そんなちょっとした傲慢な気持ちが、人間関係につまずく原因なのに、なかなか閉じ込めておくことができない。
 失敗するってわかってるのに。

 本書は、そんな「うまくやれない女同士のもどかしさ」を、残酷なまでに容赦なく描き出している。
 さすが直木賞受賞作だ。

 「私は女友達とうまくやってるわよ」「職場での人間関係も順調よ」という人も、ぜひ読んでみてほしい。

 本書は、女性が関わる人間関係を虱つぶしの勢いで全部全部ぜーんぶ!描いている。
 
 どれかひとつぐらいは「あ、この人とは私、うまくやれてないかも」とドキリとさせられるだろう。
 
 ラストも秀逸。
 一瞬、「やっぱりこうなっちゃうか~・・・残念!」と落胆しかけたが、そこからググッと急展開。

 女同士の人間関係で気持ちがズシーンと重くなっている人、女同士の距離感に悩んでいる人。

 最後まで読めば、自分なりの突破口がきっと見つかる。
 
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2学期が不安な子どもたちへ・・・。「西の魔女が死んだ」梨木香歩

評価:★★★★★

「ある秩序の支配している社会では、その秩序の枠にはまらない力は排斥される運命にあったのです」
(本文引用)
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 夏の読書の大定番。
 短いけれど心にズシーン・・・・・・と、いつまでもいつまでも響く名作だ。

 今現在、学校になじめずにいる子。
 2学期以降の学校が不安な子。
 周りに合わせて疲れてしまっている子。

 「西の魔女が死んだ」は、そんな子どもたちにおすすめ。
 
 自分が自分でいられない苦しみから抜け出すには、どうすればいいのか。
 自分が自分でいられるようにするには、どんな魔法が必要なのか。

 本書はその術を教えてくれる。
 読む前と読んだ後とでは、生きづらさが全く違ってくるだろう。


  
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■「西の魔女が死んだ」あらすじ



 中学生のまいは、学校に行っていない。
 原因は、人間関係。

 クラスの女子たちが一体となり、まいを攻撃しているからだ。

 まいはついに、しばらく祖母の家で暮らすことに。
 
 祖母は、まいが自分らしく生きられる魔法を静かに伝えていく。

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■「西の魔女が死んだ」感想



 「幸せな人生」とは、「自分のままに生きること」なのか。
 それとも「他人に合わせて生きること」なのか。

 本書を読んでいると、そんな課題を突き付けられドキリとする。

 自分のままに生きていければ、そりゃあいちばんよいだろう。
 しかしそれで、他人と摩擦を起こした場合、果たして耐えていけるのか?
 そう考えると、やはり「ウッ」と立ち止まってしまう。
 
 自分の気持ちに素直に生きるのは過酷なもの。
 たとえそれが正義に則ったものであっても、いや、正義に則ったものであればあるほど、辛く厳しいものなのだ。

 まいの祖母の言葉は、「自分の気持ち」と「他者の目線」の間で大きく揺れる心をシャキッと正してくれる。
 そして、たとえ他者の目線にどんなに攻撃されようとも、ぶれない自分を作ってくれるだろう。
 
 だから今現在、辛い状況に置かれている子どもたちに読んでほしい。

 また、他人と合わせられない子どもをつい責めてしまう大人も読むべき一冊だ。(私を含め)

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 夏休みに入り、すでに休み明けが不安なお子さんもいるだろう。
 すべてを変えてしまいたいと願う子もいるだろう。

 そんな気持ちが少しでもよぎったら、ぜひ本書を読んでみてほしい。

 今年の夏が、きっと変わる。
 
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「黒い看護婦 ~福岡四人組保険金連続殺人~」は一生安泰に暮らすために読むべき一冊。

評価:★★★★★

「奥さんは、ほんとよかったたい。旦那さんが亡くなったんが仕事中で。それで労災がおりたっちゃろ。あの人の奥さんはこれで実家に帰れたっちゃろうもん。一生働かんでよかっさい。いっそのこと、浩ちゃんもそうなってくれんやろかね」
(本文引用)
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 2016年に横浜の病院で起きた連続不審死事件。
 ついに犯人がつかまった。

 そこで読んでみたのが、「黒い看護婦」。
 こちらも医療技術を使った殺人事件かな?と思い読みはじめたが・・・そんなレベルではなかった。
 
 読みながら何度、胃の奥から食べ物がこみあげたことか。
 「反吐が出る」という表現は、この事件の主犯のためにある言葉だ。

 福岡で起きた、看護師4人組による連続殺人事件。
 本書は犯人たちの生い立ちから犯行、裁判まで細かく追ったものだが、そこにはまさしく鬼がいた。悪魔がいた。モンスターがいた。

 人間の形の容器に入った、悪のヘドロがいた。


  
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■「黒い看護婦」概要



 看護師・吉田純子は、学生時代から「見栄っ張り・虚言壁・お金への執着が異常」という特性を持ち合わせていた。

 看護専門学校時代には「妊娠によるカンパ」をでっちあげ、やむなく転校。
 
 しかし純子は、その後も反省の色を見せることなく、詐欺行為を重ねていく。

 純子の悪行はエスカレートし、転校先の看護学校で3人の生徒に目をつける。

 3人は純子に下僕のように扱われ、ついに夫を手をかけることに・・・。

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■「黒い看護婦」感想



 これはいったい人間なのか?

 純子の行動・思考は、常人ではとうてい理解できない残酷さだ。

 「事実は小説より奇なり」という言葉は、吉田純子のためにある言葉だろう。

 あまりに陰惨さ、むごたらしさに吐き気を催しながら何とか読み切ったが、この本からは「ある1つのこと」が学べる。

 それは「『●●さんがこう言ってたよ』という告げ口をしてくる人間は、絶対に信用してはいけない」ことだ。

 さらに言うと、家族の悪口を吹き込んでくる人間からは、その足ですぐに逃げなければならない。

 吉田純子や、北九州連続殺人の犯人(「消された一家」の首謀者)が必ずやること。

 それは、とにかく「ターゲットの人間関係を壊そうとする」ことだ。

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 彼らは巧みにも「●●さんてこういうところがイヤよね」という悪口は、あまり言わない。
 その代わりに「●●さんが、あなたのことをこう言ってたよ」という告げ口をする。

 「私はあなたの味方よ」という善人のふりをして、ターゲットの人間関係を破壊していくのが常套手段なのだ。

 また、家族の悪口を吹き込んでくるのも大きな特徴。

 ターゲットをからめとる際、最も障害になるのは「ターゲットの家族」だ。
 犯人はとにかく、ターゲットと家族を引き離そうとする。
 そしてターゲットが家族に不信感を持ちはじめたら、「しめた」と舌を出すのだ。

 たとえば「発●小町」などで、こんな相談をよく見かける。
 
 「『Aさんがあなたのことをこう言ってたよ』、とママ友が言っていたのですが、Aさんとの付き合いをやめたほうがいいのでしょうか」
 「近所の人から、『あなたの旦那さんが女性と歩いているのを見た』と聞かされたのですが、夫を問い詰めたほうがよいのでしょうか」

 幸いなことに、ほとんどのレスは「告げ口をしてきた人から、離れなさい」というもの。

 これは本当にその通り。
 他人の人間関係にヒビを入れようとする人間からは、全力で逃げないといけないのだ。
 
 本書の吉田純子になる人間は、めったにいないだろう。
 しかし吉田純子の下僕にされる人間は、いてもおかしくない。

 まず私たちにできることは、サイコパスの下僕にされないよう気を付けることだ。

 「黒い看護婦」は、その方法を教えてくれる。
 一生安泰に暮らしていくためには、吐き気を我慢してでも読むべき一冊だ。
 
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「育児に向いてない」と感じたら「人間に向いてない」(黒澤いづみ)がおすすめ!

評価:★★★★★

自分は悪くない、でも子どもが普通の大人にならなかった、私はこんなに可哀相。そういう自己愛が透けて見えるのに、あくまで母親は彼の心配をしているのだと言い張り、自分の思うようにコントロールし続けるのだ。
(本文引用)
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 これほど「子育て中の方におすすめ!」と言いたくなる本は、めったにない。

 たいてい「子育て中におすすめ!」という小説は、「子育てあるある」が満載な物語だ。
 幼稚園のママ友争い、夫の無理解、お受験等々、「またこういう話か~」とため息をつきながらも、思わず「あるある」「わかるわかる」と身を乗り出してしまう・・・そんな小説が大半だ。

 ところが、本書は全く違う。
 「子育てあるある」は、この小説にかぎっては「絶対にない」。
 「あるある、わかるわかる~」なんて思うエピソードは、ほとんどない。

 それなのに、子育て中の身にはグサグサ刺さる。
 全国の、子育て真っ最中の人に読んでほしい、と心から思えるのだ。


  
 「面白い小説とは、どんなにぶっ飛んだ設定でも、現実世界と重ね合わせて読むことができる」

 「人間に向いてない」を読み、私はそのことを改めて知った。
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■「人間に向いてない」あらすじ



 主人公の美晴は、夫と息子との三人家族。
 息子・優一は引きこもり中だ。

 ある日、美晴は優一の部屋から異様な物音を聞く。
 壁をひっかくような音だ。
 
 優一が外に出たいのかもしれない・・・そう思った美晴は、優一の部屋のドアをそっと開ける。

 そこにいたのは、虫になった優一だった。

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 人間以外になった子どもは、優一だけではなかった。

 同じころ、娘が犬になったり息子が植物になった人も。
 
 世の中に、異形性変異症候群というシンドロームが蔓延していたのだ。

 虫になってもなお、息子を愛そうとする美晴。
 「そんなもの棄ててこい」と命じる夫。

 今、子どもへの愛が試される。
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■「人間に向いてない」感想



 書き出しは、カフカの「変身」を思わせる。
 しかし内容は全く違う。

 子どもへの愛をギリギリまで試す、「究極の育児小説」だ。
 
 子どもが虫や犬になっても、愛する気持ちは変わらない・・・そう思う人は多いだろう。
 
 しかし本書は、そこからさらに踏み込む。
 異形になった子どもは、社会では死者とみなされ、戸籍もなくなるのだ。
 
 目の前で生きているのに、死んだことにされる。
 しかも異形となった子どもは、よく考えれば「本当に自分の子どもなのかもわからない」。

 「人間の姿をしていない」「死者と認定され戸籍がなくなる」「そもそも、その虫や犬が自分の子どもかわからない」
 
 これら3つがそろった状態で、なおも目の前の虫や犬をわが子のように愛せるのか。
 
 聞けば聞くほどぶっ飛んだ内容に思えるだろうが、これが不思議なほど心に刺さる。

 子どもが虫や犬に・・・といった非現実激な設定にも関わらず、恐ろしいほど「自分の子育て」に重ね合わせて読むことができるのだ。

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 その理由は、「育児に悩む普通の人がとる行動」が緻密に描かれているから。
 
 たとえば、本書には育児サークルのようなものが登場する。
 子どもが変異した母親たちの会だ。

 そこで美晴たちは情報交換をしながら、悩みを打ち明け合う。
 これはまさに、「子育て中あるある」だ。

 また義母や実家との確執、理解ある夫とない夫等々・・・ママ友や家族の描写が恐ろしく緻密なため、本書がSFということを忘れてしまう。
 普通の・・・でもとびきり面白い育児小説を読む感覚で、思わず没入した。

 しかしここまで「究極の愛」を突きつけることができるのは、SFだからかも。

 想定外の事態に陥ったとき、さて、あなたは子どもをどこまで愛せるか。

 「自分は子どもを本当に愛しているか」「自分は子育てに向いていないのでは・・・」と不安になっている人は、ぜひ本書を読んでみてほしい。
 
 ラストの意外性もよい。

 衝撃の結末だが、「ああ、これがいちばんだな」と思える展開で、後味よく読み終えることができた。

 黒澤いづみ氏は本書でメフィスト賞を受賞。

 次回作もぜひ読みたい作家だ。
 
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芦沢央「火のないところに煙は」が新感覚すぎる!読書に飽きている人はぜひ。

評価:★★★★★

この本は、本当に発表するべきなのだろうか。
(本文引用)
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 「王様のブランチ」で見て購入。

 もともと芦沢央さんの小説が好きだったというのもあるが、インタビューを見て、居ても立っても居られなくなりポチッ。
 
 結果、大正解。
 
 過保護のカホコではないが、「こんなの初めて~!」と放心状態になる読書ができた。

 ノンフィクションとフィクションが組紐のように見事にからみあい、どこまでホントでどこからウソかわからない。

 いや、全て嘘なのかもしれないが、火のないところに煙は立たぬ。


  
 新潮社のある神楽坂に、本当にこんな怪談があるのかもしれない、心霊現象があるのかもしれない・・・と夜も眠れないほど怯えてしまった。

 芦沢央作品は、最近面白さがジャンプアップしてるな~と感じていたが、ここまでくると職人技。
 
 夢と現が交錯する「新感覚すぎる読書」で、読書の面白さ・快感を骨の髄まで感じることができた。

 芦沢央さん、「王様のブランチ」さん、ありがとー!!!
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■「火のないところに煙は」あらすじ



 本書は6話からなる短編集。
 小説家である主人公(おそらく芦沢央さん本人)は、「小説新潮」から短編小説の依頼を受ける。

 短編集のコンセプトは「怪談」。
 
 主人公はその依頼を受け、かつて自分が経験した超常現象を思い出す。

 結婚直前、占い師に芳しくない結果を出され、あり得ないほど人生に絶望する男性。
 夫が起こした交通事故を、狛犬の呪いとおそれる女性。
 一戸建てを購入したものの、隣人による根も葉もない噂話に翻弄される夫婦。
 引っ越したばかりの部屋で、見覚えのない長い髪を見つける大学生・・・。

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 主人公は、オカルトものに詳しい男性と共に超常現象の真相に迫るが・・・?

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■「火のないところに煙は」感想



 本書を読み、まず不思議だったのが「物語によってスッキリ感が全く違う」ことだ。

 「トラブルの真相はこれだったのか!」と体の奥からスッキリする話もあれば、「で、落ちは?」と聞きたくなるものも。

 「話によってムラがあるなぁ。これは買って失敗だったかな?」と、一瞬、購入したことを後悔した。

 ところが、だ。

 最終話になって突然、その不満が一気に解消!
 物語によってムラがあったのには、きちんと理由がある。
 
 最終話を除く5話がスパークを起こすためには、「全部が完璧であってはいけなかった」のである。

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 「芦沢央さんは連作短編がうまいなー」と思っていたが、こういう小説の書き方もあるのか!と驚愕。
 
 改めて著者の筆力に慄いた。

 今、読書というものにちょっと飽きてしまっている人、脳みそを底からグルッとかき混ぜたい人に、本書はおすすめ。
 
 「こういう本の書き方、読み方ってあるんだな~・・・」としばし放心すること間違いなし。
 
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「東大院生が開発!頭のいい説明は型で決まる」のコツは、たった1つのことだった。

評価:★★★★★

 びっくりするくらいわからない人が聴き手の中にいるということは覚悟しておいたほうが賢明です。
(本文引用)
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 「頭のいい説明」とは、極限まで「自分の頭を悪くする説明」である。
 本書を読み、そう感じた。

 「頭のいい説明」とは、相手に新しいことをわかってもらう説明だ。
 そのためには「頭のよさそうな説明」をするのは禁物。

 相手と同じ目線に立ち、自分の頭をグニャグニャにほぐし、言葉をギリギリまでかみくだくことが必要だ。

 でもいざとなると、やはり戸惑うもの。

 「あれ? この話ってどうやって説明すればいいのだろう?」「何かわかりやすい説明するの、めんどくさくなってきたなぁ。自分のペースでやりたいなあ」という誘惑にかられることも。


 そんな時は、本書が即効性あり!
 「頭のいい説明の型」に当てはめていけば、自分でもワクワクするほど「わかりやすい説明」に早変わり。
 
 しかも「わかりやすい」だけでなく、「身を乗り出して聴きたくなる説明」ができる方法だ。
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 著者・犬塚壮志氏は元予備校講師。
 犬塚氏の説明で「わかる!」を実感した生徒たちは、次々と難関大学に合格。
 受講者数日本一という、輝かしい功績を上げている。

 本書は、犬塚氏の説明メソッド満載。
 難易度の高いことをわかりやすく説明する極意を、惜しみなく伝授してくれている。

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 本書の魅力は、読者の怠惰をストップさせてくれること。
 多くの人がつい省きたくなる手順の大切さを、じっくりと解説し、読者の背筋をピンと伸ばしてくれるのだ。
 
 たとえば相手をきちんとプロファイルし、どこまで知識があるのかをあらかじめ知っておく。
 結論に至るまでの経緯を、1つひとつしっかりつながるように説明する。
 伝えたい物事を比較する材料を調べておく。
 擬人化できるものはないか考えておく。
 
 どれもこれも、実は結構めんどくさいもの。

 相手の知識が、自分と同レベルと想定すれば、説明は何ともラクチン。
 結論に至るまでのプロセスだって、少々省いてもわかりゃしない。
 比較できる対象? そんなの調べるのめんどくさい。数値だけ言っときゃ後は自分で考えるでしょ。
 擬人化なんて思いつかないよー。

 たいていの人はそう思ってしまい、結局、「わかりやすい説明」ができないまま時が過ぎてしまうのである。

 しかし本書を読んでいると、そんな「めんどくさいこと」に神が宿っていることがよくわかる。

 わかりやすい説明に魔法などない。
 魔法があるとすれば、相手にわかってもらうために必要な「めんどうなあれこれ」を、決して省かないことなのだ。

 そしてそれらの手法を煮詰めて凝縮させると、ある一つのコツが浮かび上がる。

 そのコツとは、「自分の学力・知識はおいといて、とにかく相手に合わせる」ことだ。

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 時には「えっ? こんなことも知らないの?」と驚くこともあるだろう。
 
 しかしそこをグッとこらえ、相手の知識レベルに合わせて説明していく。
 
 その情熱が「相手に伝わるためのめんどうなあれこれ」を実行する原動力となり、相手から「わかった!」という快感を引き出すことができるのである。

 こう書くと、あまり目新しさのない本に見えるかもしれない。
 しかしぜひ、実際に本書を読んでみてほしい。

 実例が豊富に載っているので「こういう時、なんていえばいい?」と迷った時の虎の巻としても使えるだろう。
 
 自分の説明がどうも相手に伝わっていない。
 説明している間、相手が何だか退屈そう・・・。
 わかってはくれてるみたいだが、相手を動かすまでに至らない。もっと魅力的な説明ができないものか。

 そう思ったら、本書の「型」を即実践!

 近いうちに、あなたの説明で「動く」人が必ず出てくるだろう。
 
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直木賞候補作!島本理生「ファーストラヴ」。読んで初めてタイトルの意味がわかった・・・。

評価:★★★★★

「以前観た映画の中にね、こんな台詞があったの。『奪われたものを取り戻そうとして、さらに失う』。どういう意味か分かる?」
(本文引用)
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 「ファーストラヴ」って、そういう意味だったのかぁ・・・。

 読みながら、私はドンッと衝撃を受けた。

 島本理生さんの小説は、いつも期待の何倍も深み・ふくらみがある。
 だから今回も一筋縄ではいかない作品だろうと、身構えてはいた。

 しかし「ファーストラヴ」というからには、「いつまでも忘れられないあの人を思い続けて・・・」みたいな仮説を立てて(「東大読書」的読み方)、ページを開いた。

 そしてその仮説は、見事に崩れた。
 本書が描く「ファーストラヴ」は、そんな甘いものではない。


  
 初恋や初めての恋愛は、人生に必須のものではない。

 しかしこの「ファーストラヴ」は、人間にとって絶対に必要な愛。
 最初に受けるべき愛で、なおかつ最も優先されるべき愛。

 全てにおいてファーストな愛だ。

 本書を読み、私は一個の人間として、そして大人として・・・この愛だけは絶対守り抜かねばならないと決心した。

 人生を狂わせる本というのはあるが、本書は狂いそうになる人生をグキグキッと正してくれる小説だ。

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■「ファーストラヴ」あらすじ



 臨床心理士の由紀は、夫・我聞と小学生の息子との3人暮らし。
 毎日、メンタルクリニックで心の相談を受けている。

 ある日、由紀のもとにこんな依頼が舞い込む。
 それは、父親を殺した少女のノンフィクションを書くことだ。

 大学生の環菜は就職活動のさなか、画家の父親を包丁で殺してしまう。
 
 由紀は弁護士の義弟・迦葉と共に、環菜の心を解明。
 過去、交友関係、家庭環境・・・あらゆる点から「殺人の動機」を探っていく。

 しかしそのプロセスは、由紀と迦葉、二人の古傷をうずかせるものだった。
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■「ファーストラヴ」感想



 「ファーストラヴ」は恋愛小説・ヒューマンドラマ・ミステリー・法廷小説、すべての魅力を兼ね備えた作品だ。

 終盤は父親刺殺事件の真相を、法廷でじっくり解明。
 ミステリーファンでもどっぷり楽しめる展開となっている。

 そして父親刺殺事件を通して露呈する、登場人物たちの心模様も読み応えたっぷり。

 自分が本当に愛した人、自分が本当に愛したかった人は誰なのか。
 この人が差し出す愛は、なぜこうも歪んでいるのか。
 
 家族、友人、ゆきずりで出会った異性・・・。
 
 真っ当な愛といびつな愛がグチャグチャになった環境で生きてきた由紀、迦葉、環菜。
 
 この3人が交錯することで、「人間にとって絶対ファーストなラヴ」がブワッと浮き上がって来る。

 「真っ当な愛のない人生とは、ここまで恐ろしいものなのか」と、息をすることも忘れ読みふけった。

 本書を読むと、身近な人への接し方が変わってくる。
 なぜなら、自分がファーストラヴを与えないと、大切な人の人生が狂ってしまうとわかったから。

 目の前にいる人を幸せにしたい・・・そう心から願う人に、本書はおすすめだ。

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 それにしても島本理生さんは、誠実な男性を描くのが本当にうまい。
 私は「よだかの片想い」の原田君が大好きなのだが、「ファーストラヴ」の我聞さんもいい!(辻さんも)

 男性不信になりそうになったら、島本理生作品を読もう。
 きっと男性を信じられるようになる。

 最後に、これだけは言っておきたい。
 「ファーストラヴ」、映像化希望!

 またまた勝手にキャスティングしてみたので、映像関係者の方、何とぞよろしくお願いいたします。

 ・由紀:波留
 ・我聞:鈴木亮平
 ・迦葉:斎藤工
 ・環菜:白石麻衣
 ・那雄人:オダギリジョー
 ・昭菜:木村佳乃
 ・小泉:風間俊介

 
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プロフィール

アコチム

Author:アコチム
仕事・家事・育児の合間に文字を楽しむ、兼業主婦の備忘録です。
本の評価は以下のとおり(2015年10月~)
★★★★★=読むと一生幸せでいられます。
★★★★☆=読むと1年間幸せでいられます。
★★★☆☆=読むと1週間幸せでいられます。
★★☆☆☆=これ以下の本は載せません。

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