「すぐ死ぬんだから」(内館牧子)感想。これはもう読むプラセンタ!読むだけでマイナス10歳になります。

評価:★★★★★

 先のない年代に大切なのは、偽装。これのみ。
(本文引用)
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 「終わった人」がベストセラーとなった内館牧子。
 
 今回は「終わってない人」が主役。
 いや、「終わらない人」と言うべきか。

 年齢という激流にのまれても、岩にしがみついて「終わらない人」がヒロインだ。
 
 タイトルからわかる通り、「老後」がテーマだが、この本、若い人にも超おすすめ!
 「自分をあきらめる人」は、高齢者だけではない。
 10代でも20代でも、自分をあきらめそうになっている人はたくさんいる。

 もし現在、そんな自暴自棄な気持ちになっていたら、借金してでも本書を買うべき。

 ラストに向かうにつれて、生きる力が、尾てい骨の奥からグワァッとわきあがってくる。

 騙されたと思って、手に取ってみてほしい。 

 いいじゃない、いつか死ぬんだから。
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■「すぐ死ぬんだから」あらすじ



 忍ハナは78歳。




 
 「年相応に見られないこと」「10歳若く見られること」が座右の銘だ。
 
 ハイセンスの服、差し色を利かせたコーディネート、ネイルにも細心の注意を払い、「若くかっこよく見られる」ことに心血を注いでいる。

 そんなハナを、夫・岩造は誇りに思っている。
 周囲に「ハナは俺の自慢」と言ってはばからず、夫婦仲は良好だ。

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 ところがある日、岩造が急逝。

 岩造がいなくなったことで、ハナは抜け殻のようになり、美容もファッションもほっぽりだしそうになる。

 しかしお香典返しを考えるうちに、夫の「重大な秘密」が発覚。
 
 ハナはいっそう自分を磨くようになり・・・?
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■「すぐ死ぬんだから」感想



 死んだ夫の「重大な秘密」は、たぶん多くの人が予想できるもの。
 「夫の秘密」自体は、そう目新しいものではない。

 ところがさすが内館牧子。
 陳腐な設定なのに、続きが気になり一気読み。

 ハナの心の紆余曲折に、「この先どうするの!?」と目が離せなかった。

 岩造が死んだことで、一気に老け込むのか。
 夫の目がなくなると、オシャレをしなくなるのか。
 そしてハナの「アンチエイジング魂」は、鎮火するのか、ますます燃え上がるのか。

  「いつまでもキレイでいたい」と少しでも思っているなら、ハナの変化は必読。
 読むだけで脳と心がギラギラワクワク。
 身体中のシミ・シワがとれてハリが出てくるようだ。

  「すぐ死ぬんだから」は、もはや「読むプラセンタ」。
 まだ死ぬような年齢でなくても、エイジングサインが気になりはじめたら、読んで損なしの一冊だ。
 
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「軌道 ~福知山線脱線事故 JR西日本を変えた闘い~」感想。今まで読んだノンフィクションで文句なしに最高。

評価:★★★★★

 「相手が川の対岸に立って、こっちへ来いと呼んでいる。川を挟んで向き合っても、声は届かず、いつまでも距離は縮まらない。とりあえず川に入って、対岸を目指せばいいじゃないか」
(本文引用)
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 2018年から「本屋大賞ノンフィクション部門」が新設された理由。

 それは、この本の存在ではないだろうか。

 これほどの本に、何も賞を与えないなんておかしい、もったいない、間違ってる。
 ええいいっそ、「本屋大賞」にノンフィクション部門を設け、この本を世に知らせよう!
 そんな声があったのではないだろうか。

 私の勝手な憶測だが、もし私が本屋大賞に携わる人間だったら、間違いなくそう言っていただろう。


 
 未だ人々の記憶に新しい、JR福知山線の脱線事故。
 死亡者は乗客・運転手あわせて107名、負傷者500名超という未曽有の鉄道事故だった。

 当時、JR西日本の体質がさんざん取り沙汰され、今でも鉄道事故や車両故障が起こると「日勤教育が」「JR西が」と義憤とも揶揄ともとれる声が上がる。

 それほどまでに社会に甚大な影響をもたらした福知山線の事故。

 なぜ大惨事は起きたのか。
 JR西と遺族は、どのように歩んできたのか。 
 
 そしてどうすれば、交通の安全は守られるのか。

 本書は、一人の遺族の闘いが、JR西日本を動かしたノンフィクション。

 徹頭徹尾公正な目で、再発防止に取り組むまでを緻密に描いた、非常に貴重な記録だ。

 公共交通を少しでも使う機会があるなら、絶対読むべき一冊である。
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 JR西を変えた人物とは、淺野弥三一という男性だ。

 淺野氏の妻と実妹は、福知山線事故で死亡。
 次女も、瀕死の重傷を負った。

 淺野氏は紛れもなく、遺族である。

 しかも淺野氏は街の安全を作る技術者。
 プロの目線で、公共交通の安全とJRの対応の在り方に、厳しい目を向ける。

 そんな淺野氏の真摯な姿勢は、やがてJR西の幹部を動かしていく。

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 遺族が最も求める答、姿勢に思いをはせる。
 事故の原因を隠さず、緻密に分析する。
 
 そして、ヒューマンエラーで懲罰を与えない。

 懲罰主義・精神主義・独裁体制だったエリート企業を確実に変えていったのである。
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 本書を読むと、とにかく「人間というものは恐ろしい」「人間ほど信頼できないものはない」と思い知らされる。

 それは「JR西日本に誠意がない」といった意味ではない。

 「人間は、非常に簡単に重大なエラーを起こす」

 そのことが心をつんざくほど、よくわかるからだ。

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 よって安全策を考えるには、「人間はエラーを起こすもの」という前提からスタートしなければならない。

 エラーが起こらないような構造作りを徹底し、万が一エラーをしても懲罰をしない。
 なぜエラーが起きた個人を罰するのではなく、エラーが起きるようつくられてしまった構造を疑い改良していく。

 「まずヒューマンエラーありき」から出発することが肝要なのである。

 「失敗は許さない」「優秀なら失敗しない」・・・そんな考えにとらわれたり、他人に押しつけたりすると、必ず大事故を起こす。

 本書では、数々の大惨事を例にとり、そのメカニズムを解説。
 「人間はミスをしない」という前提に立ってしまうと、とんでもない思い込みや勘違いを起こしたまま、周囲の警告を聞き入れることなく突進。
 取り返しのつかない事態を引き起こしてしまうのだ。

 人間は信用できない。
 でも「信用できない」と知っている人間は、信用できる。
 「人間は信用できない」と知っている人間が作ったものは、信用できる。

 「軌道」は、そんなことを改めて教えてくれる傑作。
 
 今後の人生の軌道を変えてくれそうな一冊だ。

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「死体は語る」感想。読まなかったら安心して生きられないとこだった。

評価:★★★★★

 医学は主として生者のためであろうが、死者の側に立つ医学もまた必要なのである。
(本文引用)
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 突如車を止めた運転手と、唇をわなわな震わせる警察官。

 彼らには共通点がある。

 それは、異状死を目の当たりにしたことだ。

 部屋で一人、急死した母親の乳を吸い続ける乳児。
 親の急死で、遺された幼い兄妹。

 彼らは、そんな死体・遺族と向き合い、涙がこらえきれなくなった。
 だから前が見えず運転できなくなり、唇をわなわなと震わせたのだ。

 どんな死にも、必ず背後には大きな悲しみがある。
 その悲しみから救ってほしいと、死体は叫んでいる。
 
 だからこそ、死体をみることは大切だ。
 死体を隈なく調べ、死因や犯人像を究明することが、死者と、遺された生者を守ることになるのだ。


 
 生者をみる医学は、身体を救うもの。
 そして死者をみる医学は、その人の「心」「人権」「人生」を救済するもの。
 
 もしかすると法医学は、生きている人をみる医学より大事かもしれない。

 監察医という存在がいなくなったら、おちおち生きることも死ぬこともできない。

 我々がこうして安心して生きていられるのは、死んでからも私たちを守ってくれる医師がいるからなのだ。
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 本書には、実にさまざまな死体が出てくる。

 監察医である著者は、それらの死体を入念に検死し、死因を特定。

 自殺と思っていたら他殺だった。
 他殺と思っていたら自殺だった。
 転倒死と思っていたら、車によるひき逃げだった。
 酔っぱらっていたのかと思ったら、脳に血腫ができていた。
 並んで死んでいるカップルが、違う時間に死んでいた等々・・・。

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 もともと異常な状態で死んでしまった人々を細かく調べていったら、さらに驚きの真相が待っていた。
 本書に登場する死体は、どれも真相の奥の真相が暴かれることで、やっと成仏できる死体ばかりなのだ。

 さて、それだけ聞くと、「死因にまつわる話」だけと思うかもしれない。

 「誰かを殺して、死因を偽装した」という話ばかりと思うかもしれない。
 
 ところが人間とは実に罪深いもの。

 誰かが死んだ後、その「死」を利用して得をしようとする「トンデモ人間」も本書には登場する。

 たとえば鉄道自殺した男性の葬儀に、突然、子どもをつれた女性が出現。
 女性は、死んだ男性の妻に対し、「この子は、私と彼との子どもです」と言い放つ。
 しかも女性は、男性の肉片まで持ってくるという周到ぶり。

 調べてみると、どうやら死んだ男性が、その女性と交際していたのは本当のようだ。
 
 だが果たしてその子供は、男性の子どもなのか。
 骨、肉片、妻が持ち込んだブラシの髪の毛・・・どれも男性のものかどうかはわからない。
 だとしたら、何をもって「男性と子どもが親子でない」ことを証明できるのか。

 真相は、意外な小さな小さなところに埋もれていた。
 
 本書は純粋なノンフィクションながらドラマ化されたというが、なるほど「こんなところ」から真相がわかるなら、サスペンスドラマにピッタリだ。

 他にも、病死した夫の死亡時刻を、医師にお願いして変更しようとした女性。

 火災で一家が焼死し、一酸化炭素中毒と焼死とで死亡時間帯を10分ずらしたために招いた、とんでもないトラブル等。

 しかし死体は、生きている人間の欲には屈しない。
 生きている人間からは想像できないほど、正直で雄弁で真っすぐなのが死体というもの。

 欲にまみれた生者たちは、話すことのできない死体に負けるのである。

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 「死人に口なし」なんて嘘。
 死体ほどオシャベリなものはないのだ。

 そしてそのオシャベリを受け止めてくれる人がいるからこそ、人は安心して生きられる。
 本書で「人生のアフターケア」を知れば、きっともっと、自分の人生が愛しくなる。

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映画「検察側の罪人」感想。酒向芳さんの怪演は映画史の事件!

 映画「検察側の罪人」を観てきました。

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 原作がとても面白かったので、観に行ったのですが・・・ちょっと私の中で事件が起こりました。
(※ちなみに原作「検察側の罪人」のレビューはこちらです。)



 生まれて初めて「本物の演技」というものを観てしまったんです。

 漫画「ガラスの仮面」の北島マヤの演技って、こういう感じなんだろうな~。
 観ている人が、「演技」ということを完全に忘れてしまい、他の役者さんの演技も「本物」にしてしまう・・・。
 今まで観てきた数々の「演技」を大きく引き離す、「本当の芝居」というものを観てしまいました。

 その演技を見せてくれたのは、酒向芳さん。

 「検察側の罪人」で、最上検事が恨みを抱く男・松倉重生を演じた方です。

 松倉重生は、まさに鬼畜。
 「人間」と呼ぶのもおぞましい、顔を見るだけで反吐が出そうになる人物です。

 そんな猟奇的な松倉を、酒向さんは・・・見事に、見事すぎるほどに演じておられました。

 髪の毛1本1本から爪先までプンプン漂う不気味さ。
 良心などかけらもなく、自分の欲を満たすことしか考えられない異常性。
 人の神経を逆なですることにかけては、天下一品の品性下劣さ。

 そんな「松倉重生という獣、モンスター」を、酒向さんは完璧に再現。
 松倉と対峙する、二宮くんと吉高由里子さんの演技も「本物」になっていました。
 
 映画「検察側の罪人」は、現在大ヒット中。
 その要因は、酒向さんの「本物の演技」にあると思います。

 物語を知っていたので、「映画、楽しめるかな?」とやや不安でしたが、酒向さんの名演技を見られただけでも行った意義あり。
 
 観賞後、ネットで酒向さんの素顔を見たら、「ええっ? こんなにジェントルな素敵な方だったの!?」とビックリしちゃいました。
 
 「原作を読んだから、映画は観なくていいや」と思っている方。
 「地上波で放送されてから観ればいいや」と思っている方。
 
 ぜひ、明日にでも映画館へGO!

 酒向さんの超メガトン級モンスター演技を、ぜひご覧になってください。
 
 「何だかすごいもの見ちゃったな」と呆然としちゃいますよ!

 

「43回の殺意 ~川崎中1男子生徒殺害事件の深層~」。親は子供を愛していたのになぜ起きた?

評価:★★★★★

 「家庭に居場所を求められず、学校でいじめられ、高校も中退、不良にもなれなかった」
「みんなそこでつながったんだろうね」

(本文引用)
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 本書のサブタイトルで、ひとつ気づかないだろうか。
 「川崎中1男子生徒殺害事件の深層」という文字だ。

 「真相」ではなく「深層」。
 ここに本書が存在する意味がある。
 誰も書かなかった、あまりにも深い真実が、本書にはあるのだ。

 「本屋大賞ノンフィクション部門」の最終候補にエントリーされているので手に取ったが(もともと石井光太さんの本は好きだし)、予想以上に凄みのある本だった。
 
 このような凄惨な事件は、事件のむごたらしさだけが前面に押し出されがちだが、本書はそんな浅はかなものではない。



 なぜ少年たちが、まだ体の小さい13歳の少年を、43回もナイフで切りつけ川で泳がせるような行動に走ってしまったのか。
 なぜ加害者・被害者の親たちは、子どもを愛していたのに、そのような結果を招いてしまったのか。

 若者たちの行動・心理に奥深くまで切り込んだ筆致は、まさに「深層」。
 読めば誰でも、「この事件は他人事ではない」と思えるだろう。
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 事件が起きたのは2015年の2月。
 川崎市の河川敷で、若い男性の遺体が発見され世間は騒然に。

 事件の全容が明らかになるにつれ、騒ぎはますます大きくなった。
 殺されたのは13歳の少年で、しかも3人の加害者はいずれも10代の少年だったからだ。
 
 事件後、遺体が発見された場所には弔う人が殺到。
 花やお菓子、手紙やノートなどが多数置かれ、そのうち、現場を清掃するボランティアも多く現れ、社会現象となる。

 雑誌やメディアは被害者・加害者の家族を貶める内容を書き立て、子育て論にまで発展。
 
 しかし事件の経緯を調べれば調べるほど、事件の根っこはそんな単純なものでないことがわかってくる。

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 なぜこんな凄惨な事件が起きてしまったのか。
 そしてなぜ、遺体発見現場に多くの人が集まったのか。

 本書は、事件前・事件当日・事件後、そして裁判まで細かく追っていく。
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 この本を読んで衝撃を受けたのは、次の3点だ。

 ・加害者・被害者側とも、親が子どもを愛していたこと。
 ・不良少年には、ある「考え方の傾向」があること。
 ・日本の裁判の理不尽さ。

 まず「加害者・被害者側とも、親が子どもを愛していたこと」は、本書を読めばよくわかる。
 
 被害者側の父親の言葉と、母親の奮闘。
 加害者側の家族が、さらに悪い仲間から家族総出で息子を守り、110番通報までしていたこと。

 もしかすると、愛し方の方向が一部、ずれていたこともあったのかもしれない。
 子どもが親の愛を感じていたからこそ、事態が深刻化した面もあっただろう。

 しかし事件当時、報じられていたようなネグレクトや虐待などは、本書からは見受けられない。
 なかには問題のある家族もいたようだが、おおむね皆、必死に子育てをし、子どもたちも親兄弟を思って生きていた。

 それなのになぜ、このような取り返しのつかない事件が起こったのか。

 読めば読むほど、それは「社会全体が病巣となっている」ことがわかってくる。

 彼らが加害者・被害者になったのは、家族だけの問題ではない。
  差別、偏見などを許す社会全体の問題なのではないか。
 そう思えて仕方がないのだ。

 そして2つめの衝撃、「不良少年たちの考え方の傾向」について。
 
 事件後、各種メディアは加害者・被害者と知り合いの少年たちに、インタビューをしようとする。
 しかし取材は困難を極める。
 その理由は、不良少年共通の「ある考え方」にあった。
 
 これには最も驚いた。
 いわゆる「不良少年たち」は、どのような過程で「特有の思考回路」を持つに至ったのか。
 不良少年と、そうでない少年との違いは、どうして生まれるのか。
 
 いつかぜひ、その点に言及した本を読んでみたい。
 
 そして最後の衝撃、「日本の裁判の理不尽さ」について。

 当事件の裁判は、他の裁判と明らかに違う点があった。
 それは被害者の両親同士が、顔を突き合わせないようにしていたことだ。
 
 妻からの希望ということだが、弁護士側がそれを聞き入れたために、なかなか納得のできる裁判を進められずにいたのだ。

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 さらに驚いたことに、被害者側が何も知らされないまま、どんどん裁判が進行。
 しかも加害者の人権ばかり重視されるよう、誘導されていくのである。

 これは被害者の父親の見方なので、若干偏っているかもしれない。

 しかし裁判というものは、「本当の真実」ではなく「裁判の真実」を作っていくのではないか。
 そんな疑念を持たずにいられない。

 だから本書のサブタイトルは、「真相」ではなく「深層」という言葉がふさわしい。

 酷い少年事件が起こる、社会の闇。
 家にも学校にも行かず、かりそめの友と、夜にたまるしかできない少年たちの"考え方"
 そして、歪んだ裁判。
 
 今まで誰も知らされなかった深層、誰も思いもつかなかった深層が、本書にはありありと書かれている。
 思わず、心の中で「読んで良かった」とつぶやいてしまった。

 これからも必ず、少年事件は起こるだろう。
 誰もが目を覆いたくなるような事件が、残念ながら起こるだろう。

 そのたびに私たちは、他人事と考えてはいけない-本書はそう心から思わせてくれる、出色のルポだ。

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垣谷美雨「後悔病棟」感想。明るく生きたければどんどん後悔すべし!

評価:★★★★★

 ああ、なんという空しい人生だろう。もしも人生をやり直すことができたら、絶対に残業はしない。
(本文引用)
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 「もし人生をやり直せるなら」などと考えるのはナンセンスかもしれない。

 後悔する暇があったら、自分の選択を最良にする努力をしたほうが・・・多分いいのだろう。

 しかし、本書を読むと、人生にとって最も大切なのは「後悔」なのではないかと思えてくる。
 今後の人生を少しでもハッピーなものにしたいなら、後悔するのも悪くない。

 いやむしろ、今すぐ後悔すべし!後悔万歳!
 垣谷美雨の「後悔病棟」を読みながら、自分の人生をうんと後悔してみよう。

 そうすればきっと明日に踏み出せる。
 明日を、今日よりもっと素敵な日にできるだろう。


 
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■「後悔病棟」あらすじ



 勤務医・早坂ルミ子には、ひとつだけ大きな欠点があった。
 
 それは、患者の気持ちがわからないこと。
 いや、「わからない」どころか「逆撫でしてしまう」のが、ルミ子の欠点。

 患者に対し、思い切り「安らかな気持ちでいける」などと口走り、周囲を凍らせてしまうのだ。

 ある日、ルミ子は一個の聴診器を拾う。
 その聴診器は、魔法の聴診器。
 
 患者の胸に当てると、患者の気持ちがありありと見えてくるのだ。

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 芸能界に入りたかったのに、女優のママが受けさせてくれなかった・・・。ママに相談しなければよかった。
 見舞いにくるたびに、お金の話しかしない妻。もっと家族と向け合えばよかった。
 独身を貫く一人娘。あの時、結婚を反対しなければよかった。
 友人がかぶった罪、俺が代わりにかぶればよかった。

 ルミ子は患者たちの「ああすればよかった」を明確に聴き取り、妄想のなかで人生をリセットすることに。

 さて、彼らは本当に人生の選択を誤っていたのか?

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■「後悔病棟」感想



 本書の効用は、後悔をうまく生かせるようになること。

 一見無駄に見える「後悔」だが、「後悔」を味方につけると、人生をどんどん好転させることができる。

 そんな「後悔の活かし方」を、本書は教えてくれるのだ。

 それを最も教えてくれるのは、第2話「family」。

 主人公は30代の若きパパ。
  「これから」という時に癌におかされ、すでに余命宣告も受けている状況だ。

 しかし、たまに見舞いに来る妻は、生命保険やら何やらとお金の話ばかり。
 そのうち、イケメン医師に色目を使うようになり・・・?

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 男性はルミ子とともに「後悔に旅」に出ることで、妻の本当の姿がわかってくる。
 初めて見つけた「妻の本当の姿」を知ることで、男性は「妻がいちばん幸せになる方法」を見つけ出していくのだ。

 この展開は非常に新鮮。
 「後悔っていいものだな」と、生まれて初めて思わせてくれた至高の物語だ。
 
 「ああすれば良かった、こうすれば良かった」とウンウン考えるのは、一見、不毛かもしれない。
 しかしつい「後悔してしまう」のは、自分の人生や愛する人の人生を、大切に思っている証拠。

 今現在、自分の人生を後悔しているならば、それだけ「自分や周囲の人を愛している」ことになるのだ。

 「後悔しない人生を」などとしばしば聞くが、そんなことを考えていると、人生はプレッシャーばかり。
 結局、何をやっても後悔はあるし、頑張って頑張って億万長者になっても、後悔のない人生などない。

 ならばいっそ、「後悔」を前向きにとらえたほうが得策。
 「自分がこれだけ後悔しているということは、私は自分を、家族を、愛する人を、心から大切にしているから」と考えたほうが、ずっと豊かな人生になるだろう。

 今、「後悔したくないから」と頑張りすぎてる人は、「後悔病棟」を読んでみよう。
 「後悔ウェルカム!」の気持ちになれば、もっと人生が明るくなるはずだ。

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「カメラを止めるな!」をやっと観賞。映画ってホンットにいいものですね!

 映画「カメラを止めるな!」をようやく観に行きました。

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 映画好きの兄から「面白かったよー!」と聞いていたので、ずっと行きたかったのですが・・・やっと悲願達成。

 近年観た映画で、最も「心が温まった映画」でした。

 観て良かったです(^^)!
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■「カメラを止めるな!」あらすじ



 冒頭はいきなり、ゾンビが若い女性に襲い掛かる場面。

 アイドル女優はせいいっぱい怖がる演技をしますが、監督は納得しない様子。
 40テイク以上撮っても満足せず、「本物をくれよ!本物を!」と絶叫しつづけます。

 そのゾンビ映画の撮影場所は、監督がようやく見つけてきた廃墟。
 昔、人体実験に使われていたという噂があり、俳優陣はちょっぴりビクビク。
 
 メイクさんが「でね、この噂には続きがあってね!」とニコニコ顔で言った瞬間、ドアから「バンッ!」と大きな音が。

 そこにいるのは・・・誰?
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■「カメラを止めるな!」感想



 この映画を一言でいうと、「映画って、ほんっとにいいものですね」。
 (水野晴郎さんの名ゼリフです)
 
 ネタバレになるので、感想は詳しくは言えません。
 いろんな意味で「映画っていいものですね」と思えます。

 さて、この言葉が指す「映画」とは、どの映像作品を指すのでしょうか。
 「カメラを止めるな!」を指すのか、それとも・・・?

 何重もの意味で、「映画って面白いな、ものづくりっていいな」と心の底から思えます。

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 個人的には「監督の奥様」と「アル中の俳優さん」がツボ。

 私が観に行った日の夜に、NHKで「監督の奥様役」の方が出ていたのですが、その動きを見て「そうそうそうそうそう!!」とテレビの前で飛び跳ねてしまいました。
 全国の「カメ止め」ファンの人は、きっと同じことを思っていただろうなぁ。
 そんな、全く見知らぬ人との、見えない一体感が、映画鑑賞の魅力なのかも。
 単純なようですが、やはり「流行りもの」をチェックするのは大事だな、なんて改めて思いました。ポンッ!

 この「カメ止め」、なんと「笑点」でも取り上げられ、「●●を止めるな!」というお題を出題。
 
 いったい勢いは、どこまで波及するのか・・・。
 今後の「カメ止め」の動きから、さらに目が離せません!

 ※これから観に行かれる方に、一点だけ注意事項。
 パンフレットは必ず観賞後に買いましょう。(観賞前に買った場合は、読むのは必ず観賞後に!)

 
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プロフィール

アコチム

Author:アコチム
仕事・家事・育児の合間に文字を楽しむ、兼業主婦の備忘録です。
本の評価は以下のとおり(2015年10月~)
★★★★★=読むと一生幸せでいられます。
★★★★☆=読むと1年間幸せでいられます。
★★★☆☆=読むと1週間幸せでいられます。
★★☆☆☆=これ以下の本は載せません。

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